49 / 76
第5章 「スター一族」
第49話
しおりを挟む
「フォメアそんなに怒んなよ~。あれはなりいきでそうなっただけだっつーの。
そのおかげで俺は危機を救われたんだから、別に問題ねぇだろ?」
「怒ってはいない。なりいきはともかく、お前もミカロでいうシオンの件は文句が言えないということだ。
女性が男を連れてくるのはまだギリギリセーフかもしれないが、男が女性を連れてくるのはだいぶ問題ではないか?
飢えているのがどっちかわかったものではないな」
「別にナンパなんかしちゃいねぇよ!
友達みてぇなもんだ。ちょっと敵の中では特殊かもしれねぇけどよ」
「フローとファイスは友達―!」
俺はそれなりにフローとは何も問題がねぇことを言ったが、フォメアはうなずいてはくれなかった。
……まぁそうか。確かに信頼できる敵と組もうなんて無茶なマネをあいつはしねぇからな。
とりあえずここはフローをなんとかしねぇとか。
俺はフローの方を向いてこいつの今のどうやって大人の姿になったのかを教えてもらうことにした。
こいつは俺のことを見るなり、嬉しそうに俺を見て飛び跳ねた。
自然と跳ねる胸が目についちまう。
こんなときにエイビスがいればどうにかなんだけどな。
「フロー。その姿どうにかなんねぇのか?」
「ん? 元のフローの方がよかった?」
「ああ。その方がいろいろと困らなくて済むからな」
「……わかった」
フローは少しむくれたが、俺の言うことをしっかり聞いて元の姿に戻った。
けど結局、さっきまでは何が起こっていたのか俺にはわかんねぇ。
どうして大人の姿になれた? まさかそれがフローの能力なのか?
いや、今も輝いちゃいねぇ。
つーことはアイテムか何かを使っている、ということなのか?
「はい! 戻ったよー!」
「お、おう......」
フローは難なく元の俺のへその位置に顔がある身長に戻り、俺やフォメアに笑顔を見せてくれた。
フォメアは少し納得がいってねぇみたいだけど、驚いて何か考えているときみてぇに右手を顎に置いたから、まぁ問題ねぇだろう。
とりあえず、まずフローのことは解決しとくか。
じゃねぇとフォメアが戦いに集中できなさそうだしな。
「フロー? さっきの変身みたいなのはどうやってやったんだ?
正直なとこ、あれがお前の本当の姿なのか?」
フローは俺の言葉を聞くと首を左右に振って俺に意思を返してきた。
「ううん、違うよ。あれは私が考えた私の理想の大人の姿で、本当にそうかはわかんないの。
確かベルセイムは蜃気楼って呼んでたよ。私の風の力でたいきのみつどがどうたらこうたら......」
フローは俺に“しんきろう”ってやつがどんな訳でできていんのかをたぶん言いたかっただろうが、さっぱり理解出来ねぇ。
たいきっていうのがよくわかんねぇしな。
まぁミカロなら余裕なことだろうけどな。俺はそういう専門用語はよくわからねぇ。
俺は先へと歩いていくフォメアにまた近づいて話を聞くことにした。
「フォメアは原理がわかったか?」
「その現象が発生する理由をそこまで理解する必要はない。
お前の場合、その話の前段階を話すのに時間がかかって仕方ないからな。
要は変身術とでも覚えておけばいい。
正直なところ、他にも原理の理解のできない現象は俺たちの間でもよく発生しているしな」
俺はフォメアの言葉に反対しようとは思えなかった。
言い方は少し悪いように思うが、それだけ時間ももったいねぇってことだ。
まぁここは納得するほかねぇか。
とりあえず変身したときの触れた感じは今のフローとは少し違っていた。
つーことは夢を見させられている状態、みてぇなもんか。
厄介な技だけど、仲間なら別に困りはしねぇよな。
「それにしても黒メガネのお兄さん、よくここがわかったねー。
4階は他の人の目には見えないようにパパのアイテムで隠してあるのに」
「ああ。だが物体感知センサーが変なバグを起こしたのだ。
故障かと思ったが、3階の上部分にだけバグが発生するので、透明な部分を手や足で探ってみたところ、たまたま階段があったわけだ。
ファイスが部屋にいると思ったのはそこで音が発生したからだ。
まさかクエスト中に呑気にナンパしているとは思わなかったがな」
「だからナンパじゃねぇっつの! フローは友達だバカ野郎!」
「ナンパって何、ファイス?」
「んーピーマンみたいな苦いやつだよ!」
「へー、そうなんだー。」
なんで納得してくれたのかわかんねぇけど、フローは何度も上下にうなずいたので、とりあえず俺は右手の甲で冷や汗をぬぐった。
ふー。まったく、なんでメガネのやつはいろいろと爆弾発言を平気でやってのけるのだ。
ロリコンでも目当てでもねぇ。ただのたまたま出会っただけだ。
とりあえず互いに協力関係にもあるわけだし、とりあえずミカロの父親を早く探すとするか。
「ファイス、黒メガネさんの名前は?」
「フォメアっていうんだ。人を寄せ付けたくねぇみたいなキツくて鋭い感じの目だけど、そんなに悪いやつじゃねぇから、話しかけてやってくれ」
「うん! よろしくフォメアー!」
「……ああ」
俺はとりあえずこの後をどうするか、4階を歩きながらフォメアと話し合うことにした。
ま、フローに聞けば一発かもしれねぇけど、こっちにはこっちの考えがあるからな。
「どうする? このまま進むか?」
「ああ。シオンやエイビスがやられているとは考えたくはないが、まだ敵は多いかもしれない。
とりあえずはこのまま進むしかないだろう。
それと......」
フォメアは後ろをチラ見してまた前を向き直した。
フローのことが気になるのか?
