絆物語

藤原葉月

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大切な人との別れ

第43話

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「・・・・・・」

ゴウは何かを使おうとしていた。


「・・・・・この気は・・・・」

それを感じいたのは、


レイナだけだった。



そして。
「で?ケン。この川、魚釣れるのか?」
ケンが連れてきたのは川だ。川釣りをしようとしているらしい。

「わかんないよ。でもさぁ、なんかみんないないからつまんなくて」

「な、なんだと?つまんなくて俺を呼んだのか?」

「あはは!ごめん、ごめん」

「・・・・・」

「ねぇ?ヨシさん、そう言えばあの女王様に最近会ってないよね?」
「・・・だからなに?」

「・・・・ふと思っちゃうんだよね・・・」

下を向くケンは泣きそうな顔をする。
「〈命の法〉のこと」

「・・・・えっ・・」

「あの女王様はいつも僕たちを助けてくれるけど・・・・きっと・・・いつかヨシさんのために・・・」


「・・・・・・」

「ううん、キョウカだって・・・。でも、そんなことをさせるために闘いを選んだわけじゃないのに・・・。でも、僕は・・・・」


「強くなりたい・・・とか守りたいとか・・・」

「えっ?」
「そういう気持ちにさせてくれたのも、愛する人を守る力をくれたのも、今の仲間に出会ったからだろ?」

「・・・・ヨシさん・・・」

「違うのか?」
「違わないよ?でも、ヨシさんはどうするの?もし、愛する人が操られていたら・・・・」


「さぁ、どうするんだろうな・・・・」

なぜかレイナを思い浮かべ・・・・

「きっと怖くて逃げ出したくなるだろうな・・・・」
「でも、僕も怖くて逃げるかも。あの時は信じる!とか言ってたりしたけど・・・・ヨシさんの気持ちが今頃わかってきたもん・・・・」


「・・・・・・」

「だけど、後悔してたらダメだよね?」

「まぁ、そういうことだ」

なぜかヨシと会話が成立していた。
「だったら、信じる」

「・・・・・」

「よし!沢山釣れるように頑張ろう」

「なんだそれ」
しかしその頃・・・・


「ハァハァ・・・」


ゴウがたどり着いたのは・・・

「ゴウ?久しぶりね」

「( ゚д゚)ハッ!あっ、久しぶり・・・」

リリカのいる家。

「なんか顔色悪いみたいだけど、大丈夫?」


「リリカの顔、見れて充分だ・・・・・」

「嘘・・・・」

「・・・・」
「なんでそんなこと言うの?いつも、憎まれ口叩くくせに!」

「なんだよ、俺が素直じゃおかしいかよ」

「あんたは無茶しすぎなの!!少しは休むこと考えなさいよ!!」

そう言ってゴウに抱きついたリリカ。

「リリカの声・・・聞くだけで・・・俺・・・・」

だけどゴウの体は崩れ・・・・

「えっ?ゴウ?」

「・・・・・・」
ゴウは、ぐったりとしていた。


「ゴウ?どうしたの?しっかりして!!」

ゴウは倒れ込んでしまったのだ。

リリカは急いで父に助けを求めた。
「父さん!!」

「どうした。リリカ・・・」
「お医者さんを呼んで!すごい熱なの?!」

ゴウの体に異変が起きていることに俺たちは気づいていなかった。



「かなり衰弱しているな。どうして彼はこんなになるまでほっておいたのだろう」
「えっ?」
「彼は旅をしていると言っていたな」
「えぇ、今は多分休養で・・・」

「こんなに、力を酷使したら命の危険に晒される」

「そんな・・・・」

力を酷使?


「今は充分休ませることが1番だ」


「ゴウのバカっ」
バカっ!
無理しないってあれだけ約束したのに!!



眠るゴウを見ながら涙が止まらないリリカだった。


「なんだよ、ゴウのやつ戻ってないのかよ。いの一番に戻ってるかと思っていたのに」
というのはマサだ。

「兄さん、久しぶりにリリカさんにあいにいったんちゃうかな?」
「って、ジュンは行かなかったのかよ」
「俺はね!2人の邪魔したくないしな」
「たまには戻りたいですよね」


「で?ケンとヨシさんは大漁だった!とか聞いたけど・・・・その割にはねぇけど?」
空っぽのバケツを見て
「うん!すっごく楽しかった」
と、満足そうなケン。
「でもー、魚は全部返してやれってヨシさんが言ったから」

「・・・・」
「えっ?川に返せ?」
「だから、空っぽなんですね」
「いや、その川の釣れた魚が、食用じゃないと判断したからだ」

「はいはーい!ヨシさんの優しさだよね?」
と、ヨシの背中を叩くケン。

「・・・・痛いんだけど・・・・」

しかし夜中になり、

「それにしてもゴウのやつ遅くないか?」
起きてきたマサがそういった。

「そうだねー。そろそろ戻ってもいいよね」
みんなが寝静まる時間ををとっくに過ぎていて?
「途中でなんかあったのかもな」と、マサが零すと・・
「・・・?!」
ヨシもその言葉に反応した。
「今日中には戻ると言ってましたが・・・・」
と、言うヒロ。

「まだ、寝ないの?」
起きてきてしまったケン。

「ケン、お前はまだ寝てろ」
「えっ?なに?どこか行くの?」
「ゴウくんの帰りが遅いので迎えにいくだけですよ」

「兄さんを?まだ、帰らないんですか?」

ジュンも、起きてきた。


「念の為、僕はここに残ります。2人で行ってきてください」
「頼みましたよ?ヨシさん」

「えー?そこすぐ子供扱い!」
プクッと膨れるケン。

だが
「住民を守るのも使命だろ?」
と、ヨシ。
「そっか。それもそうだね」

と納得したケン。
「なんか邪気がちかづいてるな・・・・」

「・・・・!?」

「どうやら簡単には行かせてくれないみたいだな」
と、マサは準備をした。

「そうですね・・・・」

そして、5人は外へ出て・・・その邪気にたちむかった。

「だけど、妙だなこの気配・・・・」



「・・・・・そうですね」



「これくらいなら俺一人で十分だ」
そう言ってたゴウの言葉を思い出したのだ。
「まさか・・・・」


「いつもゴウが、1人で片付けていたのか?」

この頃よくひとりで夜中に出ていたが・・・・

「嘘だろ?」


「いつもこの邪気を・・・魔物を1人で?」

「よし、いくで?!ヨシさん!ケン!!」
「しょうがない!たおしてからいくか!」

5人は敵を切りつけた。

「なんてタフなやつなんだ」

「・・・・」

「・・・」

5人でやっと捌けるほどの化け物と、あいつは・・・・

ゴウはたった1人で、戦っていたのか?



「ハァハァ、でもこの力はものすごく体を酷使するよ?」

「・・・・・兄さんは決して弱音をはかないよ」

「・・・・・」

「2人とも、大丈夫か?」
ケンと、ジュンを気遣うヨシ。

「なんとか大丈夫。ヨシさんこそ、無理しないでね?」
「少し休もうよ」

「そうだな」



一段落してマサとヒロは、ゴウを迎えに行ったのだ。

残された3人は、出てくる化け物とたたかっていた。


そしてこちらの2人も・・・・

「あの3人を残してきて大丈夫だっただろうか」

「大丈夫ですよ、きっと。最初の頃よりは力をつけているので」

【ヒロ・・・・】

そこへ現れたのは・・

「!?」

カナだった。

「たった2人で立ち向かうなんて」

「それなら・・・・」


ヒロはマサ.を庇うように立ち、
「僕と今ここで一対一で、勝負しましょう」


「ヒロさん!」

マサが何かを言おうとしたのを制止したが、

ザクッ
「うっ!」
「マサさん!」

マサが切りつけられ・・・・


「・・・くそ・・・」

【私を敵にしたこと】
「ぐっ・・・」


と、マサの首を絞め始めた。
しかも、遠くから離れた場所で、遠隔操作をするように・・・・。
「マサさん!」


【後悔させてやるわ】

そしてその頃、

「・・・・!?」
「ジュン?」

「なんで?」

「・・・・・!?」


3人の前に現れたのは・・・・



「アイカ!何でアイカがここにいるんや!!」


3人の前に現れたのはつい最近、亡くなったはずのアイカさんだった!!

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