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第二章 始動
【退職】
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【退職】
辺境泊邸に無事に着いた。ラルドフとフィオーネもいっしょだ、二人は夏期休暇の約1ヶ月ほど自宅に滞在する
一息してリビングに集合した。ラルドフとフィオーネは休憩中だ。
「最初はどうなるかと思ったが、結局はルーカス殿の書いた筋書き通りになったようじゃの?、アメリア殿が子爵に叙爵されるとは思っておらんかったわい。」
「私が書いた筋書きと言うよりは王家の思惑に沿った筋書き通りって言うのがアメリアの件も含めて正しいんですけどね、わたしは証拠を集め他だけに過ぎませんから・・・」
「しかし、王女まで押し付けられるとは思いませんでしたよ。そう言えば公爵から行き遅れって聞きましたけど、幾つなんですか?、」
「24だったか25だったかそれくらいだったと思うが・・・」
「25で行き遅れですかぁ・・・僕らの感覚だと今からって感覚ですけどね、随分以前は25過ぎると行き遅れなんて言われてた時代もありましたけど、今では30過ぎなんて普通ですよ。」
「普通は王家の娘が行き遅れなんて事にはならないんだが、彼女は特別でな・・・」
「どう特別なんですか?、貰う方としては気になりますが・・・」
「うん、彼女はなんというか、その、あれだ・・今は近衛兵の副団長をしていてな、自分より弱い男とは絶対に結婚しないと明言していたからな・・・」
「それじゃ、僕は駄目じゃ無いですかぁ・・・剣なんてからっきしですよ。」
「そこは国王の王命って強権を発動するんだと思うぞ!、だから輿入れしてきてからが大変だぞ、じゃじゃ馬だからな・・・国王もうまい事やりおるわい、ははは」
「こっちは笑い事じゃないですよ。」
「久志、あんまりわがままだったら私が躾けてあげるわ。」
「うん、よろしく頼むよ。」
「ところで辺境伯様、国王が言っていた、奥様の事はどうなされるつもりですか?、まさか黙って差し出すつもりじゃないですよね。」
「そのつもりだけど・・・是非もないだろう、神託だよ逆らえるはずなんかないじゃないか…泣く泣く差し出すよ」
辺境伯はそういいながらも顔は平然といや、むしろ微笑みさえ浮かべている…
(考えてみればあれには随分と苦労を掛けた、これで周りに迷惑を掛ける事無く解放してやれるわい、願わくば幸せになってもらいたい)
辺境伯の顔色をうかがうと、手を挙げて仕方ないといったポーズをしている。
「取り敢えずアメリアに子爵に叙爵されたのを伝えねばなるまい。」
アメリアが呼ばれた。..
「お父様、帰られたばかりでお疲れではありませんか?」
「まあ、そうなんだがお前の今後の処遇に付いて伝えて於こうと思ってな、正式には後日王都へ行ってもらう事になるが・・・」
アメリアは不安そうにしていた。
(何だろう、今回の王都行きでは少なくても私は何も関係なかったはず、きっと王都で何か決まったんだわ、どっかに嫁がされるのね、獣魔がスライムじゃ先は知れてるわ。
下手すれば年の離れたオークみたいなおやじの妾って事も有りうるわ。
はぁ、どうしてこうなったんだろう、もっと早く、自分の気持ちに気がついて、ルーカスと・・・今更、後の祭りだわ)
「アメリアお前は今度、子爵に叙爵される事になった、領主としてとして独立だな、お前にはアルデンヌ領が封土される事になる」
「えーーっ、わ、私が子爵、なんで、どうして?」
アメリアはパニクっていた。どっかに嫁がされる話だとばかり思っていたのに子爵に叙爵だなんてなんでよ。
「今回の功績を認められたんだ、つまりは、クリストフ男爵の不正を暴いた功績がそれだけ大きかったって事だ。」
「私は何もしていないし、知りもしないわよ、なのにどうして」
ルーカスがこそこそと動いていた事は知っているけど、それについては話は殆ど聞いていないわ、全部、ルーカスの功績じゃない
「私では無くルーカスの功績でしょ、私じゃ無いわ」
