俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

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異世界召喚されたった

004、出口をふさがれた。

詳しくすると何日もかかるので、簡単に教えてもらったこの世界。

この世界はキュラビッツ。
そして今いる場所はラリスアット国の首都キュラスのメルガント城。
ここキュラスは、キュラビッツのへそにあたる湖をかかえる街であり、聖地巡礼の出発地であり終着地。
聖地巡行は、三百年周期で起こってしまう大災厄を止める為に行われている。
真っ先に聞きたかった聖女とは、聖地巡行で、聖地を巡り聖女と勇聖者の力を守護核に変え聖地に宿すために必要不可欠な片翼。
記録では、大災厄の起こる三百年目の早くて30年、遅くても15年前には、聖女がどこからともなく現れていた。
だが、ここ百年現れておらず、その三百年目までは残り10年を切った。
既に壊れている守護核もあり、その地域ではモンスターの異常発生が起こり始めている。
大聖霊と話し合った結果、やむを得ず異世界から聖女を呼ぶことになった。
異世界からの召喚者には聖霊の加護が必ず付く。
そして、聖女になりえる魂の持ち主を大精霊が選び、大賢者を軸とした何人もの魔法使いの力で聖女召喚し、成功した。
聖女と対を成す勇聖者は、三百年に一度、大聖霊が選んだ勇者たちによる勇聖者決定戦が行われ、そこで勝ち進んだものが勇聖者と呼ばれ、聖女と聖地を巡礼する。
聖女と勇聖者、二人の力で守護核を作るが、その方法は伝えられていない。
歴代の聖女と勇聖者の記録にも、その方法は他言無用とされているために本人たちにしか知り得ない方法であること。
聖地には、入り口となる不滅の東屋があり、そこに湧水が溢れていて、聖女と勇聖者のみ。
二人がその水に触れると東屋の地下の聖地へ転移するが、その先も秘匿となっており、記録はない。

「そして、聖地は各地に全部で108あり、聖地の鐘を鳴らして廻るのじゃ。して、その全てを回ってもらうためにはこれ以上、聖女が現れるのを待つことは厳しく、召喚と相成った。それと」
「108……除夜の鐘……」
「んっ?何と言った?」
「えっ、あっ。俺の世界で寺で108回鐘を鳴らす行事があるもんで、同じだなっと」
「それはなんという偶然。聖地の入り口に当たる東屋には誰にも鳴らせない鐘がある。鳴らし方も秘匿。分かっておるのは巡礼時のみ守護する地に鳴り響かせるといったことだけなのだがな」
除夜の鐘ともう一つ対になってる煩悩の数は説明が難しいから言わないでおく。
セミエールさんが先ほどのハーブティーを下げ、新しく紅茶のようなものを差し出して来たので、話は止まり、休憩のような雰囲気になった。
あの鐘がこっちにあったら違和感バリバリだろうな。
はーっ。108箇所も回るのか。
長旅って修学旅行しかしたことないからイメージわかねー。
あれか、馬車ってやつか、それとも魔獣で旅とか?
ってか、そんな重要なこと、俺がするのか?いいのか?
「アン、今日はこの辺でおしまいにしませんか。タチバナ様に休憩が必要かと」
多分、色々と顔に出てたのだろう、セミさんが助け船を出してくれる。
異世界召喚でウキウキな気分はあるけど、如何せん内容が男なのに聖女だ、頭がついていかない。
「おお、そうじゃな。引き受ける受けないの旨もある。先ほど言ったようにお主の世界に帰ることも含めて考えてくだされ」
アンゼルフは紅茶を飲み干すと立ち上がった。
「わしは席を外すが、この場は好きに使って良いのでな。外に出たいというのであれば、セミか勇聖者を連れていくと良い、では失礼する」
アンゼルフが部屋から出ていっても、しばらくはぽーっと頭を空にして現実逃避。
カチンと音がなり、セミさんが新しいお茶を用意しているのに気が付いて、ペコリと頭を下げた。
「タチバナ様、よかったら街でも歩いてみては?いい気分転換になると思いますよ」
「……セミさんは、アンさんの家族ですもんねー」
「はい。はっきり言うと聖女を引き受けて欲しい一人です」
「おっ。直っすねぇ。でも俺、男だし、聖女なんて柄ではないし……」
「もう1つ言うと、引き受けなくても今すぐ異世界に帰ることもやめて欲しいと思っている一人です」
「へっ?」
セミさんを見ると先ほどの柔らかな笑顔は消え、ぐっと何かを堪えている。
「出口を塞ぐようなことを言いますが、宜しいでしょうか?」
威圧的なものさえ感じるような、でも悲しそうな表情で言われてしまっては、頷くしかない。
「今すぐ、召喚の儀や帰還の儀をアンゼルフが行うことは、アンゼルフの命が危ぶまれます。召喚の儀にてアンゼルフは命の源となる核の魔力まで使ってしまった様子。ですが、あれでは……帰るからとすぐにもう一度儀式を行えば……」
「えっ、でも元気そう……」
「補助魔法具でも使ったのでしょう、あんなに力のないアンを見たのは初めてです。今にも倒れそうで」
これが名役者とかでなければ、セミさんの言うことが本当なのだろうけど、それを見分けるような目は持っていない。
その時、廊下の方がざわついた気がした。
セミエールも同様、すぐさま廊下のドアを開け、外の様子を伺う。
「どうかしましたか?」
セミエールが近付いてくる使用人を呼ぶ。
「セミエール様、実はアンゼルフ様がお倒れに」
「っ……、分かりました、後程伺います。医者に核の魔力不足が起こっていると急いで伝えてください、このことは医者のみに伝えて他言無用ですよ」
「えっ、核の?!は、はい。分かりました。お伝えしてきます」
使用人らしからぬ早さでバタバタと去っていった。
セミエールは1つ息を吐き、他の近くを歩いていた使用人を呼んで何か言伝を頼み、部屋の中に戻ってきた。
「危惧していたことが起きてしまいました」
名役者の演技ではなかった。
ということは、本当に出口を塞がれてしまった。
これでは、もう聖女を俺がやるしかない状況に陥ってしまった感じ。
さっきの説明では、大賢者=アンゼルフと何人かの魔法使いの力で、俺がこの地にいる。
ということは、倒れたアンゼルフ&何人かの魔法使いの力を使わなければ、帰れないわけで。
その筆頭だろう、大賢者のアンゼルフが倒れたら、まずは無理じゃないだろうか。
俺が、聖女?んんっ?
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