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第85話「逃げた先は異空間!?模倣されたお台場」
しおりを挟む【聖愛side】
時は遡り8月2日 舞台は想武島 中央区域
アンチメタフィールドが崩壊し数咫姫因子を持つ隊長達の中央区域への突入が可能になる。
巽健吾が迅速な速さで和斗の窮地にかけつける。和斗へトドメの一撃を繰り出そうとした聖愛に対し己の鉤爪状の武器。「紫貂猫爪」を顕現し刃を聖愛へと向ける。
「隊長!!」
「なにしとんねん……聖愛」
「ふっ……相変わらず、速さだけは一丁前だな」
「んな事聞いてへんわ。和斗は同じ八番隊の仲間やろが」
「過去の話だ。今はもう違う。そいつは俺達に仇なす敵だ」
「……俺達って言うのは今責攻めてきてる地下アイドル達の事か?」
「そうだ。俺はこいつらと共に歩む事に決めた。例えあんたに何を言われようが俺の意思は変わらない」
「お前に何があったのかは知らんが……お前をそうさせてしまう何かしらの事がこの短期間で起こったことはわかる」
「あぁ、気付かされたんだ。本来の自分の在り方を。人を平気で傷付ける事に何の躊躇もしない、自分の都合しか考えねぇクズみてぇな人間こそが俺なんだ。あんた達と善人ぶってた頃よりも心底心地いいぜ」
「しょうもない嘘を吐くな」
健吾は淡々と興奮気味に話す聖愛を真っ直ぐ、端的に否定する。
「っ!?」
「お前の良い所も悪い所も側でずっと見てきた。過去の自分の過ちを悔いてた事も、それを必死に思い出さないようにしてた事も知ってる。ある種償いとして憎愚との闘いに身を置いていた事も。罪を罪として受け入れ、自分を咎める事が出来る人間を少なくとも俺は悪人とは思わん」
「……っ」
「今ならまだ間に合う……戻ってこい。上には俺が話をつけたる。お前も心の底ではそんな事望んじゃいないはずや」
沸々と数多の感情が湧き上がってくる。迷い、葛藤、戸惑い、後悔、苛立ち、怒り、数えきれないほどの感情が渦巻き、入り混じり聖愛は激昂する。
「……っ……もう、遅い……遅せぇんだよ……!何もかもがっ!!」
我を忘れて健吾に対し刃を構え向かう聖愛。致し方ないと戦闘態勢を取ろうとする健吾であったがその前に血病が二人の間に割って入り襲い掛かろうとする聖愛を止めに入る。
「お仕事熱心なのは良い事だけど時間切れかなっ。撤退するよ。それに今の聖くんじゃ隊長格には勝てない。まだね」
「……あぁ。そうだな」
二人の背後にブラックホールを模した漆黒の渦が突如出現。徐々に二人の身体が吸い込まれていく。
「逃すと思うか!!」
退こうとする二人を逃すまいと距離を詰めようとする健吾に対し血病は自らの包丁を再び手に取り左腕に刃を添える。
「出血特大サービスっ♡」
血病は今までよりも深く左腕をリストカット。大量の血と共に憎力を掛け合わせて血みどろな姿をした巨大な象「自傷愛象」を血で生成し健吾へ突撃指示を出す。更に破裂させる事で大量の血がそこら中に飛び交う。
(これは触れたらやばい……!)
健吾は想力を解放し全身から衝撃波を出す事で血病の血を浴びる事を回避、一滴も浴びる事なく自傷愛象を攻略したがその一瞬の隙を突き聖愛達は逃亡してしまった。
(全く聖愛の想力を感じられん。追い切れる範囲にはもうおらんか)
「ぐっ……隊長……!」
「じっとしとけ。毒の周りが早くなんぞ」
聖愛を止める事ができなかった屈辱と自分の無力さに打ちひしがれながら遺憾の意を抱きながら和斗は健吾に背負われながら本部の救護室へと運ばれていく。
(聖愛……この大馬鹿野郎が……!大切な物は全て奪われただぁ……?ふざけんじゃねぇぞ……!俺達はお前にとっちゃ大切じゃ無かったってのかよ……!!クソッタレがぁ……)
――――――――――
「なんだここは……?」
迷界渦を経由して出てきた先に見える景色は見覚えのある町並み。だがとてつもない違和感がそこら中に散りばめられていた。電車は走っているが中に人はいない。店内は点灯こそしているものの人の気配はない。無機質な世界に一見見えるがカラスやハト、小型の虫等はまばらに存在している。異質な光景が聖愛の目前に広がる。
(ここは……東京だよな?お台場か?にしても人が居ない。街全体が静かすぎる……平日とはいえ今は夏休み期間だぞ)
「ここは私達だけの世界だよ。誰にも邪魔されない。目障りな物は何もないストレスフリーなサイコーの世界」
「どういう事だ?」
抽象的な説明に困惑する聖愛。そこに迷界渦から帰還した魔虞無達がする。
「お前が血病の言ってた男か。いかにもクズ男ですって感じで俺は好きだぜ!」
「そりゃどうも……って!?」
魔虞無が引き連れていた意識を失っている一人の男を見て聖愛は驚愕する。
(隼人!?なんでお前まで……!?)
「自己紹介が遅れたな。俺は溺愛魔虞無だ。で、こっちは亡骸霖雨。基本的には無口で話しかけてもしょうもない事しか言わねぇからなんかいるなくらいに思っとけばいい。このぐったりしてる奴はまぁ気にすんな。お前と同じで俺らに協力してくれるんだとよ」
そんなバカなと否定したい気持ちを抑えつつも深く突っ込む事は好ましくないと判断し敢えて触れない選択をする。
「そ、そうか。で、ここは一体何なんだ。お台場には何回か来たことあるがこんな殺風景な街じゃ無かったはずだ」
「ここは憎力と想力とを掛け合わせて形成された現実世界とは隔離された擬似空間だ。簡単に言えば現実世界の模造品だな。バカでかい想力と憎力を使っちまうから不必要な物は再現してねぇ」
「別世界を作ったってのか!?まさかそんな事が……」
「ここまで作り込んでるのはこの辺だけだがな。端の方は辛気臭くて居れたもんじゃねぇぜ。墓地とか好きなら好みかもな……まぁ詳しくは移動しながら話そうや。俺らのボスがお待ちだからな」
「あぁ……」
(こいつらを従えるボス……一体どんな奴なんだ……)
―――― to be continued ――――
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