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第05章 20枚の地図~王都編
第21話 ちょっとまったり
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昨夜は結局ダンジョンには行けなかった。
ユーとそのまま眠っちゃって、気が付いたら朝だった。
で、そのまま皆で朝出発してハイグラッドの町に来たんだけど、昼前には到着したんで、まずは冒険者ギルドに来て依頼ボードを見てみたけど、特にやりたい依頼も無かった。
前回来た時には知らなかったけど、ここにもダンジョンが一つあるそうだ。
大体、町が栄えるにはダンジョンがあった方が都合がいいそうで、ダンジョンのある所に大きな町ができるってのがこの世界では定番らしい。
というのも、ダンジョンがあると冒険者が集まる。人が集まるって事は商売が始まる。商売が始まればもっと人が集まる。そうやって大きくなって町が出来る事が多いらしい。
ダンジョンからはドロップ品や魔物を倒した時に落とす魔石も獲れるから、魔石を核とした魔道具も沢山使えるとあって、大きな町になるそうだ。
もちろんダンジョンが無くとも町はできるけど、よほど食料事情が充実しないと大きな町にはならないらしい。実際、王都には三つもダンジョンがあったからね。
このハイグラッドの町の傍にあるダンジョンは、Dランク以下の冒険者で賑わってるらしい。ダンジョンとしての難易度は低そうだ。
という事は、クラマにもマイアにも興味は無いダンジョンなんだろうな。
今回、冒険者ギルドに寄ったのは、換金の件もあったんだ。
俺は持ってるし、ユーも王都で稼いだお金を持ってる。クラマとマイアには必要な時に渡せばいいと思うけど、彼女達がお金を使う事は無い。町でする事と言ったら食事ぐらいだから、その時は俺かユーが一緒にいるし、宿も一緒だからね。
換金はプリとシェルのためなんだ。
プリ達も無一文って訳じゃ無いけど、王都公認冒険者だった割に、そんなに持って無かったんだ。稼いだお金は全て実家に納めてるらしいから。
だから家も質素なアパートみたいな所だったんだな。だったら実家で住めばいいのにと思うけど、何か事情があったのかもね。その辺りの話は聞いて無いから分からない。
だったら、俺の持ってる素材を売って、プリ達の持ち金にしようと思ってね。
プリ達は今まで、王都の外に出た時は冒険者ギルドの依頼を熟すとか、魔物を討伐して素材を売ったりしてるって聞いてたから、俺といると魔物が出ないしね。これぐらいは協力しないとと思って考え付いたんだ。
お金を直接渡すよりは受け取り易いかと思ったからなんだ。
俺は別にプリとシェルの主人でもないから、遠慮するだろうと思っての作戦だった。後で分かったけど、普通にお金を渡しても受け取ってたみたいで、俺の取りこし苦労だったようだ。
そうそう、シェルの王都公認は、俺といる限り取り消されないそうだ。保留扱いだと言ってたけど。
王都以外の地方では使えなくなってるそうだけど、また王都に戻って申請すれば王都公認に戻れるという事だった。
今の所、戻る気は無いそうだけどね。何が気に入って付いて来たのかは知らないけど、後悔するんじゃない?