まぁいつか裏切るのではないか、って考えるのも無理ねぇけど。
「フローがどうかしたか?」
「まさかチームに加えるというわけじゃないだろうな?
さすがのエイビスも納得はしてくれないと思うが」
「いや、それはねぇよ。アイツはミカロの妹だしな。
ここにいた方が安全だし、無理に戦う必要もねぇだろうしな」
フォメアは両方の肩を勢いよく落としたと思えば、すぐに目をぱちくりさせた。
ミカロに妹がいるっていうのはやっぱり誰もが驚くことだ。
ミカロが2人に分身しただけでも恐ろしいし。
何人がチョップをくらうかわかったものじゃねぇ。
「ミカロに妹がいたのか!?」
フォメアは久しぶりに大きな声を出し、フローにも嫌でもわかるように顔をじっくりと見てミカロと似ているところを探していた。
俺はそんなフォメアの大声を注意したが、返事は帰ってこなかった。
フローは初対面のフォメアに怖くなったのか、俺の右足まで走ってきて姿を俺の足の後ろに隠した。
「ああ。やっぱ驚かねぇやつはいねぇよな。
俺はフローがミカロみてぇにならないことを願ってるけどな」
「えー、フローはお嬢様みたいになりたい! ドレスを着てた姿とかすっごくきれいなんだよ!」
ミカロがドレス、かー。まぁ話さなきゃ似合うだろうが、 怒ったらいつもみてぇな状況になるだろうな。
まぁ俺を勝手に原因に仕立てあげようとするわけだろうけど。
「ファイス、今フローを見たのだが......」
「やっと見つけたである。そろそろ鎖についてもらうとしようか」
俺たちが中央の広場に位置する場所にやって来たとき、また青メガネと赤メガネが姿を見せた。
まぁ赤メガネはよく見えねぇけど。
フォメアもフローもいるから、負けるわけにはいかねぇな。
そのおかげで俺は危機を救われたんだから、別に問題ねぇだろ?」
「怒ってはいない。なりいきはともかく、お前もミカロでいうシオンの件は文句が言えないということだ。
女性が男を連れてくるのはまだギリギリセーフかもしれないが、男が女性を連れてくるのはだいぶ問題ではないか?
飢えているのがどっちかわかったものではないな」
「別にナンパなんかしちゃいねぇよ!
友達みてぇなもんだ。ちょっと敵の中では特殊かもしれねぇけどよ」
「フローとファイスは友達―!」
俺はそれなりにフローとは何も問題がねぇことを言ったが、フォメアはうなずいてはくれなかった。
……まぁそうか。確かに信頼できる敵と組もうなんて無茶なマネをあいつはしねぇからな。
とりあえずここはフローをなんとかしねぇとか。
俺はフローの方を向いてこいつの今のどうやって大人の姿になったのかを教えてもらうことにした。
こいつは俺のことを見るなり、嬉しそうに俺を見て飛び跳ねた。
自然と跳ねる胸が目についちまう。
こんなときにエイビスがいればどうにかなんだけどな。
「フロー。その姿どうにかなんねぇのか?」
「ん? 元のフローの方がよかった?」
「ああ。その方がいろいろと困らなくて済むからな」
「……わかった」
フローは少しむくれたが、俺の言うことをしっかり聞いて元の姿に戻った。
けど結局、さっきまでは何が起こっていたのか俺にはわかんねぇ。
どうして大人の姿になれた? まさかそれがフローの能力なのか?
いや、今も輝いちゃいねぇ。
つーことはアイテムか何かを使っている、ということなのか?
「はい! 戻ったよー!」
「お、おう......」
フローは難なく元の俺のへその位置に顔がある身長に戻り、俺やフォメアに笑顔を見せてくれた。
フォメアは少し納得がいってねぇみたいだけど、驚いて何か考えているときみてぇに右手を顎に置いたから、まぁ問題ねぇだろう。
とりあえず、まずフローのことは解決しとくか。
じゃねぇとフォメアが戦いに集中できなさそうだしな。
「フロー? さっきの変身みたいなのはどうやってやったんだ?
