78 / 172
のんびり高速移動旅
078、アンランス 3(名付け)。
キュリアンリサエルは、全ての聖地の精霊を通して108のランスを見た。
その108の聖地の内、四ヶ所のランスの中に魔石のような輝きを持つ石が鎮座している。
そして、とあることに気が付き、更に意識を拡大していく。
キュリアンリサエルにしか出来ない技、各地の精霊の意識を通してキュラビッツ全てを見た。
「こちらだけ、格が上がっている」
今回、聖なる鐘が鳴り響いた箇所の精霊達の格が上がっていた。
人やモノなどの強い意識に感化され、時には消滅してしまう程の儚い精霊達。
だが、鐘の鳴り響いた範囲の精霊達は、強くしなやかになり、確かな意思を持つまでに成長していた。
リンスランの元にいる精霊のように、元より意思を持つ精霊もいた。
だが、それは稀であり、成長する精霊などいなかった。
だが、これは違う。
硬化した守護核のある精霊達は、己の意思で各地を自身の力で守護していた。
今までキュリアンリサエルが守護していた場所を精霊達が各々で守護している。
「……なっ、何が起こって……んっ?」
その時、あることに気が付いた。
アンランス内の精霊の格が更に上がっていることに。
これなら、他の精霊から見たれば実体化しているのではないかと、アンランスの外にいる精霊に意思を送り、アンランスへと下りさせた。
「やはり……」
そこには、キュリアンリサエルの手のひらサイズ程の妖精のような実体化した精霊がいた。
薄い二枚の羽を持ち、キュリアンリサエルが纏っているローブを纏った者が、こちらをしっかりと見据えている。
その時、キュラビッツの国民が王などに相対した時のように浮んだまま空中に片膝を突き、こちらに拝礼しているかのような姿になった。
それを見て、キュリアンリサエルは、その者がキユランスからアンランスまでの範囲のまとめ役のような存在になることが分かった。
「……そちらはお前に任せた」
そう呟くと、アンランスの精霊は顔を上げ、こちらを見ると頷いた。
「返事を返すのか?」
すると、もう一度頷いた。
こちらの意思を伝えることは出来たとしても、返答のようなものを感じたことはなかったし、見たこともなかった。
「そうか、話せは……しないのじゃな。わらわの声は聞こえるのか……そうか……そなたに名を付けよう、……安直だとリンスランに言われるやも知れぬが、お主はアンじゃ。んっ?……あの大賢者と同じ呼び名になってしまうな、名付けは初めてじゃからの。うむ、では、アンラじゃ。呼びやすく覚えやすい名が良いとコウタも言っていたしの」
すると、アンラは笑みを浮かべた。
「……笑う……のか……良いということでいいのじゃな」
名を付けられた途端、更に格も上がり、アンラに表情が出るようになった。
「……名付けは格を上げるのか。だが、それでも話せるまでにはならぬのじゃな……アンラにはこやつを付ける」
今、アンランスに下ろした精霊をアンラに付けてしまった。
他の精霊がいなくてはアンラからの返答が見えぬからだ。
「しばらく、わらわの話し相手になってもらおう。まあ、聞くだけになってしまうが、しばらくは付き合え、話すのは久しぶりなのじゃ。創造主様と話した以来じゃからな、返答があるというのは嬉しいぞ……嬉しい?……嬉しいな、これは嬉しいという感情か、何やらわらわも格が上がったのか?嬉しいなぞと……」
その時、キュリアンリサエルの目から涙が流れた。
「なっ!これは……ああ、嬉しくても涙を流すなぞと、人はよく泣く生き物だと思ったが、これは泣いてしまうな……嬉しいとはこんなにも……」
無表情、無感動の大精霊キュリアンリサエルはもういない。
キュラビッツ上で何が起きても、ただ見てるだけ。
長年、人や魔物達の生き死をただただ見ていた。
それに感情は必要なかった、あれば見ることを拒否していただろう。
だから、キュリアンリサエルは無感動であったが、コウタがこちらに来てから徐々に変化していた。
コウタがもたらしたのは、聖女としてのモノだけではなかった。
コウタは、リンスランの為だけではなく、大精霊キュリアンリサエルの為にも喚ばれていたのだ。
だが、それを知っているのは、創造主と彼だけ。
彼は、コウタの操るピポグリフォルのラウの鞍の前の定位置で、自身の上で寝ているペタを落とさぬよう張り付かせて揺れていた。
「んっ?イムリン、何か嬉しいことでもあった?」
「なぜそれの……イムの気持ちが分かるんだ?」
「だって、ほら嬉しそうじゃん」
「俺には分からない」
「なんで分からないのかが、分からない。こんなに嬉しそうなのにー」
