はんぱもん

多那可勝名利

文字の大きさ
2 / 2

2

しおりを挟む


私のいい加減な記憶が正しければ、初めて他人から面と向かって半端者(はんぱもん)と呼ばれたのはおそらく高校に入学してすぐのことであった。
私の通った高校は神戸市と明石市の境に位置する男女共学の公立高校であった。本来の私の学力や中学までの素行を鑑みると作文を書くだけの入学試験や、もしくは中学時代のスポーツ歴の有無のみの判断で入学可能であった一部の私立高校しか叶わなかったはずであるが、運よく私が受験した時分は殆どの公立高校で定員割れをおこしており、中学の時の担任はダメ元で受験するようにと勧めた。そして私は図らずも公立の進学校の中にあって、中程度の高校へと通うようになった。
私の母もこの時ばかりは母親の顔で、想像以上に喜んでくれた。しかし学校は自宅から徒歩で約一時間の距離にあって、しかも小さな山の上に建っていた。それに加えて自宅も別の山を切り開いた小高い丘の上に開けた新興住宅地であったことから、一旦山を下ってまた登るといった具合であり、通学それ自体に嫌気が差すものであった。それでも私は、最初の一か月ほどなんとか徒歩で通ったのだが、やはりすぐに挫折しやがて原付バイクで通うようになった。勿論その時分私はまだ免許など有しておらず、しかもそのバイク自体からして当時流行っていた歌の歌詞そのままに盗んだバイクであった。唯一〈尾崎豊〉のそれと違う点といえば、私は彼のように堂々と盗んだものをそのまま乗り回す度胸すらなく、すぐに塗料で車体の色を塗り替え、また出来得る限り裏道を通るといった具合の全くもって中途半端な悪ぶりであった。
入学して間もなくの頃に新入生を対象にして各部活動の紹介と勧誘が体育館で行われた。運動部や文化部の主将らしき先輩たちが一人ずつ檀上に上がり、自分の部のこれまでの成績や活動内容などを緊張した面持ちで紹介していった。私はこの時すでに高校では部活動をする気などさらさら無くて、ひたすらアルバイトをすると決め込んでいたこともあり実につまらない時間であったが、最後に檀上に上がった男に目を奪われた。彼はそれまでの先輩たちと違い何ら緊張しているふうではなく、軽く手を振り少しにやけた表情を浮かべながら足早に檀の中央へと進んだ。
「ええと新入生の諸君、入学おめでとう。応援団団長の井上です。よろしく」
 彼は胸を張って大きな声でそう云ったのである。途端に体育館全体がざわめき出しこれまでの雰囲気が一変した。私も彼の姿にくぎ付けとなった。というのも彼の着ていた詰襟の制服は校則で禁じられていたはずのかなり太いボンタン型ズボンでもあり、その上着は膝にまで届く長さであったことと、なによりも彼の髪型自体がかなり明るい茶色をしたリーゼントであったからである。それまで私の応援団というものに対しての認識といえば、せいぜい漫画やドラマに出てくる硬派なイメージの大学の応援団か、もしくは甲子園の常連校のテレビ中継に於いて、時折映し出される爽やかなイメージのそれしかなかったのだが、彼は明らかにそれらとは違っており、実に軟派な雰囲気を醸し出していた。じっさい最後に彼は去り際にあたって「うちに入ったらモテるで」と叫び、険しい表情を浮かべながら見守っていた教師たちを尻目に颯爽とその場をあとにしたのである。私はそれまであまり期待していなかった高校生活そのものに途端に興味を覚えた。
 それから私は放課後になって校門に居並ぶ各部の勧誘たちの中に、先ほどの団長と、その他の部員と思しき一団を見つけると、傍らにいた中学校から同じである友人の和弘に声を掛けた。
「おい、さっきの茶パツんとこ行ってみィひんか?」
「ええっ? マジで云うてんの。何かやばいんとちゃうんかな……」
 和弘はあまり乗り気ではなかった。彼は中学の時からあまり気が強いほうではなく、どちらかというと私たち仲間内で使いっ走り的な存在でもあったのだが、私の仲間で同じ高校へと進んだのは彼しかいなくて、いつの間にか対等の立場となっていた。私は中学と同じく少し上から彼と接するほうが良いのか、それとも対等な仲間として接するほうが良いのかと入学当初しばし悩んだのだが、あまり強い態度に出て唯一の話し相手を失うのも怖かったし、万が一にも何かの拍子に反旗を翻されて立場が逆転するとも考えられないでもなく、結局のところ私は中学時代までの横柄な態度とは打って変わり、努めて優しく彼に対して接するようになっていたのである。
