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第5章 「スター一族」
第51話
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俺たちは赤メガネと青メガネとまた出会った。
俺とフォメアは変現し、態勢を整える。
フローには下がってもらいてぇところだけど、聞いちゃくれねぇよな。
こいつもこいつで頭の上に2つの竜巻を既に用意していた。
まったく、戦いには若いとかそういうの、関係ねぇみたいだな。
赤メガネはまた同じように、俺を見て顔を赤らめ青メガネの元に隠れる。
俺がやられねぇ限りはとりあえず問題ねぇか。
後は青メガネか。あの鎖をどうにかできねぇと、何も始まらねぇ。
とりあえず奇襲攻撃系でいくか。
「あなたのような誘惑魔には負けません! ベルセイムお願い!」
「無論である。とりあえず彼を止めればあとは君の自由だからね」
赤メガネは俺を指差し、青メガネは俺を睨みつけるように目に力を入れ、今にも襲いかかってきそうな顔をした。
ったくこいつらをもう見ているのは勘弁してぇところだな。
「ずいぶん恨まれているようだが、能力は把握してあるのか?」
「ああ。赤いのはよくわかんねぇけど、青いのは鎖を使ってくる。
油断したら何度も捕まるぞ」
「シェルは私でも見つけられないくらいものすごく素早いの。
でもファイスをあんなに怖がってるってことは、ダメージを与えたんだね!
すごい、すごい!」
「……いや、少し違ぇな。あいつが少し特殊なだけだ」
はぁ。
俺はため息をつきつつフローの笑顔と言葉に苦笑いを返す。
まずは鎖を攻略してから、あの女を叩く。
まぁそれを簡単にさせてくれるとは思ってねぇけどなっ!
俺は前線にいたフォメアを越え、青メガネのもとに飛び上がる。
けれど、俺の4方向、両手両足の部分から鎖が飛び出す。
力を入れても形を変えて俺を離そうとはしねぇ。
「何も仕掛けていないわけないであろう。君のような能天気がいると助かる。
おかげで――」
「喜んでくれてよかった。おかげで早い段階でお前の手中に飛び込めた。
1人で安堵するとはずいぶん余裕だな」
青メガネが喜んでいる間に、フォメアは距離を近づけ右手には青い光を放っていた。
確かあれは電気ショック。良い意味でも悪い意味でも仲間にとっちゃうれしいものだ。
まぁ、気絶してないときにくらうことになるのは勘弁だけどな。
「流電焦!」
フォメアの右手は黄色に光り、雷が青メガネを貫く。
思わず俺は目を閉じる。
が、気が付いた時にはフローによって鎖を切って落とされていた。
……まぁいい。
とりあえず青メガネが倒せればこっちの――
「ファイス離れて!」
「んぁ?
まじかっ!」
俺が気付いたときにはフォメアが俺たちのもとに向かって吹き飛んできた。
どうなっている。確かに青メガネに当てたハズだろ?
フォメアは頭から壁に突っ込み、すぐに立ち上がった。
「フォメア、何があった!」
「ガードされたというより、蹴られた感覚に近い。
正直なところかなり厳しい状況だな」
「そうであろう。僕たちの愛はそんなもので断ち切れるほど、甘くはないのさ!
そうであるなシェルヴィッツエル?」
「ええ! 私たちの愛は永遠よベルセイム!」
俺はその言葉に肩から勢いよく力を抜いた。
はああぁ......
