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のんびり高速移動旅
069、馴染みの服屋 2(匂い)。
「オヤジさん。リンスランです。起きてますか」
「……おお、リンスランか、入んな。久しぶりだな」
ドアを開けて入ると、フワッと鼻に抜けた匂いが気になったが、その一瞬だけだった。
「お久しぶりです。起きなくていいですよ。こっちは、今一緒に旅をしている仲間のコウタです」
中年の上の方か高年の下の方と、ようは60より前くらいと推測した男性がベッドから起きようとして、リンに止められそのまま横になった。
リンに紹介されて、お邪魔してますっとペコリと頭を下げるとおう、いらっしゃいっと笑顔で応えてくれたので、一応ここにいていいようだ。
「近くを通ったので彼の服をあつらえに来たんですが、寝込んでると聞きました。具合はどうですか?」
「そうだったか、すまないな。医者じゃ原因が分からないそうだが、仕事をしようとすると目眩がおこってな。今じゃ仕事のことを考えるだけで……」
目が回ったのか、手で顔を覆い口をつぐんだ。
少しの沈黙が三人に流れるが、俺の鼻孔にまたあの匂いがフワッと一瞬だけ香り、鼻をスンスンとしてみてもそれだけだった。
リンがチラリとこちらを見たが、俺のそれにつっこむ訳でもなく、視線を戻した。
「……すまない。こんな感じでな。考えないようにはしてるんだが、ついな」
「オヤジさんの趣味でもありますからね。それは辛いでしょう」
「そうなんだよ。仕事ではあるが、俺の趣味なのに……リンスランは分かってるなー」
また考えてしまったのか、また一瞬オヤジさんの言動が止まり、またフワッと匂いがした。
またスンスンしているとリンがこちらを見た。
「どうしたんだ?」
「……匂いが」
「匂い?」
「オヤジさんが目眩がしてる時だけ、なんか匂いがするような?」
「……オヤジさん、ひとつ辛いことをお願いしてもいいですか?」
「んっ?どうしたんだ?」
「仕事のことを考えてもらいたいんです。目眩がしてもしばらくそのまま、お願い出来ますか?」
「ちょっ、リンッ」
「コウタ、俺には分からなかったが、お前には気付けた。試してみる価値はあると思う。オヤジさんをこのままにしとく訳にはいかない。オヤジさん辛いと思いますが、頼みます」
ほんのちょっと匂っただけなんだから、何かの……とか言って止めようとするが、リンは頭を下げて頼み込んでいる。
「……リンスラン、いやリンスラン様。こんな老いぼれに頭なんぞ下げないで下さいよ。あなたに救われた命だ、あなたが試したいと言うなら喜んでやるさ」
オヤジさんは一度起きて、リンの肩に手を当て体を起こさせた。
「でも……」
俺が呟くとオヤジさんは、ニカッと笑んだ。
「コウタさんだったな。お前さんは初めて会うが、このリンスランが一緒に旅するような方だ。普通とは違うのだろう。医者が匙投げたんだ、何にでも縋りたいのはこちらだ。頼んでもいいか?」
そんな言われ方をしては、断ったら俺が悪くなりそうなと思いながら、カクンッと頭を下げた。
「じゃあ、頼むよ」
そう言って、オヤジさんはベッドに横になった。
「あっ、ちょっと待って、まだ考えないで」
すぐさま考え出したのか、また匂いがしだしたオヤジさんの眉間に皺が寄った。
「……えーっと、そのまま考えないでちょっと待って。……リンッ、試すなら色々実験するぞ。えーっと、まずは異常状態を回復する魔法なんかない?」
「それなら、あるが。それでは……」
言い澱んだリンは、俺の考えていることに気付いたようだ。
考えたら目眩がするなんて、俺の知識には症状。
なら、それはこちらのものであるはずだが、こちらの医者も匙投げたなら、一般的にはこちらにもないモノ。
こちらの医者は、前に聞いた情報では、医者=ヒーラーみたいな存在らしく、基本魔法ありきの医者だ。
そんな存在でも診断できない状態。
一応、まだ植物などに中っているなども含まれているが、他からのなんらかの攻撃と考えるのが一番早いだろう。
「……まあ一回、魔法当てながら、考えてもらって、匂いがするかを確めて、しなかったら魔法なしで考えてもらう。目眩しないなら、その方が負担も少ない」
「……そうだな。一度やってみよう。オヤジさん、少し眩しいですが、我慢してください」
リンの掌から光が放出され、それをオヤジさんの方へと向ける。
「……あれだな。日向で寛いでいるみたいだ」
「良かった。このままで仕事のこと考えられますか?」
「……おおーっ、目眩がしない……今のうちに……」
オヤジさんは、ベッド脇の棚から紙とペンを取り出し、一心に書き込んでいく。
このオヤジさんは、根っからの職人気質なんだろう。
その証拠に、楽しそうに簡単に服を描くとその脇に色々と書き込んでは、次の紙へと流れ作業のように同じように書き込んでいく。
そんなのをチラチラと見ながら、俺はクンクンしていた。
魔法のせいか、さっきよりも少ないが確かにオヤジさんから匂うのだが、なんだか似ているようでちょっと違う別の匂いが他から漂っているのだ。
「あの一回ストップ、じゃなくて、止まって……おーいっ」
制止の声も聞こえないほど、オヤジさんは楽しそうに笑みを浮かべながら書いては次へと移る。
もうベッドの上には五枚以上も置かれていた。