「お前等、うちに興味あるんか?」
 和弘と押し問答するうちに、いつの間にかさっきの団長がすぐ目の前まで来ていた。
じっさい近くで見ると彼は私よりも随分と背も低く、身体つきも華奢な感じがして気圧される雰囲気ではなかったのだが、その分顔立ちは随分と整っており、そのままヤンキー映画にでも出演できるのではないかと思わせるほどに男の私から見ても恰好が良かった。私たちが無言で頷くと彼はほないこか、と校門とは逆方向へ進んだ。しかたなく彼と他の部員たちに周りを取り囲まれるようにして進むと、体育館裏にある部室専用の建物に着いた。そこは何日か前に担任によって校内の施設案内の時に一度訪れてはいたが、その時は授業時間中ということもあって静まり返っており、またあまり日の射さない場所ということも相まって随分と陰気な雰囲気であったが、この時は様子が違った。コンクリート製の二階建ての建物は一階部分が男子の部室になっており、二階部分が女子のそれとなっているようであった。横長の建物には扉が七つか八つほど並んでおり、その扉の真ん中には大きな硝子がはめ込んであって部室の中が外からよく見えるようになっていた。扉の上には何部かを示すプレートが掲げられている部室もあれば、何も書かれていない部室もあった。一番奥のほうまで進んだ時に野球部らしい人間が私たちに向かって「無理やり入れられんぞ」と笑いながら叫んでグラウンドのほうへ駆けて行った。それに対して、団長も笑顔で「あほか」と答えたところを見ると、少なくともこの応援団というのは野球部から好かれているようでもあり、上下の関係は無いように感じられた。
じっさい一番奥の部室に連れ込まれてから、その中で団長の話を聴いてみると私の考えていたものとは随分違うように思えた。
彼はコンクリートむき出しのまるで牢獄のような縦長の部室の一番奥に私たちを座らせると、恰も逃げ場を塞ぐようなかっこうで丸椅子を持ってきて私たちの前へと腰掛けたのである。
「まあ、応援団ゆうても殆ど野球部の専属みたいなもんや」
 彼は徐に煙草をくわえながらそのように話し始めた。その煙草に火を点けるさまを見て、私は一瞬外が気に掛ったものの扉の硝子にはしっかりとその全体を塞ぐようにして有名なポルノ女優のポスターが貼られていた。彼の話によると数年前に何かの弾みで野球部が甲子園に出場しそうになった時分があったらしく、その際に創られたのが応援団ということであった。じっさいに出場は叶わなかったのだが、その後も甲子園出場の期待を込めてなのか、或いは顧問を務める先生というのが大阪にある有名なK大の応援団出身らしく、その影響も少なからずあったのか、いずれにしても応援団はそのまま存続した。
「まあ、ちゅうわけやから活動は春と夏だけやからあとは冬眠や、楽勝やで」
 彼は実に簡潔に活動内容の説明を終えた。じっさい彼の煙草が一本灰にならないうちに、話は服装や女の話へと変わっていった。それによると顧問の先生は教師たちの間でかなり影響力があって、応援団に関しての一切の苦情を引き受けてくれているらしく、応援団のユニフォームともいえる学ランに対しても、また髪型に対しても何ら制限されないとの話であった。それだけでも私にとっては大いに魅力的な条件であったのだが、さらに彼はまた、
「さっき女にモテるってゆうたけどな……」と云いながら立ち上がると、自分のズボンのベルトを外し、ボンタンを一気に膝までずり下げた。ちょうど彼の股間が私たちの目の前にきたのだが、彼のその時身に着けていた下着はどう見ても女のパンティーであった。これには私もどのように反応していいかわからず、思わず隣の和弘に目を向けると、彼も固まったようにそのパンティーを凝視していた。
「これな、今つきおうとる女のんや。具合がええから最近はこればっかしでな。まあいずれお前らにも紹介したるけど、そらあええ女やで」