「ルーカスはお前の従者だ従者の功績は主の功績となる、それにルーカスも男爵に叙爵される。」
ルーカスが男爵に叙爵されると言う事はルーカスとの結婚も可能になる事を意味するがまだ、そこまで頭が回っていないアメリアだった。
「ルーカスは男爵に叙爵されるが領地は留保された、その代わり王都に屋敷は与えられた、男爵としては大きすぎる屋敷だ・・・
お前には領地は与えられたが王都に屋敷は与えられていない、これが何を意味するか分かるか?」
「子爵にしてやったんだから王都の屋敷ぐらい自分で用意しろって事かしら?」
本来、この娘は子爵としてやっていけるだろうか心配したくなるところだがルーカス殿がいるから心配はあるまいが、我が娘ながら馬鹿すぎる」
「お前はルーカス殿が嫌いか?」
「いえ・・・そんな・・・その・・・」
「はぁ、もう良い、自室に帰ってよく考えろ」
(考えろって言われても何をどう考えた良いのよ、行き成り子爵で領地あげますなんて言われても領地の運営なんて手伝った事もないし分かんないわよ、どうしたら良いの?。
ルーカスは手伝ってくれるかしら、でも男爵に叙爵されるって事は従者では無くなるって事よね、でも、封土はされない・・・じゃ、ルーカスは私を手伝ってくれるかしら)
♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪
リネーナ夫人が呼ばれた。
侯爵が国王が神託を受けた話をすると、どうやら本人も女神より夢の中で神託を受けていたらしい・・
「ただの夢かと思っておりましたわ、本当のご神託だったわけですわね」
「ご神託とあれば私は嫌でも逆らうわけにはいかないでしょう、仕方がないわこの辺境領の礎となる覚悟でいばらの道を歩むことを決意します。」
と口では大層なこと言いながら顔はにやついているリネーネ様だった。
「今は、戸惑いが先で、今後の事については落ち着いてから相談しながら決めましょう、巫女と言っても様は小間使いみたいな物ですから深く考える必要はありません。」
リネーネ様は満面の笑みで宜しく頼むわね、といって部屋を出て行った。
二人は準備が整い次第、王都の家敷に言って貰うことにする、そこで色々とレクチャーした後は向こうの世界に常駐してもらうつもりだ…
そんな、人の不幸を俺に押し付けられてたまるかっておもうが、向こうの世界のスタッフは居たほうが良いのでそういう意味では歓迎なんだけどね。
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚
部屋に戻るとソフィーが来ていた。
ソフィーと奈津と俺の三人でオレリー様の事などを話している時にアメリアがやって来た。
「ごめんなさい、手柄横取りしちゃって・・・」
アメリアが珍しく謝ってきた。何となく謝る事はするが、行き成り謝ってきたのは初めてだろうと思った。
「謝る必要は無いよ、元々そうなるのは分かってたし、っていうかそうなるように仕向けたのは俺だし。」
「どうして・・・」
「だって、従者が主の為に働くのは当たり前だろう、獣魔は解消したけど、従者は首にされたつもりは無いからね。それとも首にするかい?」
「ううん、そんなつもりは無いわ、ルーカスは男爵になっても私を手伝ってくれるの?」
「あぁ、当然だろ」
「「「・・・あ・り・が・と・・・」」」
アメリアは照れくさそうに礼を言った。
(あぁ、やっぱり私はこの人が好き、好きなんだわ、一緒にいたい)
「おめでとう御座います、アメリア姉様」
ソフィーはアメリアを心から祝福してくれた。
「今ソフィーに話していた所なんだがリネーネ様が家を出る事になった。」
「えっ、どうしてなの?」
「世界神の神託があったんだ、多分近い将来、リネーネ様は向こうの世界で暮らす事になると思う。..」
「お母様達は眷属になるの?」
「それは未定だが、俺の眷属にはならない可能性が高い・・・なるとすれば向こうで俺以外の者の眷属になる可能性が高い」
「そうなんだぁ・・」
「まだ、確定では無いけどね、俺もリネーネ様の事は聞いたばかりだからまだ、どうして良いかは流動的なんだ・・」