冒険者ギルドでは素材を売った。俺の収納バッグの肥やしになっても仕方が無いので、結構な量の魔物の皮や角を売ったんだ。
金貨五十枚ほどになったからプリとシェルに二五枚ずつ渡しておいた。
普通なら一年は暮らせる金額のはずだ。
皆には宿を探してもらって、俺は折角だから商業ギルドにも立ち寄ってみた。どんな所か見て見たかったし、雰囲気が良ければ砂糖でも売ろうかと思ってたんだ。
ここは地方だからか、それとも最近まで戦争の最前線だったからか、ピリピリした緊張感はあったけど、馬鹿にされるような事はなかった。
まだ余所者というか、他の町から戦争に駆り出されてた人達も多く町に残ってるようで、粗悪品を掴まされないように気を張ってるみたいだ。
俺の場合は商業ギルドのランクも高いし、初めから普通に接してくれたよ。王都のように蔑まれる事は無かった。
この町もハイグラッドの町もそんなに変わらないからね。ハイグラッドの町の方が少し大きいぐらいだし、競争心はあるだろうけど、軽蔑されるような事は無かった。
だから馬車一台分の収納袋を出して査定してもらったら、収納袋込みで金貨五○枚。王都の農業ギルドより安かった。王都の農業ギルドは収納袋無しの砂糖だけで金貨五〇枚だったからね、収納袋分ぐらい査定が低かったよ。
でも、これはその土地の物価もあるし、妥当な価格査定をしてくれたんだと思って二袋を売った。後でプリとシェルに渡してあげよう。
ちょうど商業ギルドを出る時にクラマから念話があって、宿が取れたからと場所と宿の名前を教えてもらった。
今日はこの町でゆっくりまったりでいいかな。明日から頑張ろう。
宿に着いて部屋に入るとプリとシェルがいない。あ、ユーもいないね。いるのはクラマとマイアだけ。
「あれ? 他の三人はどこかに行ったの?」
「なんじゃ、知らぬのか。さっき冒険者ギルドに行った時に依頼書を持っておったではないか。今は三人で町の外に行っておるのではないか?」
「え? そうだった? 全然気づかなかったよ。今日は帰って来れるのかな? プリ達って町の外で泊まるのを嫌がってただろ」
確か野営は嫌だから日帰りしたいって言ってたよな。
「おー、あれはの、自分達の小屋が嫌だったからじゃ。小屋も小さいが部屋も狭いらしい。エイジがもう使わないからと、前の小屋をやったじゃろ。だから別に野営でも構わぬと思うぞ」
確かにあげたな。あげた途端に自分達の古い小屋を壊して燃やしてたな。収納バッグに入らないからと言って、そこまでボロボロにする事も無いのにと思ったよ。
「じゃあ、今日は帰って来ないのかもしれないのかな」
「それはそれで構わぬじゃろ。ユーもおるし、プリの奴も中々強いぞ。それに、今日は妾の番じゃから問題あるまい」
さりげなく最後に爆弾をぶっこんで来たね。約束だし男の責任として務めさせて頂きますよ。いえ、こちらからお願いします。
じゃあ、今日はこの三人かもしれないのか。
天馬に乗ってる時もそうなんだけど、どう接していいのか分かんないんだよね。
言っとくけど、女子とラブラブな関係になったのって初めてなんだから、どういう態度を取ったらいいのか分かんないんだよ。
甘えるってなんか恥ずかしいし、甘えてくれた方がデヘヘってなれて嬉しいけど、どうやったらそんな雰囲気が作れるかも分からないし、困ってるんだよ。なんとかしなくちゃと思うんだけど、本当に分からなくて。
「エイジ」
「ん?」
「こっちに来るのじゃ」
「なに?」
「いいから妾の隣に座るのじゃ」
クラマに言われるがまま、クラマの隣に体育座りで座った。
「もっとこっちに寄るのじゃ」
「う、うん…」
少しクラマの方にズレると、焦れたようにクラマが身体を寄せて来る。
「どうじゃ?」
「どう…と言われても」
照れながら答えると、逆側にはマイアが座った。
「どうですか?」
二人にピッタリと挟まれ、窮屈では無いけど動きにくい状態になった。
でも、女性の身体って柔らかくて、こうしてるだけでも気持ちがいいんだよね。
そんな様子の俺を見て、満足気にクラマが話した。
「何か気を張っとるようじゃが、自然体でいいのじゃ。妾もこうしてるだけで癒されるようじゃ」
「はい、私達はいつもエイジを見ていますよ」
マイアが優しく声をかけてくれると、俺の肩に頭を預けた。
こういうのがイチャラブって言うやつ? 癒されるし嬉しいけど、俺が引っ張ってる感じゃないのがイマイチ納得できない。でも、二人も満足そうだから、そういうのは野暮かな。
特に何をするわけでもなく、そのままの状態で時間が過ぎる。
偶に一言二言、言葉を交わすけど、ゆったりとしたふわーっとした時間の中で、何を聞いても上の空だった。
気持ちのいい満たされた時間が過ぎて行く。
