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日本防衛編
お前の正体は…
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「バケモノ…」
「アンタの能力も中々でしたよ。宮島さん。」
能力『種子型』で、茨の蔦を鞭の様に操る宮島街道。去年は準決勝で氷室玲衣という第一小隊のNo.2である少女と当たり負けてしまった。
しかし今年レイは3度の優勝により出場制限という形になり、宮島も優勝を狙えると意気込んでいた。この目の前の青年─長瀬薫と戦うまでは…
鍛え抜き、鋼鉄の様な硬さでもゴムの様にしなる彼の鞭はHRIでも脅威である…はずだった。長瀬薫のホウセンカ、その爆発性裂開の威力は自慢の鞭を爆散させる。
何本も、何回でも…次第に宮島のプライドも散っていく。その一瞬の気負いが仇となった。付かず離れずの間合いで長瀬から離れようとする宮島が一歩後退しようとした時、
─ドロッ!
不安定な足場に宮島はバランスを崩す。恐らく爆破によって生じた高熱によってコンクリートが溶けたのだ。
それを長瀬は見逃さない。後方に爆破を起こし、自分の身体を肉薄させる。
「クソォ!」
─ドオオン!
爆破の直撃。宮島の身体も飛ばされた。場外に飛ばされる直前に自分の蔦を
ステージに刺すことで敗北を免れる。
間合いの外に長瀬がいるのを確認し、次の策を練る。その時だった、宮島が感じた違和感。
「(コンクリートじゃない?)」
靴にこべり付いている物体。恐らく自分を転ばせたはずのものだった。それが白か、灰色をしていないのだ。
それは井戸を覗いているようで暗く、肉が腐った様に濁っていた。
不敵に笑む長瀬に背筋がゾッとした。
目の前に居るのは何者なのか…
「ば、バケモノぉ!」
誇りは既に失せている。敵に背を見せ、無様な姿を見せても生き延びたかった。場外に出れる。
『ゆ、優勝!長瀬薫ぅう!!!』
「呆気ないな。」
礼すら無しに宮島は逃げた。逃げた。逃げた。敗北のビジョン、それが死と重なってみえたからだ。
「ハァハァ…ここまできたら─」
ガシィイイ!
「何処へ行く気だ。宮島街道。」
「お前は、おまっお前はぁ!」
プラント…それも存在を隠せる程上位なのだと30センチの距離で思い知らされる。
「殺せば、処遇が?臆病者めが。」
追い詰めた敵は急に独り言で隙を見せた。負けるなら今しかない。
「待て待て待て…それではお前は俺を報告するだろう?」
「しない!しないから!殺さないでぇ…」
「幸い。オマエが逃げてきたのは人っ子1人も通らん小道だ。」
ニンゲンのモノとは思えない力で宮島の首を掴む。抵抗虚しく、その体は持ち上げられた。
「殺さないでくれ、か。これは生存競争だ。甘えたことを抜かすな。」
鯉のようにパックリと開けさせた宮島の口にバアルは種を捩じ込んだ。
「あと30秒だな。」
「お、おいオマエ…なにを飲ませた?!」
「貴様も充分見たであろう?」
パァンと手を叩いてみせるバアル。そのジェスチャーで、地獄に堕とされる気がした。必死に吐き出そうとするも、それは既に根を下ろしていた。
「ごなみだば!ぶぎごどじでぇ!!!」
──
「やりやがったな。俺の能力で…」
「時間がないぞ長瀬薫。早く、神木蓮と戦え。」
その体は動かない。
「俺はそこまでするつもりじゃ…!蓮に吠え面かかせるだけで充分だったんだ。」
「犠牲も無しに、それ程の力を得られると思うなよ。お前が力を望んだからそこうなったのだ。」
「…」
「全うしろオマエの役目を。」
「ワタシを受け入れろ。さすれば更なる力は与えられん。」
体は歩き始めた。次の戦場に向かうために。
「こうなりゃ徹底的にやってやる。俺をバカにした蓮を、第四の連中を…全面させてやるよ。」
──
『ただいま優勝した長瀬薫選手が特別試合を申し込みました。』
特別試合。通常は訓練を除いた全ての決闘は禁止されている。しかし、八重筒が望んだ様に特別な状況下に於いては決闘は許される。
