私の愛した召喚獣

Azanasi

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第五章 救出に向けて

【武装ー新兵器開発】

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【武装ー新兵器開発】

 翌日、早朝
 俺とエレンは沖縄の嘉手納に来ていた。
 
 ゲートで手続きをしようとするとマリエルが出てきて何も手続きする事無く車に乗せられて滑走路を横目で見ながら暫く走ると車ごとハンガーへ入った。
 
 「ようこそ!、お待ちしておりました。私は武器を担当させて頂いております、フレディ・リントンです。」
 車を降りると担当者が挨拶してきたので握手を交わして挨拶をする。
 リントンはがっしりとした体型で190cm程の身長があり少佐の階級章を付けた陸軍の制服を身に纏ったいかにも軍人らしいタイプだった。
 
 「ご要望の品は揃えてあると思いますが、どうぞご自分でお確かめ下さい。」
 フレディのしゃべり方は見た目にそぐわず、広報官を思わせるしゃべり方で、用意されている武器に付いての説明を受けた。
 説明は丁寧でわかりやすくも簡素にまとめられていて好感の持てる説明だった。
 
 フレディに言われて置いてある武器を眺めてみるとあるわ、あるわ、こっちが注文していたカービンでさえ予定数の倍ぐらい有りそうだ、注文していない武器さえ揃えてあると言う念の入れよう。
 
 その隣には注文しておいたヘリが駐機されていた。UH-60の改良型であるMH-60L DAP軍用ヘリが置かれていた。おまけにエンジンもついている。

 「工場をロールアウトして試験飛行したばかりのまっさらです。折角ですので最新のヘリをご用意させて頂きました。
 
 その他、小火器に関しても対地上戦で必要と思われる物を想定して準備しておきましたので足りない物があればお申し付けください。可能な限りご用意させて頂きます。」

 担当の武官はごく当然とばかりに説明している。
 
 「それで金額の方はいくらになるのかな?」

 「はい、小火器の方はお約束通り$1500万で結構です、ヘリの方も同じく$1500万で結構です。」

 小火器の方は軍への納入価格を考えるとそう赤字とは言えなくてもヘリの方は赤字だろう民間仕様でもそれくらいはしたはずだ・・・軍用となるとその数倍はしているはず・・・

 「かなりサービス価格のようだが、なにを望むのかな?」

 「その件に付いては私の方からご説明したいと思います。」
 
 武官の前を遮るようにしてアリエルが進み出てきた。
ま、やっぱそうなるよね、とは思っていたが・・
今日のアリエルちゃんはご機嫌が良いようだ。白のブラウスに濃紺のタイトスカートがよく似合っている。CIAでなければスカウトしたいぐらいだ。

 「まず、調査隊を受け入れてほしいのと、魔法薬とかいう薬を3人分程ほしい。。。それと転移魔石と言うのは作ってほしい。むろん、代金は支払う用意があるし、出来れば今後、その他の物を取り引きしたいと考えています。」

 「まず、調査隊に関しては3週間以降であれば9名までに限って受け入れよう、期間は最長で3ヶ月だ。ただ、影響がわからないので当初は1ヶ月以内で一度戻ってほしいと考えている。

 魔法薬に関しては最上級の物を望んでいるのだと思うがそれであればうちの国内価格でも300ドル~400ドルと非常に高価で手には入りにくいが今回の謝礼も考えて最低額の300万ドルでの入手を約束しよう。

 移動の転移魔石は距離によっては非常に高価で地球上どこからでも転移できる設定とかなれば魔法薬を遙かに越える値段になるが、今回はヘリの謝礼として1個であれば無料で提供しよう。」

 「ところで代金の金塊はここに出していいのかな?」

「はい、お願いします。」
 アリエルの指示した場所に$3、000万ドル分の金塊を出したらそれを見ていた武官は口を開けたまま驚いていた・・・

 驚いている武官を気にする事もなく用意されている武器をさっさとアイテムボックスに直し込んでいく。それを見ていた武官は今度は頭を抱え込んでいる・・

「…oh my God!…」

 武官は虚空を眺めながらつぶやいている。かたやアリエルはさすがに見慣れたのか驚いてはいるものの割と平気そうだ。

「転移場所についてはうちのエレンを実際の場所につれていって確かめさせてくれ、一度確認できている場所でないと転移先には指定できない。
 場所がどこかを教える必要はないが実際の現場に入れていく事は絶対条件になるので・・」
 
