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第06章 伝説の剣
第09話 トレントロードの番人
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目覚めたらすぐに逃げるようにそそくさと出てきた俺は、真っ直ぐに【星の家】の隣の自宅に急いだ。
早く女子寮から離れたかったのもあるが、時間が惜しいのも事実だ。さっさと工房を作ってドワーフのゼパイルさんを迎えに行かないといけないからね。
グズグズしてると、いつまで経ってもユーを追いかけていけないからな。
……言い訳だ。
あんな混沌な状態を収集する力なんて俺には備わってないからね。昨夜の記憶も曖昧だし少し時間を置いた方がいいと思うんだよね。
ま、これも言い訳だ。あとでちゃんと話し合うつもりだよ。無自覚な息子の責任とはいえ、俺が取らないとダメだよね。
キッカも置いてきてしまったけど、またゼパイルさんを迎えに来るんだし、時間はまだある。こっちの用事が終わるまでには自分で帰ってくるでしょ。
トレントロードでは三精霊も出迎えてくれて、挨拶をしてくれた。
サーフェ、ドーラ、プーちゃんの三人ね。本当はプーランだけど、プーちゃんとしか言わないし、もうプーちゃんでいいでしょ。
三人からは少し問題があると報告を受けた。
今のところ大した問題ではないが、魔物が少し増えだしてるそうだ。
魔物の通り道のためにトレントロードの結界は解除したのに、また魔物が増え出してるというのだ。
ま、原因はなんとなく分かってる。
増え過ぎだろ! トレント! どんだけいるんだよ! 100や200ってどころじゃないんじゃないか?
お前達がいるから魔物も横切れないんだろ!? いくら弱い魔物とはいえ、それだけいりゃ態々通りたくないだろ。
こいつらってどれだけ増え続けるんだ? もう少し数の管理ってできないのか?
とは言ってもこれ以上増えたら問題だろうし、通るたびに愛想を振りまくこいつらを自分の手で葬るのはイヤだし。なんとかならないかなぁ。
三精霊に聞いたが、策は無し。彼女達、増やすのは得意だが減らす方法は知らないようだ。
困った時の衛星頼みか、久し振りな気はするな。
『衛星、このトレントの数が増え過ぎなんだけど、この道を守るだけでいいんだから、もう少し減らせない? 今後も数が増え過ぎないようにもしてほしいんだけど』
―――条件をお願いします。
『お? タマちゃんか。条件って何?』
ただ、了解の返事をくれる時は衛星が『Sir, yes, sir』って言ってくれるんだけど、補足が必要な時や相談に答えてくれる時はタマちゃんが答えてくれる。
いや~、前に比べると大分便利な感じになってくれたよね。ホント助かるよ。
―――トレントの数を減らせという命令ですが、ただ数が減ればいいのでしょうか。
『うん、そうだね。結構愛着も出てきたし殺さないでほしいんだ。でも、これだけの数のトレントがここに居続けると魔物の移動ができなくて、魔物が溜まって来るらしいから、引越し先があるんなら引越しさせてもいいし、出来なくともこれ以上トレントが増えないようにしてほしいんだ』
―――トレントを減らす、でも殺さない。増えないようにする。引越しはしてもいいししなくてもいいが、この道は今まで通り隠して守る。という事でいいでしょうか。
ちゃんと理解してくれてるね。話せるようになった当初、大阪弁であった時はどうしようかと思ったけど、今は抑揚も少なく機械っぽい感じになって、優秀さを感じるよ。
『うん、そういう感じで頼むよ』
『Sir, yes, sir』
うん、この返事を聞くと期待感が高まるね。間違いなく実行してくれるんだろうな。
一つだけ大きなタマちゃんを残し、残りの十三の衛星達が周囲に散っていく。前までなら最低でも二つは残って俺の護衛をしてくれてたけど、今はタマちゃんがいるからいいんだろうな。全部離れて行っちゃったよ。
とは言っても、近いとこにいるから半数以上は見える所にいるんだけどね。
ここは任せて家に戻るか? いや、どうせ帰ってもゼパイルさんの工房を作るのにも衛星に頼まないといけないから、待ってても一緒か。だったら何をするか見ておこう。
……結論から言おう。ナシだ!