『対戦希望相手は…神木蓮!神木蓮だそうです!直ちに会議室へ来てください。』
「そうだよな。」
ランキングが始まる前から奴は俺を指名してた。まさか本当に優勝するとは…
今までのアイツには負ける気はない。しかし、少々懸念がある。決勝戦、宮島街道がアイツから逃げ出した事だ。はっきり言って異様な光景だった。
「今までのアイツと思って戦わない方がいいな。」
─
「蓮、この戦い辞退した方がいい。」
会議室では俺の参加の意志を聞かれた訳ではない。葉子隊長を中心に俺は引き止められたのだ。
「やっぱりおかしいですよね。長瀬のヤツ。」
「あぁ…」
「でも、俺には因縁がある。アイツから一度でも逃げたら俺は誇りを失う。」
呆れられた。と、同時に葉子隊長は軽く笑みを浮かべた。
「君ならそう言うだろうね。まぁ、二、三本腕が飛んでも治してあげるから気合い入れていきなさないな。」
「怪我前提なんすね…ありがとうございます。」
マッチアップは完了した。
八重筒六郎太vs癒瘡木硬樹。
神木蓮vs長瀬薫。
ランキングの熱気は換気せず残ってる。皆、次の試合に心を踊らさせていた。
「神木蓮…」
「長瀬薫。」
朝ちょっとあったばかりだってのに、コイツの雰囲気は酷くやつれていた。というより、吹っ切れたと言ってもいいだろう。
何にせよ。長瀬の立ち方から溢れる気配。これはただ者じゃない。
「お前は誰だ?」
素っ頓狂な俺の質問にアイツは鼻で笑う。
「俺は、俺だ。数十分後お前の惨めな姿をこの大衆達に晒す男だ。」
何処から俺たちはここまで憎み合う様になってしまったのか。もし、たられば…様々な憶測が頭を駆ける。
すぐに忘れた。時が過ぎたなら過程の可能性について考えるのは無駄だ。今の俺に出来るのは。
コイツを倒す。
『ルールは特別試合仕様!神木蓮選手は肉体強化型の能力を使い、長瀬薫選手は種子型の能力を行使します!』
10メートル先に長瀬がいる。そんな距離でもアイツの威圧は薄れない。
不敵な笑み。長瀬は何を仕込んでいるのか、わからない。しかしこの気配にデジャヴを感じてしまった。
重なったのはあの雨の日。初めて敵の中枢、ノアと対面した時の恐怖。
「お前の正体は…なんだ?」
「アンタの能力も中々でしたよ。宮島さん。」
能力『種子型』で、茨の蔦を鞭の様に操る宮島街道。去年は準決勝で氷室玲衣という第一小隊のNo.2である少女と当たり負けてしまった。
しかし今年レイは3度の優勝により出場制限という形になり、宮島も優勝を狙えると意気込んでいた。この目の前の青年─長瀬薫と戦うまでは…
鍛え抜き、鋼鉄の様な硬さでもゴムの様にしなる彼の鞭はHRIでも脅威である…はずだった。長瀬薫のホウセンカ、その爆発性裂開の威力は自慢の鞭を爆散させる。
何本も、何回でも…次第に宮島のプライドも散っていく。その一瞬の気負いが仇となった。付かず離れずの間合いで長瀬から離れようとする宮島が一歩後退しようとした時、
─ドロッ!
不安定な足場に宮島はバランスを崩す。恐らく爆破によって生じた高熱によってコンクリートが溶けたのだ。
それを長瀬は見逃さない。後方に爆破を起こし、自分の身体を肉薄させる。
「クソォ!」
─ドオオン!
爆破の直撃。宮島の身体も飛ばされた。場外に飛ばされる直前に自分の蔦を
ステージに刺すことで敗北を免れる。
間合いの外に長瀬がいるのを確認し、次の策を練る。その時だった、宮島が感じた違和感。
「(コンクリートじゃない?)」
靴にこべり付いている物体。恐らく自分を転ばせたはずのものだった。それが白か、灰色をしていないのだ。
それは井戸を覗いているようで暗く、肉が腐った様に濁っていた。
不敵に笑む長瀬に背筋がゾッとした。
目の前に居るのは何者なのか…
「ば、バケモノぉ!」
誇りは既に失せている。敵に背を見せ、無様な姿を見せても生き延びたかった。場外に出れる。
『ゆ、優勝!長瀬薫ぅう!!!』
「呆気ないな。」
礼すら無しに宮島は逃げた。逃げた。逃げた。敗北のビジョン、それが死と重なってみえたからだ。
「ハァハァ…ここまできたら─」
ガシィイイ!
