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第50話「いつも通りの全力全開!見つけ出した突破口」
しおりを挟む輝世達樹が野々原圭太と交戦を開始する一方。市導光也と楠原隼人もまた圭太の憎力が膨張した事により産み出された憎愚と衝突していた。
炎を主な戦闘手段として扱う隼人であったが対する憎愚コウチュウは炎を捕食する能力者であり苦戦を強いられる。
そんな中対戦相手を変えるよう促される隼人であったがこれを拒否する。
「あいつよりも強い憎愚は確実に存在する。今後また炎が通じない憎愚が現れた時、ここで引いたらまた逃げ出さないといけなくなる。そんなのは願い下げだ」
「不利な事から逃げちゃダメだ。もしここであいつを炎を持ってして攻略する事が出来れば……次同じ条件下に置かれても逃げなくて済む」
今後の戦いの為にそして自らの更なる成長の為に真っ向から受けて立つ決断をする隼人。
隼人は自らに宿るアイドル。灯野優菜を完全顕現させ両者の協力プレイでコウチュウを打破すべく再び挑む。
――――――――――
完全顕現により豪大に発せられる想力に当てられ本領を発揮し優菜へ襲いくるコウチュウ。優菜も油断慢心はせず敵を見捨てて構え撃つ態勢を取る。
コウチュウの手足は短く近距離戦闘が主な戦闘手段となる。一方優菜も主な戦闘手段は近接戦での物理攻め。
隼人同様ウィザリングブレイガンによる斬撃や銃撃も可能ではあるがその精度は隼人には劣る。純粋な火力であれば優菜が勝るが強力な攻撃も当たらなければ意味を為さない。優菜は拳に力を込めてコウチュウを見据え拳を捌いていくが随所で違和感を感じる。
(ダメージにバラつきがある?モーションは全力で撃ち込んできてるはずなのに……違和感がすごい。何よりなんの意味が……)
「油断してるとどデカいのが来ますわよ!」
「っ!?」
そう言って次に放たれた拳はこれまで捌いていた物比にならない程の威力だった。咄嗟に両腕でガードした優菜だったが大きく殴り飛ばされてしまう。
「ようやく当たりが出たみたいですわね。骨にも響いたのではないかしら?」
「くっ……!タメが一切なかったから油断しました……!!」
咄嗟に同モーションから繰り出される膨大な破壊力を持った一撃。だが奴の口振りと反応を見るに狙って出したわけではないと隼人は推測する。
『優菜ちゃん。奴のからくりがおおよそ読み解けた』
「本当ですか!?」
『あいつは自分が繰り出す攻撃の威力をコントロール出来ない。そして奴は攻撃の直前に4本あるうちの余った2本で後ろの斑点に必ず触れてる。おそらく斑点に触れる事で威力を底上げ出来る何かしらのトリガーになってるんだろう』
「察しがいいわね金髪坊や。どうせあなた達に勝ち目はないから教えてあげる」
コウチュウの固有能力は『三色賭博』自らの背中に刻まれている全20箇所の三色の紋に触れる事で低威力、通常威力、超破壊力の三択の抽選を行っている。
それぞれ低威力、通常威力が18ヶ所。残りの2箇所に超破壊力が割り振られている。抽選は触れる度に毎回行われそれぞれの箇所は毎回異なる。
「つまり10%の確率でさっきのどデカいのが不意に来るって事ですね」
「そう。そしてさっきの一撃で引いていた当たりは一つ……くふふ、二つ同時に引いてしまった日にはあなたの貧弱な身体なんて一瞬で木っ端微塵よ!」
そう言うと再びコウチュウが殺意を剥き出しにし襲いかかってくる。
防戦一方の最中優菜は必死に思考を巡らせる。
(先ずすべきは腕をへし折る事!?でもそんな隙は全然与えてくれないしそっちに集中してる隙に当たりを引かれたら致命症は免れない……そもそもこっちの攻撃がまともに入らないんだし腕を使えなくしたって)
ひたすらに打開策を思考する事に集中してしまい一瞬攻撃防御共に疎かにになる。
「ガラ空きよっ!!」
そんな一瞬の隙をコウチュウは見逃さず両腕での拳を優菜の懐へ叩き込む。
「がはあっ!!」
血反吐を吐きながら殴り飛ばされる優菜。再度致命傷を負ってしまう。
「あら、また当たりね。今日はツイてるみたい」
「ぐっ……!!」
(一つの当たりでこのダメージ……!きっつい!!)