なんで高さ2~3メートルぐらいだったトレントが30メートル超えの大木になってんだよ!
だいたい、ここの道をカモフラージュするためにいたのに、これじゃ目立ってしょうがないじゃん!
俺の目算だから適当だけど500体以上いたと思われるトレントが姿を消し、高さ30メートル以上は超えてるだろうものが一本立っていた。そんな事までできたんだね、相変わらず凄いな衛星は。これって合体か?
場所としては街道と【星の家】の中間点ぐらいだろう。道の脇に聳え立ってるよ。
―――完了しました。名前を付けてあげてください。そうする事でより役立つ存在となるでしょう。
いやいや、なにいい仕事したって感じになってんのよ! 俺的には失敗にしか思えないんだけど。
『タマちゃん? これって失敗…だよね?』
―――大成功です。予想以上に有能なものに進化できました。これも精霊達がよく面倒をみてくれてたお陰でしょう。
いやいやいやいや、失敗を認めたくないのは分かるけど、どう見てもこれは失敗だろう。
だって目立ちまくってるじゃん! ここに道がありますって主張しまくってるじゃん!
ただ、衛星には今までもお世話になりっぱなしだし、失敗を責めるつもりはない。どう大成功なのか理由ぐらいは聞いてやるよ。
『その大成功の説明をしてもらってもいい?』
―――はい。まずは全てのトレントを合体させました。それにより個体数を一体に纏める事ができました。
はいはい、やっぱり合体だったんだね、それは見れば分かるよ。
―――次に、合体させた事により大幅な進化を果たし、能力も大幅に向上しました。これは三精霊によりトレントを大事に管理していた事が好影響を与えたと思います。予想を上回る進化でした。
へぇ、それは嬉しい情報だね。サーフェ、ドーラ、プーちゃんにはお礼を言っておかないとね。
―――トレントの集合体は妖精樹に進化したことで、50キロ四方の範囲の森を管理します。管理されるものは植物は元より、虫や動物や魔物や妖精も影響下に置く事ができます。また幻術を使う事で『迷いの森』を創造できます。よほど高レベルな者で無ければ見破る事はできないでしょう。
『迷いの森』? それってよくエルフの里の入り口であるというやつ? 異世界ラノベで定番の。
そんなのを作れるの? そりゃカモフラージュには最高だな。タマちゃんが大成功と言ったのも肯ける話だよ。
しかも50キロ四方って、どんだけ広範囲なんだよ。凄ぇな。
―――名前を付けてあげてください。名付けにより奴隷から従者になりますので、より有能な従者となるでしょう。
!
進化してもまだ奴隷だったんだ。笑えねー……
可哀相すぎるわ。逆にこっちからお願いして付けさせてもらいたいぐらいだよ。
トレントが合体して進化した妖精樹の近くまで行き、進化した妖精樹の様子を確認した。
立派な樹だった。周りの樹と比べて十倍は大きいだろう。 森の樹たちが、この妖精樹の子供みたいに見えるよ。
じゃあ、さっさと名付けてあげようか。
でも、こいつって植物だよな? 魔物でもあるのか? 名付けたとして分かってくれるのか?
トレントの時でも愛想は振りまってくれてたから意思は持ってるんだろうけど、反応の無い樹に向かって『お前の名前は……』とかやるのって恥ずかし過ぎるんだけど。
厨ニ過ぎるだろ。
魔法詠唱して魔法が発動しなかった時の方がマシじゃね? と思えるぐらいキツイんだけど。
長々と詠唱したあと『ファイア!』って叫んでプスンとも出なかったらハズイよなぁ。
樹に向かって『お前の名は……』って、この状況で俺には無理ゲーだ。だって三精霊も付いてきて後にいるんだもん。そんな中でやる勇気はねーよ。
俺が妖精樹の前に立つと、妖精樹の枝が一斉にザザザザと音を立てて揺れだした。
俺の事が分かってんのかな? でも、どっちが前なんだ?
