俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

文字の大きさ
126 / 172
のんびり高速移動旅

126、テンプレ先の令嬢 6(獣化)

食事が終わり、従者に促され廊下を歩いてると、老若男女の視線がリンに向かっている。
「すげー眼鏡効果なしやん」
「それで何が凄い……ああ、そういうことだったか。兜を取れと言ったのはコウだろ」
ニタニタと笑っていると、急に腰を抱かれ、顔を上げさせられ、イケメンが見下ろしながら呟く。
「でも、他からどんな視線が来ても、俺の視線にいるのはコウお前だけだ」
笑いが即座に引っ込むと、今度はリンが少し意地の悪い笑顔になった。
「やはり今日の宿は、他で取ろう」
「ちょっ、おまっ……」
その時、カツンっと音を鳴らし、颯爽と令嬢登場。
「やり過ぎではないかしら?」
「想い人を明確にしておくことは大事だろ」
「そうね。ミニシッド様には必要ね。コウ様も大変な方に目を付けられたわね」
「俺?!……いや、やめとく」
頭に変な血が登っていながらも、状況を理解し、周りに人がいるここでの長居は、ギリギリで止めることが出来た。
すると、令嬢が扇子で口元を隠し、笑っているかのように目が少し細められた。
「あらっ。意外と賢いのね……ここからは私が案内するわ」
そう呟かれた言葉を聞き取ったが、それもなんとか反論せず、従者に変わって令嬢に促され歩き出した。

促された部屋に入り、文句を言ってやろうかと思ったが、そこにいたのは、令嬢の二人で一人の婚約者とお初の従者が二人。
そして、周りの豪華な雰囲気をぶち壊す、みすぼらしいベッド。
「……ジャストユーウェイト」
息を吐き、小さく静かにそう言って怒りを沈めた。
奴の知らない言葉を並べて矛を収めるなんて、俺も成長したもんだ。
「……何か言ったか?」
「なんも」
聞き取れなくて良かった、それは何だとしつこく聞いてきただろう、今も周りに人がいなかったらしつこかっただろう。
「んで、こいつぅ……?……これ?」
きらびやかという言葉を無視した今にも壊れそうなベッド。
そこに寝ているのは、意外にも動物だった。
「これ?」
それを指差して、令嬢を見ると、ちょっと怒ったような顔でコツコツと近付くと指差していた手を下ろされた。
「人を指差すのはよろしくなくてよ」
「あっ、こっちでもそうなんだ、ってこれヒト?」
「魔人だと教えましたわよね。長睡眠に入ると獣化しますの」
婚約者をこうした相手でも、指刺されて怒るなんて、躾が素晴らしくない。
「んで、こいつぅは……猪?」
「オークだ。ライライナと同じオークだよ」
俺の中でのオークの認識は、直立歩行し槍を手にして攻撃してくる顔が猪の魔物だが、目の前に寝ているオークは完全に動物。
「えーっと、俺の中でのオークは四足歩行の動物体型じゃないんだが、こっちのはこれが基本か?」
「オークの中には産まれてくる時に、極稀にオリジネーターオークの姿で産まれてくる子がおりますの。ですが、成長すればそれは薄れていく。この子は、魔人の血がオリジネーターオークの血を呼び覚まし、色濃く出た隔世遺伝型と言われてますの。普段の睡眠では獣化はないけど、長睡眠の時だけは獣化しますのよ」
この眠りオークの情報多い。
それにオリジネーターは元祖、と言うことはオークは最初は四足歩行の動物体型だったということが分かった。
すると二足になったのには、二足歩行種との交配があったとか。
あー、オークは他種族に子供を産ませる説が確定してしまった!
なんで、オークやゴブリンはその説なのか謎だったが、そーゆーことかー。
そうすると、他のもそうな訳で、各オリジネーターが二足歩行との交配により、こんな多種多様な人種になった訳だ。
「……おっ、そっか、えーっとだな。ちょっと整理させてくれ」
必要な情報たけでなく、違う情報も一気に入ったことにより頭が回らないので、ちょっとブレイクっと思ったら、リンがいつものコップでいつもの飲み物を差し出してきた。
「おっ、サンキュ」
それを受け取って、目に付いたソファーに腰を下ろすと、リンも座り、他の三人も座った。
従者二人は、もうコップを持ってる俺だけ出さないことを断りを入れてから、他の四人の茶をテーブルに並べ終わると、壁際に立った。
その光景は、漫画やアニメでは見たことある。
だが、こちとら一般人、見慣れない俺としては、ちょっと微妙な心地。
すると、その心境にリンが気が付いた。
「すまないが、コウタの世界では従者も座る。そうしてくれないか?」
俺が頭をカクカクと動かして頷くと、従者は主を見て、二人の主が頷くと、どこに座ろうかと辺りを見回した。
長めのソファー二脚と令嬢の座る一人用一脚、誰も座ってないソファーや椅子はない。
すると、二人の婚約者は座る位置を令嬢に近付かせ、ソファーを開けたが、その状況に慣れない従者が戸惑っていると令嬢から一言。
「アティモアありがとう。……この場では、コウタ様が上位よ。彼に合わせましょう」
ある意味パワハラのようなと思ったが、俺としては有難い。
「では、失礼致します」
「失礼致します」
二人が座り、俺がホッとしながら、いつものお茶を飲み、ちょっと色々考えて、整理終わりっと、令嬢に向き直る。
「よし、オッケー。じゃなかった、えーっと……」
「コウタの整理は終わったよ。話を続けて」
感想 0

あなたにおすすめの小説

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

不思議の森の小さな家

エウラ
BL
ユーリは理由も分からず、一五年前、五歳の時に異世界に転移した。世間からは『聖域』と呼ばれるこの深い森に住んでいたハイエルフの青年エルリオに保護されて、魔法や錬金術を教わりながら暮らしていたが、ある理由で現在は一人暮らし。 森から出たことがないユーリはちょっと寂しいと思いながらものんびり過ごしていたが、ある日、行き倒れの冒険者を拾ってしまう。 彼はアイオンと名乗り、しばらくユーリの家に同居することになるのだが……。 R15。ハッピーエンド。 いつものように思いつきです。短編予定ですがたぶん不定期更新です。

Sランク宮廷魔術師、理不尽な理由でクビになったので田舎でスローライフ(農家)始めました

仁科異邦
ファンタジー
ざっくり言うと: 追放されても全然落ち込まない最強おじさんが、田舎で好き勝手やってたら村の柱になっていく話。 細かく言うと: 王立魔術師団の筆頭として十年間働いてきたSランク魔術師・ガイウス・ノア(32歳)は、次期国王を占う神託の儀式を執り行ったところ、まさかの自分の名前が出てしまう。 逆賊扱いで王都を追放されるが、本人はむしろホッとしていた。十年間、雑務と徹夜続きで好きなことを何もできなかったからだ。 財布の金貨を握りしめ、地図でいちばん何もなさそうな村——辺境の果てのエーデル村——を選んで移住を決意。幽霊が出ると噂の空き家を格安で借り、畑を耕し、ポーションを作り、夜は酒場でエールを一杯飲む。 夢のスローライフがついに始まった。 村人たちに正体を怪しまれつつも、 「俺はただの農家です」と言い張る日々が続く——。

過労で倒れかけの騎士団長を「カツ丼」で救ったら、なぜか溺愛され始めました。

水凪しおん
BL
王都の下町で、亡き両親が残した小さな食堂をたった一人で切り盛りする青年、ルカ。 孤独な日々の中で料理だけを生きがいにする彼の店に、ある冷たい雨の夜、全身を濡らし極限まで疲弊した若き騎士団長、レオンハルトが倒れ込むようにやってきた。 固形物さえ受け付けないほど疲労困憊の彼を救うため、ルカが工夫を凝らして生み出したのは、異世界の食材を組み合わせた黄金色の絶品料理「カツ丼」だった。 その圧倒的な美味しさと温もりに心身ともに救われたレオンハルトは、ルカの料理と彼自身に深く魅了され、足繁く店に通うようになる。 カツ丼の噂はまたたく間に王都の騎士たちや人々の間に広がり、食堂は大繁盛。 しかし、その人気を妬む大商会の悪意ある圧力がルカを襲う。 愛する人の居場所を守るため、レオンハルトは権力を振るって不正を暴き、ルカもまた自らの足で立つために「ルカ商会」を設立する決意を固める。 美味しいご飯が傷ついた心を癒やし、やがて二人の絆を「永遠の伴侶」へと変えていく。 胃袋から始まり、下町の小さな食堂から王都の食を支える大商会へと成り上がる、心温まる異世界お料理&溺愛ファンタジー!

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。