 私にはそのパフォーマンスだけであまりにも効果があった。疑うまでもなく彼が自慢するようにそのパンティーの主は、きっといい女であるだろうし、彼はきっとそのいい女を毎日自分の好きなようにしているに違いないと感じていたからである。勿論その時分の私は女物の下着を着けてみたいなどとは全くもって思っていなかったのだが、それでも彼のこの一連の行動は、彼が私と比べて遥かに大人であると感じさせるに充分のものであったし、より一層恰好よくも映った。そして何よりも彼はまだ私の経験していない世界を確実に知っていて、しかもそれを一層楽しんでいることが瞬時に窺えるものでもあったのである。
 私はその時分まだ明らかに童貞であった。そして実はそれに対してかなりの焦りも感じていた。何故ならその時隣にいた和弘がすでに童貞ではないことを知っていたからである。
 私のいい加減な記憶が正しければ、あれは中学最後の夏休みのことであった。私の家と和弘の家はちょうど通っていた中学校を中間にして反対側に位置しており、歩いて十五分ほどの距離であった。彼の家は両親で商売をしており、朝早くに出掛けると殆ど深夜近くになるまで帰ってはこなかった。県営住宅の団地の一階で決して広いわけではなかったが、兄弟のない彼の家は私たち仲間のたまり場でもあった。家には殆ど鍵など掛ってはおらず、いつも私は呼び鈴を鳴らすこともなく出入りするのが常であった。その日も昼近くまで寝ていた私は、することもなく取りあえず和弘の家へと向かった。蝉の声を掻き分けるようにして団地の間の道を自転車で進むと五分とかからずに到着した。通りに面した部屋の窓は半分ほど開いていて彼が家にいることはすぐにわかったのだが、他の仲間の自転車やバイクは見受けられず一人でいるようであった。私が何の躊躇いもなくドアノブに手を掛け家に入ると、そのがちゃり、という音のあと間髪入れずに和弘の声が、入ってすぐの部屋から響いた。
「だれ? ちょっ、ちょっと待って」
「おい俺や。何や? 何しとんねん」
 私は構わずに声のした部屋の引き戸を開けた。すると私の目に最初に飛び込んできたのは、大きくて真っ白な女の尻であった。
和弘はそれほど驚いた素振りを見せずに照れ笑いを浮かべながら、ちょっと待っててや、とまだ女の尻を大事そうに抱えていた。女は私と目が合うと途端に身をよじって、小さな悲鳴のような声をあげながら顔を背けた。まさしく頭隠して尻隠さずの恰好でうずくまっていたのは、私と同じクラスの尚美であった。私はなんとも気まずい気分であったが、そこで逃げ帰っては和弘に馬鹿にされるような気がして、敢えて平然を装いつつ隣のリビングで待つことにしたのだが、やはり終始私の頭の中から尚美の白い尻が離れることはなかった。すぐに尚美は身支度を整えたようで、こちらを振り返ることなく逃げるようにして出て行った。
「あいつ、自分からパンツ脱ぎよんのやで」
 部屋から出てきた和弘が私に向かってさも自慢するような口ぶりでそう云った。私は思わず彼を殴りそうになった。けれどもなんとか気持ちを抑え、平然を装うのに必死であった。だがやはり、その日は最後まで和弘に対する敗北感のような、あるいは嫉妬のような感情が消えることはなく、それでいて時折フラッシュバックのように尚美の尻が思い出されてしかたのない、決して忘れることが出来ない一日となった。
 尚美とは二年、三年と同じクラスであったが、あまり目立たない女であった。とりわけ美人でもなかったが、かといって決して不細工でもなかった。どちらかというと純日本的な顔立ちの女であった。それに加えてあまり活発なほうでもなく物静かでもあったことから、男子の殆どは元気で明るいタイプである他の女たちを好きだと話していた。私はといえばさして特別な感情を抱いてはいなかったものの、仲間に尋ねられるとやはりクラスで一番人気でもあった胸の大きな女を好きだと云った。しかし三年で同じクラスになった和弘はすぐに尚美のことを好みだと云った。どこがいいのか、と皆が尋ねると大人びた雰囲気がたまらない、といったふうな理由を述べた。確かにそのように聞かされてみると尚美は、他の女と比べて背も高く身体つきもすでに大人のそれであった。とりわけ胸は一番人気の女より小さく見えたが、尻は尚美のほうが断然大きく魅力的であったように思う。
