1 / 6
序章ー目覚めー
しおりを挟む
1
「うう……」
「良かった…ほんとうに…。このまま…帰えしてやれないのかと思った…」
熾火色の凛々しい瞳、鋭利な牙、整った顔立ち、銀白色の毛色は月のようだ。少し大きな三角の耳がちょしちょしと動く。
「心配かけて悪かった…。もうあんな無茶しないよ。だからそんな顔するな……」
「俺だけ…!…だって、…俺だけ、生き残るなんて…」
彼の熾火色の瞳がより一層揺らめき、ぽたぽたとしずくが滴っている。
「大丈夫、シュラフトのおかげでまだ生きてる。このザマでもきっと帰れるさ。それより、俺のことを、勝手に殺さないで、くれよな?」
「じゃぁ、心配、かけんなよっ…」
そう言って、彼は引き攣った笑顔で目一杯微笑みかける。俺も少し泣いていたかもしれない。俺の体が、はらはらと厚みの無いガラス片の花弁となって風に吹かれる。少しずつ、少しずつ、俺の存在が消え去っていく…。
「泣き虫だな、お前は」
「カナタも大概だろ?」
そう言ってくる彼の目はいつもより赤い。
「お前は、本当に分かりやすいな」
くすくすと肩を小刻みに震わせて、両の腕で熱く抱擁し、軽く背を叩き労う。
「シュラフト。お前と生きてきた日々は、何にも勝る剣だ。今までも、これからも」
「ああ。俺達はこの剣を以て生きるんだ。何があっても。俺達の剣を証明するために。それが…」
ーそれが、俺達が生きた証になる。
この、《剣の国》の世界で。
「うう……」
「良かった…ほんとうに…。このまま…帰えしてやれないのかと思った…」
熾火色の凛々しい瞳、鋭利な牙、整った顔立ち、銀白色の毛色は月のようだ。少し大きな三角の耳がちょしちょしと動く。
「心配かけて悪かった…。もうあんな無茶しないよ。だからそんな顔するな……」
「俺だけ…!…だって、…俺だけ、生き残るなんて…」
彼の熾火色の瞳がより一層揺らめき、ぽたぽたとしずくが滴っている。
「大丈夫、シュラフトのおかげでまだ生きてる。このザマでもきっと帰れるさ。それより、俺のことを、勝手に殺さないで、くれよな?」
「じゃぁ、心配、かけんなよっ…」
そう言って、彼は引き攣った笑顔で目一杯微笑みかける。俺も少し泣いていたかもしれない。俺の体が、はらはらと厚みの無いガラス片の花弁となって風に吹かれる。少しずつ、少しずつ、俺の存在が消え去っていく…。
「泣き虫だな、お前は」
「カナタも大概だろ?」
そう言ってくる彼の目はいつもより赤い。
「お前は、本当に分かりやすいな」
くすくすと肩を小刻みに震わせて、両の腕で熱く抱擁し、軽く背を叩き労う。
「シュラフト。お前と生きてきた日々は、何にも勝る剣だ。今までも、これからも」
「ああ。俺達はこの剣を以て生きるんだ。何があっても。俺達の剣を証明するために。それが…」
ーそれが、俺達が生きた証になる。
この、《剣の国》の世界で。
10
あなたにおすすめの小説
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる