異世界転生者の図書館暮らし3 モフモフのレシピ 神鳥の羽と龍の鱗の悪魔仕立て

パナマ

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7 終章 秋冬コレクション

7-5. 終章 秋冬コレクション

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この後、各貴族の特徴的な衣装が次々と前の貴族の世界観を塗り替えて登場し、第五貴族のリオ家ではボッツ、ボッツと火の玉が吹き上がり、巨大な白い獅子を馬の様に乗りこなした、乗馬スタイルの機能的な衣装が紹介され、第十二貴族のパイシースはシフォンのような繊細で優美な生地をふんだんに使ったパステル系のドレスが、女性エルフのため息を誘い、パイシース家得意の音魔法で、小さな妖精の笑い声が耳元で聞こえて、観客はくすぐったそうに首を竦めていた。
やがて、最後の第十三貴族ノディマー家となり、後方の壁上方へと張り付いた幕に三つの三日月が映し出される。
妖精の柔らかでふんわりした雰囲気と、楽しい音楽から一変、十三領のエルフにソゴゥが叩き込んだ和楽器の演奏へと切り替わり、洋風の世界が、エルフの知らない和の世界へとステージが切り替わる。
ステージと会場の壁全てが漆塗ウルシヌりのようにぬるりとした光沢を持った黒に変わり、蒔絵マキエの様な桜や紅葉や竹がプロジェクションマッピングのように浮かび上がる。
やがて、中央のステージに魔法円が浮かび上がり、その中央から召喚されたように、突如、怪鳥に扮して白い翼と紫の角を持つイセトゥアンが現れる。次々と魔法円が現れ、その中から白い鱗の肌と金色の角と尻尾を持つ龍に扮したニトゥリー、白紫の鱗と白い角と尻尾を持つアトランテス海王に扮したミトゥコッシーが現れる、四つ目の円からは、狼の耳と尻尾を付けたヨドゥバシー、最後に悪魔姿のヨルが現れる。
イセトゥアンの拡張された他者へ付与された変身能力によるもので、部分的な獣化を果たしており、ヨルだけは自前だ。
ノディマー家兄弟とヨルは、妖怪のラスボス感満載の原色の和風衣装を身に着け、中央ステージで和太鼓の激しいリズムに合わせ、戦うように踊り観客を魅了する。
原色の衣装は回転するたびに水平に広がって、雄々しくも優雅で、自分が一番強いと表現する彼らを引き立てている。
ソゴゥとルキは樹精獣の耳と尻尾を付けたお揃いの衣装で、ソゴゥは目の色だけ緑に戻し、ルキの赤と反転した双子のように見せて、兄達とは別の場所で愛嬌を振りまいている。
ソゴゥは客席にローズとビオラを見つけて「キュッ!」と可愛く、ポーズを決めて、貪欲に「可愛い」の評価を取りに行っていた。だが、会場から聞こえた「ルキさん! 結婚してください!」との声に耳聡く反応し、「誰だ?」と犬歯を覗かせる。
ソゴゥは観客席の男と目が合うと「妹はやらんぞ」と樹精獣が決して出すことがないであろう、低い声で応じ、可愛いが吹き飛んでしまっていた。
表情も、父カデンを彷彿ホウフツさせる凶悪さで、もはや樹精獣ではなく、ただの獣だ。
立ち上がって叫ぶ声の主は、隣の席のチャイブに「班長、落ち着いてください」と引き戻されてもまだ、両手を振っていた。
最近図書館に頻繁に通うようになった魔法安全対策課の班長イフェイオンである。
ともあれ、こうして延べ四日間にわたるショーが終わり、まだ半年を残しているのにもかかわらず、ベストイヤーの出し物として高評価を得たのだった。

十三領では、秋冬用の服の全員の採寸も終わり、平穏な日常に新たな作業が追加されていた。
紫御殿ムラサキゴテン露草ツユクサは、色とりどり羽が一面に干された建物の中で、羽の仕分け作業を行っていた。
この羽は、ガルトマーン王国から寄贈された有翼人の換羽期に抜けた羽で、これを熱風で除菌して干し、布で覆うことにより、冬用の羽毛布団を作っているのだ。
大きく芯が硬い羽根は、解して小さくして芯を除く。
有翼人の羽の色は様々で、白、黒、赤、茶色、黄色や青なども混じっている。
色も大きさも統一されていないので、色はともかく大きさと硬さは、一定の水準にそろえる必要があり、その作業が新設された作業場で行われている。
もともと、冬用の外套の案に、ソゴゥは十三領が冬は雪が多くとても寒いと父カデンに聞いていたので、それならダウンジャケットを作れないかと考えて、羽の調達をガルトマーン王国のガルダ王に相談したのだ。その結果、十三領民全てに羽毛布団が行き渡るほどの量の羽が贈られてきた。
十三領民の選んだ秋冬物は、外套は第一貴族の白い羊毛のマントと、第十貴族の山羊毛のコートが人気で、秋物は動きやすい第五貴族の服が人気ではあったが、概ね各貴族のデザインがバランス良く選ばれていた。

「領民全ての布団を作っても、羽がだいぶ余りそうよ」
四棟の施設長をしているジキタリスは、沢山の袋に詰められて送られてきた羽が、袋を開けると数倍に膨らみ、その膨張率に戸惑っていた。
「魔法で圧縮されていたんだろうね」
ソゴゥは倉庫の中に、米俵のように積み重ねられた羽の袋を見上げた。
「この一袋で、三十人分の布団が作れるのよ」
「それはすごいね、皆の分が行き渡ったら、余ったものは売り出して、その収益で領民の靴や備品を買ったら?」
「そうね、それは良いと思うわ。皆、この作業は苦ではないようだし、自分たちの分を作り終える頃には、作業にも慣れて、質の良いものが作れるようになるでしょう」
「ジキタリスさんのお父さんとお母さんの分も作りなよ、羽毛布団って本当に軽くて温かいんだよ」
「ウフフ、ありがとうございます、ソゴゥ様。ところで、ソゴゥ様に妹さんがいらっしゃったとお聞きしたのですけど」
ジキタリスは近くで作業をしている、ヒャッカを見ながら言った。
「そうなんだよ、俺も妹がいるなんて知らなかったんだ、母さんの隠し子だね、俺や母さんに似てるんだ」
「あらまあ!」
「違いますよ。ソーちゃん、お父さんが本気にしたらどうするの?」
「いや、流石に自分より長く生きている子供なんてありえないと気づくだろ?」
「そうよね、でも、お父さん女の子の子供が欲しかったみたいで、自分の事お父さんって呼ばせているのよ」
「母さんも、ママって呼ぶように言っていたよね?」
「ママって呼ばれたいじゃない。そういうソーちゃんは、お兄ちゃんと呼ばせてるわよね?」
「フフフ、俺にも下の兄弟ができた」

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