絆物語

藤原葉月

文字の大きさ
9 / 59
出会い

第9話

しおりを挟む
「彼なのですね?次の仲間は・・・・」
ヒロにはわかったみたいだ。
さすがゴウだ。

導いてくれるなんて・・・・。

そして見事敵を追いやったケン。
だがしかし・・・まだ自分の力を信じていないみたいだ。

「敵はまだ潜んでいますよ?」
「いいじゃねぇか。俺たちの出番だ」
ケンの周りに再び魔物たちが寄ってきた!

「ま、まだいるのか・・・」

ケンは戸惑いながらももう一度さっきの力を使おうとしていた。
「待ってください!!」

その直前でそれをとめたのは、ヒロさんだった!
「えっ?誰・・・」
ケンの周りに4人の男が立ちはだかり、自分を守ろうとしてくれている?
「あの・・・あなたたちは・・・」
「しっ、さっきの力は体力を失います。とにかくパワーを充電してください」
「えっ?どういうこと?」
「つまり、俺たちがこいつらの相手している間に力を貯めておけってことだよ。安心しな。全力で守ってやるから」
「・・・・はい・・・」
ケンは、何が何だかわからないまま返事をした。
「大丈夫です。僕らはあなたの味方です。これが終わったらちゃんと説明しますから、怖がらないで」
「そう。事情はあとで説明するからよ!」
「見えますか?敵の弱点・・・」
ヒロは、ケンに聞いた。

「うん。尾の先に赤い光が見えます」
「えっ?マジかよww。俺見えねぇや。なんか悔しいけど・・・」
「いいですか?僕らが合図するまでは動かないで」
「・・・はい・・・」
ケンは言われた通りその場から動かずにいた。
4人は二手に分かれ・・・
「みんな、剣を抜いて!」
ヒロの合図でみんなは剣を抜いた。
すると不思議なことにその剣はひとつの力で結びつき敵の弱点へと突き刺さった!!

【グォーーー】

魔物は苦しみもがいている。

「今です!!」
と、ヒロはケンの方を向いた。
「は、はい!」
ケンは、自分の剣を突き刺した!

そして、魔物は消え去った。


「小さいくせによくやった」
「・・・・」
「あの?どうしてここが・・・・」
「あなたに戦士の気配を感じました。5人目の戦士の・・・・」

「5人目?僕が・・・・」
「君は、水の国の者だろ?その紋章が何よりの証拠だ。だが、他国のものが他国に旅に出るなんてなんかあると思わないか?あんたもそうやって旅に出たんだろ?」
「・・・・はい」
「あなたの腰に提げている剣と、僕たちの剣は繋がっています。そう、かつての戦士を結びつけたように・・・」

「そっか・・・だからさっきひとつの光を生み出したんだ」
「しかしまだ、完全ではありません。剣と僕たちの心がひとつにならなければ真の敵には立ち向かうことは出来ません。それには、あと一人見つけなければならないのです」
「闘いを続けるってことですか?」
ケンは、戸惑っていた。
「でも、俺たちは生きなければならない。かつての戦士たちの意志を受け継いで!」
「しかし、たった1人で闘い続ける戦士の存在も気になります。何か聞いたことはありませんか?」
「いえ、僕はわかりません」
「そうですか」
「すいません。役に立たなくて」
「まだ、名前を聞いてませんでしたね。わたしは、ヒロ」
「俺はマサ。」
「俺はゴウだ。で、こっちが弟の・・・」
「ジュンです」
「僕は、ケン。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしくな・・・・」
自己紹介が終わった5人は、空を見上げた。

いつのまにか夜になっていた。


そして、同じ頃1人月を見ているのはヨシだ。

「なぁ?ミュウ・・・このまま帰らなくてもいいかな・・・・」
「ミュウ・・・・」
そんなことを呟くヨシの言葉を理解したのか寂しそうに鳴くミュウ。
「大丈夫。お前を残して死んだりしないさ・・・・」
「ミュウミュウ」
「お前が・・・ミュウがいてくれればそれでいいよ・・・。お前は俺のたった1人の家族だからな」
俺はもう、1人だ。
だが、ミュウは・・・
ミュウだけは家族なんだ。

空を眺めヨシは1人涙を流した。

ミュウは、そばで静かにしていた。

きっとヨシの心がわかったのだろう。


「綺麗な満月だね」
「綺麗な都・・・僕たちのふるさと・・・僕たちの帰る場所・・・」
「それぞれ違う場所で生まれたけど、こうやって巡り会えたんだ。これって偶然じゃないんだよね?きっと・・・・」
「そうですね。重い使命を背負ってはいますが・・・・必ず生きて帰る。
これだけをまず目標としていきましょう。僕たちの親がそうしてきたように・・・・」

「でも・・・僕は父の顔を知らない。今の父は僕を本当の息子のように育てくれた人だから。
父上と母上の友人だったらしいんだ」
「そうでしたか。」
「なぜ、かつての戦士たちが消息不明であるのか・・・実は僕にも分かりません。ただ、うわさではまだ戦い続けている人がいるのだとききました。その人が誰の親なのか・・・情報もありません」

「・・・俺の父も、今はわからないと言っていた。ただ俺に旅に出ろと。まぁ、せっかく愛した女性と夫婦になる誓いをしたばかりだったんだけど・・・・」
マサは少し寂しげに呟いた。
「そうですか・・・・。そんな大事な時に・・・・」

「けど、彼女は言ってくれたんだ。俺が帰るまで待ってるって。すごく嬉しくてさ・・・。やっぱりいいな、人を愛するって。力になるというか・・・生きる気力を与えてくれるって言うか。いや、恥ずかしいけど・・・あなた達なら聞いてくれるかなって」
照れながらマサさんは話してくれた。
「いいなぁ。愛し合ってるなんて。あっ!でもでも、兄さんにもいるよねぇ?気になってる女の子」
「こら、ジュン!余計なこと言うな」
図星なのか少し赤くなってる。
カッコつけているのだろうか?
「素直じゃないんだから。旅に出る時も一言も言わないで来たんですよ?冷たいよねー」
ジュンがからかった。
「皆さんにも大切な人がいるんですね」
と、ヒロ様は微笑んだ。
「いや、俺のは関係ないから」
と、ゴウは強がりを言った。

「今日はもう、休みましょう。明日の朝早く発ちます」
「それじゃあ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」

みんなが挨拶を交し、それぞれの寝床についた。

夜は、ゆっくりと更けていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...