「すまない、分からないよ」
「……謝んなよ。うーん、ならディラなら分かるだろ、なんとなくでも」
「表情や仕草もあるからな」
「イムに目とか口とかなくても、いつもプルプルしかしてなくても、こう……雰囲気がな……雰囲気か?まあ、分かるんだよ」
「コウはすごいな、従魔の気持ちを把握してるなどと、そうそういないぞ」
「それは、純粋に誉めてる?」
「いつも聞くが、俺はいつも凄いと思ってるよ」
「……うーん、誉められ慣れてないからか、背中がむず痒くなってくるー」
「掻こうか?」
「いらん、手綱離すな」
少し広い街道を並んで走るピポグリフォルの足音は軽やか。
キュラビッツに多大な変化をもたらしていることも露知らず、一行は次の聖地へと進んでいく。
その108の聖地の内、四ヶ所のランスの中に魔石のような輝きを持つ石が鎮座している。
そして、とあることに気が付き、更に意識を拡大していく。
キュリアンリサエルにしか出来ない技、各地の精霊の意識を通してキュラビッツ全てを見た。
「こちらだけ、格が上がっている」
今回、聖なる鐘が鳴り響いた箇所の精霊達の格が上がっていた。
人やモノなどの強い意識に感化され、時には消滅してしまう程の儚い精霊達。
だが、鐘の鳴り響いた範囲の精霊達は、強くしなやかになり、確かな意思を持つまでに成長していた。
リンスランの元にいる精霊のように、元より意思を持つ精霊もいた。
だが、それは稀であり、成長する精霊などいなかった。
だが、これは違う。
硬化した守護核のある精霊達は、己の意思で各地を自身の力で守護していた。
今までキュリアンリサエルが守護していた場所を精霊達が各々で守護している。
「……なっ、何が起こって……んっ?」
その時、あることに気が付いた。
アンランス内の精霊の格が更に上がっていることに。
これなら、他の精霊から見たれば実体化しているのではないかと、アンランスの外にいる精霊に意思を送り、アンランスへと下りさせた。
「やはり……」
そこには、キュリアンリサエルの手のひらサイズ程の妖精のような実体化した精霊がいた。
薄い二枚の羽を持ち、キュリアンリサエルが纏っているローブを纏った者が、こちらをしっかりと見据えている。
その時、キュラビッツの国民が王などに相対した時のように浮んだまま空中に片膝を突き、こちらに拝礼しているかのような姿になった。
それを見て、キュリアンリサエルは、その者がキユランスからアンランスまでの範囲のまとめ役のような存在になることが分かった。
「……そちらはお前に任せた」
そう呟くと、アンランスの精霊は顔を上げ、こちらを見ると頷いた。
「返事を返すのか?」
すると、もう一度頷いた。
こちらの意思を伝えることは出来たとしても、返答のようなものを感じたことはなかったし、見たこともなかった。
「そうか、話せは……しないのじゃな。わらわの声は聞こえるのか……そうか……そなたに名を付けよう、……安直だとリンスランに言われるやも知れぬが、お主はアンじゃ。んっ?……あの大賢者と同じ呼び名になってしまうな、名付けは初めてじゃからの。うむ、では、アンラじゃ。呼びやすく覚えやすい名が良いとコウタも言っていたしの」
すると、アンラは笑みを浮かべた。
「……笑う……のか……良いということでいいのじゃな」
名を付けられた途端、更に格も上がり、アンラに表情が出るようになった。
「……名付けは格を上げるのか。だが、それでも話せるまでにはならぬのじゃな……アンラにはこやつを付ける」
今、アンランスに下ろした精霊をアンラに付けてしまった。
他の精霊がいなくてはアンラからの返答が見えぬからだ。
「しばらく、わらわの話し相手になってもらおう。まあ、聞くだけになってしまうが、しばらくは付き合え、話すのは久しぶりなのじゃ。創造主様と話した以来じゃからな、返答があるというのは嬉しいぞ……嬉しい?……嬉しいな、これは嬉しいという感情か、何やらわらわも格が上がったのか?嬉しいなぞと……」
その時、キュリアンリサエルの目から涙が流れた。
「なっ!これは……ああ、嬉しくても涙を流すなぞと、人はよく泣く生き物だと思ったが、これは泣いてしまうな……嬉しいとはこんなにも……」
無表情、無感動の大精霊キュリアンリサエルはもういない。
キュラビッツ上で何が起きても、ただ見てるだけ。
長年、人や魔物達の生き死をただただ見ていた。
それに感情は必要なかった、あれば見ることを拒否していただろう。
だから、キュリアンリサエルは無感動であったが、コウタがこちらに来てから徐々に変化していた。
