俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

文字の大きさ
97 / 172
のんびり高速移動旅

097、ルノランス前でご来光 2(朝日)

そんな話をしていると、目の前の景色が徐々に変わってきた。
まだ暗かったオレンジ色の空が、暗さを失い始め、明るくなり始める。
水平線に徐々に顔を出すこちらの太陽。
こちらの太陽は、肉眼で見ても痛みがないから、ずっと見てられる。
じわーっと形を変えつつ登って来て、全てが出終わったご来光の姿を確認して、ほーっと息を吐いた。
こちらに来てから、何度もご来光を見ているが、どれもずんっと体に光が入り込むような、不思議な心地いい感覚がある。
こちらのは、地球の太陽の様に眩しくて、見たら目がおかしくなるから見ちゃダメではない。
見ていい、じっくりしっかり見ても目に、害はない。
それがこの世界の太陽。
朝には上がり、夜には隠れる。
地球の太陽と同じの動き方をするけど、ちょっと違うこちらの太陽。
太陽の性質とかも違うかもしれないが、まあ異世界だからいっかっという感じで、調べてもない。
今度調べてみるのもありかもしれない。
「俺さ、言ったけ?あっちでご来光とか肉眼で見たことないのよ」
「鍾乳洞はテレビで見たとか言っていたが、これもだったのか」
「そう、俺の知識は基本テレビとインターネット。肉眼で自然を見たり、聞いたりしたことない。波の音だって、こんなにハッキリと聞いたのは初めてだし。昔、行った日本一深い湖も波はあったと思うが、あれは湖だからな、こんな打ち付けてくるような音はしなかった」
おじさんの声を思い出したら、そこへちゃぷちゃぷと鳴る水の音が重なる、それがあの湖の波の音なんだろう。
「そうか、初めての波の音はどうだ?」
ザプーン……ザプーン……
「日の光もそうだが、なんか強いよな」
「そうだな。……俺は歴代最強のなんて言われているが、こういう自然の中にいると、自分がただの人なんだと自覚するよ。子供の頃、死ぬなら自然の中で淘汰されたいなんて思ったこともある」
「へぇー。俺な、ライオン……えーっと、あっちで最強の動物と言われてるやつな。そいつに食われて死にたいとか、思ってた。あー、最終的には、何でもいいから、何かの血肉になりたいって思ってた」
「……それは、またすごいことを考えていたな」
「けど、日本にはライオンとか肉食の動物がそこ辺りにいる訳じゃ無いの。だからいつか死ぬ時は、ライオンとかいるサバンナに行きたい。最後に食われてそいつの腹を満たせれれば、俺の人生も意味を持つ、だからまだ死ねない、的なこと考えてたよ」
リンが俺の肩を抱き寄せた。
「……今は?」
「そうだな……それもあり、くらい?」
「そうか、俺も子供の時、同じようなことを考えていた。変なところで似てるところがあったな」
「こっちって、まじで出来んじゃん。よく実行しなかったな」
「一つ違うのは、勝てない相手になら食われても仕方がないって、無駄に戦ってたことだな」
「あー、次元が違うっす、歴代最強勇者さん」
その時、近くで笑い声が聞こえた気がした。
リンに聞いても聞こえなかったというので、波の音や自然の音のなにかだろうと流した。

朝日をたっぷりと浴びながら、そこで朝食を済ませてから、聖地に戻り、ランスに入ってサクッと終わらせた。

それにしても、規則正しい生活するようになった。
早寝早起き、三度の食事&おやつ、適度以上の運動。
異世界来てから、まとも、生活としては、非常に人間としてまともな生活を送ってる。
タイマーに起こされ、だらだらとテレビを垂れ流し、会社に行き、飯も適当、たまに食べるのも面倒になり抜かしてた俺が、こんな生活を送っている。
朝からヤりまくる生活を、『まとも』と括るのは、ある意味ダメかもしれないが、人として生きてる感を感じるのは、こっちに来てから。
まだまだ先は長いから、先のことだが、向こうに戻ってまともな生活送れるとは思えない。
作ってもらって、用意してもらって、と尽されている。
自分から多少は動こうとしているが、なんせリンは何でもサクサクと素早く丁寧に仕上げる。
食事の皿への盛り付け一つでも、素早く丁寧だ。
余り気にしていなかったが、宿屋や酒場の適当盛りを見たあとには、特に思う。
皿の端が汚れていることもないし、何でも美味い。

