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教科書、見せてもいいですか
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「ふわぁ~あ…。」
一つ大きなあくびで教室の眠い空気を吸い込み、俺はついでに伸びをした。
今日は二限目から国語で憂鬱だ。座学の中でも国語なんて特につまらないし、何より眠い。
俺は今のうちに少し寝ておこうと思い、机に伏せた。
すると──。
「次はきちんと持ってきてくださいね。」
若干ピリついた空気が教室を包んだ。どうやらクラスメイトの結月が教科書を忘れてしまったようだ。
「はぁ…。」
明らかに落ち込んだ様子の結月。おまけにため息まで聞こえてきた。
直球に言うと、結月は俺の好きな人だ。そして席はちょうど隣。
これは見せるしかないでしょ。
「結月、もしかして教科書忘れた?」
少し勇気を出して、俺は結月に声を掛けた。すると結月はゆっくりと下を向いて、余計に落ち込んだ様子だった。
そんなつもりで言ったんじゃないんだけどな。
なんだか申し訳ない気持ちになった俺は、何も言わず結月の方に机を寄せた。俺にだって羞恥心くらいある。
「えっ、どうしたの…?」
戸惑った表情でこちらを見る結月。俺は少し照れくさくて、下手な笑顔を浮かべながらこう言った。
「いや、結月が教科書忘れたなら、俺のを一緒に使えばいいじゃん。」
恥ずかしいことを言っているということは自分でも分かっている。けれど結月が教科書を忘れたことをいいことに、今日だけは優しい俺を装わせてほしい。
「おいそこ、うるさいよー。」
みんなの前で先生に注意をされても、少しも気分は落ちなかった。
むしろただ嬉しくて、俺は結月と目を合わせながら笑顔を咲かせたのだった。
一つ大きなあくびで教室の眠い空気を吸い込み、俺はついでに伸びをした。
今日は二限目から国語で憂鬱だ。座学の中でも国語なんて特につまらないし、何より眠い。
俺は今のうちに少し寝ておこうと思い、机に伏せた。
すると──。
「次はきちんと持ってきてくださいね。」
若干ピリついた空気が教室を包んだ。どうやらクラスメイトの結月が教科書を忘れてしまったようだ。
「はぁ…。」
明らかに落ち込んだ様子の結月。おまけにため息まで聞こえてきた。
直球に言うと、結月は俺の好きな人だ。そして席はちょうど隣。
これは見せるしかないでしょ。
「結月、もしかして教科書忘れた?」
少し勇気を出して、俺は結月に声を掛けた。すると結月はゆっくりと下を向いて、余計に落ち込んだ様子だった。
そんなつもりで言ったんじゃないんだけどな。
なんだか申し訳ない気持ちになった俺は、何も言わず結月の方に机を寄せた。俺にだって羞恥心くらいある。
「えっ、どうしたの…?」
戸惑った表情でこちらを見る結月。俺は少し照れくさくて、下手な笑顔を浮かべながらこう言った。
「いや、結月が教科書忘れたなら、俺のを一緒に使えばいいじゃん。」
恥ずかしいことを言っているということは自分でも分かっている。けれど結月が教科書を忘れたことをいいことに、今日だけは優しい俺を装わせてほしい。
「おいそこ、うるさいよー。」
みんなの前で先生に注意をされても、少しも気分は落ちなかった。
むしろただ嬉しくて、俺は結月と目を合わせながら笑顔を咲かせたのだった。
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こんな青春憧れますよね〜!( *ˊ꒳ˋ* )