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第8章 「彼女の名前は」
第76話
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舌をかみちぎってでも......
僕の首に痛みが走った。
『どうやら俺を小さくさせたのはあながち欠点でもないみたいだな』
『ありがとうございます、狼さん』
『ウェルンだ。狼さんだと気持ちの入りようが変わる。これからはそう呼べ』
ウェルン。彼の名前。僕は口角を上げずにはいられなかった。
「行くよシオン!」
「はい!」
3人と1匹で敵に襲いかかる。攻撃をかわすその瞬間、僕たちの目の前には巨大な僕たちの10倍の高さはある剣が襲い掛かった。
攻撃をかわし散開する。ミファさんの攻撃が敵の服を切り裂き、その瞬間をエイビスが貫く。
が、彼は彼女の攻撃の傷なく笑みを浮かべて僕たちのことを見降ろした。能力がわからない。けれどミファさんの攻撃だけは確かに命中していた。
『もしかしたら、ミファの、召喚系統のダメージは浮けるということなんでしょうか?』
『いや......能力の準備期間(インターバル)が存在するということだろう。一撃は避けられても、そのすぐの2撃には能力が発動できない状況下にあるに違いない』
確かにそれなら辻褄が合う。どんな能力にも欠点がある。それを補えるのは仲間だけだ。僕たちに勝機は顔を向けている。
「エイビス、もう一度同じ攻撃をお願いできますか?」
「かしこまりました、参ります」
彼女は剣に水を蓄え地の利を得る。竜巻のような縦長の水で覆われ動きをなくした敵を貫く。その瞬間を僕はミファさんの風越しに突っ込んだ。
肩の感覚が消えた。さすがに無理をし過ぎか。僕は渦潮に飛び込んだ瞬間、鉾を彼に振り下ろした。
「風狼の血牙!」
攻撃と共に僕は彼に血を流した。コンテナに突っ込み彼は動きを見せなかった。まだ油断できない。僕は彼への歩みを進め......
「シオンさま!」
能力が解けむき出し首筋、魅力的な鎖骨を見せる白のワンピース。その服から動くたびに姿を見せる白い太もも。鎧から姿を現した手のひらにぴったりと密着するくらいの胸に僕はもたれかかった。
とても柔らかくてそのくせ暖かい。僕は幸せだ。けれどこんなところで止まってはいられない。僕は彼女から離れようとしたが、顔が赤く変色しつつある僕を見てか、彼女は僕から離れずむしろ近寄ってきた。
これが彼女なりの誇りなのだろう。僕は彼女にもたれかか......僕の左肩が上がる。左隣には彼女と同様に無防備な鎖骨を見せ手には到底収まりきりそうにない胸、身体よりも少し大きめで弛んでいるようにも見える白ワンピース、そしてこれでもかと白い太ももを見せる青のショートパンツが映った。
本人に言ったらきっと鉄拳制裁だろうけれど、僕は欲求には素直に生きたい性分なんだ。今はこんなことでも考えていないと意識がはっきりしない。
銀髪の彼女の隣にはウェルンがいた。やっぱりあのとき飛ばされてしまっていたのか。ミカロがいてくれたおかげか怪我は見えない。
僕たちは黒帽子の彼のところへとやってきた。全身傷だらけで服はぼろきれとそこまで変わらない。むしろ帽子が無傷なことが不思議なくらいだ。
彼が起きた瞬間、僕は鉾を構えた。
「返してもらえますか? 僕の記憶を」
彼女たちはそれを聞いた瞬間、僕を見て稲妻を受けた後のような顔を見せた。彼の言葉が意味するものはただ1つだ。僕と以前に出会ったことがあること。そしてなにより僕に最悪の日をもたらしたこと。
それらから言えば、答えはおのずと姿を現してくれる。
「あなたは僕の記憶喪失の首謀者、ですよね?」
彼は目を逸らした。動揺でもしらばっくれでもなく、無表情でそっぽを向いた。
僕は自分を信じた。こんな自分を信じてくれる人が2人もいるのだから。前に進む。
その瞬間彼は僕に手のひらを向けた。2人は警戒した。けれど、僕の目の前に現れたのは青い玉だった。
「陽の光が見たいならそうすればいい。だがもう二度と戻ることはできない。何より私があなたの前に現れることは決してあり得ないでしょうから」
彼は姿を消した。その瞬間青い玉は光を発し、僕の中に入りこんだ。僕の目の前は真っ暗になった......