そんな訳で、俺たちは一旦、帰って来るからソフィー達はお母様と一緒に待っていてね。
俺たちは用事を済ませたらすぐに戻ってくるから…
♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪
俺と奈津は元の世界へ転移した。
転移した先はマンションのリビングだった。
「ふぅ、なんだかんだで疲れたなぁ…」
「シャワー浴びようか?」
「それって誘ってるの?」
「もちろん!」
「ちょっと、恥ずかしいじゃない…明るいし…あぁ、、明るいところはちょっと・・・」
シャワーで汗を書くような事を致してしまったので、また、シャワーを浴びて・・上がってきた。。。
(全く、盛りの付いたガキと変わらんな)
なんか、疲れたけど、気分はさっぱり・・・
「やっぱり奈津は良いな…色々と...」
「もぅ、恥ずかしいこと言わないの…」
「てへ・・」
「ねえ、久志、あぁ言ってたけど、リネーネ様は眷属にするつもり?」
「今のところそれは考えてないかなぁ…従属はさせるつもりだけど…」
「あのさぁ、あたしがこんなことを言うのは変だけど、ここを任せるのならちゃんとあっちも満足させてあげたほうが良いと思うの、知らないなら知らないでいいの、でも知ってしまっている以上、その不満はトラブルを呼びやすいと思うわ・それか誰かしっかりとした監視を付けるか…」
「そうだね、考えてみるよ。」
「あれ、アメリアのお母さんは好みのくせに…」
「確かにそうだけど、アメリアのこともあるし親子でって言う訳にも行かないでしょう…」
「今更って気もするけど・・・」
奈津はあまり気にしてはいないようだが、そう良いながらも扱いは注意しないととんでもない事になりそうな予感がするぞ!
「俺はこれから会社に行ってくるけど奈津はどうする?」
「会社?、仕事?」
「いや、退職願を出してくるだけさ・・それから何か品物でもあさろうと思ってるけど?」
「じゃ、私は眷属のあてにあってくるわ、どちらかが終わった時点でメッセージを入れるようにしましょうか、、お互いが終わってから待ち合わせ場所を決めましょ。」
「OK」
俺は会社に退職願を提出した。
結果、別室に呼ばれさらに上司の上まで呼ばれて引き留められたが決意の変わらないことがわかってもらえて退職届が受理された。
会社から貸与されていたスマフォやPC等の機材を返して、退職金等は振り込みに、まだ当面こちらにも住所を置くつもりなので保険の切り替えなども必要になってくる。。
「なぁ、篠崎、これからどうするつもりだ?」
元上司は俺の事を心配してか、今後の予定を聞いてきた。
「そうですねぇ、もっといろんな国を回ってから決めたいと思っています。」
これは嘘ではなかった、もっと他の国の状況を自分の目で見ておきたいと思った、まあ、ちょっと違うのは異世界ってだけなんだけど・・・
その頃、奈津は某大学にいた。
「ねぇ、彩矢これ見てみない?」
彩矢は大学院を卒業後、大学内へ研究員と言う形で努めていた、研究員と言っても実際は年収300万程度の薄給で働いていたがその職も無くなってしまい、丁度のその日は私物の整理のため大学へ来ていた。
「んーーっ」
「えっ、なにこれ?、CG、合成?」
彩矢が見た写真は奈津が異世界で撮ってきた魔物や盗賊、王都の写真など・・・
「リアルよ、今私、異世界で仕事してるのよ」
「えっ、美容部員はどうしたの?、何なの?」
「美容部員は止めたわ、給料は特にもらってないわね、必要な物は別に何でも替えるし、どう?、アナタの知識を生かして内政チートしてみない?」
「ちょっと、30分ぐらい待ってよ、それから詳しく聞かせて・・・」
「良いわよ、学食で待ってるわ・・・
時間が遅かったのもあって既に定食類は終了していたのでカレーを頼んで、食べ終わった頃に彩矢はやって来た。
「奈津は眷属の話も含めてある程度の概要を話して聞かせた。また、直ぐに異世界に戻ることも含めて・・」
「んー、とても興味深いしやってみたいと思う。でも、お姉ちゃんは平気なの?」
「なにが?」