 恐らく転移魔石を使うとなると要人か特殊作戦の脱出用だと容易に推測出来るので転移先を部外者には知られたくはないだろうと思ってそう付け加えたのだった。

「分かりました。
 つまり転移先が極秘の場合は目隠しして連れて行って、現地で外し、また目隠しして連れて帰っても問題はないと言う事ですね。」
 
 「あぁ、それで構わない。」
 その辺は帰りましてから打ち合わせしてエレンの方に連絡を入れましょう。調査団が3週間ほど先の件はOKです。うちの方でも準備がありますから・・・

ただ、薬の方は1本だけでも出来るだけ早くお願いしたいのです。料金が少しばかり上がっても問題ありませんのでよろしくお願いします。」


「分かりました、急がせましょう。
 三日後にエレンの所まで取りに来て下さい、それまでには1本はご用意しておきます。残りは二週間~三週間ほどお待ち下さい。
 
 そうそう、今後の消耗品の補充の保証と、M777 155mm榴弾砲、M109自走榴弾砲を譲っていただけるなら料金とは別に国債でも高額紙幣でも金50t分ぐらいなら買ってもかまいませよ。他には装甲車ですね。ストライカー辺りが良いです。それと指導教官の派遣も要請したいですね。
 
 支払いに関しては紙幣なら$10,000ドルでも$100,000でも良いですよ。まだ、原盤は残っているでしょうから後は刷るだけでしょう。現流通紙幣の$100ドルだと持ち帰るのも大変ですから・・」
 
 俺はそう言って笑うとアメリアは引きつりながらも笑顔を返していた・・・

 「金、50tですか・・・
 分かりました、上層部に話しておきます。
 しかし、$100,000ドル紙幣なんて仮に刷れたとしても一般では使えませんよ。」
 
 「その点は大丈夫ですよ。そもそも為替のレートも決まってないですし、当面は現物取引しかやりようはないでしょう。」
 
 「ま、そうなりますね。つまり、支払代金として使うつもりはないと・・・」
 
 「えぇ、そうなりますね、まあ、領収書みたいな感覚ですか?」
 
 (国は金塊50tがただ同然で手に入るというのなら核や最新兵器以外なら何でも売るんじゃなないだろうか?、彼の雰囲気からではもっと増やすことも可能だろう。
 代金はいくらでも刷ればいい、かかるのは紙代とインク代だけだ・・・支払いにドルが使われることはない)



♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪
嘉手納基地内、別室

 室内では上司のロードリックがアリエルの帰りを今か、今かと待ち構えていた。
 灰皿に積もった煙草の吸い殻が山となっているのは相当、今回の交渉を気にしているのをうかがえる。
 品物の受け渡しは問題ないだろう、問題は調査団を受け入れるかどうかの問題だった。
 ロードリックは待ちきれずにアリエルの様子を見に行こうかとしていた所へアリエルが帰って来た。
 
 「どうだった?交渉はうまくいったのか?」
 ロードリックはテーブルをペンで叩きながら心配そうに交渉の先行きを早く話すように促している。
 かなり焦りといらだちを隠しきれないでいる。
 
 「ご心配なく、今回の交渉は基本的には上手くいきましたよ。」
 アリエルは特に持ったいぶった様子もなく答えていたが、アリエルの言った”基本的には”の言葉に気になったのか先を急がせている。
 
 「まず、武器の受け渡しに関しては向こうの予想よりこちらが多く用意したのが良かったのか好意的に終わりました。
 調査団に関しては三週間後以降なら九名までは受け入れるそうです、受け入れ期間は一ヶ月から最長三ヶ月との事です、ただ、体調面での心配もあるので出来れば一ヶ月を目処にして欲しいと言う事でした。三ヶ月以内なら再入国も認められる雰囲気でした。
 
 魔法薬は現地でも$300万ドルから$400万ドルしているそうなのでその値段で良ければ融通するそうです、ただし現地でも貴重で流通は殆ど無いのが現状なので時間は暫く掛かると言う話だったので値段はつり上がっても良いから一本だけは急いで欲しいと頼んでいます。
 