彼女たちの声も僕には届かなかった。
僕の首に痛みが走った。
『どうやら俺を小さくさせたのはあながち欠点でもないみたいだな』
『ありがとうございます、狼さん』
『ウェルンだ。狼さんだと気持ちの入りようが変わる。これからはそう呼べ』
ウェルン。彼の名前。僕は口角を上げずにはいられなかった。
「行くよシオン!」
「はい!」
3人と1匹で敵に襲いかかる。攻撃をかわすその瞬間、僕たちの目の前には巨大な僕たちの10倍の高さはある剣が襲い掛かった。
攻撃をかわし散開する。ミファさんの攻撃が敵の服を切り裂き、その瞬間をエイビスが貫く。
が、彼は彼女の攻撃の傷なく笑みを浮かべて僕たちのことを見降ろした。能力がわからない。けれどミファさんの攻撃だけは確かに命中していた。
『もしかしたら、ミファの、召喚系統のダメージは浮けるということなんでしょうか?』
『いや......能力の準備期間(インターバル)が存在するということだろう。一撃は避けられても、そのすぐの2撃には能力が発動できない状況下にあるに違いない』
確かにそれなら辻褄が合う。どんな能力にも欠点がある。それを補えるのは仲間だけだ。僕たちに勝機は顔を向けている。
「エイビス、もう一度同じ攻撃をお願いできますか?」
「かしこまりました、参ります」
彼女は剣に水を蓄え地の利を得る。竜巻のような縦長の水で覆われ動きをなくした敵を貫く。その瞬間を僕はミファさんの風越しに突っ込んだ。
肩の感覚が消えた。さすがに無理をし過ぎか。僕は渦潮に飛び込んだ瞬間、鉾を彼に振り下ろした。
「風狼の血牙!」
攻撃と共に僕は彼に血を流した。コンテナに突っ込み彼は動きを見せなかった。まだ油断できない。僕は彼への歩みを進め......
「シオンさま!」
能力が解けむき出し首筋、魅力的な鎖骨を見せる白のワンピース。その服から動くたびに姿を見せる白い太もも。鎧から姿を現した手のひらにぴったりと密着するくらいの胸に僕はもたれかかった。
とても柔らかくてそのくせ暖かい。僕は幸せだ。けれどこんなところで止まってはいられない。僕は彼女から離れようとしたが、顔が赤く変色しつつある僕を見てか、彼女は僕から離れずむしろ近寄ってきた。
これが彼女なりの誇りなのだろう。僕は彼女にもたれかか......僕の左肩が上がる。左隣には彼女と同様に無防備な鎖骨を見せ手には到底収まりきりそうにない胸、身体よりも少し大きめで弛んでいるようにも見える白ワンピース、そしてこれでもかと白い太ももを見せる青のショートパンツが映った。
本人に言ったらきっと鉄拳制裁だろうけれど、僕は欲求には素直に生きたい性分なんだ。今はこんなことでも考えていないと意識がはっきりしない。
銀髪の彼女の隣にはウェルンがいた。やっぱりあのとき飛ばされてしまっていたのか。ミカロがいてくれたおかげか怪我は見えない。
僕たちは黒帽子の彼のところへとやってきた。全身傷だらけで服はぼろきれとそこまで変わらない。むしろ帽子が無傷なことが不思議なくらいだ。
彼が起きた瞬間、僕は鉾を構えた。
「返してもらえますか? 僕の記憶を」
彼女たちはそれを聞いた瞬間、僕を見て稲妻を受けた後のような顔を見せた。彼の言葉が意味するものはただ1つだ。僕と以前に出会ったことがあること。そしてなにより僕に最悪の日をもたらしたこと。
それらから言えば、答えはおのずと姿を現してくれる。
「あなたは僕の記憶喪失の首謀者、ですよね?」
彼は目を逸らした。動揺でもしらばっくれでもなく、無表情でそっぽを向いた。
僕は自分を信じた。こんな自分を信じてくれる人が2人もいるのだから。前に進む。
その瞬間彼は僕に手のひらを向けた。2人は警戒した。けれど、僕の目の前に現れたのは青い玉だった。
「陽の光が見たいならそうすればいい。だがもう二度と戻ることはできない。何より私があなたの前に現れることは決してあり得ないでしょうから」
彼は姿を消した。その瞬間青い玉は光を発し、僕の中に入りこんだ。僕の目の前は真っ暗になった......
彼女たちの声も僕には届かなかった。
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