アイドル・インシデント〜偶像慈変〜

朱鷺羽処理

文字の大きさ
53 / 86

第53話「集う新鋭達!いざ行かん想武島!

しおりを挟む

2023年 8月1日 9:30分

「ここが東京港かぁー!!」

『天気も最高ですねっ!』
 
 夏風の心地よさを全身で感じながら深く息を吸う。天気も良好。輝世達樹、春風大我は集合場所の東京港へ到着した。
 合同強化合宿が行われる想武島へ向かう大型客船の前に集まる一癖も二癖もある輩やあからさまに一般人ではない気迫に満ちた面々もいる。
 いずれ手合わせする事となる強者達に心躍らせる達樹であったがそんな中目に入ったのはかつて命を張って共に共闘した前髪ピンクのツインテ地雷少女三竹未萌奈の姿。

「おー!未萌奈じゃねーか!久しぶりだな。元気にしてたか?」

「別に普通よ。とりあえず暑っ苦しいから離れてくれる?」

 そう言う未萌奈の口振りはいつにも増してトーンダウンしており気怠げそうなのがこれでもかという程発せさせており無言の圧を感じる。
 暑さを少しでも和らげる為か後ろ髪もツインテールにまとめられておりよりボリュームが増している。

「みもちーは暑いのにとことん弱弱屋さんだから仕方ないのでち。その点えむちゆはさいかわ遺伝子を含んだ超絶ハイブリッドヒューマンなのでへっちゃらなのでち!」

「……えっ?……なんて?」

 未萌奈の横にいたショートツインの小柄の女子。いきなり達樹へ話しかけて来たと思えばその言語はまさに混沌を極めていた。瞬く間に沈黙が発生する。

「えっ?……ま、まさかえむちゆの最適化された宇宙一かわちい言語が……通じていないっ!!一大事でち!エマージェンシーでち!誰か救急車を!目の前にド級のおばかさんがいます!」

「……おい、こいつは一体何者なにもんだ」

「私と同じ四番隊の越ヶ谷恵夢こしがやえむ。いつもこんな感じだから気にしないで」

「こいつも抗者なのかよ!?」

「言っておきまちゅが、えむちゆとみもちーとくすみーの三人が合わされば天下無双!一騎当千でちよ!」

 まじで熱いからやめろと付き離す未萌奈の逆側で恵夢に抱き寄せられていたのは黒髪ロングの女性、見るからに大人しそうな性格が滲み出ている。前髪も目がほぼ見えない程長い。口振りから同じ四番隊の仲間なのだと達樹は推測する。

灰羽久澄はいばねくすみ。お互い全力を出し合って悔いのない結果にしましょうね」

「はいっ!」
 (これだけでわかった。この人は常識のある良い人だぜ)

 その後未萌奈達に着信が入る。隊長が到着したから先に行くとこの場を離れて行こうとするが未萌奈がふと立ち止まる。

「言い忘れてた」

「?」

「あの時はありがとう。でも今回のこれとは関係ないから容赦はしない」

「!……あぁ。望むとこだ!!」

 そう言い残して未萌奈達は去っていった。その後ろ姿からは勇ましさすら感じ、以前の未萌奈よりも更に強くなっている事が見受けられた。

 (強くなってんな未萌奈……他の二人だってきっと強ぇはずだ。へっ……わくわくしてきやがった!)

 友の確かな成長に心躍らせていた矢先、物陰から何者かが達樹へ襲いかかる。

「っ!?」

 バシッ!!