「妾が結婚を望まんというのは、エイジとの寿命が違いすぎる事と、子を成せんからというのが理由じゃ。それに元々魔物には結婚というものは無いのじゃから」
「ええ、私も理由は同じです。それでも、ずっとエイジと一緒にいたいのです。好きですよ、エイジ。封印を解いてくれた時からずっと」
「妾もエイジが好きなのじゃ。妾の場合は殺されそうになった時からじゃな」
おっほっほっほっほ
うふふふふ
えへへへへ
二人が笑ったからつられて笑っちゃったけど、なんかいいよなぁ、こんな時間って。
「ありがとう。クラマ、マイア、俺も好きだよ。これからもよろしくね」
ほんわかした時間は部屋が真っ暗になっても続いていた。
「ただいまー」
「ただいま戻りました」
「ただいま戻りましたわよっと」
ユーとプリとシェルが戻って来た。
「おかえり」
ギリギリだったな、さっき部屋に電気を点けた所だよ。
「夕食はどうする? 下の食堂で食べる?」
この宿は一階が食堂になっていて、泊まりじゃない一般の客も入っていて結構繁盛しているようだ。
「そんなのイージの料理に決まってるじゃない」
「私も同じくイージの料理がいいわ」
「もっちろんエイジの料理ね。今日のケーキはモンブランがいいな」
「ユー様? 何そのモンブランって」
「栗をベースにしたケーキだよ、大好きなんだ」
「じゃあ、あたしもそれね。イージお願いね」
「もちろん、私の分もあるわよね?」
ケーキね。モンブランか、それは思い出さなかったな。今度、【星菓子】でも作れるか聞いてみよ。
「はいはい、甘い物は別腹ね。太っても俺の責任じゃないからね」
「だ、大丈夫よ。その分運動するんだから」
「そうよ、女子にそんな事言うもんじゃないわよ」
お前は女子じゃねーし。というツッコミは置いといて。
「今日は何の依頼をして来たんだい?」
「討伐よ、サラマンダーの討伐。結構遠かったけど凄いわねぇ、天馬って。本当は二日掛かる所を半日も掛からず往復しちゃうんだもん」
「勇者様も流石でした。あれだけの数のサラマンダーが三〇分と掛からず殲滅でしたから」
「それを言うならプリもだよ。ボスが可哀相になったもん」
「いたわね~、キングサラマンダーだっけ? 頭が縦に真っ二つになってたものね~。あれは可哀相だったわ」
「でも、そのお陰で武器がね。ちょっと張り切り過ぎちゃった」
「そんなのまた買えばいいじゃない。達成報酬と素材で何とかなるでしょ?」
「この町にあるかな。確かにユー様の収納のおかげで今回倒した魔物は全部持って帰って来れたものね。本当に助かります」
さっきまで、まったりした空間が、一気に賑やかになったな。
今の話って、武器と収納だろ? だったら衛星に頼んでやろうかな?
「プリってどんな武器を使ってたの? 見せてくれる?」
「もう刃が欠けちゃったから最後は刺したんだけど、これは修理は無理でしょうね」
そう言って収納から出してくれた武器はハルバートだった。
片側が斧、逆が槌になって天辺が槍になっていた。
「もっと大きい方がいいのに私の持ってる収納バッグだとこれが精一杯なの。シェルの持ってるのは大きいけど小屋で満タンになっちゃったし、先に収納バッグを買わないといけないのかなぁ」
「もっと大きいのって、これでも結構大きいよ?」
「プリはすんごく怪力なの。これの三倍あっても大丈夫よ」
「もうシェルったら、それは女の子としてあまり自慢できないのよ」
「だって事実でしょ?」
「それはそうだけど……」
複雑そうだね。でも、もっと大きいものか。
『衛星……あ、ちがったね。タマちゃん』
『はい、なんですやろか』
力が抜けそうな返事だな。
『このハルバートで、刃の部分が三倍ぐらいのやつって作れる?」
『朝飯前やで、任せといて』
『じゃあ、攻撃力も高めで作ってあげて、壊れにくいようにね。それと俺の持ってる収納バッグも二つ、いや三つ作ってくれる?』
『お安いご用や』
ドスン!
刃の部分が巨大なハルバートと収納バッグが出た。
ギョっとする三人。クラマとマイアも少し驚いてた。二人は経験済みとはいえ、今回は声に出してないからちょっと驚いたみたい。
「これぐらいでどう? 大きすぎたかな?」
「え? これってイージが出したの?」
「うん、そうだけど。ちょっと持ってみてよ」
恐る恐るプリが特製ハルバートを手にした。
「ああ! これいい! 凄くしっくりくる重さ」
「よかった。じゃあ、それをこれから使ってくれたらいいよ。そのポーチは収納バッグだから三人にね」
「収納バッグも⁉」
「あたしのもあるの~⁉」
「私も?」
「うん、どうぞ。ユーはカモフラージュ用にね。これで呪いじゃないって分かってくれた?」
これで加護だってアピールできたかな?
