11 / 86
第11話「お母さんに感謝を込めて 前編」
しおりを挟む
【市導光也side】
ーーーーーーーー
時は遡り5年前。2018年の丁度今と同じ春頃だった。
あの頃の俺は中学生になりたての世間の事なんざ何も知らないウブなクソガキだった。
テレビを見てると横領だの殺人だの強盗だののニュースが報道されている。世の中には悪い人間がいて世の中にはこういう人間もいるんだよって教えるために報道されてる面もあると思う。
きっとこうやって報道されてる事件だけでなく規模の小さい悪事や取り上げきれなかった事件だってごまんとある。
でも当時の俺はなんの気にも留めてなかった。
いや、みんなだって最悪の事態がまさか自分に降りかかるなんて思ってないと思う。あの頃の俺は危機感なんてまるでなくて、人を疑う事を知らない底抜けの大馬鹿野郎だった。
――――――――――
2018年 5月4日 7:05分
「光也おはよ。朝食出来てるわよ」
目覚めのいい朝。だが俺は朝にめっぽう弱い。
自室から出てリビングへ向かうと目の前に広がっているのは元気に朝食を食べる妹と目玉焼きやスクランブルエッグなどいたって朝食としては十分過ぎるラインナップ。
眠たい目を擦りつつ食卓につく。
「そういえば学校の方はどう?ちゃんとやれてる?」
「うーん。わかんない。やれてると思うけど」
「お兄ちゃんはめっちゃ優しいから大丈夫だよ!」
「優しいかな?普通だと思うけどなぁ」
「何かあったらお母さんに言うのよ。光也と美乃梨に何かあったらお母さん耐えられないから」
「はーい!!」
和やかな家族揃っての朝食。喧嘩する日もあれど心底お袋の事も妹の事も嫌ったことはない。
お母さんは女手一つで俺がいじめられてる時や美乃梨が大事にしてるアクセサリーを無くしてしまった時、俺達が困った時には必ず手を差し伸べてくれる。そんなお母さんが俺も美乃梨も大好きだ。
「そういえば明日のご飯何がいい?何かデリバリーしようと思ってるけど」
「えぇー!?お母さんが作ったのがいいー!!お母さんが作った方が美味しいもん!」
「そうだよ!俺もお母さんが作ったハンバーグがいい!」
「もぉ……わかったわ。ママ、腕によりをかけて頑張っちゃうわね!」
明日は何を隠そうこどもの日。そして何よりお母さんの誕生日でもある。
故にこの日は晩飯が一気に豪華になる。
お母さんが多忙でデリバリーにせざる終えない時もあったが俺達はお母さんの手料理の方が好きだ。
デリバリーのももちろん美味いけど愛情込めて作ってくれる母さんの料理にはやっぱり勝てない。
想像すると明日が待ちきれない。気持ちが昂るのを後に俺たちは学校へ急ぐ。
「「いってきまーーす!」」
「いってらっしゃい!気をつけて行くんだよー!」
自宅を出て学校へ向けて出発する。美乃梨とは途中まで通路が一緒なので二人で学校へ向けて歩き出す。
「お兄ちゃん明日の放課後ちゃんと時間あけてる?」
「当たり前だろ!美乃梨こそリサーチ終わってるんだろうな?」
「あったりまえじゃん!お母さんが喜ぶプレゼントはもうあれしかないよ!」
今年の5月5日はこれまでとは一味違う。俺達はこの日にお母さんへプレゼントを返したことがない。
それ以外の場でも感謝の手紙や肩たたき券とかはあるが他の何かお金がかかる物を買おうとすると結構強引に断られる。自分の欲しいものに使いなさいと。
だからこそのサプライズ。お母さんはきっとこれまでの流れから俺達へのプレゼントの事ばっかで自分が何かを貰うなんて想像してないはずだ。
いつも助けてもらってばっかりだけど俺達がちゃんと立派に成長してるんだって事をお母さんに見せてやるんだ。
「じゃあまた後でねお兄ちゃん!」
「おう!」
美乃梨と別れて中学へと向かう。美乃梨とは各々下校後に近隣のショッピングモールで合流する予定だ。
(お母さん絶対喜ぶぜ……何故なら俺達二人で考えた超絶最強メガマックスプランだからだ!!)
