俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

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のんびり高速移動旅

042、創造神 1(通貨と始まり)。

キユランスだけでなく、ユリランスでも守護核は硬化した。
守護核が硬化したことは初めてで、大精霊キュリアンリサエルは困惑していた。
「一度だけでなく、二度までも……何が起こっているのじゃ?……あやつら、盛り過ぎじゃないか。何組と見てきたが、ランスだけでなく他でも、しかも毎日なぞ今までいなかったぞ。……それにあのスライム……何が起こっておるのじゃ?」
大精霊の問いに答えるものはいない。
タシュワ湖の真ん中でキュラビッツを守護している大精霊の周りには誰も近寄れない。
大精霊の力の欠片から生まれた精霊達でさえ、近寄ることのできない場所に大精霊キュリアンリサエルはいる。
孤独に、この世界が出来たときからずっと。
「創造神、何が起こっているのですか……」
問いを空に放つが、やはり応えはない。
創造神の姿を思い出しながら、大精霊キュリアンリサエルは目を閉じた。
「創造神……お会いしとうございます」
表情は変わらずとも、その声は泣いてるかのよう。


「これって、クハラんとこのドレッシングじゃん!うんめー」
ユリランスを離れ、ラウ達の元に戻ると、早速野営。
本日の夕食は、トカゲイヌのソテーと根野菜たっぷりのスープとサラダにパン、もちろんリンが用意しております。
「そう言えば、ドレッシングは、同じなんだな」
「何が?」
「言い方。そっちでもドレッシングなんだろ?」
「おお、そうねぇー、これも美味ーい」
「これもそっちの人間が広めたものだったりしてな」
「そーかもねぇ。そうそう、確か俺たちの世界でも昔は、塩とか胡椒とかだけだったって何かで見たな。あっ、こっちって塩とか胡椒とかどうなってんの?」
「んっ?塩は海側の特産品だし、胡椒は高温地帯の特産品だ」
「やっぱり、お高い?」
「少し。……この瓶一本で5キュラだな」
目の前に見せてくれるのは10センチ程の瓶。
「んっ?会計はリン任せだから、価値が分かんない」
「そうだったな。なら、5キュラで……ゲーヌ焼きが5本買える」
「ふーん、ちょこっと高いくらいなんね」
「お前のところはそんなに高いのか?」
「違う違う、それは大昔の話。金とか銀と同量で売買されてたって何かで見たから。あっちだとパン一個と同じくらい」
「それはまた安いな」
「そういや、通貨ってどうなってんだっけ?」
何か払うときにはリン任せだから、何も考えずにここまで来てしまっていた。
そろそろこっちの勉強もしていかないとだろうと、今更ながらに思う。
「まずは食べてからにするか」
「おっそれな……旨いーぃ」
「隊長に徹底指導受けていたのは、この時の為だったのかもな」
「隊長さん、あんがとうよー!こいつの飯うめーぞー」
天に向かって感謝を述べる俺に目を見張り、そしてにこやかに笑むリンの笑顔が炎に揺らめいて、更にかっこよく見えて困ったので、食べることで気をそらした。

大体の説明を聞き終えて、自分の中の通貨感覚と照らし合わせてみる。
銅色丸コインの1キュラは大体100円。
銀色丸コインの10キュラは約1,000円。
銀色六角コインの1ビッツが一万円。
金色六角コインの10ビッツが十万円。
野菜などは束売りやまとめ売りが主で、一束1キュラや2キュラなのだから、俺の感覚であってると思う……というか、そうしないと訳が分からなくなるので、そうする。
「ここでもキュラとビッツなんだな、どこまでキュラビッツ推しすんだか」
「……おし?」
「えーっと、ちょっと待ってな……薦める?これは違うだろ。えーっと……うーん、適当なのがないな、推しは違うのか?あーっと、ここの世界はキュラビッツだろ」
スマホで推しを調べても適当な回答が見付からないので諦めた。
「そうだな」
「共通語はキュラビッツ語」
「ああ」
「んで、共通通貨はキュラとビッツで、合わせてキュラビッツ」
「そうだ」
「キュラビッツばっかりだろ」
「それがおしだと」
「そう、キュラビッツばっかり。ここを作った神様でもいたらキュラビッツって言葉が好き過ぎだって話」
「言われるまで気にしなかったな」
「元々なんだから気にしないだろが、俺は別から来たから気になった、まあそれだけなんだけど」
「そう言われるとそうだな」
「なっ。ゲームでもあるまいし……んっ?考えるとここって凄いな」
「何が?」
「共通語も共通通貨もキュラビッツなんだぜ。地球ほどはデカくないのかもしれないけど、一つの世界なんだぞ。もっと複雑になるのが普通じゃないのか?」
「……そうなのか?」
「俺たちの世界には共通語はあるけど、ネイティブ……スラスラ話すなんてやつじゃない、俺なんてさっぱりだし。だけど、ここは誰でもキュラビッツ語を話すんだろ」
「ハイエルフなどの一部の地域では、その土地の言葉はあるが、そこでもキュラビッツ語は欠かせない」
「なっ、考えてみればそれっておかしいんだよ。俺の世界で誰もが英語をペラペラにって無理だもん。……ほんとに誰かがここを作って、一個一個設定していったみたいな感じがする」
「……創造神のことか?」
「えっ?いんの?」
「ああ、言い伝えみたいな昔話だがな。キュラビッツは最初、水一滴もない荒れ果てた大地だった」

