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のんびり高速移動旅
150、音ありクランとクランモリ 5 (戦)
移動した小屋に戻り、皆を座らせ、リンがテキパキと茶の用意。
ババ様アンド、テルも渋い顔で机を見ている。
「わちゃわちゃ見た?」
「クランモリがあんなにいるとは思わなかったな」
「あいつらけっこう力持ち」
コトリと音が鳴った時に見たのは、降ろされた小屋の周りには数え切れないほどのクランモリが集まっていた。
とはいえ、こぶし大のクランモリがわちゃわちゃ集まっても、どう考えてもこの小屋を持ち上げるような力はなさそうで、不可思議としか言いようのない。
「いや、あれは魔力が使われてたから、力業ではないな」
「まじで?」
「個々のクランモリ達の魔力が集まった集合魔力で浮かせていたな」
「へえー、あいつらすげーな」
「……そうなんだ、あの子達の集合魔力か。いつも種一個持つのも大変そうだったから、不思議だった」
そう言ったテルは、ババ様に顔を向けた。
「……ババ様、見てはいけないと言われていたのに約束を破ってごめんなさい」
律儀なテルはババ様に頭を垂れた。
「俺たちが唆したのが原因な、怒るなら俺らもねぇ」
「……いや、怒るなどせんよ。わしがこの子をヌシに渡したくなくて、勝手にそう言っていただけじゃ」
ババ様は、リンの煎れたお茶を一口飲み、ふーっと息を吐いた。
「もう伝えなくてはいけないな。少し長くなるぞ」
とつとつと話し始めたババ様の話を聞きながら、リンがまたツマミを用意し始めたので、俺は一度テーブルを軽く片付け、新たに酒の用意をしてみた。
ババ様が、ジパンゲアから巣立って数年、冒険者をしながら旅をしていた。
そしてこのクランが生い茂るこの地を気に入り腰を据え、伴侶にも恵まれ、ババ様と呼ばれるまで年月が過ぎたある日のこと。
テルの両親が、無差別徴兵の対象になり、隣国へ兵士として旅立った。
そして戻ってきたのは、二人ではなく、事前徴収していた遺品のみ。
戦争で遺品だけでも帰ってきたと喜ぶ家族はいたが、ババ様は震災の記憶も相まって、酷く慟哭した。
あちらでも震災などで人が簡単に死んでしまうことは分かっていたが、それがよりにもよって戦争。
この世界は魔物によって倒され、食される事実はある。
己が関わっていないが、戦争が近くで行われていたこともある。
だが戦争で身内が死んだのはこれが初。
前世も合わせ、初めて人が人を殺す戦争という理不尽な残虐行為が己の身内を襲った。
手元に残されたのは、まだ不安定な足取りの孫。
暫くすると慟哭することも忘れ気落ちしていると、テルが自分の手をペチペチと叩いた。
ペチペチと叩き、こちらを見てはニコリと笑み、また繰り返す。
その他愛ない無邪気な仕草に気付かされ励まされ、この子を守ると心を入れ換えた。
それからすぐ国王が階段から落ちて、半身不随になり、会話も出来なくなった。
その戦争は、即位間もない若王の独断と自分主義な理屈で行われた侵略戦争。
国王のご機嫌取りだけでは、戦争に反対し投獄された有識者達や内外に隠れていた戦争反対派を抑えることが出来なくなり、内部から崩壊。
若王は、即位後に自分以外の王となり得る者を全て抹殺していたため、即位するものもいない国は、国土ごと隣国へ吸収され、終戦となった。
隣国王は国名のみ変え、敗戦国の住人であれども戦死者の家族にも手厚い補償を与えた。
元々批判の上がっていた元国の思想もすぐになくなり、平和な新しい国になった。
その時、朝の鐘が鳴り響いた。
「あっ、今日区内掃除だ。ババ様行かなきゃ」
「移動日の翌日を区内掃除日にしたのはわしだが、今日はサボりたくなるな」
「前町長が何言ってるの、ほらっ急がないとみな待ってるよ」
「町長?ばぁちゃんが?」
「引退したけど、今の町長からまだ頼られてるよ」
「ほぇー、みやこばぁ、すごいねぇ」
「お前達も手伝え、ほらっ支度するぞ」
「えーっ、イムでいいじゃん!」
「ゴミと落とし物の違いを普通のスライムは分別出来ないからな」
「うちのは出来るよ」
「レアモン連れておるのか。でもな、人の手でと決めたのはわしじゃ、連れては来るなよ」