「こういう呪いもあるのね~」
「呪いの武器でもこれはもう離さないわ!」
「そうなの?」
「だから違うってー!」
ユーとそのまま眠っちゃって、気が付いたら朝だった。
で、そのまま皆で朝出発してハイグラッドの町に来たんだけど、昼前には到着したんで、まずは冒険者ギルドに来て依頼ボードを見てみたけど、特にやりたい依頼も無かった。
前回来た時には知らなかったけど、ここにもダンジョンが一つあるそうだ。
大体、町が栄えるにはダンジョンがあった方が都合がいいそうで、ダンジョンのある所に大きな町ができるってのがこの世界では定番らしい。
というのも、ダンジョンがあると冒険者が集まる。人が集まるって事は商売が始まる。商売が始まればもっと人が集まる。そうやって大きくなって町が出来る事が多いらしい。
ダンジョンからはドロップ品や魔物を倒した時に落とす魔石も獲れるから、魔石を核とした魔道具も沢山使えるとあって、大きな町になるそうだ。
もちろんダンジョンが無くとも町はできるけど、よほど食料事情が充実しないと大きな町にはならないらしい。実際、王都には三つもダンジョンがあったからね。
このハイグラッドの町の傍にあるダンジョンは、Dランク以下の冒険者で賑わってるらしい。ダンジョンとしての難易度は低そうだ。
という事は、クラマにもマイアにも興味は無いダンジョンなんだろうな。
今回、冒険者ギルドに寄ったのは、換金の件もあったんだ。
俺は持ってるし、ユーも王都で稼いだお金を持ってる。クラマとマイアには必要な時に渡せばいいと思うけど、彼女達がお金を使う事は無い。町でする事と言ったら食事ぐらいだから、その時は俺かユーが一緒にいるし、宿も一緒だからね。
換金はプリとシェルのためなんだ。
プリ達も無一文って訳じゃ無いけど、王都公認冒険者だった割に、そんなに持って無かったんだ。稼いだお金は全て実家に納めてるらしいから。
だから家も質素なアパートみたいな所だったんだな。だったら実家で住めばいいのにと思うけど、何か事情があったのかもね。その辺りの話は聞いて無いから分からない。
だったら、俺の持ってる素材を売って、プリ達の持ち金にしようと思ってね。
プリ達は今まで、王都の外に出た時は冒険者ギルドの依頼を熟すとか、魔物を討伐して素材を売ったりしてるって聞いてたから、俺といると魔物が出ないしね。これぐらいは協力しないとと思って考え付いたんだ。
お金を直接渡すよりは受け取り易いかと思ったからなんだ。
俺は別にプリとシェルの主人でもないから、遠慮するだろうと思っての作戦だった。後で分かったけど、普通にお金を渡しても受け取ってたみたいで、俺の取りこし苦労だったようだ。
そうそう、シェルの王都公認は、俺といる限り取り消されないそうだ。保留扱いだと言ってたけど。
王都以外の地方では使えなくなってるそうだけど、また王都に戻って申請すれば王都公認に戻れるという事だった。
今の所、戻る気は無いそうだけどね。何が気に入って付いて来たのかは知らないけど、後悔するんじゃない?