創造神は、その現状に涙し、その涙が溜まって出来たのがタシュワ湖。
その初めの一粒の涙から生まれ出でた大精霊キュリアンリサエルを柱に世界を作っていった。
まずは、タシュワ湖を中心とした陸地を作り、世界の半分以上を膨大な海にした。
海が出来ると雨の降らなかったキュラビッツに雨が降るようになり、大地に潤いが満ちてくると、種を植えた。
それは草になり、花になり、木になった。
大地が植物で満ちてくると次に生き物の種を蒔いた。
それらは獣や魔物となった。
次に違う種を蒔くと、それらは人となった。
彼らの住む家を作り、職を与えていく。
また違う種を蒔くと、魔に特化した生き物となった。
それらにも家を作り、職を与えた。
キュラビッツが生き物で満ちてくると、統治する者を決め、国を作らせ統治させた。
そして、大精霊キュリアンリサエルに各地に精霊を送らせ、見守るようにさせた。

「これが、大まかな創造神の話だ」
「……最後はさせるだけ?そのあとの創造神ってやつは?」
「いや、そのあとは知らない。大精霊なら知ってるだろうが、話すことは出来ないしな」
「ふーん。まあ神様だし、そんなもんだろうけど」
「けど?」
「シム系な感じな」
「説明プリーズ」
リンの困った顔に笑ってから、消さずに残していたスマホに入ってるオフラインのシム系ゲームを見せながら説明した。
それは中世みたいな設定で、人の増員や職業配備などを細かに行うやつで、一時期ガチハマりしたゲームだ。
ある一定の建物を建ててしまえば、あとは勝手に金や王冠、王冠は課金ロック機能外しに使うやつで課金可、が貯まっていく、勿論ゼロ課金でやってやったぜ。
あっ、広告外しに120円ほど課金してた。
「凄いな、このゲームってやつは」
「だろ!もう世界中に何万、何十万、昔のや未発表ものを合わせてたら何千万とゲームがあって、その一つのジャンル……区分?区分けしたら、これは育成枠かな。町を作っていくゲームの一種なんだが、最初はただの空き地でそこに井戸を作って、そのあとに家を作ったら人が住み出すから、職業を設定してとか色々やってく。……で、こういうゲームの一番有名なのがシムってやつで、それは職設定はないんだけど、こういう町を育成していくゲームを総じてシム系って呼ばれているんだよ」
「で、お前はこの世界がそれに似てると」
「土地を決めて、家を作り、職を与えたってまさにそれじゃん」
「そう言われたらそうだが……複雑な気持ちがするな」
「あっそっか、わりぃ。自分が生きてる世界がゲームみたいなんて言われたら微妙だもんな」
「これが、微妙か。確かに微妙だな」
「まあ、俺の国なんてさ、どっちだっけ?イザナミ?イザナギ?どっちかが泥水の中に矛を刺して、ぐるぐるして持ち上げたら土地が出来てたとかだぜ。んで、その二人が家の中で柱の回りをぐるぐる回ってたら、色んな神様が生まれたとか、変なやつだから、それよりはしっかりしてるからいいんじゃね」
「……しっかりし過ぎてないか」
「んっ?」
「あっ、創造神の言い伝えがしっかり残り過ぎている気がして……」
「言われたら、そうかも……マジだったりして」
「どうなんだろうな」

どことなく微妙な心地を残し、その話はそこで終わらせ、他の話に切り替えた。
考えても、大精霊さんにでも聞かないとほんとのことは分からないんだから。
だが頭の端で考えてしまう。
もし、この世界を誰かが作ったのなら、そいつが聖地巡礼を設定したはずだ。
何の為に?
ランスの中でヤらせるのは、何の為?
前回と今回、もしかしたらその前も『男』にわざわざ『セイジョ』と名を付けてまで。
なぜあの中でヤらせるんだ?
なんで、そんなことが必要なんだ?
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