超人人生

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五章-過去を振り替えるな

Disaster of unknown cause

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 人を殺してしまった罪悪感、そして収集のつかなくなった周りの環境に対する不安を抱え、俺たちは神の元へ行った。
 「久しぶり。中々の戦いだったねー」
 いつものように軽いノリで話してくる。
「きな粉が散らばってしまい、周りは修復不可だ。どうすればいい?」
「それより、親子喧嘩は面白かったよ。そしてついに人を一人殺してしまったね、でも攻めてないただ、感心してるだけだよ」
 唐突な神のコメントだった。
 俺達の間を不思議な壁が隔て、しばらくの間俺は孤独だった。
 俺は父親を殺してしまった……人を殺してしまったのだ。
 不思議な壁を破ったのは彼女だった。
「あのさ、人のそういうところに踏み込むのは良くないよ。私達だって殺したくて殺したんじゃないよ」
 その言い方には明らかな神に対しての敵意が感じられた。
「わかってるよ。君達は優しいからね。でも、一つ気を付けた方が良いよ? 今回の一件でわかっただろうけど、君達は自分が殺される覚悟はできているのに、自分が自分を守るために誰かを殺す覚悟をしていない。そんなんじゃいつか死ぬよ?」
 能力者になる上での覚悟、僕たちは確かに殺される覚悟しかしていなかった。
「とりあえず、それはどうでもいい。俺たちは周りの建造物等を破壊してしまった。きな粉は風に飛ばされ彼女の能力での修復も不可能、どうすればいい?」
「君たちさ、Doucって知ってる?」
「知ってる。原因不明の災害『Disaster of unknown cause』」
「そう、あれは僕たち神々によって操作されたもの。原因を突き止めるのは不可能に設定されてる」
 黙っていた彼女がいきなりあの質問をした。
「神々っていうけどさ、オリジナルの神様ってどこにいるの?」
 「あぁ?」
 目の前の神は今までとは全く違う異様な空気を放ち、また今までにないほどの威圧感のある声で言った。
 寒気がした。
「とにかく、疲れたからもう帰る」
 俺は話を切り上げた。
「とりあえず君達は二つの覚悟を持っていくんだよー」
 そういったときの神はもう、いつもの神に戻っていた。
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