「なにがって、その眷属になるって事はその、しちゃうんでしょ?、お姉ちゃんは久志さんの事好きだから焼き餅焼いたりしないの?」
「んー、全くという訳じゃ無いわ、でも、他にもいるのよ、いちいち焼き餅焼いてたらきりが無いわ、その辺は何とか割り切れたかなって感じ、それより彩矢の方はそっちは大丈夫なの?、いやいやだったら続かないと思うし・・・」
「それは大丈夫だとおもう、割と好みのタイプだし、今まで話したりしてた範囲では思ってたよりは頼りがいもあるし良いなっては思ってたよ。」
「へぇーあんたって久志とそんなに話した事ってあったっけ?」
「んー3年ぐらい前からかなぁ・・・彼が仕事でうちの大学に来て偶然会って、その時に彼が困ってたから教授との間を橋渡しした事があってね、それから、たまにご飯を奢ってもらってた・・・」
「えーーっ、あんた、私の気持ち知ってて久志と会ってたの?、」
「だってぇ、お姉ちゃんはもう、すっかり諦めてたし、今更、思い出させるのも可哀想だと思ったし、私は貧乏だもん、たまには美味しい物も食べたかったし、お酒も飲みたかったの...ごめん・・・」
「たまにってどれくらいよ、2,3ヶ月に1度ぐらい?」
「んー、そうねぇ、月に2,3回ぐらいかな?」
「それって、たまにっていうか、頻繁っていうんじゃないの?、あんたまさかすでに関係有るとか言わないよね?」
「あ、それは大丈夫、彼、身持ち堅くってさ、一度、ホテルで食べた後、ラウンジで飲んで瞑れた振りして誘ったけど・・・部屋取って一人寝かされて帰って行ったよ。あぁ、あの時は悲しかったなぁ・・おニューのパンツをわざわざトイレで着替えたりして・・・」
「あんたそんな事したの?、もしも変なことにでもなってたらどうするのよ。」
「別に良いじゃない、犯された訳でも犯した訳でも無いしさ、それに私、研究漬けで気がついたらこの歳で処女よ、流石に恥ずかしいじゃ無い、だからって誰でもって訳にも行かないしちょうどお手頃だったのよ」
「はぁ、この子ったら・・・何がお手頃よ、私なんてまだ、ファミレスしか一緒に行ったこと無いのに・・・」
「ファミレス良いじゃない、私、彼とは行った事は無いわー、その点ではお姉ちゃんが優勢なんだから良いじゃない」
「何が優勢よ、あんたは何処でたべてたのよーっ」
奈津は愛彩のほっぺを引っ張りながら、問いただしていた・・・
「や、やめて、痛い、言うから止めて・・・」
「もう、すぐに暴力を振るうんだから、そんなんじゃ嫌われちゃうぞ!!」
「なに、もう一度、試してみる?」
「いえ、結構です、」
「心配しなくてもたいしたところは行ってないわよ、その時食べたい物を食べに行った位よ、お寿司、焼肉、和食って感じで特に気にしてはいなかったわ」
「な、何よそれ、しっかりデートしてるんじゃ無い。」
「うーん、そうかなぁ」
久志が美恵子と結婚してからは意識して遠ざけていたのに彩矢は逆に近づいていたなんて、はぁ、笑うしか無いわね。
(あっ、あの時、私が電話しなかったら・・・もしかすると立場は逆転していたかも知れないわ・・・いえ、絶対してたわね、愛彩は私と違って押しが強いから
妹から話振られるなんて悲しすぎる。やっぱりあの時電話したのって運命だったのよね。)
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・
二人は待ち合わせた。
「どうだった、会社は辞めれたの?、こっちは仕事が終わり次第、久志の家に来るようになってるわ」
「うん、会社はちょっと手こずったけど、辞めたよ、そっちはどんな雰囲気?」
「多分行けると思うよ。」
「そっかぁ、ま、奈津がいいと思う人なら俺としては反対はしないけどね、って言うかそんな贅沢言えないし、ハローワークで公募出来る物でも無いしね。」
「はは、それ笑える、じゃ、買い物を済ませようか?」
「うん、いこうかぁ・・」
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
2018/09/15:誤字、脱字、誤用の修正をしました。