「ご主人様、ありがとうございました。進化して頂いたお陰でこうやってご主人様と話すことができるようになりました。このご恩を返すべく、必ずや役に立ってご覧に入れます。本当にありがとうございました」
おお! 樹がしゃべったよ。しかも、さっきまで無かった顔っぽいのが樹の中ほどに出てるよ。
なんかファンタジー感もあるんだけど、童話に出てくる魔法の樹みたいだ。
でも、これなら名付けをしても恥ずかしくないな。
「うん、進化したんだね、おめでとう。話せるようになってくれて助かったよ。役に立ちたいって言ってくれてありがたいんだけど、やってほしいことは、この道のカモフラージュと管理なんだ。魔物が通り過ぎるのなら通らせてあげて、こちらに害をなそうとするのならこっちの三精霊でもいいけど誰かに知らせてほしいんだ。お願いしてもいいかな?」
「それぐらいお安い御用でございます。害をなそうとする愚か者を見つけた際は倒してしまっても宜しいでしょうか」
おお! なんか格好いい。
「そうだね、無理しない程度なら構わないよ。でも、人間は殺さないで捕らえてくれたほうがいいかな」
「かしこまりました。ではそのように対処いたします」
「うん、ありがとう。それで、進化のお祝いに名前を付けようと思うんだけどいいかな?」
「おおおおお! 名前を付けて頂けるのですか! よろしくお願いします!」
凄い喜びようだな。名前ってそんなに嬉しいのかな。呼んでもらえるのが嬉しいとか?
それなら呼びやすくて分かりやすいのがいいな。妖精樹だからヨウちゃんとか? ちゃん呼びは似合わなそうだな。ちょっと変えてこれならどうだろ。
「じゃあ、名前を付けるよ。ヨウムってどう? 嫌なら違うのにするけど」
「おおおおおおおおお!」
喜びの咆哮ってやつですか? 雄叫びを上げるぐらい嬉しかったんだね。ヨウムでいいみたいだ。妖精樹のヨウを取って、ちょっと捻っただけなんだけどね。もうちょっと考えてやった方が良かったかな?
「素晴らしい腕前でございます」「流石でございます」「凄~い!」
ずっと黙っていた三精霊が褒めてくれたが、昨夜の褒められすぎて失敗した記憶が甦ったので、後を任せてさっさと家に向かった。
もうこれで【星の家】周辺で問題が起こる事は無いんじゃないかな。
妖精樹のヨウム。凄く頼りになりそうです。
早く女子寮から離れたかったのもあるが、時間が惜しいのも事実だ。さっさと工房を作ってドワーフのゼパイルさんを迎えに行かないといけないからね。
グズグズしてると、いつまで経ってもユーを追いかけていけないからな。
……言い訳だ。
あんな混沌な状態を収集する力なんて俺には備わってないからね。昨夜の記憶も曖昧だし少し時間を置いた方がいいと思うんだよね。
ま、これも言い訳だ。あとでちゃんと話し合うつもりだよ。無自覚な息子の責任とはいえ、俺が取らないとダメだよね。
キッカも置いてきてしまったけど、またゼパイルさんを迎えに来るんだし、時間はまだある。こっちの用事が終わるまでには自分で帰ってくるでしょ。
トレントロードでは三精霊も出迎えてくれて、挨拶をしてくれた。
サーフェ、ドーラ、プーちゃんの三人ね。本当はプーランだけど、プーちゃんとしか言わないし、もうプーちゃんでいいでしょ。
三人からは少し問題があると報告を受けた。
今のところ大した問題ではないが、魔物が少し増えだしてるそうだ。
魔物の通り道のためにトレントロードの結界は解除したのに、また魔物が増え出してるというのだ。
ま、原因はなんとなく分かってる。
増え過ぎだろ! トレント! どんだけいるんだよ! 100や200ってどころじゃないんじゃないか?
お前達がいるから魔物も横切れないんだろ!? いくら弱い魔物とはいえ、それだけいりゃ態々通りたくないだろ。
こいつらってどれだけ増え続けるんだ? もう少し数の管理ってできないのか?
