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12話♥残酷な過去
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「邪魔だブスッ!!」
(パリンッ)
蹴られてメガネが飛ぶ、またメガネが割れてしまった。
前髪をわけたロング髪の少女がトイレで複数の女子に囲まれ、殴られ、蹴られ、壮絶な光景が広がっている。
いじめっ子のリーダーが少女をトイレに閉じ込める。
「きゃっ!だっ出して!!」
「うるせぇ!!」
返ってきたいじめっ子の叫び声に、怖くて言い返せなかった。
「せーのっ!」
上から降ってきたのは、変な虫が入った汚水だった。
「いやッ!!出してっ!!」
落ちてきた虫が床でうにょうにょ動いてる、耐えきれなく叫んだ。
「あはは!!」
返ってきたのは、やっぱり女子達の笑い声だった。
ブスってだけでいじめられて私は毎日残酷ないじめに耐えている。
生まれた頃からこんな顔、後から生まれてきた妹は可愛いのに、私だけこんな顔だ。
次の日。
学校へ来るといつものように上履きには大量に詰まった画鋲がある。
それを取るなり、入りたくもない教室に憂鬱な1歩を踏み出した。
その瞬間笑い声が聞こえる。いつもの事
机には死ねだのブスだの色々書いてあった、椅子には丁寧にのりで画鋲が貼られてある。いつもの事。
私には既に心というものは死んでいた。
死んだというよりかは殺された。
あいつらに。
いじめは止むことなく、日に日にエスカレートしてゆく。
でもまさか家に放火されるとは思ってなかった。
いつものように家に帰ると、そこには変わり果てた家の姿と家族の姿があった。
妹と私は学校から帰ってくる途中だったから無事だったものの鎮火後、家から運ばれてきたのは丸焦げになった母と父がいた。あの頃の面影などない。
「私のせいだ…」
「それがあって今は化粧なりコンタクトするなりで過去の自分は無くした。」
気が付くと昔の壮絶な人生をさゆりに言っていた。
「私はいじめられた事は無いからいくらはなみちゃんと仲良くなれても、はなみちゃんの気持ちは理解出来ないし…」
さゆりは俯く、そして私の手を握った。
「そんな事が起きながらも必死に生きた心優しいあなたなら、きっとはなみちゃんの気持ちを理解してくれると思って」
さゆりは私にあいつを守って欲しいと言った。とりあえず、わかったからと流して家に帰って試しに妹に聞くとどうやらはなみがいじめられてるのは本当らしい。私は何故か守ってやらなきゃって思った。
卒業式当日、さゆりは私に「頼んだわよ」と一言言ってからもう二度と私に話しかけてくる事はなく、次に会った時は冷たく安堵の顔をして死んでいった時だった。
「さゆり…私は守ってみせる…だから見守っていてくれ。」
きっと私があの場に来たのを見て安心して笑顔で死ねたのだと思うと悪くはなかった。
部屋で1人、化粧を落とす。見たくない顔が写る、私はベッドに倒れ込んだ。
呆気なく死ぬくらいなら誰かを守って死んでやる、そう思った。
人間は誰かを傷付けてでしか楽しめない、そんな人間がいる、いてしまっている。弱いからこそやってしまうからこそ人間。人間は皆弱い、その弱さを隠すためにいじめをする、私は強いんだと私は人の上に立っているんだと。それは傍からみたらただの馬鹿だが、気付かないのが人間。世界の一部には素敵な心を持った人間もいるが、心汚い人間のせいで汚され弱り果て、心汚い人間になってしまう奴もいる。私はそんな奴には屈しない。私は薄汚いやつから綺麗やつを守ってやるんだ。この決心は友恵の中の掟の様なもので、何があろうと守る。
「だから、あいつなんかを守ろうとしたのかな」
1人つぶやく、きっとそうだ。
私の本能がはなみを守れって言ってるんだ。
朝起きるて、眼鏡をかける。8時。
今日は休みだ、だがテレビがうるさい。
お母さんはもう仕事で出掛けている。
「速報です。昨日、夜中に公園で女子生徒が倒れている姿が発見されました。病院に運ばれましたが死亡が確認されています。お腹にナイフを刺した状態で倒れていることから警察は自殺と見て調査をすすめています。…」
笠部弥生さんだ。何故か罪悪感が芽生えてテレビを消した。
フラフラと歩いて冷蔵庫を開け、牛乳とパンを取って食べた。
「おいしくない…」
急に涙がボロボロ零れた。
もうこの世にさゆりさんはいないんだと、1件もメールが来ない携帯からわかる。
(ピンポーン)
はっと気が付くと、インターホンの先にともえさんがいた。
「ともっち先輩…?」
すると、あぁと答えた、ともえさんだ。
「顔色悪いけど大丈夫か?」
慌てて顔を隠す、確かにさっきまで泣いていたこともあるけど少し恥ずかしい。
ともえさんは心配するような顔をした。
「おい…いつまでパジャマでいるんだよ」
そういえば、とまた慌てる。
ともえさんは仕方ないなぁと言って待っててくれている間にすぐに着替えた。
季節はもう春だ、そして今は春休み。