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
辺境泊邸に無事に着いた。ラルドフとフィオーネもいっしょだ、二人は夏期休暇の約1ヶ月ほど自宅に滞在する
一息してリビングに集合した。ラルドフとフィオーネは休憩中だ。
「最初はどうなるかと思ったが、結局はルーカス殿の書いた筋書き通りになったようじゃの?、アメリア殿が子爵に叙爵されるとは思っておらんかったわい。」
「私が書いた筋書きと言うよりは王家の思惑に沿った筋書き通りって言うのがアメリアの件も含めて正しいんですけどね、わたしは証拠を集め他だけに過ぎませんから・・・」
「しかし、王女まで押し付けられるとは思いませんでしたよ。そう言えば公爵から行き遅れって聞きましたけど、幾つなんですか?、」
「24だったか25だったかそれくらいだったと思うが・・・」
「25で行き遅れですかぁ・・・僕らの感覚だと今からって感覚ですけどね、随分以前は25過ぎると行き遅れなんて言われてた時代もありましたけど、今では30過ぎなんて普通ですよ。」
「普通は王家の娘が行き遅れなんて事にはならないんだが、彼女は特別でな・・・」
「どう特別なんですか?、貰う方としては気になりますが・・・」
「うん、彼女はなんというか、その、あれだ・・今は近衛兵の副団長をしていてな、自分より弱い男とは絶対に結婚しないと明言していたからな・・・」
「それじゃ、僕は駄目じゃ無いですかぁ・・・剣なんてからっきしですよ。」
「そこは国王の王命って強権を発動するんだと思うぞ!、だから輿入れしてきてからが大変だぞ、じゃじゃ馬だからな・・・国王もうまい事やりおるわい、ははは」
「こっちは笑い事じゃないですよ。」
「久志、あんまりわがままだったら私が躾けてあげるわ。」
「うん、よろしく頼むよ。」
「ところで辺境伯様、国王が言っていた、奥様の事はどうなされるつもりですか?、まさか黙って差し出すつもりじゃないですよね。」
「そのつもりだけど・・・是非もないだろう、神託だよ逆らえるはずなんかないじゃないか…泣く泣く差し出すよ」
辺境伯はそういいながらも顔は平然といや、むしろ微笑みさえ浮かべている…
(考えてみればあれには随分と苦労を掛けた、これで周りに迷惑を掛ける事無く解放してやれるわい、願わくば幸せになってもらいたい)
辺境伯の顔色をうかがうと、手を挙げて仕方ないといったポーズをしている。
「取り敢えずアメリアに子爵に叙爵されたのを伝えねばなるまい。」
アメリアが呼ばれた。..
「お父様、帰られたばかりでお疲れではありませんか?」
「まあ、そうなんだがお前の今後の処遇に付いて伝えて於こうと思ってな、正式には後日王都へ行ってもらう事になるが・・・」
アメリアは不安そうにしていた。
(何だろう、今回の王都行きでは少なくても私は何も関係なかったはず、きっと王都で何か決まったんだわ、どっかに嫁がされるのね、獣魔がスライムじゃ先は知れてるわ。
下手すれば年の離れたオークみたいなおやじの妾って事も有りうるわ。
はぁ、どうしてこうなったんだろう、もっと早く、自分の気持ちに気がついて、ルーカスと・・・今更、後の祭りだわ)
「アメリアお前は今度、子爵に叙爵される事になった、領主としてとして独立だな、お前にはアルデンヌ領が封土される事になる」
「えーーっ、わ、私が子爵、なんで、どうして?」
アメリアはパニクっていた。どっかに嫁がされる話だとばかり思っていたのに子爵に叙爵だなんてなんでよ。
「今回の功績を認められたんだ、つまりは、クリストフ男爵の不正を暴いた功績がそれだけ大きかったって事だ。」
「私は何もしていないし、知りもしないわよ、なのにどうして」
ルーカスがこそこそと動いていた事は知っているけど、それについては話は殆ど聞いていないわ、全部、ルーカスの功績じゃない
「私では無くルーカスの功績でしょ、私じゃ無いわ」
「ルーカスはお前の従者だ従者の功績は主の功績となる、それにルーカスも男爵に叙爵される。」