高鳴る鼓動と共に学校へ走って向かう。
割と人見知りではあったが1ヶ月経ち、クラスのみんなとも溶け込んできた。
だが俺達のお母さんは芸能人。元アイドルだ。それを揶揄ってくる奴だってもちろんいる。
小学校の頃はそれで揉めたりしたこともあったがそれでもお母さんの事を嫌いになった事はない。
同日――13時10分――
かったるい英語の授業も終わり待ちに待った昼飯時。仲良い友達のかつっちとかずよしと談笑しながら弁当を食べ始める。
「そういえばさ、光也聞いた?最近不審者がこの辺でてるって」
「そうなの?全然知らなかった」
「前の目撃情報もここからめっちゃ近いっぽいし気をつけた方がいいよ!」
「えぇ~~?大丈夫でしょ。今までもこういうのあったけど一回も会った事ないし!それに今日の俺は忙しいの!」
「極秘の超絶最強メガマックスプランがあるんでしょ?何回も聞いたから覚えちゃったよ」
「そー!今日の放課後、妹と一緒に買いに行くんだ!」
「光也お母さんの事を好きすぎだろ!このマザコンマン!」
「なっ!そういうのじゃないから!」
そんな事を話しながら弁当を完食し俺達は大好きなドッジボールをしに校庭へ出た。
ドッジボールの最中も俺は超絶最強メガマックスプランの事を同時に考えて頭を張り巡らせている。
明日を最高のいい日にするために。
――――――――――
でもこの時の俺は少しの想像もしてなかった。明日、2018年の5月5日。
この日が俺たち市導家にとって、最悪の1日になるなんてこと。
ーーーーーーーー
時は遡り5年前。2018年の丁度今と同じ春頃だった。
あの頃の俺は中学生になりたての世間の事なんざ何も知らないウブなクソガキだった。
テレビを見てると横領だの殺人だの強盗だののニュースが報道されている。世の中には悪い人間がいて世の中にはこういう人間もいるんだよって教えるために報道されてる面もあると思う。
きっとこうやって報道されてる事件だけでなく規模の小さい悪事や取り上げきれなかった事件だってごまんとある。
でも当時の俺はなんの気にも留めてなかった。
いや、みんなだって最悪の事態がまさか自分に降りかかるなんて思ってないと思う。あの頃の俺は危機感なんてまるでなくて、人を疑う事を知らない底抜けの大馬鹿野郎だった。
――――――――――
2018年 5月4日 7:05分
「光也おはよ。朝食出来てるわよ」
目覚めのいい朝。だが俺は朝にめっぽう弱い。
自室から出てリビングへ向かうと目の前に広がっているのは元気に朝食を食べる妹と目玉焼きやスクランブルエッグなどいたって朝食としては十分過ぎるラインナップ。
眠たい目を擦りつつ食卓につく。
「そういえば学校の方はどう?ちゃんとやれてる?」
「うーん。わかんない。やれてると思うけど」
「お兄ちゃんはめっちゃ優しいから大丈夫だよ!」
「優しいかな?普通だと思うけどなぁ」
「何かあったらお母さんに言うのよ。光也と美乃梨に何かあったらお母さん耐えられないから」
「はーい!!」
和やかな家族揃っての朝食。喧嘩する日もあれど心底お袋の事も妹の事も嫌ったことはない。
お母さんは女手一つで俺がいじめられてる時や美乃梨が大事にしてるアクセサリーを無くしてしまった時、俺達が困った時には必ず手を差し伸べてくれる。そんなお母さんが俺も美乃梨も大好きだ。
「そういえば明日のご飯何がいい?何かデリバリーしようと思ってるけど」
「えぇー!?お母さんが作ったのがいいー!!お母さんが作った方が美味しいもん!」
