北の魔法使い

ぴこみん

文字の大きさ
上 下
12 / 17

優しさ

しおりを挟む



「ちょっと待ってて。」




ユハという青年は奥へ戻って行った。









細くて長くて真っ直ぐで綺麗な脚。

I 脚は日本でも滅多に見ない。

背の高い後ろ姿。

日本にいてもこんな美形男子には出会えない。

私の趣味が人と違うだけか?

こんな綺麗な人と喋ってていいのだろうかとさえ思ってしまうほどだった。









「はい、ココア。

ボクの国を好きになってくれて嬉しいよ。

君を歓迎します。」






『ありがとう。いただきます。』






私はココアを飲んだ。



あれ?あんまり甘くないなあ。

日本のと違う。








「君の国でもココアはあるの?」


『あるよ?』


「どう?美味しかった?」


『うん。』



「嘘ついてない?ボクわかるんだ。

もうちょっと甘くするね。」





なんでわかるの?





そのあと私は笑ってしまった。







「どうしたの?」



『私はこう思ったの。お世辞大国日本にあなたが来れば

みんなの頭の中が筒抜けだってね。』



「そんなにみんなお世辞を言うの?」




『うーん、思ってること言わない感じ。空気で察しろとか。

言葉にして言わないからわかりづらいの。

みんなと違う人がいれば批判するし。

そんなだから陰湿な嫌がらせが起きたりするの。

相手に言う勇気がないから嫌がらせで伝えるのよ。』



「ドロ沼だね…。」




『はぁ、また私ネガティブな話しちゃった。

人前で口を開くと最近こんな感じなの。

昔はこんなことなかったのに。』





「それって、誰かに聞いてほしいんじゃない?

何でも聞くよ?だから気にしないで。」






ユハって優しいのね。

自分のことを受け止めてもらえることができるなんて思いもしなかった。


あなたの優しさを心の中で大切に記憶しておくよ。










しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

異世界の美少女はかくあれかしと思ふ

SF / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:38

モブはモブらしく生きたいのですっ!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:323

霧よどうか晴れないで

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

透明人間vs塩田剛三

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:24

詩まとめ

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

喫茶"あんど"の休息

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:10

1人の男と魔女3人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:504pt お気に入り:1

処理中です...