北の魔法使い

綺麗な青年

声の主の男はタバコを吸いながら
その細い体型で器用に木々の間をよけてこちらへ来た。


まだ若い。






鼻は細くて高くてアップノーズ、鼻先が丸くてどこかピエロに似ている。



瞳は薄い水色。




目は切れ長ではあるが、とにかく可愛い目をしていた。

見ると嫌なことが吹き飛ぶほどの癒しの力を持った目。






彫りがとても深く、

顔も濃すぎないので余計彫りが強調されているように見える。

それがとてつもなく綺麗だった。





髪型は軽いウルフカットのようで肩までの長さ。

髪の色は色素の少ない白っぽい金髪だった。





唇は薄く口の幅が大きい。

顔に無駄なスペースがないといった感じ。

口元の彫りも深い。

肌も真っ白だった。





見とれてしまうほど綺麗であり、神秘的だった。







よく見ると耳にピアスを大量に付けていた。




トナカイの角のネックレスを付け、

木の葉を紐に通して頭に飾っている。

北欧らしさがとても素敵だった。





そうだ、私はこういう人に出会いたかったんだ。

長い間手探りで探し続けていたものに巡り会えたような感覚だった。







私は聞いてみた。




『あなたの名前は何？』



「ユハだよ。」



『10歳の時にこの森に来た？』



「うん。なんで知ってるの？」



『インターネットにあなたのこととこの森のことが載ってたの。』



「すごい！ボク有名人！ははは！」





怖い人ではなさそうだしこの人で合ってるようだった。






なんで彼の所在地が分かっていて

インターネット上にも載っているぐらいなのに

警察は彼を助けなかったのか。




ユハのお母さんもなぜ森へ入って行かなかったのか。

そんなに危ないというような迷信が根付いているのか。





普通にこの森に踏み込んでも何も起こらなかったのに。





誰も助けに行かないから帰ってきた人がいないだけの話じゃないの？