ルーカスが男爵に叙爵されると言う事はルーカスとの結婚も可能になる事を意味するがまだ、そこまで頭が回っていないアメリアだった。
「ルーカスは男爵に叙爵されるが領地は留保された、その代わり王都に屋敷は与えられた、男爵としては大きすぎる屋敷だ・・・
お前には領地は与えられたが王都に屋敷は与えられていない、これが何を意味するか分かるか?」
「子爵にしてやったんだから王都の屋敷ぐらい自分で用意しろって事かしら?」
本来、この娘は子爵としてやっていけるだろうか心配したくなるところだがルーカス殿がいるから心配はあるまいが、我が娘ながら馬鹿すぎる」
「お前はルーカス殿が嫌いか?」
「いえ・・・そんな・・・その・・・」
「はぁ、もう良い、自室に帰ってよく考えろ」
(考えろって言われても何をどう考えた良いのよ、行き成り子爵で領地あげますなんて言われても領地の運営なんて手伝った事もないし分かんないわよ、どうしたら良いの?。
ルーカスは手伝ってくれるかしら、でも男爵に叙爵されるって事は従者では無くなるって事よね、でも、封土はされない・・・じゃ、ルーカスは私を手伝ってくれるかしら)
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リネーナ夫人が呼ばれた。
侯爵が国王が神託を受けた話をすると、どうやら本人も女神より夢の中で神託を受けていたらしい・・
「ただの夢かと思っておりましたわ、本当のご神託だったわけですわね」
「ご神託とあれば私は嫌でも逆らうわけにはいかないでしょう、仕方がないわこの辺境領の礎となる覚悟でいばらの道を歩むことを決意します。」
と口では大層なこと言いながら顔はにやついているリネーネ様だった。
「今は、戸惑いが先で、今後の事については落ち着いてから相談しながら決めましょう、巫女と言っても様は小間使いみたいな物ですから深く考える必要はありません。」
リネーネ様は満面の笑みで宜しく頼むわね、といって部屋を出て行った。
二人は準備が整い次第、王都の家敷に言って貰うことにする、そこで色々とレクチャーした後は向こうの世界に常駐してもらうつもりだ…
そんな、人の不幸を俺に押し付けられてたまるかっておもうが、向こうの世界のスタッフは居たほうが良いのでそういう意味では歓迎なんだけどね。
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部屋に戻るとソフィーが来ていた。
ソフィーと奈津と俺の三人でオレリー様の事などを話している時にアメリアがやって来た。
「ごめんなさい、手柄横取りしちゃって・・・」
アメリアが珍しく謝ってきた。何となく謝る事はするが、行き成り謝ってきたのは初めてだろうと思った。
「謝る必要は無いよ、元々そうなるのは分かってたし、っていうかそうなるように仕向けたのは俺だし。」
「どうして・・・」
「だって、従者が主の為に働くのは当たり前だろう、獣魔は解消したけど、従者は首にされたつもりは無いからね。それとも首にするかい?」
「ううん、そんなつもりは無いわ、ルーカスは男爵になっても私を手伝ってくれるの?」
「あぁ、当然だろ」
「「「・・・あ・り・が・と・・・」」」
アメリアは照れくさそうに礼を言った。
(あぁ、やっぱり私はこの人が好き、好きなんだわ、一緒にいたい)
「おめでとう御座います、アメリア姉様」
ソフィーはアメリアを心から祝福してくれた。
「今ソフィーに話していた所なんだがリネーネ様が家を出る事になった。」
「えっ、どうしてなの?」
「世界神の神託があったんだ、多分近い将来、リネーネ様は向こうの世界で暮らす事になると思う。..」
「お母様達は眷属になるの?」
「それは未定だが、俺の眷属にはならない可能性が高い・・・なるとすれば向こうで俺以外の者の眷属になる可能性が高い」
「そうなんだぁ・・」
「まだ、確定では無いけどね、俺もリネーネ様の事は聞いたばかりだからまだ、どうして良いかは流動的なんだ・・」
そんな訳で、俺たちは一旦、帰って来るからソフィー達はお母様と一緒に待っていてね。
俺たちは用事を済ませたらすぐに戻ってくるから…