よく永遠なんて簡単に言うものだ。まぁそういうのは気がついたら別れている、とかそういうのをよく聞くけどな。
俺はフローに目を合わせて瞬きで意志を伝えようとする。
けれど、こいつは顔を変えることなく抱き着き始めた2人をただのカメラみてぇに見守っていた。
「……いつもこうなのか?」
「うん。もう慣れたからあまり気にしてないよ」
フローは俺がいつもシオンやミカロがいちゃついていんのを呑気に見ているときみてぇなそんな顔をしていた。
まぁ確かにフローも俺みてぇに何度もこんなあのメガネ2人が抱き合ったり、顔を近づけ合ったりするのを何度も見たのだろう。
ま、似た者同士ってとこか。まぁそこまで良いとは思ってねぇけど。
見ていることもめんどくせぇ者同士、うなずいて考えを確認して俺たちは飛び上がった。
腹が立ったわけでも、うらやましく思ったわけでも、見ていてめんどうくせぇわけじゃねぇ。
ただ単に納得がいかねぇんだよ。俺の攻撃が通らねぇ敵に呑気な姿見せられんのが。
---
「......さま! シオンさま!」
緑髪の彼女が見える。そうか、僕は敗北したのか。地面に横たわらせてほしかった。彼女の膝の上にいるせいで不機嫌になりそうだ。気に入らなくてそのくせ暖かい。
水が目に入る。どうしてだろう。どうして彼女が悲しい気持ちにならなければならないんだ。僕は再度目を閉じる。暗い世界のほうが幸せだ。何も感じない何も思わない。何色にも染まらない。
彼女の涙が僕の目を開かせる。嫌でたまらないはずなのに高揚を隠せない自分がいる。
「シオンさま......わたくしは情けなくて仕方ありません。守るべきものを守れないわたくしはいったい何の意味があるのでしょう......」
僕らは敗者だ。目標があって勢いだけはあるくせに根拠に欠ける。彼の言うように勝利がなければ何も始まらない。勝てないクエスターに存在の意図はない。
立ち上がり彼女の手を取る。僕の体はまだ高揚している、勝利を欲している。
「ミカロが僕たちを待ってます。あきらめている暇なんて微塵もありませんよ」
彼女を思い出すだけで希望が目に付く。どうすればいいのか、解決策がウソのように導かれる。本人は素直で乱暴。おまけに困ったことほど口に出せない。そんな欠点だらけの彼女なのに僕にとっては最強の仲間だ。
中央の扉を目指す。金髪で皺の目立ち始めた男性が僕たちのことをにらんでいるように見えた。
「よく彼らと戦いやってきた、と言っておいた方が気晴らしになるか? そんなボロボロの恰好で来られ、おまけに家で暴れられて平常心を保っていられる者はなかなかいないと思うがね」
「……こじゃないだろ」
「ん?」
体の力が治まらない。否、そんな必要などない。僕は熱に踊るがまま彼の襟を掴んだ。
「問題はそこじゃないだろっ! 僕たちはこんなことをしている場合じゃ......」
首に突き付けられた剣が僕に冷静さを取り戻させる。白黒のメイド服を着た女性が僕を睨む。エイビスが足を踏み出すのを目線で止める。彼女は理解したようだけれど納得の顔ではなかった。
背中に鉾を呼び出す。こちらも準備は済んでいる。
「主人の前でなんと無礼な。主人、許可は下りますか?」
「……いや、アムスエンは私の指示を聞かなかった。そのせいで少し調整が必要になった。彼らには手を出すな」
彼女は僕から剣を降ろし彼に一礼し彼の隣に戻った。迷いのない狭い空間での動き。彼女の繊細さが映った。僕たちも戦闘の意思を消す。何かわけがあるように聞こえた。
まさか、ミカロは自分からどこかに行ったんじゃなく敵に......いや、やめよう。妄想が過ぎる。
彼は黒い受話器を手に取り雰囲気を出すためかゆっくりと話した。
「……私だ。彼らを連れて私の書斎に来てくれ。よろしく頼む」
彼が呼んだのはファイスとフォメア、そして......女の子? えらくファイスに懐いている。彼はこっちに興味があったのか。