冒険者ギルドでは素材を売った。俺の収納バッグの肥やしになっても仕方が無いので、結構な量の魔物の皮や角を売ったんだ。
金貨五十枚ほどになったからプリとシェルに二五枚ずつ渡しておいた。
普通なら一年は暮らせる金額のはずだ。
皆には宿を探してもらって、俺は折角だから商業ギルドにも立ち寄ってみた。どんな所か見て見たかったし、雰囲気が良ければ砂糖でも売ろうかと思ってたんだ。
ここは地方だからか、それとも最近まで戦争の最前線だったからか、ピリピリした緊張感はあったけど、馬鹿にされるような事はなかった。
まだ余所者というか、他の町から戦争に駆り出されてた人達も多く町に残ってるようで、粗悪品を掴まされないように気を張ってるみたいだ。
俺の場合は商業ギルドのランクも高いし、初めから普通に接してくれたよ。王都のように蔑まれる事は無かった。
この町もハイグラッドの町もそんなに変わらないからね。ハイグラッドの町の方が少し大きいぐらいだし、競争心はあるだろうけど、軽蔑されるような事は無かった。
だから馬車一台分の収納袋を出して査定してもらったら、収納袋込みで金貨五○枚。王都の農業ギルドより安かった。王都の農業ギルドは収納袋無しの砂糖だけで金貨五〇枚だったからね、収納袋分ぐらい査定が低かったよ。
でも、これはその土地の物価もあるし、妥当な価格査定をしてくれたんだと思って二袋を売った。後でプリとシェルに渡してあげよう。
ちょうど商業ギルドを出る時にクラマから念話があって、宿が取れたからと場所と宿の名前を教えてもらった。
今日はこの町でゆっくりまったりでいいかな。明日から頑張ろう。
宿に着いて部屋に入るとプリとシェルがいない。あ、ユーもいないね。いるのはクラマとマイアだけ。
「あれ? 他の三人はどこかに行ったの?」
「なんじゃ、知らぬのか。さっき冒険者ギルドに行った時に依頼書を持っておったではないか。今は三人で町の外に行っておるのではないか?」
「え? そうだった? 全然気づかなかったよ。今日は帰って来れるのかな? プリ達って町の外で泊まるのを嫌がってただろ」
確か野営は嫌だから日帰りしたいって言ってたよな。
「おー、あれはの、自分達の小屋が嫌だったからじゃ。小屋も小さいが部屋も狭いらしい。エイジがもう使わないからと、前の小屋をやったじゃろ。だから別に野営でも構わぬと思うぞ」
確かにあげたな。あげた途端に自分達の古い小屋を壊して燃やしてたな。収納バッグに入らないからと言って、そこまでボロボロにする事も無いのにと思ったよ。
「じゃあ、今日は帰って来ないのかもしれないのかな」
「それはそれで構わぬじゃろ。ユーもおるし、プリの奴も中々強いぞ。それに、今日は妾の番じゃから問題あるまい」
さりげなく最後に爆弾をぶっこんで来たね。約束だし男の責任として務めさせて頂きますよ。いえ、こちらからお願いします。
じゃあ、今日はこの三人かもしれないのか。
天馬に乗ってる時もそうなんだけど、どう接していいのか分かんないんだよね。
言っとくけど、女子とラブラブな関係になったのって初めてなんだから、どういう態度を取ったらいいのか分かんないんだよ。
甘えるってなんか恥ずかしいし、甘えてくれた方がデヘヘってなれて嬉しいけど、どうやったらそんな雰囲気が作れるかも分からないし、困ってるんだよ。なんとかしなくちゃと思うんだけど、本当に分からなくて。
「エイジ」
「ん?」
「こっちに来るのじゃ」
「なに?」
「いいから妾の隣に座るのじゃ」
クラマに言われるがまま、クラマの隣に体育座りで座った。
「もっとこっちに寄るのじゃ」
「う、うん…」
少しクラマの方にズレると、焦れたようにクラマが身体を寄せて来る。
「どうじゃ?」
「どう…と言われても」
照れながら答えると、逆側にはマイアが座った。
「どうですか?」
二人にピッタリと挟まれ、窮屈では無いけど動きにくい状態になった。
でも、女性の身体って柔らかくて、こうしてるだけでも気持ちがいいんだよね。
そんな様子の俺を見て、満足気にクラマが話した。
「何か気を張っとるようじゃが、自然体でいいのじゃ。妾もこうしてるだけで癒されるようじゃ」
「はい、私達はいつもエイジを見ていますよ」
マイアが優しく声をかけてくれると、俺の肩に頭を預けた。
こういうのがイチャラブって言うやつ? 癒されるし嬉しいけど、俺が引っ張ってる感じゃないのがイマイチ納得できない。でも、二人も満足そうだから、そういうのは野暮かな。
特に何をするわけでもなく、そのままの状態で時間が過ぎる。
偶に一言二言、言葉を交わすけど、ゆったりとしたふわーっとした時間の中で、何を聞いても上の空だった。
気持ちのいい満たされた時間が過ぎて行く。
「妾が結婚を望まんというのは、エイジとの寿命が違いすぎる事と、子を成せんからというのが理由じゃ。それに元々魔物には結婚というものは無いのじゃから」