とは言ってもこれ以上増えたら問題だろうし、通るたびに愛想を振りまくこいつらを自分の手で葬るのはイヤだし。なんとかならないかなぁ。
三精霊に聞いたが、策は無し。彼女達、増やすのは得意だが減らす方法は知らないようだ。
困った時の衛星頼みか、久し振りな気はするな。
『衛星、このトレントの数が増え過ぎなんだけど、この道を守るだけでいいんだから、もう少し減らせない? 今後も数が増え過ぎないようにもしてほしいんだけど』
―――条件をお願いします。
『お? タマちゃんか。条件って何?』
ただ、了解の返事をくれる時は衛星が『Sir, yes, sir』って言ってくれるんだけど、補足が必要な時や相談に答えてくれる時はタマちゃんが答えてくれる。
いや~、前に比べると大分便利な感じになってくれたよね。ホント助かるよ。
―――トレントの数を減らせという命令ですが、ただ数が減ればいいのでしょうか。
『うん、そうだね。結構愛着も出てきたし殺さないでほしいんだ。でも、これだけの数のトレントがここに居続けると魔物の移動ができなくて、魔物が溜まって来るらしいから、引越し先があるんなら引越しさせてもいいし、出来なくともこれ以上トレントが増えないようにしてほしいんだ』
―――トレントを減らす、でも殺さない。増えないようにする。引越しはしてもいいししなくてもいいが、この道は今まで通り隠して守る。という事でいいでしょうか。
ちゃんと理解してくれてるね。話せるようになった当初、大阪弁であった時はどうしようかと思ったけど、今は抑揚も少なく機械っぽい感じになって、優秀さを感じるよ。
『うん、そういう感じで頼むよ』
『Sir, yes, sir』
うん、この返事を聞くと期待感が高まるね。間違いなく実行してくれるんだろうな。
一つだけ大きなタマちゃんを残し、残りの十三の衛星達が周囲に散っていく。前までなら最低でも二つは残って俺の護衛をしてくれてたけど、今はタマちゃんがいるからいいんだろうな。全部離れて行っちゃったよ。
とは言っても、近いとこにいるから半数以上は見える所にいるんだけどね。
ここは任せて家に戻るか? いや、どうせ帰ってもゼパイルさんの工房を作るのにも衛星に頼まないといけないから、待ってても一緒か。だったら何をするか見ておこう。
……結論から言おう。ナシだ!
なんで高さ2~3メートルぐらいだったトレントが30メートル超えの大木になってんだよ!
だいたい、ここの道をカモフラージュするためにいたのに、これじゃ目立ってしょうがないじゃん!
俺の目算だから適当だけど500体以上いたと思われるトレントが姿を消し、高さ30メートル以上は超えてるだろうものが一本立っていた。そんな事までできたんだね、相変わらず凄いな衛星は。これって合体か?
場所としては街道と【星の家】の中間点ぐらいだろう。道の脇に聳え立ってるよ。
―――完了しました。名前を付けてあげてください。そうする事でより役立つ存在となるでしょう。
いやいや、なにいい仕事したって感じになってんのよ! 俺的には失敗にしか思えないんだけど。
『タマちゃん? これって失敗…だよね?』
―――大成功です。予想以上に有能なものに進化できました。これも精霊達がよく面倒をみてくれてたお陰でしょう。
いやいやいやいや、失敗を認めたくないのは分かるけど、どう見てもこれは失敗だろう。
だって目立ちまくってるじゃん! ここに道がありますって主張しまくってるじゃん!
ただ、衛星には今までもお世話になりっぱなしだし、失敗を責めるつもりはない。どう大成功なのか理由ぐらいは聞いてやるよ。
『その大成功の説明をしてもらってもいい?』
―――はい。まずは全てのトレントを合体させました。それにより個体数を一体に纏める事ができました。
はいはい、やっぱり合体だったんだね、それは見れば分かるよ。
―――次に、合体させた事により大幅な進化を果たし、能力も大幅に向上しました。これは三精霊によりトレントを大事に管理していた事が好影響を与えたと思います。予想を上回る進化でした。
へぇ、それは嬉しい情報だね。サーフェ、ドーラ、プーちゃんにはお礼を言っておかないとね。
―――トレントの集合体は妖精樹に進化したことで、50キロ四方の範囲の森を管理します。管理されるものは植物は元より、虫や動物や魔物や妖精も影響下に置く事ができます。また幻術を使う事で『迷いの森』を創造できます。よほど高レベルな者で無ければ見破る事はできないでしょう。
『迷いの森』? それってよくエルフの里の入り口であるというやつ? 異世界ラノベで定番の。
そんなのを作れるの? そりゃカモフラージュには最高だな。タマちゃんが大成功と言ったのも肯ける話だよ。
しかも50キロ四方って、どんだけ広範囲なんだよ。凄ぇな。
―――名前を付けてあげてください。名付けにより奴隷から従者になりますので、より有能な従者となるでしょう。
!