「おいエイビスにシオン、まさかとは思うけどつまんねぇ冗談を考えてたりしねぇよな?」
なぜか彼は睨むように僕たちに警戒の言葉をかける。まぁ僕の考えていることくらいフォメアにはお見通しだろう。きっと何かわけありに違いない。隣の彼女は僕を見ると首をかしげて愛らしいふっくらとし始めた顔を見せる。
不思議な光景だ。さっきまで戦っていた人物が続々と集まって来る。黒鎧の人、お爺さん、桃髪の女性。僕の身体には力が入る様子はなかった。むしろ震えが始まっていた。
ナクルスは桃色の彼女の衣にくるまれ顔しか確認できない。最悪の状況を考える。いや......ないな。
「全員そろったな。では......」
僕たちはその光景に驚かずにはいられなかった。
俺とフォメアは変現し、態勢を整える。
フローには下がってもらいてぇところだけど、聞いちゃくれねぇよな。
こいつもこいつで頭の上に2つの竜巻を既に用意していた。
まったく、戦いには若いとかそういうの、関係ねぇみたいだな。
赤メガネはまた同じように、俺を見て顔を赤らめ青メガネの元に隠れる。
俺がやられねぇ限りはとりあえず問題ねぇか。
後は青メガネか。あの鎖をどうにかできねぇと、何も始まらねぇ。
とりあえず奇襲攻撃系でいくか。
「あなたのような誘惑魔には負けません! ベルセイムお願い!」
「無論である。とりあえず彼を止めればあとは君の自由だからね」
赤メガネは俺を指差し、青メガネは俺を睨みつけるように目に力を入れ、今にも襲いかかってきそうな顔をした。
ったくこいつらをもう見ているのは勘弁してぇところだな。
「ずいぶん恨まれているようだが、能力は把握してあるのか?」
「ああ。赤いのはよくわかんねぇけど、青いのは鎖を使ってくる。
油断したら何度も捕まるぞ」
「シェルは私でも見つけられないくらいものすごく素早いの。
でもファイスをあんなに怖がってるってことは、ダメージを与えたんだね!
すごい、すごい!」
「……いや、少し違ぇな。あいつが少し特殊なだけだ」
はぁ。
俺はため息をつきつつフローの笑顔と言葉に苦笑いを返す。
まずは鎖を攻略してから、あの女を叩く。
まぁそれを簡単にさせてくれるとは思ってねぇけどなっ!
俺は前線にいたフォメアを越え、青メガネのもとに飛び上がる。
けれど、俺の4方向、両手両足の部分から鎖が飛び出す。
力を入れても形を変えて俺を離そうとはしねぇ。
「何も仕掛けていないわけないであろう。君のような能天気がいると助かる。
おかげで――」
「喜んでくれてよかった。おかげで早い段階でお前の手中に飛び込めた。
1人で安堵するとはずいぶん余裕だな」
青メガネが喜んでいる間に、フォメアは距離を近づけ右手には青い光を放っていた。
確かあれは電気ショック。良い意味でも悪い意味でも仲間にとっちゃうれしいものだ。
まぁ、気絶してないときにくらうことになるのは勘弁だけどな。
「流電焦!」
フォメアの右手は黄色に光り、雷が青メガネを貫く。
思わず俺は目を閉じる。
が、気が付いた時にはフローによって鎖を切って落とされていた。
……まぁいい。
とりあえず青メガネが倒せればこっちの――
「ファイス離れて!」
「んぁ?
まじかっ!」
俺が気付いたときにはフォメアが俺たちのもとに向かって吹き飛んできた。
どうなっている。確かに青メガネに当てたハズだろ?
フォメアは頭から壁に突っ込み、すぐに立ち上がった。
「フォメア、何があった!」
「ガードされたというより、蹴られた感覚に近い。
正直なところかなり厳しい状況だな」
「そうであろう。僕たちの愛はそんなもので断ち切れるほど、甘くはないのさ!
そうであるなシェルヴィッツエル?」
「ええ! 私たちの愛は永遠よベルセイム!」
俺はその言葉に肩から勢いよく力を抜いた。
はああぁ......
よく永遠なんて簡単に言うものだ。まぁそういうのは気がついたら別れている、とかそういうのをよく聞くけどな。
俺はフローに目を合わせて瞬きで意志を伝えようとする。
けれど、こいつは顔を変えることなく抱き着き始めた2人をただのカメラみてぇに見守っていた。
「……いつもこうなのか?」
「うん。もう慣れたからあまり気にしてないよ」
フローは俺がいつもシオンやミカロがいちゃついていんのを呑気に見ているときみてぇなそんな顔をしていた。
まぁ確かにフローも俺みてぇに何度もこんなあのメガネ2人が抱き合ったり、顔を近づけ合ったりするのを何度も見たのだろう。
ま、似た者同士ってとこか。まぁそこまで良いとは思ってねぇけど。
見ていることもめんどくせぇ者同士、うなずいて考えを確認して俺たちは飛び上がった。
腹が立ったわけでも、うらやましく思ったわけでも、見ていてめんどうくせぇわけじゃねぇ。
ただ単に納得がいかねぇんだよ。俺の攻撃が通らねぇ敵に呑気な姿見せられんのが。
---
「......さま! シオンさま!」
緑髪の彼女が見える。そうか、僕は敗北したのか。地面に横たわらせてほしかった。彼女の膝の上にいるせいで不機嫌になりそうだ。気に入らなくてそのくせ暖かい。
水が目に入る。どうしてだろう。どうして彼女が悲しい気持ちにならなければならないんだ。僕は再度目を閉じる。暗い世界のほうが幸せだ。何も感じない何も思わない。何色にも染まらない。
彼女の涙が僕の目を開かせる。嫌でたまらないはずなのに高揚を隠せない自分がいる。
「シオンさま......わたくしは情けなくて仕方ありません。守るべきものを守れないわたくしはいったい何の意味があるのでしょう......」
僕らは敗者だ。目標があって勢いだけはあるくせに根拠に欠ける。彼の言うように勝利がなければ何も始まらない。勝てないクエスターに存在の意図はない。
立ち上がり彼女の手を取る。僕の体はまだ高揚している、勝利を欲している。
「ミカロが僕たちを待ってます。あきらめている暇なんて微塵もありませんよ」
彼女を思い出すだけで希望が目に付く。どうすればいいのか、解決策がウソのように導かれる。本人は素直で乱暴。おまけに困ったことほど口に出せない。そんな欠点だらけの彼女なのに僕にとっては最強の仲間だ。
中央の扉を目指す。金髪で皺の目立ち始めた男性が僕たちのことをにらんでいるように見えた。
「よく彼らと戦いやってきた、と言っておいた方が気晴らしになるか? そんなボロボロの恰好で来られ、おまけに家で暴れられて平常心を保っていられる者はなかなかいないと思うがね」
「……こじゃないだろ」
「ん?」
体の力が治まらない。否、そんな必要などない。僕は熱に踊るがまま彼の襟を掴んだ。
「問題はそこじゃないだろっ! 僕たちはこんなことをしている場合じゃ......」
首に突き付けられた剣が僕に冷静さを取り戻させる。白黒のメイド服を着た女性が僕を睨む。エイビスが足を踏み出すのを目線で止める。彼女は理解したようだけれど納得の顔ではなかった。
背中に鉾を呼び出す。こちらも準備は済んでいる。
「主人の前でなんと無礼な。主人、許可は下りますか?」
「……いや、アムスエンは私の指示を聞かなかった。そのせいで少し調整が必要になった。彼らには手を出すな」
彼女は僕から剣を降ろし彼に一礼し彼の隣に戻った。迷いのない狭い空間での動き。彼女の繊細さが映った。僕たちも戦闘の意思を消す。何かわけがあるように聞こえた。
まさか、ミカロは自分からどこかに行ったんじゃなく敵に......いや、やめよう。妄想が過ぎる。
彼は黒い受話器を手に取り雰囲気を出すためかゆっくりと話した。
「……私だ。彼らを連れて私の書斎に来てくれ。よろしく頼む」
彼が呼んだのはファイスとフォメア、そして......女の子? えらくファイスに懐いている。彼はこっちに興味があったのか。
「おいエイビスにシオン、まさかとは思うけどつまんねぇ冗談を考えてたりしねぇよな?」
なぜか彼は睨むように僕たちに警戒の言葉をかける。まぁ僕の考えていることくらいフォメアにはお見通しだろう。きっと何かわけありに違いない。隣の彼女は僕を見ると首をかしげて愛らしいふっくらとし始めた顔を見せる。
不思議な光景だ。さっきまで戦っていた人物が続々と集まって来る。黒鎧の人、お爺さん、桃髪の女性。僕の身体には力が入る様子はなかった。むしろ震えが始まっていた。
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