手違いで勝手に転生させられたので、女神からチート能力を盗んでハーレムを形成してやりました

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第一章 始まりは最悪?

第三十二話 ボンキュッボン

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「何とか気づかれずに済んだみたいだな……」
「これがなければ危うかったかもしれません……」

リビングと書斎を一つにまとめたかのような広めば部屋の片隅で、俺とフィオーネは身動き一つせず固まっていた。

女神が寝ている隙に忍び込もうと夜中に潜入したのだが、案の定静かだったので寝ているのかと思っていたのだが、どうやら風呂に入っていたらしい。
神様が睡眠を必要とするかは不確かだったために、逆に奴の行動がしれて安心だとも言える。
だが、ここで生まれた問題として、入浴中にわざわざあの指輪を外してくれるのかどうかというものだ。
個人での違いはあるものの、普通、大事な指輪は常に外さなかったりするものだと認識しているので、もし女神も俺と共通の認識でいたら、この作戦は失敗に終わってしまう可能性が高い。
……まぁとにかく、ここで机上の空論を並べても拉致があかないので、今はバレずに済んで良かったということにしよう。

「確かにそうなのかもな」

フィオーネが俺に示すようにしてあげた手の指輪を見て、俺も彼女の意見に同意する。

「認識阻害? 気配を隠蔽するんでしたっけ? さすがは帝国の諜報部だけあって、良いものを持ってますね~」
「あぁ。助かった」

まさかこんな形でこの能力を使うことになるとは思っていなかったが、本当に便利なものだと俺は思う。

女神の部屋への侵入も、これを使うことを前提で計画が立てられていた。
この作戦には欠かせないアイテムだろう。

そもそも、これほどまでに俺が信頼を寄せるのも、目の前でそれを体感してる俺だからこそである。
ちゃんと見ているのにそれでも見失うほどに認識できなくさせられる、という経験に、俺は恐怖も覚えたが同時に好奇心も感じていて、この二日間くらいはこの能力の練習も重点的にやってきた。
その甲斐もあってか、ほぼ完全に気配を消して動くことができている。
調子のいい時は、アミラですら出し抜けたほどに。

「でもこれはチャンスですよ! 栄一さん!! 女神様がお風呂からあがる前に、脱衣所から指輪を奪取です!!」
「それもそうだな!」

断じて、女神の裸が見たいとか下着が見たいとかそういう下心で行くわけではない!
あんな暴力女の裸になんか興味はないしな!!
仕方なく、神代遺物アーティファクトのために行くのだ!

「フィイはまだ認識阻害に不慣れですから付いていけませんね……。栄一さん頼みますよ!!」
「ええ!? 俺一人!?」
「もしなんかあったら状況に応じて助けに行きますから! まぁ大丈夫そうだったら早く研究をしたいし、先に帰りますけど」
「絶対助けてくれないだろう!?」

くそう。盗みはあいつへの恨みの念で簡単にできたけど、さすがの俺も一人で女の裸を覗きに行くというのは、何だか気がひける……。
いやいや、裸を見に行くんじゃなくて神代遺物を取りに行くだけなんだけどな!!
なら何も問題ないじゃないか! よし、行こう!

頭を押さえて体をくねくねと揺さぶりながら、俺は何とか自分の中での葛藤を終わらせて、旅出を決意した。

「……じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい! エロいちさん!」
「え?」

聞き間違いかな。
まぁとりあえず行こうか。

そうして俺は、勇者リストとステータスプレートを鞄にしまうと、フィオーネに背を向けて、先の扉へと向かった——。


「うわお……」

シャワーの音のする方へ向かって、20mほどの廊下を忍び足でそーっと進むと、その先には扉が開けっ放しの部屋があった。
迷わず俺はその部屋に侵入すると、入ってすぐのところには無造作に衣服が投げ捨てられていて、奥には曇りガラスに移った女神がいるのがわかる。

「ボンキュッボン!」

まさか俺がこんな言葉を使う日が来るとは夢にも思っていなかったが、目の前のそれを見た途端に、口から漏れてしまった。
アメリカンガールの超絶ナイスバディとまではいかないものの、一般的な日本人よりも胸やお尻が大きい、そのメリハリのある体はまさに素晴らしいの一言に尽きる。

「シルエットだけでこんなにもエロいもんなのか……」

残念ながら、曇りガラスのせいでなんとなくしか見えないが、それでも横から見る女神の体はとてつもなく整っていて美しい——というかくそエロかった。
程よく実った美乳に、すらっと滑らかな腰ライン。
今は、立った状態で後ろに突き出すようにしてお尻を引いて、前かがみで足の先を洗っているのだが、ガラスの向こう側で彼女の手によって洗われているその体には、きっといたるところに泡が付いていて、局部が見えるか見えないかというギリギリのところでせめぎ合っているの違いない。
シャワーの熱で火照った体と潤んだ瞳で女神は——。

ふぅ……。実にエロいな。
もし直接見ることができれば……

って、いや、待てよ。
俺の気配隠蔽能力を使えば、あるいは中に入れるんじゃないか!?
いや、いけるはずだ!!