少し下がったメガネの位置を直して、私はともえさんの後ろを走ってついていった。
(パリンッ)
蹴られてメガネが飛ぶ、またメガネが割れてしまった。
前髪をわけたロング髪の少女がトイレで複数の女子に囲まれ、殴られ、蹴られ、壮絶な光景が広がっている。
いじめっ子のリーダーが少女をトイレに閉じ込める。
「きゃっ!だっ出して!!」
「うるせぇ!!」
返ってきたいじめっ子の叫び声に、怖くて言い返せなかった。
「せーのっ!」
上から降ってきたのは、変な虫が入った汚水だった。
「いやッ!!出してっ!!」
落ちてきた虫が床でうにょうにょ動いてる、耐えきれなく叫んだ。
「あはは!!」
返ってきたのは、やっぱり女子達の笑い声だった。
ブスってだけでいじめられて私は毎日残酷ないじめに耐えている。
生まれた頃からこんな顔、後から生まれてきた妹は可愛いのに、私だけこんな顔だ。
次の日。
学校へ来るといつものように上履きには大量に詰まった画鋲がある。
それを取るなり、入りたくもない教室に憂鬱な1歩を踏み出した。
その瞬間笑い声が聞こえる。いつもの事
机には死ねだのブスだの色々書いてあった、椅子には丁寧にのりで画鋲が貼られてある。いつもの事。
私には既に心というものは死んでいた。
死んだというよりかは殺された。
あいつらに。
いじめは止むことなく、日に日にエスカレートしてゆく。
でもまさか家に放火されるとは思ってなかった。
いつものように家に帰ると、そこには変わり果てた家の姿と家族の姿があった。
妹と私は学校から帰ってくる途中だったから無事だったものの鎮火後、家から運ばれてきたのは丸焦げになった母と父がいた。あの頃の面影などない。
「私のせいだ…」
「それがあって今は化粧なりコンタクトするなりで過去の自分は無くした。」
気が付くと昔の壮絶な人生をさゆりに言っていた。
「私はいじめられた事は無いからいくらはなみちゃんと仲良くなれても、はなみちゃんの気持ちは理解出来ないし…」
さゆりは俯く、そして私の手を握った。
「そんな事が起きながらも必死に生きた心優しいあなたなら、きっとはなみちゃんの気持ちを理解してくれると思って」
さゆりは私にあいつを守って欲しいと言った。とりあえず、わかったからと流して家に帰って試しに妹に聞くとどうやらはなみがいじめられてるのは本当らしい。私は何故か守ってやらなきゃって思った。
卒業式当日、さゆりは私に「頼んだわよ」と一言言ってからもう二度と私に話しかけてくる事はなく、次に会った時は冷たく安堵の顔をして死んでいった時だった。
「さゆり…私は守ってみせる…だから見守っていてくれ。」
きっと私があの場に来たのを見て安心して笑顔で死ねたのだと思うと悪くはなかった。
部屋で1人、化粧を落とす。見たくない顔が写る、私はベッドに倒れ込んだ。
呆気なく死ぬくらいなら誰かを守って死んでやる、そう思った。
人間は誰かを傷付けてでしか楽しめない、そんな人間がいる、いてしまっている。弱いからこそやってしまうからこそ人間。人間は皆弱い、その弱さを隠すためにいじめをする、私は強いんだと私は人の上に立っているんだと。それは傍からみたらただの馬鹿だが、気付かないのが人間。世界の一部には素敵な心を持った人間もいるが、心汚い人間のせいで汚され弱り果て、心汚い人間になってしまう奴もいる。私はそんな奴には屈しない。私は薄汚いやつから綺麗やつを守ってやるんだ。この決心は友恵の中の掟の様なもので、何があろうと守る。
「だから、あいつなんかを守ろうとしたのかな」
1人つぶやく、きっとそうだ。
私の本能がはなみを守れって言ってるんだ。
朝起きるて、眼鏡をかける。8時。
今日は休みだ、だがテレビがうるさい。
お母さんはもう仕事で出掛けている。
「速報です。昨日、夜中に公園で女子生徒が倒れている姿が発見されました。病院に運ばれましたが死亡が確認されています。お腹にナイフを刺した状態で倒れていることから警察は自殺と見て調査をすすめています。…」
笠部弥生さんだ。何故か罪悪感が芽生えてテレビを消した。
フラフラと歩いて冷蔵庫を開け、牛乳とパンを取って食べた。
「おいしくない…」
急に涙がボロボロ零れた。
もうこの世にさゆりさんはいないんだと、1件もメールが来ない携帯からわかる。
(ピンポーン)
はっと気が付くと、インターホンの先にともえさんがいた。
「ともっち先輩…?」
すると、あぁと答えた、ともえさんだ。
「顔色悪いけど大丈夫か?」
慌てて顔を隠す、確かにさっきまで泣いていたこともあるけど少し恥ずかしい。
ともえさんは心配するような顔をした。
「おい…いつまでパジャマでいるんだよ」
そういえば、とまた慌てる。
ともえさんは仕方ないなぁと言って待っててくれている間にすぐに着替えた。
季節はもう春だ、そして今は春休み。
少し下がったメガネの位置を直して、私はともえさんの後ろを走ってついていった。
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