20個の抽選枠の内同時に2つを抽選した際にどちらも当たりを引く確率は0.5263%である。
二つ同時の確率なんて限りなく低いけどもし重なってしまったらと考えると勝機を見出せてない以上、攻撃よりも守りに念頭を置かざるおえない。
八方塞がり且つ不安に駆られる優菜を見て隼人が話しかける。
『優菜ちゃん』
「隼人さん!どうしましょう!このままじゃ負けちゃう!!私に何かあったら隼人さんが死んじゃう!そんなの絶対ダメですっ!!でもどうしたらあいつに勝てるか全然わからなくてっ!」
(全く……死ぬのは俺だけじゃないんだけどな……)
自分の事は考慮せず隼人にもしもの事が無いようにとひたすらに考える優菜へ隼人は一つ助言する。
『何も考えないで行こう』
「えっ!?でもあいつに炎は効かないんですよ?」
『大丈夫。考え無しで言ってる訳じゃない。一旦守りに割いてる意識の大半を攻撃に振ろう。炎も纏った上で全力でとにかく攻めまくろう』
「で、でももし2つとも当たりを引かれたら……」
『……俺は優菜ちゃんが大好きだ』
不意に訪れた沈静の間。突然の言葉に優菜の頬は赤く染まる。
「……えっえぇっ!!?きゅ、急に何を言い出すんですかっ!?」
『いつも前向きでポジティブで、情熱的で、元気いっぱいの君がそばに居てくれるおかげでいつも助けられてる。初めて会った時からずっと』
『アイドルとしても戦士としても誰かの為に強くなろうと、いつも全力で頑張る優菜ちゃんならあんな奴に負けはしない。いつも通りの全力全開の優菜ちゃんでぶつかれば絶対勝てるよ』
「隼人さん……」
優菜の瞳に闘志が宿る。恐怖心を拭い去り勝利のイマジネーションを携え一人の戦士としての心構えとなる。
「行けそうかな?」
「もちろんです!!」
ゴオオオォォォォ!!!
優菜の想力がとめど無く溢れ出てくる。抑えていた炎の出力を全開にし業火が渦巻く。
その変わり様に動揺するコウチュウだったが戦況に影響は無いとすぐに立て直す。
再び対峙する両者。先手を打ったのは優菜だった。優菜はフル出力で一切躊躇する事なく業火を宿した両拳、両足で激しく攻め立てる。
「血迷ったのかしら!?無駄だと何度も言ってるでしょう!?」
コウチュウの言葉には一切耳を貸さず攻撃を止めない優菜。炎は吸収され続け致命傷にこそ至ってはいないが物理でのダメージは蓄積されていく。
(この程度のダメージ……!なんて事はない。死には至らない!そんな事わかってるはず……なのに何故こいつはここまで迷いなく拳を振るってくるの!?)
「はああああぁぁぁぁぁ!!!!」
今の優菜は効いている効いていないは一切考慮していない隼人の言葉を信じ細かい事は一切気にせず全力で猛攻を仕掛け続ける。
(優菜ちゃんと特訓を重ねていく内にわかった事がある。優菜ちゃんは状況に応じて戦闘スタイルを使い分けて戦うのに不向きなタイプだ。
イレギュラーな場面に出くわして自分の戦闘スタイルが確立されなくなると一気に崩れてしいがちな弱点がある)
だが一方で彼女独自の強みもまた確かに存在していた。
突破口が見つかった時。自分のやるべき事が明確に理解できた時優菜の真価は発揮される。余計な雑念を振り切った何も考えてない灯野優菜は強い。
そんな彼女の猛威の前にコウチュウはなす術なく殴られ続けて行き最後に優菜の飛び蹴りがコウチュウの顔面を捉え蹴り飛ばす。
「ぐっ……いい加減にしなさいこんな事を続けたって無意味だと言ってるでしょう!?……うっ!?」
オボロオオォォォ!!
すると途端コウチュウの口から絶えず逆流し溢れ出てくるのは想力を帯びた優菜が与え続けた炎。
「こ、これは……!?」
『お前はさっき捕食し喰らい続けると言った。つまりお前の能力は炎を無効化するなんて高尚なもんじゃない。必ずキャパシティが存在する』
「……という事はつまり?」
『お腹いっぱいって事だ』
「なるほど!!」
優菜もここで隼人の思惑を理解する。
「お、おのれええぇぇぇ下民風情がああぁぁぁ!!!」
『決めちまえ優菜!!』
「はいっ!!」
優菜の発した業炎によるエネルギーが超高熱度の太陽が如し球体を作り出す。標的は正面から襲いくるコウチュウへ寸分の誤差なく照準を定める。
「バーニングボンバアアアァァァァァ!!!」
向けて力強く右拳を握り締め、ありったけの力を込めて殴り飛ばされた球体は見事コウチュウを捉え奇声と共に爆発四散した。
『やったね優菜ちゃん』
「はいっ!私達の勝利です!!」
勝利の余韻に浸っているとすぐさま完全顕現した桐咲瑠璃華が駆け寄ってくる。
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「まだ戦闘は終わってないわ。中でまだ達樹達が戦ってる。るり達も行くわよ」
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各自憎愚を撃破した光也、隼人達は達樹の元へ急ぐ。
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