そう考えた瞬間には、既に俺の右手はドアノブの方へと伸びていた。


ゴクリッ

ただ目の前の扉に手をかけようとしているだけなのに、とても遠くの、まるで雲でも掴むかのように、一向に手が扉へとたどり着かない。
時の進むスピードが遅くなり、対象に、心臓が鼓動を打つスピードはどんどん加速している。
もしかしたら、この鼓動音で女神に気づかれてしまうのではないかと考えると、さらにその音は大きくなり、ひたいや手に変な汗が湧いてきた。

そうして俺は、この、いけないことをしているという背徳感、ないしはスリルと、究極の女体を前にしての高揚感で、ブルブルと震え上がった手を、なんとか押さえつけ、楽園への扉に手をかけた。


が、その瞬間、

「待たせるのも悪いしね!」
「うっ!?!?」

シャワーを止める音とともに、曇りガラスに映った影がこっちの方へと向かってきた。

(嘘だろ!?)

俺はとっさに後ろに飛び退き、部屋中を見渡してようやく見つけたかごの中の服からをポケットに入れると、直ぐに部屋を飛び出す。
この数日で、ようやく身体強化や認識強化などの、今までとは違った身体にも慣れてきていて、すずに逃げ出すことができた。
脳内に、『能力獲得 能力名……』だかなんか声が響きだしてさらに慌ててしまったが、先ほど触れたステータスプレートによる作用だとすぐに感づいた俺は、そんなものは無視してとにかく脱出を急いだ。

もちろん、ここまでの動作は全て無音と言っていいほどに音を出さずにこなしている。
いきなりのこととはいえ、最初に声を漏らしてしまったこと以外に失点はないのも、これまでの訓練と〝驚き〟への慣れの賜物たまものだろうか。


(……あっぶねええー)

俺は額の汗を手で拭うと、最初の部屋——すなわち、俺と女神が一線交えたあのリビングと書斎が一体となった部屋へと入る。

結局、指輪は外してあってくれてよかった。おそらく、酸化防止の加工もされているんだろうし、防水なんてあの女神なら魔法でどうとでもなるんだろうが、体を洗うのに、この少しごつい指輪をつけていると不便なのだろう。
助かった。


一気に緊張が解けたことで思考する余裕が生まれた俺は、そんなことを考えながらその部屋を少し徘徊していると、そこであることに気がついた。

(やっぱりあいつ、先に帰りやがったか)

気配ですでにわかってはいたが、やはりフィオーネは、先ほど見つけた転移魔法の杖を使って先に帰還していた。
早速手に入れた道具おもちゃの使い方をこんなにも早く理解するなんて、やはりあいつは天才なのかもしれないな。
ほら、バカと天才は紙一重って言うし。

今頃、満面の笑顔で杖の解析を始めているだろうフィオーネを想像して、俺も少し頬が緩んでしまった。
だが、すぐに、こんなことをしている場合ではないことを思い出し、俺も帰還に向けて行動を起こす。

(よし、ちゃんと持ってきてるな!)

俺はポケットに手を入れて、輪っか状の金属と、生暖かくて、やたらと触りごごちのいい、さらさらとした布を触って、目的のものがちゃんとあるかを確認しつつ、もう片方の手を前方へ向け、転移魔法の発動のために使う魔素を貯め始める。

「あれー? 古いパンツがない? さっきここに置いたはずなんだけどなぁ……。でもまぁあ、いっか!」

すると、奥の部屋の方から、女神のアホらしい声が聞こえてきた。
認識強化をする必要もないほどに大きい声だ。

(下着とかではなく、『パンツ』って大声で叫ぶなんて、女としてどうなんだよ……。あいつって、顔と体と下着のセンス以外はてんでダメだな)

女神はやはり残念なやつだったかと、俺は肩をすくめた。
だが、俺にそんなことをしている暇はなく、も手に入れたことだし、さっさと退散することにする。
紳士で有名な俺は、もしも下着のありかを知っていたなら、さすがのクソ女神といえ一応女の子なんだし助けてあげただろうが、あいにく、全体が純白でさらさらとした上質な生地に、上部がピンクのリボンで囲まれている最高に可愛らしいパンツなんぞに、俺は心当たりがないのでしょうがない。なにせ俺はしか持ってきていないのだからな。あぁ、残念だ。非常に残念だ。

と言うわけで、早速俺は転移魔法を発動した——。
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