俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

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のんびり高速移動旅

071、馴染みの服屋 4(トカゲ)。

ニコニコと笑みを強めると、ジンケットから何やらパイのような物が乗った皿を出したカープレノ。
「えっ、カナプルパイ!作ってたの?」
「いえ、この間作った時にもう一個余分に作っていたのを思い出しまして、お二人もいかがですか?」
「カープレノの作ったカナプルパイはもうキュラビッツ1の美味しさよ」
ジンケットから皿やフォークと次々と出し、包丁まで出すとパイを切り分けて、差し出してきた。
明らかな話題そらしを成功させるために、スルーを用いて、ありがとうと皿を受け取った。
「……うまそーっ……あっ、そういや、服は棚に入れんな」
「コウタは、産まれながらの旅人でね」
「そうなんだ、大変ねー」
それで納得される『旅人』の分類的な立ち位置が謎。
「自宅にいるなら、洗濯した服は棚に入れるよ。ジンケットには、季節の違う服や礼服とかは入れるが、毎日着る服とかは入れないよ」
「そりゃそうか。んっ?皿とかは?」
「皿?普通はキッチンの棚に入れる、毎回ジンケットから出すのも手間だろう」
「……だなっ……うわっ、これうまっ!!」
一つの疑問を抱きながら、カナプルパイを頬張るとアップル系のパイかと思ったら、サクッとしたパイの中には、ネットリとしつつサラッと爽やかで甘いクリーム。
アップルパイのねちょっサクッとしたあの食感が少し苦手な俺は、あれを想像しながら食べたのでクリームが来るとは思わず驚いた。
「でしょう、カープレノの作るカナプルパイは美味しいの!あっ、カナプルパイだけじゃないの、カープレノは料理も上手でね……」
そこで、マヒルナのカープレノ自慢が始まった。
当のカープレノは、そんなマヒルナの横でずっとニコニコ顔を崩さなかった。
カナプルパイを食べ終わっても、マヒルナのカープレノ自慢は終わらず、どうしようかと思っていると、下の方からおかみさんの声がした。
「マヒルナー、来てるわよー」
「あっ、はあーい。今行くー、リンスラン様、コウタさん、ごめん、ちょっと下行ってくる。カープレノあとよろしく」
「はい、こちらは大丈夫なので、ゆっくりしてきて下さい」
「だから、……もう……」
カープレノの受け答えに一瞬悲しそうな顔をしたマヒルナは、息を吐いてから下に降りていった。
これは、何だろう。
マヒルナ達と距離を置きたい感じなんだろうか。
養子だから……何か違う気がする。
「そういや、リンはオヤジさんの恩人なんしょ」
「ああ、オヤジさんとカープレノが森でミラツルの毒に中って動けなくなってる上に、カラマンダラに襲われかけている所に出くわしてな。ミラツルは蔓の一つでカラマンダラが獲物を仕留めるのに使う毒蔓だ。カラマンダラは……足なしトカゲだな。足がないからと物を使って獲物を仕留めるズル賢い魔物だ」

またトカゲの登場だ。
トカゲーヌは犬の鳴き声のトカゲで『フランチャイズ』の焼きゲーヌはめちゃくちゃ旨い。
タレは他の肉にかけても旨いけど、トカゲーヌにかけた方が一番旨いから、トカゲーヌの脂と化学反応でも起こしてるのかも?なんて考えたことがある。
んで、新たなトカゲは、足なしトカゲ、そう言われて、頭に浮かんだのは、毎年どこかで捕獲作戦が決行されているが未だに見つかっていないと言われている日本のUMA、あっちは蛇かもだけど、分類的には爬虫類だろう。
しかも、カラマンダラとか、何故か頭にチベットと出てくるのは、ブラピの映画のせいで、仰々しい名前だと思ってしまうのも、あの映画のせいだろう。
あっ、ドラゴンもトカゲ系ってか、恐竜か!
確か、ダイナソーって恐ろしいトカゲとかの意味だったはず。
こちらは、恐竜が絶滅しないで進化しまくった結果なのかもしれない。

などと考えながら、へぇーすげーなそのトカゲっと呟くとカープレノが少し不思議な顔になった。
「旅人なのに知らないんですか?」
あっ、旅人設定だった。
旅人の事情も状況も詳しくは知らないが。
「彼は、ジパンゲアの旅人でね。こちらには来たばっかりなんだ」
「ああ、だから黒い髪と黒目なのですね!ジパンゲアの方には初めて会いました。失礼な事を言ってしまい、すいません」
「いや」
なんだ、その『ジパング』と『パンゲア』の組合せみたいな国?みたいな場所。
しかもその驚きよう、希少人種なのか、そこの奴ら?
リンをチラリと見ると、にっこりと後でと目が言っているような表情をしているので、そのままにしといた。
「薬服師としては色々と聞きたいですが、噂ではジパンゲアの場所も内部も秘匿と聞いています、なら聞けないですよね?」
更によく分からないが、丁度いい設定を教えてくれたのでそれに乗って、コクンと頷くとカープレノは息を吐いてから諦めたような顔になった。
「リンスラン様が一緒に旅をする方ですもんね」
「カープレノ、それは聞き捨てならないぞ」
「あっ、すいません」
ジト目でリンに見られても、ニコニコ顔を崩さない程、仲がいいということは分かった。
俺は、さっきのワードが気になって、聞きたいウズウズ湧いていたのがあっさりリンに伝わった。
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