「ええ、私も理由は同じです。それでも、ずっとエイジと一緒にいたいのです。好きですよ、エイジ。封印を解いてくれた時からずっと」
「妾もエイジが好きなのじゃ。妾の場合は殺されそうになった時からじゃな」
おっほっほっほっほ
うふふふふ
えへへへへ
二人が笑ったからつられて笑っちゃったけど、なんかいいよなぁ、こんな時間って。
「ありがとう。クラマ、マイア、俺も好きだよ。これからもよろしくね」
ほんわかした時間は部屋が真っ暗になっても続いていた。
「ただいまー」
「ただいま戻りました」
「ただいま戻りましたわよっと」
ユーとプリとシェルが戻って来た。
「おかえり」
ギリギリだったな、さっき部屋に電気を点けた所だよ。
「夕食はどうする? 下の食堂で食べる?」
この宿は一階が食堂になっていて、泊まりじゃない一般の客も入っていて結構繁盛しているようだ。
「そんなのイージの料理に決まってるじゃない」
「私も同じくイージの料理がいいわ」
「もっちろんエイジの料理ね。今日のケーキはモンブランがいいな」
「ユー様? 何そのモンブランって」
「栗をベースにしたケーキだよ、大好きなんだ」
「じゃあ、あたしもそれね。イージお願いね」
「もちろん、私の分もあるわよね?」
ケーキね。モンブランか、それは思い出さなかったな。今度、【星菓子】でも作れるか聞いてみよ。
「はいはい、甘い物は別腹ね。太っても俺の責任じゃないからね」
「だ、大丈夫よ。その分運動するんだから」
「そうよ、女子にそんな事言うもんじゃないわよ」
お前は女子じゃねーし。というツッコミは置いといて。
「今日は何の依頼をして来たんだい?」
「討伐よ、サラマンダーの討伐。結構遠かったけど凄いわねぇ、天馬って。本当は二日掛かる所を半日も掛からず往復しちゃうんだもん」
「勇者様も流石でした。あれだけの数のサラマンダーが三〇分と掛からず殲滅でしたから」
「それを言うならプリもだよ。ボスが可哀相になったもん」
「いたわね~、キングサラマンダーだっけ? 頭が縦に真っ二つになってたものね~。あれは可哀相だったわ」
「でも、そのお陰で武器がね。ちょっと張り切り過ぎちゃった」
「そんなのまた買えばいいじゃない。達成報酬と素材で何とかなるでしょ?」
「この町にあるかな。確かにユー様の収納のおかげで今回倒した魔物は全部持って帰って来れたものね。本当に助かります」
さっきまで、まったりした空間が、一気に賑やかになったな。
今の話って、武器と収納だろ? だったら衛星に頼んでやろうかな?
「プリってどんな武器を使ってたの? 見せてくれる?」
「もう刃が欠けちゃったから最後は刺したんだけど、これは修理は無理でしょうね」
そう言って収納から出してくれた武器はハルバートだった。
片側が斧、逆が槌になって天辺が槍になっていた。
「もっと大きい方がいいのに私の持ってる収納バッグだとこれが精一杯なの。シェルの持ってるのは大きいけど小屋で満タンになっちゃったし、先に収納バッグを買わないといけないのかなぁ」
「もっと大きいのって、これでも結構大きいよ?」
「プリはすんごく怪力なの。これの三倍あっても大丈夫よ」
「もうシェルったら、それは女の子としてあまり自慢できないのよ」
「だって事実でしょ?」
「それはそうだけど……」
複雑そうだね。でも、もっと大きいものか。
『衛星……あ、ちがったね。タマちゃん』
『はい、なんですやろか』
力が抜けそうな返事だな。
『このハルバートで、刃の部分が三倍ぐらいのやつって作れる?」
『朝飯前やで、任せといて』
『じゃあ、攻撃力も高めで作ってあげて、壊れにくいようにね。それと俺の持ってる収納バッグも二つ、いや三つ作ってくれる?』
『お安いご用や』
ドスン!
刃の部分が巨大なハルバートと収納バッグが出た。
ギョっとする三人。クラマとマイアも少し驚いてた。二人は経験済みとはいえ、今回は声に出してないからちょっと驚いたみたい。
「これぐらいでどう? 大きすぎたかな?」
「え? これってイージが出したの?」
「うん、そうだけど。ちょっと持ってみてよ」
恐る恐るプリが特製ハルバートを手にした。
「ああ! これいい! 凄くしっくりくる重さ」
「よかった。じゃあ、それをこれから使ってくれたらいいよ。そのポーチは収納バッグだから三人にね」
「収納バッグも⁉」
「あたしのもあるの~⁉」
「私も?」
「うん、どうぞ。ユーはカモフラージュ用にね。これで呪いじゃないって分かってくれた?」
これで加護だってアピールできたかな?
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それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
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