俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

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のんびり高速移動旅

047、手紙 3(従魔)。

「勇者ってのは、階級にもなるんだよ」
「ほぇ?」
宿のテーブルに着き、開口一番の斜め上の説明に変な声が出た。
イムリンの上が気に入った羽リスは、部屋に入るとイムリンにベタリと張り付くように腹這いになった。
そのイムリンは器用に羽リスを乗せたまま、ユラユラ動き部屋の掃除を始めていた。
「キュラビッツにも階級制度はあって、まずは王族、次に来るのが貴族と言われる公爵、伯爵、子爵、男爵の四階級。だが、勇者は貴族じゃないんだ」
「あいつらかわええな……おっとすまん。じゃあ、その下?」
「いや。完全に別枠」
「んっ?」
「勇者という階級なんだよ」
「えーっと、別枠だとしてもどこかに当てはめるとしたら?」
「多分、王族の下辺りだが、国に依っては王族よりも高くなる」
「へぇー、すげーっ。お前ってすげーんだな」
感慨もなくそう言うと、リンは驚きで目を見開いた。
「それだけ?」
「んっ?ああ、日本って階級とかないのよ。一応権力者とかはいるけど、関わらんから知らんし」
「階級がない?」
驚いた顔でこちらを見られても、ないものはしょうがない。
「ここで言う王様みたいのはいるけど、その下はみんな平等ってやつで、階級とかないのみんな同じ」
「凄いな、じゃあ俺が王族より権力があると言っても?」
「へぇー、すげーすげー」
抑揚もない声で言ったら、リンには分かったようで、ふっと息を吐いた。
「……ようは分からないと」
「それそれ。すげーだろうなっては思うけど、さっぱり分からん」
「お前が誰の前でも変わらないのはそのせいか」
「おうっ……んっ?それって誉めてねぇよな」
「いや、誉めてるよ。……じゃあ、俺が勇者で王族並みに権力があることが嫌で、頑なに冒険者として旅してるって言ったら?」
「へーっ、そっか……ペタってのはどうだろう」
ふっと視線がイムリンと羽リスに向かい、ペタッと張り付いているので、ペタと思い付いてしまった、そのままとも言う。
「……お前が付けたい名前を付ければいいさ」
リンは息を吐くと、視線をコウの見ている従魔に向け、自分の心中を完全に無視の従魔と主に、ずっと重かったそれらが少し軽くなった。
彼らと共にいる内は、煩わしくもあるそれらは全く関係ないのだ。
「安直だけど、ペタッとしてるのがかわええ」
「そこからのペタなのか……オノマトペだったか?」
「そうそう、お前って覚え早いよな」

そのあと、冒険者ギルドに行き二匹を登録した。
コウの冒険者カードには、ラウ、イム、ペタと名前が並んだ。
イムリンは、イムと登録した。
隣にいるのがリン(二枚目の冒険者カードの名前)がいて、イムリンと被るのは、なんとなく避けた。
なんとなく、深い意味はないが、これでリンがイムリンをイムと呼びやすくならないだろうかと思ってみたり。
あと、二匹を俺の従魔にしたのもなんとなく、だが俺の肩に二匹共乗ってるのに、リンの従魔ですもおかしいと思ったのもある。

そのあと、また宿に戻ると、まだ送っていなかった手紙の封筒に直接書いた。
『この手紙を持っていった羽リス、じゃなくてレタクルーブは俺の従魔だからよろしく』と。
ペタは、その手紙を腹の袋に入れてあるジンケットに入れるとセミに貰った石を持って飛び立つと、ヒュンと音を残しもういなくなってしまった。
「はやっ、しかも有袋類でジンケット持ち?」
「ああ、腹に袋があってジンケットを作れる数少ない魔物だから郵便鶏として使われているが、その中でも速さと賢さが、ずば抜けているから最高峰と言われてるんだ」
まだ見たことない他の郵便鶏も有袋類、異世界すげー。
ちなみに渡した石は、セミの位置が分かるようになっている優れ物らしい。
腹に袋があるってことは、リスのあのドングリをこれでもかと頬張ってパンパンな顔は見れないってことか、ちょっと残念。
ペタを見送って後ろを振り向くと、何故かリンに抱き締められ、キスされてしまった。
「んくっ……んんっ…………なっんでっ?」
長く熱の籠ったキスが終わるとリンの唇はそのまま下へと流れ、首元の肌を味わっているかのよう。
「まだ夕食までは時間があるだろう、その前におやつという名のご馳走をな」
「意味わからんし!俺はご馳走にならん、でもヤる。お前のキスはヤバい」
先程のコウの無意識の笑顔に欲情したと言ったら、この顔はまたどんな表情を見せるだろうと、思いながらリンはコウをベッドにゆっくりと横たえた。
その大切に扱われている状態に一度心臓は大きく高鳴ったが、コウも気付かないふりをした。
目の前のイケメンの優しい表情にこれ以上狂わされては決心が鈍ると、少し乱暴に顔を引き寄せた。

宿の亭主に18の半刻に食事すると伝えていたので、18刻の鐘少し過ぎた位まで互いに貪り、終わるとイムリンにキレイにしてもらい、約束の半刻には何事もなかったかのように食堂へと移動した。
部屋に残ったイムリンは掃除を続け、彼らが戻ってくる時には、シワもない高級ホテルのようなベッドが出来上がっていた。
「……えっ?イムリン、シワも取れるようになった?」
「凄いな、王家御用達の宿みたいなベッドだな」
コウは、イムリンを抱き上げ撫でながら歌った。
「イムリンすげー、タララッタラーッレベルアップ!」
「なんだそれは?」
「俺の世界のゲームにはレベルってのが大体あって、経験値が一定数貯まるとレベルが上がるんだよ。でもそれはゲームの中のやつだけど、俺のガキの頃とか、自分が何かを出来るようになったら、こうやってレベルアップしてテンション……気分を上げてたんだよ、だからイムリンもレベルアップってな」
「なるほど、その歌みたいなのが上がった時の音なんだな」
「一番好きなゲームのレベルアップ音がこんなんで、レベルアップと言えばこの音だろって感じだな、あっ俺の中でな、他のゲーム好きはそっちの音になるからな」
「あれだな、オノマトペの延長のようだな」
「おおーっ、そうかも!ってか、お前もレベルアップしまくってんな俺の世界の言葉、まとめてレベルアーップ、ペレレッペレー」
「音が違うぞ」
「気分気分、細かいことは気にすんな」

その夜、また抱き枕で寝るのかと思っていたら、また盛られ流されるまま数回こなし、まだまだ出来るがそこまでにしとくかと終わらせると、抱き枕にされて寝た。
イムリンが体の上やシーツの上をゆらゆら移動しているのを心地よく感じながら、落ちるように寝付いた。

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