進化してもまだ奴隷だったんだ。笑えねー……
可哀相すぎるわ。逆にこっちからお願いして付けさせてもらいたいぐらいだよ。
トレントが合体して進化した妖精樹の近くまで行き、進化した妖精樹の様子を確認した。
立派な樹だった。周りの樹と比べて十倍は大きいだろう。 森の樹たちが、この妖精樹の子供みたいに見えるよ。
じゃあ、さっさと名付けてあげようか。
でも、こいつって植物だよな? 魔物でもあるのか? 名付けたとして分かってくれるのか?
トレントの時でも愛想は振りまってくれてたから意思は持ってるんだろうけど、反応の無い樹に向かって『お前の名前は……』とかやるのって恥ずかし過ぎるんだけど。
厨ニ過ぎるだろ。
魔法詠唱して魔法が発動しなかった時の方がマシじゃね? と思えるぐらいキツイんだけど。
長々と詠唱したあと『ファイア!』って叫んでプスンとも出なかったらハズイよなぁ。
樹に向かって『お前の名は……』って、この状況で俺には無理ゲーだ。だって三精霊も付いてきて後にいるんだもん。そんな中でやる勇気はねーよ。
俺が妖精樹の前に立つと、妖精樹の枝が一斉にザザザザと音を立てて揺れだした。
俺の事が分かってんのかな? でも、どっちが前なんだ?
「ご主人様、ありがとうございました。進化して頂いたお陰でこうやってご主人様と話すことができるようになりました。このご恩を返すべく、必ずや役に立ってご覧に入れます。本当にありがとうございました」
おお! 樹がしゃべったよ。しかも、さっきまで無かった顔っぽいのが樹の中ほどに出てるよ。
なんかファンタジー感もあるんだけど、童話に出てくる魔法の樹みたいだ。
でも、これなら名付けをしても恥ずかしくないな。
「うん、進化したんだね、おめでとう。話せるようになってくれて助かったよ。役に立ちたいって言ってくれてありがたいんだけど、やってほしいことは、この道のカモフラージュと管理なんだ。魔物が通り過ぎるのなら通らせてあげて、こちらに害をなそうとするのならこっちの三精霊でもいいけど誰かに知らせてほしいんだ。お願いしてもいいかな?」
「それぐらいお安い御用でございます。害をなそうとする愚か者を見つけた際は倒してしまっても宜しいでしょうか」
おお! なんか格好いい。
「そうだね、無理しない程度なら構わないよ。でも、人間は殺さないで捕らえてくれたほうがいいかな」
「かしこまりました。ではそのように対処いたします」
「うん、ありがとう。それで、進化のお祝いに名前を付けようと思うんだけどいいかな?」
「おおおおお! 名前を付けて頂けるのですか! よろしくお願いします!」
凄い喜びようだな。名前ってそんなに嬉しいのかな。呼んでもらえるのが嬉しいとか?
それなら呼びやすくて分かりやすいのがいいな。妖精樹だからヨウちゃんとか? ちゃん呼びは似合わなそうだな。ちょっと変えてこれならどうだろ。
「じゃあ、名前を付けるよ。ヨウムってどう? 嫌なら違うのにするけど」
「おおおおおおおおお!」
喜びの咆哮ってやつですか? 雄叫びを上げるぐらい嬉しかったんだね。ヨウムでいいみたいだ。妖精樹のヨウを取って、ちょっと捻っただけなんだけどね。もうちょっと考えてやった方が良かったかな?
「素晴らしい腕前でございます」「流石でございます」「凄~い!」
ずっと黙っていた三精霊が褒めてくれたが、昨夜の褒められすぎて失敗した記憶が甦ったので、後を任せてさっさと家に向かった。
もうこれで【星の家】周辺で問題が起こる事は無いんじゃないかな。
妖精樹のヨウム。凄く頼りになりそうです。
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