アイドル・インシデント〜偶像慈変〜

朱鷺羽処理

文字の大きさ
38 / 86

第38話「三分間に全てを賭けろ!闇夜失闇での死闘」

しおりを挟む
 金塚謙也を未萌奈が創り出した仮想戦闘特化空間。闇夜失闇あんやしつえん内へ誘う事へ成功した未萌奈。
 その持続時間は約3分。この約3分間金塚謙也は五感全てを剥奪されている。
 未萌奈への反撃を許さない程の怒涛の連続斬撃を一切の隙を与えずに絶え間なく与えていく。
 通常であればこの3分間で容易に仕留め切れる大技であるが未萌奈は発展途上にあるため過剰に想力消費を喰らう闇夜失闇中は後半に至るまでその破壊力は著しく劣化してしまう。

 現在1分半が経過。徐々に黒鴉こくうにより繰り出される斬撃は殺傷力を取り戻して行く。

 ザシュッ!!

 斬りつけられた謙也の横腹から血が飛び散る。
 未萌奈はこれまでとは違う確固たるダメージを与えた手応えに喜悦するが慢心はせず攻撃の手を緩めない。

 (残り1分ちょい!このペースならいける!奴も完璧に感覚を取り戻してる様子は見られない!押し切れる!!)

 謙也の身体が無数の斬撃を帯びて行く。各箇所から飛び散る血飛沫。着実に未萌奈は想力を取り戻していきつつあった。
 刃にありったけの想力と殺意を込め重く手痛い一撃を加えて行く。
 確実に謙也を追いやって行く中。残り時間は10秒を切る。

 (ここらが潮時……一気に首を刎ねて、殺す!!)

 残り時間限界寸前となった未萌奈は黒鴉の太刀筋を謙也の首元へ向けて全想力を込め思い切り止めの一撃を振り切る。

 だがその刃は首筋を通る事はなかった。謙也は左手で鷲掴みにし未萌奈の太刀筋を止める。未萌奈は全身に悪寒が走った。

「俺の首取りたきゃ四肢全部斬り落としてからにするんだったな」

「なっ……!?」

 謙也は力強く握ったままの黒鴉を手繰り寄せ、未萌奈へそのままボディーブローをぶちかます。
 あまりにも鈍重な一撃に防御に割く暇は一切無く、勢い良く殴り飛ばされる。

「う……ぅぅ……!」

「なんで土壇場で対応出来たんだこいつはって顔してやがるな。気分が良いから教えてやるよ。土壇場だからこそだ」

「ど……どういう意味よ……」

「あの空間内ではほぼ全ての五感が9割9分無かった。お前の姿だって見えないし痛覚もねぇもんだからまともに攻撃をくらってても実感がねぇ。
 どうしたもんかと思ってたんだが時間が経っていくに連れて少しずつ五感が戻って来てる事を確信した。ぼんやりだがお前の姿も捉えられるようになってた。」

「な……にぃ……」

「同時にお前の攻撃も少しずつ威力が増していってる事もわかってた。この仮想空間が解けるギリギリで全力の一撃をかましてくるだろうってのは容易に想像出来た。
 後はそれ待ちで想力の高まりと殺気を迅速に察知して対処するだけ」

「五感は完全に奪ってた……!効果時間だって後半になるに連れて弱まっていくなんてあり得ない……!!」

「んなもん知らねぇよ。最後の一撃、俺にはハッキリと見えたぜ。お前の姿も殺気も視線も全部な。察するにお前の練度不足ってとこだろ」

「…………っ!!」

「でもまぁ凄いと思うよ。本気で殺すって意思がビンビン伝わって来たし……まじで死ぬかと思ったからな」

「まだ……終わってない……!」

 未萌奈は未だ勝機から目を背けていない。必死に次の手を思考する。
 だが先ほど受けた一撃は昨晩に比べても威力は更に増しておりろくに立ち上がる事すらままならなかった。

「ははっ!辞めときなって。もう立つ事すらできないだろ。あばらだってイってる筈だし」

「うるさい……あんたは私に殺される事だけ考えてろ」

「良い加減さ。屈服して欲しいんだよね俺に。力の差はもうわかったでしょ?
 俺にとって女は2種類しかいない。俺が何もしなくても俺を溺愛してくる女と嫌悪感剥き出して俺を拒んでくる女。
 前者は飽きて来たら適当にボコして殺すだけだけど後者が特にトキメクんだよね」
 
「わからせ?って言うのかな。そういう反抗心剥き出しで死ねだのキモいだの言ってくるやつを気が済むまでボコボコにする。
 そうしたらきっと女だからってここまで殴られたりした事なかったんだろうなぁ。無様に泣き喚きながらもうやめてだのなんだの言ってくんの。そっちから喧嘩売って来たのにな。
 そっからは媚びへつらわせて奴隷みたいにしてよ。飽きたら捨てるってのが俺の生き甲斐なの」

「まぁ簡単な話。今すぐ人権捨てて無様に土下座でもしてちょうだいって話だ。お前のその醜態見るまで殺したく無いんだよ」

「……気色悪い趣味」

「はぁ……うっかり殺しちゃわないか心配なんだけど……仕方ないか」

 ドゴッ!!

 バキッ!!

 ズガァッ!!

 倒れ込む未萌奈に対して容赦なく死なない程度に蹴り続ける。

「ほらほらぁ痛いでしょ?もうやめてって縋りついて来いよ早くさぁ!!」

 どれだけ痛めつけても折れない未萌奈に対して苛立ちが募って行く。謙也の蹴りもより過激になり未萌奈は必死に蹲ることで耐え忍ぶ。
 我慢の限界が訪れた謙也は未萌奈の頭を掴み、そのまま片手で持ち上げる。

「いつまでも気長に待ってやる程気は長くねぇんだ。そろそろ飽きた。みっともなく死んでくれ」

 謙也の拳に憎力が漲って行く。
 明確に実感し出す。目前まで死が迫って来ている事を。
 未萌奈は意識も朦朧と始め身動き一つ取れない。発言一つもままならないでいた。

 (悔しいな。絶対勝ってやるって思ってたのに。結局みんなの足引っ張っちゃっただけだったな……)

 ――――――――――
 
『未萌奈は……幸せな旦那さん見つけてずっと幸せな人生送ってね……ちゃんと長生きしなきゃダメだよ』
 
 ――――――――――
 親友の最後の言葉を走馬灯の様に思い出す。

 (ごめんさゆ。約束守ってあげれないや)

「死ね!!!」

 謙也の拳が未萌奈の顔面を向けて繰り出される。
 死を覚悟して未萌奈は静かに瞳を閉じる。

 ドガァァ!!

 直後激しい打撃音が鳴り響く。だが不思議な事に痛みはなく目を開けると謙也は突如颯爽と現れた一人の男により蹴り飛ばされていた。
 倒れ込む未萌奈を男はサイドテールを靡かせながら優しく抱き抱える。

「わりぃ。遅くなっちまった」

「達……樹……」

ーーーー to be continued ーーーー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...