コウタがもたらしたのは、聖女としてのモノだけではなかった。
コウタは、リンスランの為だけではなく、大精霊キュリアンリサエルの為にも喚ばれていたのだ。
だが、それを知っているのは、創造主と彼だけ。
彼は、コウタの操るピポグリフォルのラウの鞍の前の定位置で、自身の上で寝ているペタを落とさぬよう張り付かせて揺れていた。
「んっ?イムリン、何か嬉しいことでもあった?」
「なぜそれの……イムの気持ちが分かるんだ?」
「だって、ほら嬉しそうじゃん」
「俺には分からない」
「なんで分からないのかが、分からない。こんなに嬉しそうなのにー」
「すまない、分からないよ」
「……謝んなよ。うーん、ならディラなら分かるだろ、なんとなくでも」
「表情や仕草もあるからな」
「イムに目とか口とかなくても、いつもプルプルしかしてなくても、こう……雰囲気がな……雰囲気か?まあ、分かるんだよ」
「コウはすごいな、従魔の気持ちを把握してるなどと、そうそういないぞ」
「それは、純粋に誉めてる?」
「いつも聞くが、俺はいつも凄いと思ってるよ」
「……うーん、誉められ慣れてないからか、背中がむず痒くなってくるー」
「掻こうか?」
「いらん、手綱離すな」
少し広い街道を並んで走るピポグリフォルの足音は軽やか。
キュラビッツに多大な変化をもたらしていることも露知らず、一行は次の聖地へと進んでいく。
あなたにおすすめの小説
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
不思議の森の小さな家
エウラ
BL
ユーリは理由も分からず、一五年前、五歳の時に異世界に転移した。世間からは『聖域』と呼ばれるこの深い森に住んでいたハイエルフの青年エルリオに保護されて、魔法や錬金術を教わりながら暮らしていたが、ある理由で現在は一人暮らし。
森から出たことがないユーリはちょっと寂しいと思いながらものんびり過ごしていたが、ある日、行き倒れの冒険者を拾ってしまう。
彼はアイオンと名乗り、しばらくユーリの家に同居することになるのだが……。
R15。ハッピーエンド。
いつものように思いつきです。短編予定ですがたぶん不定期更新です。
Sランク宮廷魔術師、理不尽な理由でクビになったので田舎でスローライフ(農家)始めました
仁科異邦
ファンタジー
ざっくり言うと:
追放されても全然落ち込まない最強おじさんが、田舎で好き勝手やってたら村の柱になっていく話。
細かく言うと:
王立魔術師団の筆頭として十年間働いてきたSランク魔術師・ガイウス・ノア(32歳)は、次期国王を占う神託の儀式を執り行ったところ、まさかの自分の名前が出てしまう。
逆賊扱いで王都を追放されるが、本人はむしろホッとしていた。十年間、雑務と徹夜続きで好きなことを何もできなかったからだ。
財布の金貨を握りしめ、地図でいちばん何もなさそうな村——辺境の果てのエーデル村——を選んで移住を決意。幽霊が出ると噂の空き家を格安で借り、畑を耕し、ポーションを作り、夜は酒場でエールを一杯飲む。
夢のスローライフがついに始まった。
村人たちに正体を怪しまれつつも、
「俺はただの農家です」と言い張る日々が続く——。
過労で倒れかけの騎士団長を「カツ丼」で救ったら、なぜか溺愛され始めました。
水凪しおん
BL
王都の下町で、亡き両親が残した小さな食堂をたった一人で切り盛りする青年、ルカ。
孤独な日々の中で料理だけを生きがいにする彼の店に、ある冷たい雨の夜、全身を濡らし極限まで疲弊した若き騎士団長、レオンハルトが倒れ込むようにやってきた。
固形物さえ受け付けないほど疲労困憊の彼を救うため、ルカが工夫を凝らして生み出したのは、異世界の食材を組み合わせた黄金色の絶品料理「カツ丼」だった。
その圧倒的な美味しさと温もりに心身ともに救われたレオンハルトは、ルカの料理と彼自身に深く魅了され、足繁く店に通うようになる。
カツ丼の噂はまたたく間に王都の騎士たちや人々の間に広がり、食堂は大繁盛。
しかし、その人気を妬む大商会の悪意ある圧力がルカを襲う。
愛する人の居場所を守るため、レオンハルトは権力を振るって不正を暴き、ルカもまた自らの足で立つために「ルカ商会」を設立する決意を固める。
美味しいご飯が傷ついた心を癒やし、やがて二人の絆を「永遠の伴侶」へと変えていく。
胃袋から始まり、下町の小さな食堂から王都の食を支える大商会へと成り上がる、心温まる異世界お料理&溺愛ファンタジー!
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。