話途中に掃除へと向かう準備を各々で始めた。
ババ様アンド、テルも渋い顔で机を見ている。
「わちゃわちゃ見た?」
「クランモリがあんなにいるとは思わなかったな」
「あいつらけっこう力持ち」
コトリと音が鳴った時に見たのは、降ろされた小屋の周りには数え切れないほどのクランモリが集まっていた。
とはいえ、こぶし大のクランモリがわちゃわちゃ集まっても、どう考えてもこの小屋を持ち上げるような力はなさそうで、不可思議としか言いようのない。
「いや、あれは魔力が使われてたから、力業ではないな」
「まじで?」
「個々のクランモリ達の魔力が集まった集合魔力で浮かせていたな」
「へえー、あいつらすげーな」
「……そうなんだ、あの子達の集合魔力か。いつも種一個持つのも大変そうだったから、不思議だった」
そう言ったテルは、ババ様に顔を向けた。
「……ババ様、見てはいけないと言われていたのに約束を破ってごめんなさい」
律儀なテルはババ様に頭を垂れた。
「俺たちが唆したのが原因な、怒るなら俺らもねぇ」
「……いや、怒るなどせんよ。わしがこの子をヌシに渡したくなくて、勝手にそう言っていただけじゃ」
ババ様は、リンの煎れたお茶を一口飲み、ふーっと息を吐いた。
「もう伝えなくてはいけないな。少し長くなるぞ」
とつとつと話し始めたババ様の話を聞きながら、リンがまたツマミを用意し始めたので、俺は一度テーブルを軽く片付け、新たに酒の用意をしてみた。
ババ様が、ジパンゲアから巣立って数年、冒険者をしながら旅をしていた。
そしてこのクランが生い茂るこの地を気に入り腰を据え、伴侶にも恵まれ、ババ様と呼ばれるまで年月が過ぎたある日のこと。
テルの両親が、無差別徴兵の対象になり、隣国へ兵士として旅立った。
そして戻ってきたのは、二人ではなく、事前徴収していた遺品のみ。
戦争で遺品だけでも帰ってきたと喜ぶ家族はいたが、ババ様は震災の記憶も相まって、酷く慟哭した。
あちらでも震災などで人が簡単に死んでしまうことは分かっていたが、それがよりにもよって戦争。
この世界は魔物によって倒され、食される事実はある。
己が関わっていないが、戦争が近くで行われていたこともある。
だが戦争で身内が死んだのはこれが初。
前世も合わせ、初めて人が人を殺す戦争という理不尽な残虐行為が己の身内を襲った。
手元に残されたのは、まだ不安定な足取りの孫。
暫くすると慟哭することも忘れ気落ちしていると、テルが自分の手をペチペチと叩いた。
ペチペチと叩き、こちらを見てはニコリと笑み、また繰り返す。
その他愛ない無邪気な仕草に気付かされ励まされ、この子を守ると心を入れ換えた。
それからすぐ国王が階段から落ちて、半身不随になり、会話も出来なくなった。
その戦争は、即位間もない若王の独断と自分主義な理屈で行われた侵略戦争。
国王のご機嫌取りだけでは、戦争に反対し投獄された有識者達や内外に隠れていた戦争反対派を抑えることが出来なくなり、内部から崩壊。
若王は、即位後に自分以外の王となり得る者を全て抹殺していたため、即位するものもいない国は、国土ごと隣国へ吸収され、終戦となった。
隣国王は国名のみ変え、敗戦国の住人であれども戦死者の家族にも手厚い補償を与えた。
元々批判の上がっていた元国の思想もすぐになくなり、平和な新しい国になった。
その時、朝の鐘が鳴り響いた。
「あっ、今日区内掃除だ。ババ様行かなきゃ」
「移動日の翌日を区内掃除日にしたのはわしだが、今日はサボりたくなるな」
「前町長が何言ってるの、ほらっ急がないとみな待ってるよ」
「町長?ばぁちゃんが?」
「引退したけど、今の町長からまだ頼られてるよ」
「ほぇー、みやこばぁ、すごいねぇ」
「お前達も手伝え、ほらっ支度するぞ」
「えーっ、イムでいいじゃん!」
「ゴミと落とし物の違いを普通のスライムは分別出来ないからな」
「うちのは出来るよ」
「レアモン連れておるのか。でもな、人の手でと決めたのはわしじゃ、連れては来るなよ」
話途中に掃除へと向かう準備を各々で始めた。
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