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俺と奈津は元の世界へ転移した。
転移した先はマンションのリビングだった。
「ふぅ、なんだかんだで疲れたなぁ…」
「シャワー浴びようか?」
「それって誘ってるの?」
「もちろん!」
「ちょっと、恥ずかしいじゃない…明るいし…あぁ、、明るいところはちょっと・・・」
シャワーで汗を書くような事を致してしまったので、また、シャワーを浴びて・・上がってきた。。。
(全く、盛りの付いたガキと変わらんな)
なんか、疲れたけど、気分はさっぱり・・・
「やっぱり奈津は良いな…色々と...」
「もぅ、恥ずかしいこと言わないの…」
「てへ・・」
「ねえ、久志、あぁ言ってたけど、リネーネ様は眷属にするつもり?」
「今のところそれは考えてないかなぁ…従属はさせるつもりだけど…」
「あのさぁ、あたしがこんなことを言うのは変だけど、ここを任せるのならちゃんとあっちも満足させてあげたほうが良いと思うの、知らないなら知らないでいいの、でも知ってしまっている以上、その不満はトラブルを呼びやすいと思うわ・それか誰かしっかりとした監視を付けるか…」
「そうだね、考えてみるよ。」
「あれ、アメリアのお母さんは好みのくせに…」
「確かにそうだけど、アメリアのこともあるし親子でって言う訳にも行かないでしょう…」
「今更って気もするけど・・・」
奈津はあまり気にしてはいないようだが、そう良いながらも扱いは注意しないととんでもない事になりそうな予感がするぞ!
「俺はこれから会社に行ってくるけど奈津はどうする?」
「会社?、仕事?」
「いや、退職願を出してくるだけさ・・それから何か品物でもあさろうと思ってるけど?」
「じゃ、私は眷属のあてにあってくるわ、どちらかが終わった時点でメッセージを入れるようにしましょうか、、お互いが終わってから待ち合わせ場所を決めましょ。」
「OK」
俺は会社に退職願を提出した。
結果、別室に呼ばれさらに上司の上まで呼ばれて引き留められたが決意の変わらないことがわかってもらえて退職届が受理された。
会社から貸与されていたスマフォやPC等の機材を返して、退職金等は振り込みに、まだ当面こちらにも住所を置くつもりなので保険の切り替えなども必要になってくる。。
「なぁ、篠崎、これからどうするつもりだ?」
元上司は俺の事を心配してか、今後の予定を聞いてきた。
「そうですねぇ、もっといろんな国を回ってから決めたいと思っています。」
これは嘘ではなかった、もっと他の国の状況を自分の目で見ておきたいと思った、まあ、ちょっと違うのは異世界ってだけなんだけど・・・
その頃、奈津は某大学にいた。
「ねぇ、彩矢これ見てみない?」
彩矢は大学院を卒業後、大学内へ研究員と言う形で努めていた、研究員と言っても実際は年収300万程度の薄給で働いていたがその職も無くなってしまい、丁度のその日は私物の整理のため大学へ来ていた。
「んーーっ」
「えっ、なにこれ?、CG、合成?」
彩矢が見た写真は奈津が異世界で撮ってきた魔物や盗賊、王都の写真など・・・
「リアルよ、今私、異世界で仕事してるのよ」
「えっ、美容部員はどうしたの?、何なの?」
「美容部員は止めたわ、給料は特にもらってないわね、必要な物は別に何でも替えるし、どう?、アナタの知識を生かして内政チートしてみない?」
「ちょっと、30分ぐらい待ってよ、それから詳しく聞かせて・・・」
「良いわよ、学食で待ってるわ・・・
時間が遅かったのもあって既に定食類は終了していたのでカレーを頼んで、食べ終わった頃に彩矢はやって来た。
「奈津は眷属の話も含めてある程度の概要を話して聞かせた。また、直ぐに異世界に戻ることも含めて・・」
「んー、とても興味深いしやってみたいと思う。でも、お姉ちゃんは平気なの?」
「なにが?」
「なにがって、その眷属になるって事はその、しちゃうんでしょ?、お姉ちゃんは久志さんの事好きだから焼き餅焼いたりしないの?」