 達樹は即座に気配を察知し幻身。目の前の男は仮面を付けていた。繰り出された空中での踵落としを片腕で受け止める。一瞬奇襲かと身構えたが繰り出された一撃に殺意は感じない。となると敵の意図がわからない。あらゆる思考を巡らせる中仮面の男が口を開く。

「いやはや恐れ入りました。そこらの雑魚はこれで仕留めれるのですがやっぱり拙者の親友はお強い!」

「!?……その声は……!」

 聞き覚えのある声は自分の事を友と呼ぶ。達樹は驚きの表情を隠せない。
 男は意気揚々と仮面を取り友の前に成長した姿を公開する。

「お久しゅうでござるな達樹殿!寺田卓夫!長くに続いた地獄の特訓を経て再び見参!」

「た、卓夫ぉぉ!?」

 達樹の目の前にいる寺田卓夫を語る男は以前の彼の外観とは似ても似つかなすぎる姿と化していた。
 体型や髪型も以前の姿からブラッシュアップされておりそこから不潔感は一切感じさせない筋肉質で健康的な人間と化していた。

「どうですかな達樹殿!これはもうめちゃモテ委員長もといめちゃイケ男子高校生としか言いようがないでしょう!拙者イケメソパラダイスのオーディション受けて来てよろしか!?」

「いや……爽やかになったのは良い事なんだろうけどさ……なんていうかその……アイデンティティーが……」

「のおおおぉぉ!!?ま、まさかこんな微妙な反応されるとは微塵も思ってなかったでござるよ!?普通にすげー!とかモテモテだなとかそういう感じの事言って拙者の自己肯定感爆上げさせてくだされ!?」

 卓夫はエレンジーナの猛特訓の末無駄な贅肉や体力不足が改善されていた。彼女の美意識へのこだわりもあり肌ツヤなども良くなっている。
 だが内面や喋り方は相変わらずなようで達樹は心なしか安心する。

「本当に強くなったんだな。嬉しいよ。めっちゃな」

「うむ!今なら達樹殿にも負ける気はしませんよ」

「へっ言うじゃねーか。俄然楽しみになって来たぜ」

 親友との久々の再会に感情に浸る両者。だが明日には共に力をぶつけ合い戦い合う相手でもある。力を付けた卓夫を見て達樹は更に胸の高鳴りを確かに感じていた。

「卓夫ー!エレン先生が10秒以内に来ないと髪全剃りって言ってるネー!」

 船上からひょいと顔を覗かせて一人の少女が声高に叫ぶ。

「なっなんですとおおぉぉぉぉ!!?た、達樹殿また後でお会いしましょう!なんか船内にはプールとか色々あるみたいですぞ!」

「マジかそれは!?」

 卓夫は自らの毛髪を死守するべく急いで船上へ向けてジャンプして飛び立つ。その最中達樹にこれだけは伝えねばと言い放たれる。

「あ!それと!」

「な、なんだ?」
 (言い残すの流行ってるのか?)

「拙者達三番隊の烈矢殿には気を付けてくだされ!それはもうめっちゃくっちゃに!」

「め、めっちゃくちゃに!?」

 最後にモヤモヤを残されてしまった達樹。内容も抽象的でイマイチ何に気をつければ良いかわからない。
 どうしたもんかと頭を悩ませると同時に脳天へ手刀が突き刺さる。

「いってぇ!?」

「遅い」

「遅刻だ。めっちゃくっちゃな」

 達樹へ怒りの手刀を繰り出したのは同じく五番隊の同期である市導光也。隣で澄ました顔で遅刻の圧をかけているのは同じく五番隊の三人を束ねるリーダーとなった楠原隼人。
 
「は!?ちゃんと9時半には着いてただろーが!」

「8時半だ俺達の集合時間は」

「え?マジ?」

 衝撃の事実にスマホを確認すると確かに8時半港へ集合と記されていた。

「8と9って見間違いやすいよな。寝ぼけてると特に。改正したほうがいいと思うなやっぱ」

「バカな事言ってねぇで行くぞ。出航時間も迫ってる」

「恋さんは?」

「他の隊の隊長さんとバスケしてる」

「バスケもできんの!?」

 こうして達樹は想武島への大型客船『ミレニアムクルーズ』へ乗船した輝世達樹一向。全国各地から集められた新鋭ルーキー達による合同強化合宿が今始まる。

 ―― 第2章 合同強化合宿編 to be continued ーー
 

 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...