俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

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のんびり高速移動旅

057、岩と雑草 1(絶景)。

走っていたら森の木々が減り出し、高さも徐々に低くなり、ついには木がなくなり、次は草原になった。
木々に遮られた視界が広々とした草原に変わると目が変な感じだ。
草原というと北海道とかの緑一色な草原を思い出すが、あれは牧場主達が管理している草原で、ここのとは違う。
岩、石の間に雑草が生えてる草原の方。
土の地面に石が混じり、岩が混じり、ラウ達の足音までも変わってきた。
速度もその地形に合わせて、徐々に落として走って、ついにリンはディラの足を止めた。
この岩や石の中をあの速度で走ったら、確実に転ぶだろうと予測つく。
「コウ、この地面では速度が出せない。夕刻には着くと思っていたが聖地に着くのは夜も大分遅くなりそうだ。手前の村に泊まって明日にしてもいいか?」
「ここで野宿はキツそうだもんな」
「布団を何枚も敷けば寝れるだろうが、そう枚数は持ってないし、ディラ達も座って休めないだろう」
「なら、……」
「んっ?」
「明日、行くかって言おうとしただけ」
「そうか、なら村に向かおう」
聖地宿作戦は、あとで言うことにしよう。
こんな地面のとこの聖地でも、中は変わらず煉瓦みたいな部屋だろうから、あの場所を宿代わりに出来そうだと言おうと思ってたが、今の今までは忘れていた。
多分、あの聖地には干渉されないように何かの魔法でもかかっているんではないだろうか。
また忘れないうちに言っておかないと、宿作戦が更に先の機会になってしまう。
今日中に言おうと決めて、石や岩の地面を慎重に進む。
リンは、これまでの道のりを最短距離を進んでいるため、道なき道を走っていた。
獣道や公道などの多少整った道を進んだのは、僅か。
ここまでではないが粗っぽい道もそれなりに走ってきたが、ここはまた凄い。
お陰で、乗馬技術は聖女仕様も相まって、格段に上がった。
目の前広がるのは、大小の岩が雨で侵食され、その間に雑草が生えたという感じの岩と雑草の見事と言いたくなるほどの景色。
何かで見たな、カル……カルスト地形、あれだ!
単なる草原もすげーっと見てたが、こういうザ・自然の力って風景はいいと思う。
『世界○○百景』とかを、行きたいではなく、ただ見ていた。
学生の時は、そんなの見る気も起きなかったが、何時からかTVでやってると見るようになった。
人が作り出した鉱山穴も、あんだけの穴を作り出してしまう、人間の飽くなき物欲にすげぇなと見てた。
その中でも、割りといいと思うのがこのカルスト地形と言う目の前の風景。
確か、石灰岩で出来てて、あの中国の桂林とかもカルスト地形だったはず。
あれこそ、シェンロ○の世界で、あれは龍がいると言われたら、いそうとしか言えない場所だ。
「リンは、こういうカルスト地形好き?」
もう歩いてる位の速度なので、並ぶように横に移動して話しかけた。
「カルスト?……お前の世界ではこれはカルストというのか」
「そう、こういう木がない、岩の間に雑草や苔が生えてる草原をカルスト地形、カルスト草原ってんだ」
「そうなのか、こっちでは悪魔の住む草原と言われている」
「あっ?なにそれ?」
「木々が生えずに、耕そうとしても岩しかないから、住むには適さないし、たまに穴が開いていたり、現れたりして、事故が起きやすいから、悪魔の住む草原と言われて、極力近付かないようにと言われていたんだが、悪い、この地図には書かれてなかった」
「書いてないのはしゃーないし。ってか、そっかー。悪魔の住む草原かー。穴かー、なら中に鍾乳洞あっかな?」
「しょうにゅうどう?」
「そっ、こういうカルスト地形って、雨の侵食を受けやすい岩で出来てんだけど、地下も一緒で、そこに雨水が貯まったりした洞窟があるんだけど、それがまたいいんだよな」
「こういう場所にある穴は、地獄への入り口とか言われてるから、それこそ誰も近寄らないぞ」
「まじかーっ。あれを観光地化したら凄いのに」
「コウがそこまで言うなら、見たくなってきたな……あっ、なるほど、確かに凄いな」
リンがディラの足を止めたので、こちらも止まり、リンの見ているカルスト草原を眺めた。
見ようによっては、大小の岩とその隙間に生えている雑草や苔しかない殺風景な風景は、悪魔の住む草原と名が付くくらい一見怖さはあるかもしれないが、そんなのを取っ払ってじっくりと見ると、凄いのだこの景色は。
太陽が作り出すコントラストは、それこそ一瞬の凄さがあるが、こういった自然の力が年月をかけて作り出すものも、単純に凄いと思う。
「だろー、こういう景色は結構いいと思うんだよ。まあ、これもリアルで見たのはこれが初めてなんだけどな」
「悪魔の住む草原としか見てなかったんだな」
「地球のカルスト地形も危ない場所ではあるから、間違いって訳じゃないけど、それをただの恐怖の対象にしてしまうのは、もったいないな、こんなに凄いのに」
「もったいない、そうだな、これこそもったいないってやつだな」
前に、リンの言った、もったいないのニュアンスが違っている気がして、俺の知ってる知識を語っていたので、リンのもったいないは、日本人のもったいないに近くなってる。
「だろー、それこそ地獄への入り口の中なんて、ファンタジー……あっ、ここリアルファンタジーだ……えーっと、とにかくそこには自然の作り出した芸術があるんだよ」
「なら、そこに穴があるから降りてみるか?」
「えっ?この軽装は危なく……大丈夫か、聖女仕様だし、勇者だし」
近くに二メートルほどの穴が開いているが、いきなり降りて平気かなどという知識まではないが、俺ら二人なら多少のことなら平気だろうと、ラウ達から降りて穴の近くに歩いてみた。
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