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通夜会場にて
信じていい人
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彩は綾音の大が3つ付くほどの大親友だ。
名前もよく似ている。
小学校低学年のときは、双子だと男子から馬鹿にされたが、彩も綾音も、満更でもなかった。
2人は小学校、中学校、高校まで同じ幼馴染である。
お互いにお互いの気持ちを分かり合える、最高の友だった。
だからこそ、綾音の訃報を聞いて、自殺なんて信じられなかったし、テレビの報道にある薬物乱用なんて更に信じられっこなかった。
綾音が亡くなってから、通夜に行くかどうかとても悩んだ。
行かない方がいいのではないかと最初は考えた。
大親友の死を受け入れてしまった気がしたからだ。
でも、最後に会った方が、綾音は喜ぶとわかっていたから、来るしかなかった。
そして来てみてわかった。
人は残酷だ。
彩以外の人たちは、自殺について、薬物について、コソコソと本当かどうかもわからない話を、通夜の会場の一歩外でしている。
通夜の会場には、遺族が、そして本人がいるのにも関わらず。
彩は耐えられなかった。
だからみんなから離れた。
早く帰ってしまうという選択肢もあった。
でも、大親友として、最後まで一緒にいたいという思いもあった。
「彩」
暗い暗い闇の中。
どこからか、綾音の声がする。
昔聞いた、明るくて可愛らしい声。
「彩」
でもどこからなのかが全くわからない。
「ありがとう、彩」
やめて。
彩は声に出して言おうとしたが、声が出ない。
お礼だなんて、お別れみたいじゃない。
否定したいのに、声が出ない。
「ありがとう」
綾音がもう一度お礼を言った。
「やめて!」
彩自身の声と共に、視界がパッと開けた。
自動車の助手席に座っている。
知らない自動車だ。
椅子は少しリクライニングしてあって、エンジンもかけられていて暖房がついている。
彩は夢を見ていたようだ。
車の外を見ると、ここが北部斎場の地下駐車場だとわかった。
ドアを開けて車を降りる。
冬の冷たい風が全身に当たってブルっと身震いした。
「起きたか」
彩に声をかけた男…たしか桧山悠希と言っていた。
その男が、彩が車を降りたことに気がついて、車のところまで来た。
「私は…」
「泣きすぎで疲れてるのに寝ないからこうなるんだ」
桧山さんが彩に缶コーヒーを渡した。
元々はホットなんだろうけど、とっくに冷たくなっている。
「この車、桧山さんの?」
彩が尋ねると桧山さんは頷いた。
彩は車のことに詳しくない。
グレーのセダンだということくらいしかわからない。
次に桧山さんは何歳なんだろうと、ふと思う。
スーツを着ていることから高校生ではないとわかるが、容姿から考えて歳は近いはず。
でも喋り方や佇まいは、大学生や新卒の社会人にはないような落ち着きや大人っぽさがあった。
あんまり直視してはいない気がして、彩はもらった缶コーヒーに目をやった。
「彩さんのことは綾音ちゃんからよく聞いてたよ」
え?と彩は顔をあげるが、すぐに少し視線をそらす。
「大が3つ付くほどの大親友だって。合ってる?」
彩は嬉しくなった。
同時に、桧山さんはその辺にいる変な人ではないこともわかった。
「寒いですね。車の中に戻りませんか?」
ドアに手をかけて彩が言った。
「おい初対面だぞ」
「暖を取るだけです。何かしたらドアを開けて叫びます」
彩と桧山さんはお互いに笑った後、車に乗った。
名前もよく似ている。
小学校低学年のときは、双子だと男子から馬鹿にされたが、彩も綾音も、満更でもなかった。
2人は小学校、中学校、高校まで同じ幼馴染である。
お互いにお互いの気持ちを分かり合える、最高の友だった。
だからこそ、綾音の訃報を聞いて、自殺なんて信じられなかったし、テレビの報道にある薬物乱用なんて更に信じられっこなかった。
綾音が亡くなってから、通夜に行くかどうかとても悩んだ。
行かない方がいいのではないかと最初は考えた。
大親友の死を受け入れてしまった気がしたからだ。
でも、最後に会った方が、綾音は喜ぶとわかっていたから、来るしかなかった。
そして来てみてわかった。
人は残酷だ。
彩以外の人たちは、自殺について、薬物について、コソコソと本当かどうかもわからない話を、通夜の会場の一歩外でしている。
通夜の会場には、遺族が、そして本人がいるのにも関わらず。
彩は耐えられなかった。
だからみんなから離れた。
早く帰ってしまうという選択肢もあった。
でも、大親友として、最後まで一緒にいたいという思いもあった。
「彩」
暗い暗い闇の中。
どこからか、綾音の声がする。
昔聞いた、明るくて可愛らしい声。
「彩」
でもどこからなのかが全くわからない。
「ありがとう、彩」
やめて。
彩は声に出して言おうとしたが、声が出ない。
お礼だなんて、お別れみたいじゃない。
否定したいのに、声が出ない。
「ありがとう」
綾音がもう一度お礼を言った。
「やめて!」
彩自身の声と共に、視界がパッと開けた。
自動車の助手席に座っている。
知らない自動車だ。
椅子は少しリクライニングしてあって、エンジンもかけられていて暖房がついている。
彩は夢を見ていたようだ。
車の外を見ると、ここが北部斎場の地下駐車場だとわかった。
ドアを開けて車を降りる。
冬の冷たい風が全身に当たってブルっと身震いした。
「起きたか」
彩に声をかけた男…たしか桧山悠希と言っていた。
その男が、彩が車を降りたことに気がついて、車のところまで来た。
「私は…」
「泣きすぎで疲れてるのに寝ないからこうなるんだ」
桧山さんが彩に缶コーヒーを渡した。
元々はホットなんだろうけど、とっくに冷たくなっている。
「この車、桧山さんの?」
彩が尋ねると桧山さんは頷いた。
彩は車のことに詳しくない。
グレーのセダンだということくらいしかわからない。
次に桧山さんは何歳なんだろうと、ふと思う。
スーツを着ていることから高校生ではないとわかるが、容姿から考えて歳は近いはず。
でも喋り方や佇まいは、大学生や新卒の社会人にはないような落ち着きや大人っぽさがあった。
あんまり直視してはいない気がして、彩はもらった缶コーヒーに目をやった。
「彩さんのことは綾音ちゃんからよく聞いてたよ」
え?と彩は顔をあげるが、すぐに少し視線をそらす。
「大が3つ付くほどの大親友だって。合ってる?」
彩は嬉しくなった。
同時に、桧山さんはその辺にいる変な人ではないこともわかった。
「寒いですね。車の中に戻りませんか?」
ドアに手をかけて彩が言った。
「おい初対面だぞ」
「暖を取るだけです。何かしたらドアを開けて叫びます」
彩と桧山さんはお互いに笑った後、車に乗った。
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