 転移石に関しては今回に限り1個だけは無料で作ってくれるそうです、ただ、転移先の指定をするのに漠然とした情報では不可能らしく転移先の設定にはエレンを同行させて現地を確認させてから制作に入るそうです。
 
 最後になりますが、装甲車やクラスター爆弾を提供する用意があれば代金とは別に50tの金塊を提供しても良いそうです、代金は国債でも、$10,000万ドルや$100,000万ドルの高額紙幣でも構わないそうです。
 どうせ、領収書代わりにしか使えない笑ってましたけど・・・私の受けた感じでは金塊に関してはまだまだ、十分に余裕が感じられましたね。」
 
 「ん~、国ではなくいち領主がそれだけの金塊を保有すると言うのも恐ろしいな。わかった金塊の件は上層部に報告しておこう。
 
  異世界って言うのはそんなに資源のある国なのか?、それとも富が一部の特権階級へと渡っているのか?」
  
 上司のロードリックは一領主の金塊の保有量に驚くと供に異世界への資源へ期待を寄せていた。
 
 「金塊に関してはほぼ、領主の個人資産と思われます、また、金に関しては貨幣の他、装飾品にも使われますが、平民で金の装飾品を使う者など一部の豪商を除いてはおらず需要が少ないようですね、国や彼の領内には流通禁止金塊という市場へ出すと貨幣価値が下がる為に流通出来ない金塊が膨大な量が保管されていると言われてます。
 そういう事情なので金山は殆ど掘ってないのが現状みたいです。」
 
 「うーん、ある所にはあるって事か?、他の資源はどうなんだろう。」
 「日本側が調査した所によると原油に関しては彼の領内だけでこちらの全世界の埋蔵量を超える可能性があると出ています。まだ、正式な調査結果は出ていませんが、他の資源に関してもかなり有望なようです。
 まあ、詳しい事は試掘して見ないと分からないでしょう。
 
 特に医療系の資源に関してはこちらの国にないものが多数有り新薬の開発がし放題ではないかと言われてますね、現に日本のメーカーが傷薬を開発していますが、普通の切り傷程度であれば数秒で跡形もなく治ると言われてますね、ただ、日本の場合、薬事法が厳しいので発売が可能になったとしても一〇年ぐらい先になりそうです。」
 
 アリエルの話を聞きながらロードリックは考えていた。日本の薬事法の事情を考えると十分に我が国が独占出来る可能性はまだ十分にある、その為には調査団を早めに派遣しなければ・・・
 
 調査団の受け入れまで三週間と言われたが、実際問題として誰を派遣するかを考えると時間的には足らないぐらいだ・・・どう言う専門家を集めるかが問題になるだろうが、その辺は上の方で決められる事で俺には関係ない話だとロードリックは考えた。
 
 □■□ 数日後 □■□
 
 国からの返事が来た。
 『大統領の署名入りで50tの金塊を確保せよ』
 条件として核を含む戦略兵器以外は何を売り渡そうと構わないという内容だった。要求してきた榴弾砲は五台ずつ無償供与となっていた。
 
 ロードリックは部下が持って来た指令書をディスクの上に放りながら煙草に火を付けた。
 「やっぱりか・・・」
 
 ロードリックはこう言う回答が来る事を予想していた。
 無償供与の文字が躍っているのには思わず笑ってしまったが。
 
 当たり前である、只同然で金塊が手に入るならそれにこした事はない、昨今の事情から各国から金を返せと言われてる状況でいつまでも引っ張る訳には行かないだろうし・・・無論、国の公務員として国の金保有金庫に現物がないとは言わないが多いに越した事はないからだ・・・
 
 ロードリックはアリエルに魔法薬を取りに行く際に金塊の購入についての細部打ち合わせや自走砲などの兵器の指導員派遣について取り決めを行うように指示を出した。
 
 兵器の指導員に関しては米側としては願ってもない事だった。なぜなら、調査団が調査出来る範囲は恐らく限られるだろう、指導員に調査官を潜り込ませることで調査団では分からない情報を入手出来る可能性が高い。
 
 アリエルがエレンに問い合わせをすると既に魔法薬は届いていた。
 エレンにアポをとり打ち合わせの日程を決め打ち合わせに行く事になった。
 

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最後まで読んで頂きましてありがとう御座います。
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