「何処へ行く気だ。宮島街道。」
「お前は、おまっお前はぁ!」
プラント…それも存在を隠せる程上位なのだと30センチの距離で思い知らされる。
「殺せば、処遇が?臆病者めが。」
追い詰めた敵は急に独り言で隙を見せた。負けるなら今しかない。
「待て待て待て…それではお前は俺を報告するだろう?」
「しない!しないから!殺さないでぇ…」
「幸い。オマエが逃げてきたのは人っ子1人も通らん小道だ。」
ニンゲンのモノとは思えない力で宮島の首を掴む。抵抗虚しく、その体は持ち上げられた。
「殺さないでくれ、か。これは生存競争だ。甘えたことを抜かすな。」
鯉のようにパックリと開けさせた宮島の口にバアルは種を捩じ込んだ。
「あと30秒だな。」
「お、おいオマエ…なにを飲ませた?!」
「貴様も充分見たであろう?」
パァンと手を叩いてみせるバアル。そのジェスチャーで、地獄に堕とされる気がした。必死に吐き出そうとするも、それは既に根を下ろしていた。
「ごなみだば!ぶぎごどじでぇ!!!」
──
「やりやがったな。俺の能力で…」
「時間がないぞ長瀬薫。早く、神木蓮と戦え。」
その体は動かない。
「俺はそこまでするつもりじゃ…!蓮に吠え面かかせるだけで充分だったんだ。」
「犠牲も無しに、それ程の力を得られると思うなよ。お前が力を望んだからそこうなったのだ。」
「…」
「全うしろオマエの役目を。」
「ワタシを受け入れろ。さすれば更なる力は与えられん。」
体は歩き始めた。次の戦場に向かうために。
「こうなりゃ徹底的にやってやる。俺をバカにした蓮を、第四の連中を…全面させてやるよ。」
──
『ただいま優勝した長瀬薫選手が特別試合を申し込みました。』
特別試合。通常は訓練を除いた全ての決闘は禁止されている。しかし、八重筒が望んだ様に特別な状況下に於いては決闘は許される。
『対戦希望相手は…神木蓮!神木蓮だそうです!直ちに会議室へ来てください。』
「そうだよな。」
ランキングが始まる前から奴は俺を指名してた。まさか本当に優勝するとは…
今までのアイツには負ける気はない。しかし、少々懸念がある。決勝戦、宮島街道がアイツから逃げ出した事だ。はっきり言って異様な光景だった。
「今までのアイツと思って戦わない方がいいな。」
─
「蓮、この戦い辞退した方がいい。」
会議室では俺の参加の意志を聞かれた訳ではない。葉子隊長を中心に俺は引き止められたのだ。
「やっぱりおかしいですよね。長瀬のヤツ。」
「あぁ…」
「でも、俺には因縁がある。アイツから一度でも逃げたら俺は誇りを失う。」
呆れられた。と、同時に葉子隊長は軽く笑みを浮かべた。
「君ならそう言うだろうね。まぁ、二、三本腕が飛んでも治してあげるから気合い入れていきなさないな。」
「怪我前提なんすね…ありがとうございます。」
マッチアップは完了した。
八重筒六郎太vs癒瘡木硬樹。
神木蓮vs長瀬薫。
ランキングの熱気は換気せず残ってる。皆、次の試合に心を踊らさせていた。
「神木蓮…」
「長瀬薫。」
朝ちょっとあったばかりだってのに、コイツの雰囲気は酷くやつれていた。というより、吹っ切れたと言ってもいいだろう。
何にせよ。長瀬の立ち方から溢れる気配。これはただ者じゃない。
「お前は誰だ?」
素っ頓狂な俺の質問にアイツは鼻で笑う。
「俺は、俺だ。数十分後お前の惨めな姿をこの大衆達に晒す男だ。」
何処から俺たちはここまで憎み合う様になってしまったのか。もし、たられば…様々な憶測が頭を駆ける。
すぐに忘れた。時が過ぎたなら過程の可能性について考えるのは無駄だ。今の俺に出来るのは。
コイツを倒す。
『ルールは特別試合仕様!神木蓮選手は肉体強化型の能力を使い、長瀬薫選手は種子型の能力を行使します!』
10メートル先に長瀬がいる。そんな距離でもアイツの威圧は薄れない。
不敵な笑み。長瀬は何を仕込んでいるのか、わからない。しかしこの気配にデジャヴを感じてしまった。
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