「んー、全くという訳じゃ無いわ、でも、他にもいるのよ、いちいち焼き餅焼いてたらきりが無いわ、その辺は何とか割り切れたかなって感じ、それより彩矢の方はそっちは大丈夫なの?、いやいやだったら続かないと思うし・・・」
「それは大丈夫だとおもう、割と好みのタイプだし、今まで話したりしてた範囲では思ってたよりは頼りがいもあるし良いなっては思ってたよ。」
「へぇーあんたって久志とそんなに話した事ってあったっけ?」
「んー3年ぐらい前からかなぁ・・・彼が仕事でうちの大学に来て偶然会って、その時に彼が困ってたから教授との間を橋渡しした事があってね、それから、たまにご飯を奢ってもらってた・・・」
「えーーっ、あんた、私の気持ち知ってて久志と会ってたの?、」
「だってぇ、お姉ちゃんはもう、すっかり諦めてたし、今更、思い出させるのも可哀想だと思ったし、私は貧乏だもん、たまには美味しい物も食べたかったし、お酒も飲みたかったの...ごめん・・・」
「たまにってどれくらいよ、2,3ヶ月に1度ぐらい?」
「んー、そうねぇ、月に2,3回ぐらいかな?」
「それって、たまにっていうか、頻繁っていうんじゃないの?、あんたまさかすでに関係有るとか言わないよね?」
「あ、それは大丈夫、彼、身持ち堅くってさ、一度、ホテルで食べた後、ラウンジで飲んで瞑れた振りして誘ったけど・・・部屋取って一人寝かされて帰って行ったよ。あぁ、あの時は悲しかったなぁ・・おニューのパンツをわざわざトイレで着替えたりして・・・」
「あんたそんな事したの?、もしも変なことにでもなってたらどうするのよ。」
「別に良いじゃない、犯された訳でも犯した訳でも無いしさ、それに私、研究漬けで気がついたらこの歳で処女よ、流石に恥ずかしいじゃ無い、だからって誰でもって訳にも行かないしちょうどお手頃だったのよ」
「はぁ、この子ったら・・・何がお手頃よ、私なんてまだ、ファミレスしか一緒に行ったこと無いのに・・・」
「ファミレス良いじゃない、私、彼とは行った事は無いわー、その点ではお姉ちゃんが優勢なんだから良いじゃない」
「何が優勢よ、あんたは何処でたべてたのよーっ」
奈津は愛彩のほっぺを引っ張りながら、問いただしていた・・・
「や、やめて、痛い、言うから止めて・・・」
「もう、すぐに暴力を振るうんだから、そんなんじゃ嫌われちゃうぞ!!」
「なに、もう一度、試してみる?」
「いえ、結構です、」
「心配しなくてもたいしたところは行ってないわよ、その時食べたい物を食べに行った位よ、お寿司、焼肉、和食って感じで特に気にしてはいなかったわ」
「な、何よそれ、しっかりデートしてるんじゃ無い。」
「うーん、そうかなぁ」
久志が美恵子と結婚してからは意識して遠ざけていたのに彩矢は逆に近づいていたなんて、はぁ、笑うしか無いわね。
(あっ、あの時、私が電話しなかったら・・・もしかすると立場は逆転していたかも知れないわ・・・いえ、絶対してたわね、愛彩は私と違って押しが強いから
妹から話振られるなんて悲しすぎる。やっぱりあの時電話したのって運命だったのよね。)
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・
二人は待ち合わせた。
「どうだった、会社は辞めれたの?、こっちは仕事が終わり次第、久志の家に来るようになってるわ」
「うん、会社はちょっと手こずったけど、辞めたよ、そっちはどんな雰囲気?」
「多分行けると思うよ。」
「そっかぁ、ま、奈津がいいと思う人なら俺としては反対はしないけどね、って言うかそんな贅沢言えないし、ハローワークで公募出来る物でも無いしね。」
「はは、それ笑える、じゃ、買い物を済ませようか?」
「うん、いこうかぁ・・」
♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*♪゜*☆*゜♪*☆*゜♪゜*☆*゜♪
2018/09/15:誤字、脱字、誤用の修正をしました。
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