十日間も仕事=趣味をしてなかったから、その反動なのかもしれない。
「……おお、リンスランか、入んな。久しぶりだな」
ドアを開けて入ると、フワッと鼻に抜けた匂いが気になったが、その一瞬だけだった。
「お久しぶりです。起きなくていいですよ。こっちは、今一緒に旅をしている仲間のコウタです」
中年の上の方か高年の下の方と、ようは60より前くらいと推測した男性がベッドから起きようとして、リンに止められそのまま横になった。
リンに紹介されて、お邪魔してますっとペコリと頭を下げるとおう、いらっしゃいっと笑顔で応えてくれたので、一応ここにいていいようだ。
「近くを通ったので彼の服をあつらえに来たんですが、寝込んでると聞きました。具合はどうですか?」
「そうだったか、すまないな。医者じゃ原因が分からないそうだが、仕事をしようとすると目眩がおこってな。今じゃ仕事のことを考えるだけで……」
目が回ったのか、手で顔を覆い口をつぐんだ。
少しの沈黙が三人に流れるが、俺の鼻孔にまたあの匂いがフワッと一瞬だけ香り、鼻をスンスンとしてみてもそれだけだった。
リンがチラリとこちらを見たが、俺のそれにつっこむ訳でもなく、視線を戻した。
「……すまない。こんな感じでな。考えないようにはしてるんだが、ついな」
「オヤジさんの趣味でもありますからね。それは辛いでしょう」
「そうなんだよ。仕事ではあるが、俺の趣味なのに……リンスランは分かってるなー」
また考えてしまったのか、また一瞬オヤジさんの言動が止まり、またフワッと匂いがした。
またスンスンしているとリンがこちらを見た。
「どうしたんだ?」
「……匂いが」
「匂い?」
「オヤジさんが目眩がしてる時だけ、なんか匂いがするような?」
「……オヤジさん、ひとつ辛いことをお願いしてもいいですか?」
「んっ?どうしたんだ?」
「仕事のことを考えてもらいたいんです。目眩がしてもしばらくそのまま、お願い出来ますか?」
「ちょっ、リンッ」
「コウタ、俺には分からなかったが、お前には気付けた。試してみる価値はあると思う。オヤジさんをこのままにしとく訳にはいかない。オヤジさん辛いと思いますが、頼みます」
ほんのちょっと匂っただけなんだから、何かの……とか言って止めようとするが、リンは頭を下げて頼み込んでいる。
「……リンスラン、いやリンスラン様。こんな老いぼれに頭なんぞ下げないで下さいよ。あなたに救われた命だ、あなたが試したいと言うなら喜んでやるさ」
オヤジさんは一度起きて、リンの肩に手を当て体を起こさせた。
「でも……」
俺が呟くとオヤジさんは、ニカッと笑んだ。
「コウタさんだったな。お前さんは初めて会うが、このリンスランが一緒に旅するような方だ。普通とは違うのだろう。医者が匙投げたんだ、何にでも縋りたいのはこちらだ。頼んでもいいか?」
そんな言われ方をしては、断ったら俺が悪くなりそうなと思いながら、カクンッと頭を下げた。
「じゃあ、頼むよ」
そう言って、オヤジさんはベッドに横になった。
「あっ、ちょっと待って、まだ考えないで」
すぐさま考え出したのか、また匂いがしだしたオヤジさんの眉間に皺が寄った。
「……えーっと、そのまま考えないでちょっと待って。……リンッ、試すなら色々実験するぞ。えーっと、まずは異常状態を回復する魔法なんかない?」
「それなら、あるが。それでは……」
言い澱んだリンは、俺の考えていることに気付いたようだ。
考えたら目眩がするなんて、俺の知識には症状。
なら、それはこちらのものであるはずだが、こちらの医者も匙投げたなら、一般的にはこちらにもないモノ。
こちらの医者は、前に聞いた情報では、医者=ヒーラーみたいな存在らしく、基本魔法ありきの医者だ。
そんな存在でも診断できない状態。
一応、まだ植物などに中っているなども含まれているが、他からのなんらかの攻撃と考えるのが一番早いだろう。
「……まあ一回、魔法当てながら、考えてもらって、匂いがするかを確めて、しなかったら魔法なしで考えてもらう。目眩しないなら、その方が負担も少ない」
「……そうだな。一度やってみよう。オヤジさん、少し眩しいですが、我慢してください」
リンの掌から光が放出され、それをオヤジさんの方へと向ける。
「……あれだな。日向で寛いでいるみたいだ」
「良かった。このままで仕事のこと考えられますか?」
「……おおーっ、目眩がしない……今のうちに……」
オヤジさんは、ベッド脇の棚から紙とペンを取り出し、一心に書き込んでいく。
このオヤジさんは、根っからの職人気質なんだろう。
その証拠に、楽しそうに簡単に服を描くとその脇に色々と書き込んでは、次の紙へと流れ作業のように同じように書き込んでいく。
そんなのをチラチラと見ながら、俺はクンクンしていた。
魔法のせいか、さっきよりも少ないが確かにオヤジさんから匂うのだが、なんだか似ているようでちょっと違う別の匂いが他から漂っているのだ。
「あの一回ストップ、じゃなくて、止まって……おーいっ」
制止の声も聞こえないほど、オヤジさんは楽しそうに笑みを浮かべながら書いては次へと移る。
もうベッドの上には五枚以上も置かれていた。
十日間も仕事=趣味をしてなかったから、その反動なのかもしれない。
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