正直なとこ、あれがお前の本当の姿なのか?」
フローは俺の言葉を聞くと首を左右に振って俺に意思を返してきた。
「ううん、違うよ。あれは私が考えた私の理想の大人の姿で、本当にそうかはわかんないの。
確かベルセイムは蜃気楼って呼んでたよ。私の風の力でたいきのみつどがどうたらこうたら......」
フローは俺に“しんきろう”ってやつがどんな訳でできていんのかをたぶん言いたかっただろうが、さっぱり理解出来ねぇ。
たいきっていうのがよくわかんねぇしな。
まぁミカロなら余裕なことだろうけどな。俺はそういう専門用語はよくわからねぇ。
俺は先へと歩いていくフォメアにまた近づいて話を聞くことにした。
「フォメアは原理がわかったか?」
「その現象が発生する理由をそこまで理解する必要はない。
お前の場合、その話の前段階を話すのに時間がかかって仕方ないからな。
要は変身術とでも覚えておけばいい。
正直なところ、他にも原理の理解のできない現象は俺たちの間でもよく発生しているしな」
俺はフォメアの言葉に反対しようとは思えなかった。
言い方は少し悪いように思うが、それだけ時間ももったいねぇってことだ。
まぁここは納得するほかねぇか。
とりあえず変身したときの触れた感じは今のフローとは少し違っていた。
つーことは夢を見させられている状態、みてぇなもんか。
厄介な技だけど、仲間なら別に困りはしねぇよな。
「それにしても黒メガネのお兄さん、よくここがわかったねー。
4階は他の人の目には見えないようにパパのアイテムで隠してあるのに」
「ああ。だが物体感知センサーが変なバグを起こしたのだ。
故障かと思ったが、3階の上部分にだけバグが発生するので、透明な部分を手や足で探ってみたところ、たまたま階段があったわけだ。
ファイスが部屋にいると思ったのはそこで音が発生したからだ。
まさかクエスト中に呑気にナンパしているとは思わなかったがな」
「だからナンパじゃねぇっつの! フローは友達だバカ野郎!」
「ナンパって何、ファイス?」
「んーピーマンみたいな苦いやつだよ!」
「へー、そうなんだー。」
なんで納得してくれたのかわかんねぇけど、フローは何度も上下にうなずいたので、とりあえず俺は右手の甲で冷や汗をぬぐった。
ふー。まったく、なんでメガネのやつはいろいろと爆弾発言を平気でやってのけるのだ。
ロリコンでも目当てでもねぇ。ただのたまたま出会っただけだ。
とりあえず互いに協力関係にもあるわけだし、とりあえずミカロの父親を早く探すとするか。
「ファイス、黒メガネさんの名前は?」
「フォメアっていうんだ。人を寄せ付けたくねぇみたいなキツくて鋭い感じの目だけど、そんなに悪いやつじゃねぇから、話しかけてやってくれ」
「うん! よろしくフォメアー!」
「……ああ」
俺はとりあえずこの後をどうするか、4階を歩きながらフォメアと話し合うことにした。
ま、フローに聞けば一発かもしれねぇけど、こっちにはこっちの考えがあるからな。
「どうする? このまま進むか?」
「ああ。シオンやエイビスがやられているとは考えたくはないが、まだ敵は多いかもしれない。
とりあえずはこのまま進むしかないだろう。
それと......」
フォメアは後ろをチラ見してまた前を向き直した。
フローのことが気になるのか?
まぁいつか裏切るのではないか、って考えるのも無理ねぇけど。
「フローがどうかしたか?」
「まさかチームに加えるというわけじゃないだろうな?
さすがのエイビスも納得はしてくれないと思うが」
「いや、それはねぇよ。アイツはミカロの妹だしな。
ここにいた方が安全だし、無理に戦う必要もねぇだろうしな」
フォメアは両方の肩を勢いよく落としたと思えば、すぐに目をぱちくりさせた。
ミカロに妹がいるっていうのはやっぱり誰もが驚くことだ。
ミカロが2人に分身しただけでも恐ろしいし。
何人がチョップをくらうかわかったものじゃねぇ。
「ミカロに妹がいたのか!?」
フォメアは久しぶりに大きな声を出し、フローにも嫌でもわかるように顔をじっくりと見てミカロと似ているところを探していた。
俺はそんなフォメアの大声を注意したが、返事は帰ってこなかった。
フローは初対面のフォメアに怖くなったのか、俺の右足まで走ってきて姿を俺の足の後ろに隠した。
「ああ。やっぱ驚かねぇやつはいねぇよな。
俺はフローがミカロみてぇにならないことを願ってるけどな」
「えー、フローはお嬢様みたいになりたい! ドレスを着てた姿とかすっごくきれいなんだよ!」
ミカロがドレス、かー。まぁ話さなきゃ似合うだろうが、 怒ったらいつもみてぇな状況になるだろうな。
まぁ俺を勝手に原因に仕立てあげようとするわけだろうけど。
「ファイス、今フローを見たのだが......」
「やっと見つけたである。そろそろ鎖についてもらうとしようか」
俺たちが中央の広場に位置する場所にやって来たとき、また青メガネと赤メガネが姿を見せた。
まぁ赤メガネはよく見えねぇけど。
フォメアもフローもいるから、負けるわけにはいかねぇな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる