6 / 172
異世界召喚されたった
006、マナー。
こちらの世界には、柄のあるシャツは珍しいものと、庶民服と渡されたのは飾りもない麻生地の長袖Tシャツ。
上半身に着ていた服を全て脱いで着てみると、麻生地が肌に直接当たり背中のチクチク感がなんともこそばゆい。
一度着たシャツを脱いで、元の着ていた半袖Tシャツを着てから長袖に手を通すと背中のチクチクはマシになった。
「これも履き替えた方がいい?」
Gパンに手をかけながら、周りを見ると、二人ともこちらに背を向けていた。
「っなぜ?あ、こっちでは人の着替えは見ちゃダメ的な?」
「そうですね。他人の着替えなどは見ない、見せないと子供の時より教わります」
「あ、すいません。マナー違反で、えーと、あっあの裏に行きますね」
着替え用に用意していたのか、衝立の向こう側に逃げ隠れる。
「そうして頂けると助かります。タチバナ様の世界では、これはマナーにはなっていないのですね」
「同性なら気にしないけど、初対面の人の前で着替えるのはマナーがなってないんで、違反ちゃあ違反なんで、すいません」
「いえ、こちらの世界のマナー、しきたりですから、タチバナ様が知らないのも仕方がありません。その他のこともおいおい、私やミニシッド様に聞いて学んで頂きたいですね」
「はぁ」
さっきよりも押しが強くなってないか、これはもう聖女決定な。
あー、腹をくくるしかないのか……。
「……では、私は所用を済ませてきます。タチバナ様申し訳ありませんが、席を外すことをお許しください。ミニシッド様、よろしく頼みます。陛下との謁見は18刻になりますので、17刻までにはお戻り下さい」
「いってらー」
「了解した」
着替えを終える前に、いそいそと部屋を出るセミエール。
やっぱりヤバイのだろうか。
着替えを終えて、衝立の陰から出るとリンは出されたお茶と菓子を堪能していた。
俺も席に座り、パイ生地の爽やかな風味のお菓子を食べた。
「あのさ、核の魔力不足ってヤバイの?」
「ヤバイとは?」
「危ない的な?」
「なるほど、俺はなったことはないが、危険だな。核が守られてない状況だからな。ああ、すまない。そちらの世界には核の概念はないのだな。そうなると……心臓を晒してると言えば分かりやすいだろうか」
俺の顔色を見て察してくれたらしい比喩は、想像以上だった。
それは、危篤状態とも言えるんではないだろうか。
「死にそう?」
「そのまま核の魔力がなくなることがあれば死ぬが、魔力不足と言うことは補助器具なり伴侶の守りがあれば、不足分は補える。ああ、セミエール様の所用はそういうことか。なら、伴侶のセミエール様が守りに入られれば、もう大丈夫だろう」
「そっか…………んんっ?伴侶っ?男同士だよな?」
「言われなかったのか」
「家族だとは聞いた」
「そうか。そちらでは同性での伴侶は珍しいものなのか?」
「日本、おれの住んでる国ではまだ。他の国ではあるらしいけど、少数派」
「この世界では、恋人や伴侶に性別や種族の区別はない。胎内で子を育てることが出来るのは女性だけだが、精霊の卵があれば誰でも子を授かることが出来る」
アンビリバボーな事実をざっくり聞かせてもらってる。
だから、他人の着替えは見ちゃダメ、なるほど。
誰でも、性別、種族関係なしにそういう対象になってしまうということだ。
「なんか、今が一番、異世界に来たことを実感してる気がする」
紅茶だろうものを飲みながら、しみじみと呟いていると、リンが笑った気がして、そちらを見る。
「俺はコウを気に入った。俺とこの世界を救う手助けをしてくれないか?」
直球ど真ん中ストレートボールを投げて寄越す。
「俺、男だよ。聖女なのに男?ってなるじゃん、なんか気が進まない」
「実は、この役を引き受ける気はなかった」
「えっ、そうなん?」
「勇聖者決定戦というもので俺が選ばれたんだが、それが夢の中で何人もの勇者と試合するというもので、俺には攻撃はほぼ当らない、なのにこちらは一振りで終了。それで決定したと言われても現実味も何もない。しかも聖地を見ず知らずの他人と回るのは気疲れしてしまうと後ろ向きに考えていたんだ」
ポロポロと面白い事実が投下されているが、今は聞き時だろう、相づちで先を促す。
「でも、コウとなら楽しい旅が出来る。俺の直感は当たるんだ。なんだか、なかったやる気も出てきたよ」
そう笑顔で言われても、こちらはアハハと乾いた笑いしかでない。
「まずは、眼鏡屋に行って俺に似合うものを見繕ってくれ。眼鏡なんて考えたことなかったから、よく分からないからな」
小さくカツンとカップを置いて立ち上がったリンは、俺の方に回ってきて、さあ行こうとばかりに手を取る。
「俺だって、眼鏡かけたことないから分からないし」
立ち上がり、取られる手のままドアへと歩いていく。
「でも、そういう人を見たことあるってことだろう。なら、俺に合いそうな眼鏡も分かるさ。俺は……コウに似合う服を選ぶことにする」
「……なんだか、デートみたいだな」
ドアを開けて、先程校長と歩いた廊下を逆走して歩いていく。
「デート?」
「あ、えーっと逢引だったかな?恋人同士とかで出掛けることをあっちではデートって」
「なるほど、ならそれだ。俺はコウを気に入った。これはデートだよ」
「な……?!」
繋がれた手は離さないまま、そんな事実を投下されて、手を離したくなるが、さすが勇者なのか、痛くない程度にガッチリとホールドされた手は離れない。
「初めて、自分から人を誘ったよ。なんだろうな、ただただすごく楽しいと感じている自分がいるよ。コウ、君はすごいな、俺をこんな気持ちにさせるとは」
俺相手にそんな凄い笑みで言われても、こっちが困る。
これはどうすればいいのだろうか。
助けを呼ぶ?誰を。
初めて会った勇聖者に一目惚れ?されて、困ってますと。
セミさん、俺いま、無性に帰りたくなってる……。
上半身に着ていた服を全て脱いで着てみると、麻生地が肌に直接当たり背中のチクチク感がなんともこそばゆい。
一度着たシャツを脱いで、元の着ていた半袖Tシャツを着てから長袖に手を通すと背中のチクチクはマシになった。
「これも履き替えた方がいい?」
Gパンに手をかけながら、周りを見ると、二人ともこちらに背を向けていた。
「っなぜ?あ、こっちでは人の着替えは見ちゃダメ的な?」
「そうですね。他人の着替えなどは見ない、見せないと子供の時より教わります」
「あ、すいません。マナー違反で、えーと、あっあの裏に行きますね」
着替え用に用意していたのか、衝立の向こう側に逃げ隠れる。
「そうして頂けると助かります。タチバナ様の世界では、これはマナーにはなっていないのですね」
「同性なら気にしないけど、初対面の人の前で着替えるのはマナーがなってないんで、違反ちゃあ違反なんで、すいません」
「いえ、こちらの世界のマナー、しきたりですから、タチバナ様が知らないのも仕方がありません。その他のこともおいおい、私やミニシッド様に聞いて学んで頂きたいですね」
「はぁ」
さっきよりも押しが強くなってないか、これはもう聖女決定な。
あー、腹をくくるしかないのか……。
「……では、私は所用を済ませてきます。タチバナ様申し訳ありませんが、席を外すことをお許しください。ミニシッド様、よろしく頼みます。陛下との謁見は18刻になりますので、17刻までにはお戻り下さい」
「いってらー」
「了解した」
着替えを終える前に、いそいそと部屋を出るセミエール。
やっぱりヤバイのだろうか。
着替えを終えて、衝立の陰から出るとリンは出されたお茶と菓子を堪能していた。
俺も席に座り、パイ生地の爽やかな風味のお菓子を食べた。
「あのさ、核の魔力不足ってヤバイの?」
「ヤバイとは?」
「危ない的な?」
「なるほど、俺はなったことはないが、危険だな。核が守られてない状況だからな。ああ、すまない。そちらの世界には核の概念はないのだな。そうなると……心臓を晒してると言えば分かりやすいだろうか」
俺の顔色を見て察してくれたらしい比喩は、想像以上だった。
それは、危篤状態とも言えるんではないだろうか。
「死にそう?」
「そのまま核の魔力がなくなることがあれば死ぬが、魔力不足と言うことは補助器具なり伴侶の守りがあれば、不足分は補える。ああ、セミエール様の所用はそういうことか。なら、伴侶のセミエール様が守りに入られれば、もう大丈夫だろう」
「そっか…………んんっ?伴侶っ?男同士だよな?」
「言われなかったのか」
「家族だとは聞いた」
「そうか。そちらでは同性での伴侶は珍しいものなのか?」
「日本、おれの住んでる国ではまだ。他の国ではあるらしいけど、少数派」
「この世界では、恋人や伴侶に性別や種族の区別はない。胎内で子を育てることが出来るのは女性だけだが、精霊の卵があれば誰でも子を授かることが出来る」
アンビリバボーな事実をざっくり聞かせてもらってる。
だから、他人の着替えは見ちゃダメ、なるほど。
誰でも、性別、種族関係なしにそういう対象になってしまうということだ。
「なんか、今が一番、異世界に来たことを実感してる気がする」
紅茶だろうものを飲みながら、しみじみと呟いていると、リンが笑った気がして、そちらを見る。
「俺はコウを気に入った。俺とこの世界を救う手助けをしてくれないか?」
直球ど真ん中ストレートボールを投げて寄越す。
「俺、男だよ。聖女なのに男?ってなるじゃん、なんか気が進まない」
「実は、この役を引き受ける気はなかった」
「えっ、そうなん?」
「勇聖者決定戦というもので俺が選ばれたんだが、それが夢の中で何人もの勇者と試合するというもので、俺には攻撃はほぼ当らない、なのにこちらは一振りで終了。それで決定したと言われても現実味も何もない。しかも聖地を見ず知らずの他人と回るのは気疲れしてしまうと後ろ向きに考えていたんだ」
ポロポロと面白い事実が投下されているが、今は聞き時だろう、相づちで先を促す。
「でも、コウとなら楽しい旅が出来る。俺の直感は当たるんだ。なんだか、なかったやる気も出てきたよ」
そう笑顔で言われても、こちらはアハハと乾いた笑いしかでない。
「まずは、眼鏡屋に行って俺に似合うものを見繕ってくれ。眼鏡なんて考えたことなかったから、よく分からないからな」
小さくカツンとカップを置いて立ち上がったリンは、俺の方に回ってきて、さあ行こうとばかりに手を取る。
「俺だって、眼鏡かけたことないから分からないし」
立ち上がり、取られる手のままドアへと歩いていく。
「でも、そういう人を見たことあるってことだろう。なら、俺に合いそうな眼鏡も分かるさ。俺は……コウに似合う服を選ぶことにする」
「……なんだか、デートみたいだな」
ドアを開けて、先程校長と歩いた廊下を逆走して歩いていく。
「デート?」
「あ、えーっと逢引だったかな?恋人同士とかで出掛けることをあっちではデートって」
「なるほど、ならそれだ。俺はコウを気に入った。これはデートだよ」
「な……?!」
繋がれた手は離さないまま、そんな事実を投下されて、手を離したくなるが、さすが勇者なのか、痛くない程度にガッチリとホールドされた手は離れない。
「初めて、自分から人を誘ったよ。なんだろうな、ただただすごく楽しいと感じている自分がいるよ。コウ、君はすごいな、俺をこんな気持ちにさせるとは」
俺相手にそんな凄い笑みで言われても、こっちが困る。
これはどうすればいいのだろうか。
助けを呼ぶ?誰を。
初めて会った勇聖者に一目惚れ?されて、困ってますと。
セミさん、俺いま、無性に帰りたくなってる……。
あなたにおすすめの小説
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
不思議の森の小さな家
エウラ
BL
ユーリは理由も分からず、一五年前、五歳の時に異世界に転移した。世間からは『聖域』と呼ばれるこの深い森に住んでいたハイエルフの青年エルリオに保護されて、魔法や錬金術を教わりながら暮らしていたが、ある理由で現在は一人暮らし。
森から出たことがないユーリはちょっと寂しいと思いながらものんびり過ごしていたが、ある日、行き倒れの冒険者を拾ってしまう。
彼はアイオンと名乗り、しばらくユーリの家に同居することになるのだが……。
R15。ハッピーエンド。
いつものように思いつきです。短編予定ですがたぶん不定期更新です。
Sランク宮廷魔術師、理不尽な理由でクビになったので田舎でスローライフ(農家)始めました
仁科異邦
ファンタジー
ざっくり言うと:
追放されても全然落ち込まない最強おじさんが、田舎で好き勝手やってたら村の柱になっていく話。
細かく言うと:
王立魔術師団の筆頭として十年間働いてきたSランク魔術師・ガイウス・ノア(32歳)は、次期国王を占う神託の儀式を執り行ったところ、まさかの自分の名前が出てしまう。
逆賊扱いで王都を追放されるが、本人はむしろホッとしていた。十年間、雑務と徹夜続きで好きなことを何もできなかったからだ。
財布の金貨を握りしめ、地図でいちばん何もなさそうな村——辺境の果てのエーデル村——を選んで移住を決意。幽霊が出ると噂の空き家を格安で借り、畑を耕し、ポーションを作り、夜は酒場でエールを一杯飲む。
夢のスローライフがついに始まった。
村人たちに正体を怪しまれつつも、
「俺はただの農家です」と言い張る日々が続く——。
過労で倒れかけの騎士団長を「カツ丼」で救ったら、なぜか溺愛され始めました。
水凪しおん
BL
王都の下町で、亡き両親が残した小さな食堂をたった一人で切り盛りする青年、ルカ。
孤独な日々の中で料理だけを生きがいにする彼の店に、ある冷たい雨の夜、全身を濡らし極限まで疲弊した若き騎士団長、レオンハルトが倒れ込むようにやってきた。
固形物さえ受け付けないほど疲労困憊の彼を救うため、ルカが工夫を凝らして生み出したのは、異世界の食材を組み合わせた黄金色の絶品料理「カツ丼」だった。
その圧倒的な美味しさと温もりに心身ともに救われたレオンハルトは、ルカの料理と彼自身に深く魅了され、足繁く店に通うようになる。
カツ丼の噂はまたたく間に王都の騎士たちや人々の間に広がり、食堂は大繁盛。
しかし、その人気を妬む大商会の悪意ある圧力がルカを襲う。
愛する人の居場所を守るため、レオンハルトは権力を振るって不正を暴き、ルカもまた自らの足で立つために「ルカ商会」を設立する決意を固める。
美味しいご飯が傷ついた心を癒やし、やがて二人の絆を「永遠の伴侶」へと変えていく。
胃袋から始まり、下町の小さな食堂から王都の食を支える大商会へと成り上がる、心温まる異世界お料理&溺愛ファンタジー!
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。