「そうだよ!俺もお母さんが作ったハンバーグがいい!」
「もぉ……わかったわ。ママ、腕によりをかけて頑張っちゃうわね!」
明日は何を隠そうこどもの日。そして何よりお母さんの誕生日でもある。
故にこの日は晩飯が一気に豪華になる。
お母さんが多忙でデリバリーにせざる終えない時もあったが俺達はお母さんの手料理の方が好きだ。
デリバリーのももちろん美味いけど愛情込めて作ってくれる母さんの料理にはやっぱり勝てない。
想像すると明日が待ちきれない。気持ちが昂るのを後に俺たちは学校へ急ぐ。
「「いってきまーーす!」」
「いってらっしゃい!気をつけて行くんだよー!」
自宅を出て学校へ向けて出発する。美乃梨とは途中まで通路が一緒なので二人で学校へ向けて歩き出す。
「お兄ちゃん明日の放課後ちゃんと時間あけてる?」
「当たり前だろ!美乃梨こそリサーチ終わってるんだろうな?」
「あったりまえじゃん!お母さんが喜ぶプレゼントはもうあれしかないよ!」
今年の5月5日はこれまでとは一味違う。俺達はこの日にお母さんへプレゼントを返したことがない。
それ以外の場でも感謝の手紙や肩たたき券とかはあるが他の何かお金がかかる物を買おうとすると結構強引に断られる。自分の欲しいものに使いなさいと。
だからこそのサプライズ。お母さんはきっとこれまでの流れから俺達へのプレゼントの事ばっかで自分が何かを貰うなんて想像してないはずだ。
いつも助けてもらってばっかりだけど俺達がちゃんと立派に成長してるんだって事をお母さんに見せてやるんだ。
「じゃあまた後でねお兄ちゃん!」
「おう!」
美乃梨と別れて中学へと向かう。美乃梨とは各々下校後に近隣のショッピングモールで合流する予定だ。
(お母さん絶対喜ぶぜ……何故なら俺達二人で考えた超絶最強メガマックスプランだからだ!!)
高鳴る鼓動と共に学校へ走って向かう。
割と人見知りではあったが1ヶ月経ち、クラスのみんなとも溶け込んできた。
だが俺達のお母さんは芸能人。元アイドルだ。それを揶揄ってくる奴だってもちろんいる。
小学校の頃はそれで揉めたりしたこともあったがそれでもお母さんの事を嫌いになった事はない。
同日――13時10分――
かったるい英語の授業も終わり待ちに待った昼飯時。仲良い友達のかつっちとかずよしと談笑しながら弁当を食べ始める。
「そういえばさ、光也聞いた?最近不審者がこの辺でてるって」
「そうなの?全然知らなかった」
「前の目撃情報もここからめっちゃ近いっぽいし気をつけた方がいいよ!」
「えぇ~~?大丈夫でしょ。今までもこういうのあったけど一回も会った事ないし!それに今日の俺は忙しいの!」
「極秘の超絶最強メガマックスプランがあるんでしょ?何回も聞いたから覚えちゃったよ」
「そー!今日の放課後、妹と一緒に買いに行くんだ!」
「光也お母さんの事を好きすぎだろ!このマザコンマン!」
「なっ!そういうのじゃないから!」
そんな事を話しながら弁当を完食し俺達は大好きなドッジボールをしに校庭へ出た。
ドッジボールの最中も俺は超絶最強メガマックスプランの事を同時に考えて頭を張り巡らせている。
明日を最高のいい日にするために。
――――――――――
でもこの時の俺は少しの想像もしてなかった。明日、2018年の5月5日。
この日が俺たち市導家にとって、最悪の1日になるなんてこと。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる