私の愛した召喚獣

Azanasi

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第二章 始動

【叙爵されました。】

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【叙爵されました。】

 翌朝
 王城、謁見の間

 「アメリア・フォン・ロッシーニを子爵に叙爵する。今後もより一層、国のために仕えよ」
 「謹んでお受け致します、子爵の名に恥じないよう今後寄り添うの国の発展に寄与したいと思います。」
  
同様に俺も男爵位を与えられた。

 「詳細は別室にて協議する結え待つように・・・」
 宰相からそう告げられた後、俺たちは別室へと案内されて

 別室で待っていると陛下が宰相を連れてやって来た。
「アメリア子爵には旧アルデンヌ領を与える、向こう3年間は一切の税を免除する」

 期限付とは言え免税には理由があった、現在のアルデンヌ領は圧政に次ぐ圧政のため領内はさびれ土地をすて領地を逃げ出す者が後を絶たない状況になっていた。一時は10,000人ほどいた領民も6、000ちょっとまでに減っている状況らしい。
  
□■□ 別室にて □■□

 俺だけ別室に呼ばれていたので待っていると陛下と宰相がやって来た。
  「使徒様、先程は大変失礼しました。」
 国王は使徒である俺に向けて頭を下げているが、かなり面倒である事には変わりない。
  
 「陛下、そのような事はお止め下さいと言ったはずです、一家臣として対応して貰えれば良いです。」
 「しかしそれでは・・・」
 「いえ、是非、それでお願いします、例え公の場所で無くても、私はいち家臣の一人では間違いないのですから・・・」

 「判りました、使徒殿がそう言われるのであればいち、家臣として扱うようにしましょう。」
 「宜しくお願いします。」
  
 「では、早速ですが、ルーカス卿、今回は珍しい乗り物で乗り付けられたようだが、あれはどういう乗り物だ。」
 うーん、なんと説明したものか悩んだが使徒である事はばれているので、時空神に伝がある事にしておく方が良いかな・・・
 
 「一応、魔動車って事にしてますが、本当は異世界の乗り物でATVっていうものです、私は時空神様に伝がありますので融通して貰った物です。全地形対応車って言うぐらいで悪路に強く平地なら馬より早く走れます。」
 
 「ちょっと間近で見てみたい物だが・・・」
 「はい、構いませんよ、えっと、何処で見ますか?、今、置いている面では人目を引くでしょうし・・」
 「そうだの、騎士の訓練場なら問題ないだろ、騎士に案内させよう。」
 
 「アルファ1からアルファ2!、」
 「こちらアルファ2、どうぞ!」
 「騎士が案内に来ると思いますので従ってATVで訓練場へ来てくれ・・どうぞ!」
 「アルファ2、了解!」
 
 無線で指示を出しているのを陛下と宰相は不思議そうな目で見ていたけど、こちらが話し終わるのを待つと直ぐに聞いてきた・・
 
 「今のは何だ・・・外で待っている仲間と連絡を取ったようだが・・・」
 
 「はい、これは無線機と言いまして離れたところと連絡を取る機械です、とは言っても短距離用なのでそう遠くまでは話せませんが・・・」
 この時代の通信手段と言えば実際に人をやって連絡を取るか取りなどに通信等を持たせて運ぶしか手段はなく、離れている相手にリアルタイムでの通信手段は無かった。
 
 「その、無線機とやらはどれくらい離れたところと連絡が取れる物なのか?」
 「そうですねぇ、この機械単体だとこの王都の城壁の中ぐらいは通じると思います、もっと遠くまで話したいと思えば中継器などを設置すればかなりの距離でも話せます。」
 
 国王と宰相は顔を見合わせて同じ事を考えていた・・・
 これがあれば城内の警備に役に立つだろう、また、戦時の際も速やかに前線と連絡が取れるだろうし、是非、王家に導入したい。
 
 「無線機を譲っては貰えないだろうか?」
 陛下は少し躊躇いながらも強い意志で聞いてきた。
 
 「はい、構いませんよ。どの程度の台数で、どれくらいの範囲で運用されますか?」
 「そうだのう、王都周辺で使えれば良いだろう、どうだろうか?」
 国王は宰相の顔を見ながら問い合わせていた。
 「そうですね、取り敢えず、それぐらいあれば十分でしょう。」
 
 「それだと、端末とレピーターを1台設置すれば十分だと思います、ハンディー同士での通信だとせいぜい、1km~3km位、見通しが良ければ10km以上も不可能ではありませんが、ここから10kmほど離れたところにある山頂にレピーターを設置すれば、条件によりかなり幅は出ますが、山頂を中心に50km~以上は通じると思いますが・・・電波の見通し距離の範囲ないの話ですが・・・」
 (ん、ここまで話して今、気づいた。この世界は地球と同じだろうか?、大きさが違えば当然見通し距離も違ってくる・・・ま、取り敢えずは地球と同じとして考える事にしよう)
 
 「幾らぐらいの費用が掛かるのだろうか?」
 「そうですねぇ・・・このハンディー機が120万ルド、レピーターが1000万ルドと行った処でしょうか、ハンディー機が何台必要かで金額が変わります、それに電源施設が必要になるのでそれに500万ルドぐらい掛かります。」
 
 正直なところ、ぼったくり価格である、GMRS規格のハンディーだと安ければ数千円でくるし、メーカー品を買っても2万~4万程度で買えるが後のアフターも考えると安売りする気はさらさら無かった。
 陛下がどう思うかが問題で何だけどね。・・・
 
 「もっと安いのであればハンディー1台10万ルドから20万ルドで通信距離は500mから2kmと行った処でしょうか?、条件が良ければ10km位は通話可能かも知れませんが・・・」
 
 こちらはFRS規格の物を2,3000円で売っているのでそれを使おうと思っている、まあ、特価品を買えば2000円で2台ぐらい買えたりするのだが流石にあんまりな気もする。
 
 「うむ~・・・値段は10倍ぐらい違っても通信距離は値段には比例しない物なんだな・・・」
 「そうですねぇ、通信距離は無線機の出力だけで無くアンテナや障害物など複雑な要素が絡みます。まあ、基本、運用目的が違うんですよ、高い方は基本的に警備なんかに使われてますし、レピータを使えば広域で通話可能になりますから業務連絡の用途に向くと思います。それに対して安い方は近距離用ですね、たとえば商隊の前後の連絡とかに使えば便利ですね。」
 
 国王は宰相とどれくらいの数、必要か相談していた・・・なかなかまとまらないようだ・・・
 ん、決まったらしい・・・
 
 「取り敢えず20台、注文したい、それとレピーターと言う物も頼む、それにあまり飛ばない方のも10台ほど頼みたい」
 「判りました。」
 「合計で4,600万ルドになりますね。注文時に半金頂きます、残りは納品時に、それから納期は約1ヶ月見て下さい。それとレピータの設置には納品後、数日かかります。」
 
 「判った、金は直ぐに用意させよう。」
 「それと勝手な言い分かも知れんが、あまり一般には売って欲しくないんだが・・・」
 
 「判りました。では、こうしましょう。」
 「今回、販売するハンディー機は5wという出力と安い方が0.5wの出力です。レピーターは50wの出力です。民間用には0.01wの出力を上限にしましょう。」
 「これだと100m~500m位しか届きません。価格的には50万ルド位になると思います。高出力の無線機は王家の承認が得られた場合は購入出来ると言う形にしたら如何でしょう。」
 
 「うむ、そうじゃの、それなら問題ないじゃろ・・・所で民間向けはうちの安い方より飛ばないのに高いのだ?」
 「はい、それは規格が違うためです。」
 国の電波法の違いなんか説明できるわけでもないし、説明しても意味も無い事なので・・・
 
 「ちなみに民間向けも届け出制にするってやり方もありますよ。そうすれば登録料や年間使用料の名目で料金の徴収も可能になりますから国の収益にも繋がると思います。」
 「まあ、その辺の金額は話し合われて決められるといいと思います。」
 
 「うーん、承認制かぁ・・・」
 国王はあごを撫でながら考えている。
 (恐らく貴族はこぞって欲しがるだろう、登録料は一度きりにしても年間使用料となると継続的な収益となるな・・・これは直ぐに元を取るどころでは無いかも知れん。..)
 
 「その、登録制度や使用料について持って詳しく話してもらえんだろうか?」
 「構いませんよ。」
 
 その時だった・・・
 「アルファ2からアルファ1、03。どうぞ!」
 
 「どうやら訓練場に着いたみたいです。」
 「行きましょうか?」
 「うむ、そうだな・・・行こう。」
 
 「アルファ1からアルファ2、09 どうぞ!」
 「アルファ2、了解!」
 
 「ん、今の03とか09とは何なんだ?」
 「あ、はい、仲間内で決まっている略号です。03は現場に着いたという意味で09は直ぐに向かうと言う意味になります。無線通信はなるべく短時間で簡素にわかりやすく伝えるのがコツなので・・・」
 「うーーん、成る程なぁ・・・」
 
 陛下はかなり感心しているようだった。
 別室で待っていたアメリアとも合流し陛下、宰相、アメリアとの4人で訓練場へと向かっている途中で兵士が呼びに来た・・・
 
 「訓練場へお客様が入られました。」
 「うむ、ご苦労、下がってヨシ!」
 
 「はっ!!、失礼します。」
 兵士はそう言い残すとまた、訓練場の方向へと走っていった。
 
 「・・・ん、やっぱり無線は便利じゃの、何より早い・・・緊急時はこの時間の差が明暗を分ける事になるであろう。」
 
 確かに一々、伝令を走らせるのと無線では違いが出るのは当然だろう、不審者の侵入とも成れば取り逃がすか捕縛出来るかの差がはっきり出るのは間違い無い・・
 
 
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誤字、脱字、誤用の修正をしました。
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