まともに生きれないのならと考えに、ふっと、上乗せする。
この旅が終わったら、ドラゴンとかに食われるのもありかもしれない。
この世界の何かの血肉になるのも、やぶさかではない選択かもしれない。
長年の夢とは言えぬ思いをここで叶えるのもありかも。
感想 0

あなたにおすすめの小説

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

不思議の森の小さな家

エウラ
BL
ユーリは理由も分からず、一五年前、五歳の時に異世界に転移した。世間からは『聖域』と呼ばれるこの深い森に住んでいたハイエルフの青年エルリオに保護されて、魔法や錬金術を教わりながら暮らしていたが、ある理由で現在は一人暮らし。 森から出たことがないユーリはちょっと寂しいと思いながらものんびり過ごしていたが、ある日、行き倒れの冒険者を拾ってしまう。 彼はアイオンと名乗り、しばらくユーリの家に同居することになるのだが……。 R15。ハッピーエンド。 いつものように思いつきです。短編予定ですがたぶん不定期更新です。

Sランク宮廷魔術師、理不尽な理由でクビになったので田舎でスローライフ(農家)始めました

仁科異邦
ファンタジー
ざっくり言うと: 追放されても全然落ち込まない最強おじさんが、田舎で好き勝手やってたら村の柱になっていく話。 細かく言うと: 王立魔術師団の筆頭として十年間働いてきたSランク魔術師・ガイウス・ノア(32歳)は、次期国王を占う神託の儀式を執り行ったところ、まさかの自分の名前が出てしまう。 逆賊扱いで王都を追放されるが、本人はむしろホッとしていた。十年間、雑務と徹夜続きで好きなことを何もできなかったからだ。 財布の金貨を握りしめ、地図でいちばん何もなさそうな村——辺境の果てのエーデル村——を選んで移住を決意。幽霊が出ると噂の空き家を格安で借り、畑を耕し、ポーションを作り、夜は酒場でエールを一杯飲む。 夢のスローライフがついに始まった。 村人たちに正体を怪しまれつつも、 「俺はただの農家です」と言い張る日々が続く——。

過労で倒れかけの騎士団長を「カツ丼」で救ったら、なぜか溺愛され始めました。

水凪しおん
BL
王都の下町で、亡き両親が残した小さな食堂をたった一人で切り盛りする青年、ルカ。 孤独な日々の中で料理だけを生きがいにする彼の店に、ある冷たい雨の夜、全身を濡らし極限まで疲弊した若き騎士団長、レオンハルトが倒れ込むようにやってきた。 固形物さえ受け付けないほど疲労困憊の彼を救うため、ルカが工夫を凝らして生み出したのは、異世界の食材を組み合わせた黄金色の絶品料理「カツ丼」だった。 その圧倒的な美味しさと温もりに心身ともに救われたレオンハルトは、ルカの料理と彼自身に深く魅了され、足繁く店に通うようになる。 カツ丼の噂はまたたく間に王都の騎士たちや人々の間に広がり、食堂は大繁盛。 しかし、その人気を妬む大商会の悪意ある圧力がルカを襲う。 愛する人の居場所を守るため、レオンハルトは権力を振るって不正を暴き、ルカもまた自らの足で立つために「ルカ商会」を設立する決意を固める。 美味しいご飯が傷ついた心を癒やし、やがて二人の絆を「永遠の伴侶」へと変えていく。 胃袋から始まり、下町の小さな食堂から王都の食を支える大商会へと成り上がる、心温まる異世界お料理&溺愛ファンタジー!

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。