 私はじっさいに尚美のその尻を生で見てから彼女のことが気になってしょうがなかった。そしてあわよくば和弘から奪ってやりたいとさえ考えるようにもなった。しかし仲間うちで使いっぱしりをさせている奴の彼女をごく自然な形で、しかも仲間たちから馬鹿にされずに済むような形で自分のものとする良い方法など思い浮かぶ筈もなく、ただ悶々とした日々を送り、二学期が始まってからもずっと彼女の尻を眺めているだけであった。
しかしほどなくしてそんな想いからも解放されることとなった。
 和弘が尚美に振られたと泣きついてきたのである。彼は本当に尚美に惚れていたらしく仲間たちの前で声をあげて泣いた。そして尚美が和弘からあっさりと乗り換えた新しい男は、私たちの中学校に隣接する高校に通う先輩であった。彼女はその身体つきだけではなく、行動などすべてが私なんかよりも既に大人であったように思う。
その事を聞かされて、もはや手の届かない存在であると認識した私は、それでもやはり卒業までの間、ただ彼女の尻をずっと眺めているだけの半端者(はんぱもん)であった。

 団長の井上から入部届けの用紙を手渡され、漸く解放されると部室の外はかなり日が落ちて少し暗くなっており部活動を終えた各部の部員たちで賑わっていた。何部かは判らないがブルマ姿の女が固まって談笑しており思わず彼女たちの尻を眺めた。二年生か三年生と思われるが、その殆どが尚美を思い出させるほどに成長していて私は思わず興奮せずにいられなかった。
「入ろうや、エンダン。流石に今どき長ランちゅうのはダサい気ィもするけど、髪型をなんもゆわれんのはええでぇ」
 私がそう云うと和弘は、取りあえずオカンに訊いてみるわ、と入部届けの用紙を見ながら呟いた。入部届けは保護者の承諾印を押すようになっていたが、私には問題ではなかった。母は応援団などと云ったところで、おそらく理解できないであろうと思っていたからである。じっさい私の母の中心はこの時分も父と自らの服や持ち物であったようで、私の行動に深く関心を示すこともなかった。だから私が免許を持たずにバイクを乗り回す姿を見ても、家の車庫に突然にバイクが増えていても咎められるどころか、バイクがあるんだからとの理由で、近所までのお使いを頼んでくるほどにずれていた。母はその時分の私と比べても遥かに世間知らずな人間であったように思う。
しかし私にもひとつだけ入部にあたっての懸念があった。私はこの時、すでに担当の体育教師が顧問を務める柔道部に誘われていたからである。あとから訊いた話だがこの体育教師は学生時代にオリンピック候補にも選ばれたくらいに、柔道の世界ではある程度有名であったらしく自らの体育授業において、柔道で可能性のある者を探していたようであった。しきりとスクワットなどの足腰に負担がかかる運動をやらされた。その結果、私は放課後彼に呼び出され、強く柔道をやるようにと勧められた。よくは知らないが、柔道には下半身の強さが重要で私の足腰が通常よりも強いと感じたらしい。これまで人に期待のようなものを掛けられた経験など無かった私は、それ自体には多少嬉しくも感じたが、じっさいに柔道部を見学した途端にそういった気分も吹き飛んだ。何故なら三年生までの全部員が坊主頭であったからである。これは私にとって何よりも譲れない部分であった。というのもこの時分神戸市の公立中学校は男子全員が坊主頭と決まっており、西隣りの明石市や東に位置する芦屋市などの生徒から随分と馬鹿にされてきたからで、漸く髪が伸ばせると、中学卒業から伸ばし始めてやっと指で掴めるほどに伸びてきた髪にまたバリカンを入れるなど考えるまでも無かった。とにかく私はあの団長のようなリーゼントにしたかったし、彼のようにいい女との楽しい高校生活に憧れていたのである。其れ故坊主はあり得ない相談であった。私が意を決してその体育教師にありのまま正直な気持ちを伝えると、途端に彼は真剣な眼差しに変わり、
「お前みたいなんを半端者(はんぱもん)っちゅうんや」
と云って背を向けた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...