俺は異世界召喚された『セイジョ』として。

田子タコ

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のんびり高速移動旅

156、音ありクランとクランモリ 11(鈴)

朝食を終え、なんとなくクランの音を聞きたくなったので、行っていいと聞くと皆も外に出た。
地面に座ろうとしたら、リンが空かさずシートを広げ、皆がそこに尻を付けた。
「塀の外で靴を脱いでシートに座らないよ、こっちは魔物がおるからの」
誰も靴を脱がないことに?を浮かべたコウタにミヤコが教えてくれた。

クラン花見、音付き。
鈴よりも優しいのに、煩わしさがない不思議花クラン。
クラン畑を見ながら、ミヤちゃん特製のブレンド緑茶を頂く。
この緑茶は、元々努めていた茶屋から仕入れたジパンゲア産の緑茶、一応モドキではないのでご安心を。

鈴の音を聞きながらボケ~っと丁度視線の先にいた、種クランに近付くクランモリを見ていた。
種クランを取ったクランモリは、向きを変えて小屋へ向かってきた。
「んっ?」
すると、クランモリはクラン小屋横へと向かう。
何気なくそこを覗いてみると、高さ1メートル程の小鳥小屋のような、犬小屋の入口が上部にあるような形の小屋があった。
クランモリは、その入口に入っていくと、出てくる時には種クランはなく、またクラン畑に入っていった。
「あれ何?」
コウタの問にミヤコが茶を両手に抱えながら答えた。
「種クランのゴミ箱じゃ、植え過ぎにならないように調整するんじゃ」
「捨てんの?」
「溜まったら燃やすよ」
「中、見ていい?」
「いいが、どうした?」
「なんとなく」 そうか。話してみるよと?
「屋根と横が開くようになっておるから、屋根を開けると良いぞ」
「んっ」
種クランゴミ箱の屋根を開けるとこぶし大のクランから、ピンポン玉よりも小さく縮んだクランが入っていた。
「へぇー、こんな縮む……」
手を伸ばし、縮んだ種クランを掴むとリンリン音はそのまま。
鈴よりも優しい音色の、紐でもつけたら完全なる鈴になりそうな代物。
「……なあ、ミヤちゃん!これリメイクしね?」
「リメ……おお、リメイクな、何にじゃ?」
「これに紐付けて、鈴として売り出しちゃえば?」
「……なるほど……うん、良いぞ、よいぞ!いつも勿体ないと思っておったが、それも解消じゃ!それなら、単なる紐ではなく、組紐と組み合わせてキーホルダーにしてしまえば……」
「新たな観光資源?土産?ゲットじゃね!?」
「ゲットだぜ!じゃろうて」
「それは知ってんのな!」
「アニメを見たことないが、その言葉とあの……黄色いあー……名前出ないのぉ」
「ピカーっな」
「それは覚えておる」
「ゲーム知らないのに知られているすごいヤツだよな、あいつ。あ……そういや、ヌシって呼んでいいのか?あのさ、これって植えたら生える?」
ヌシに萎んだクランを見せると、ああっと返事が帰ってきた。
「他のとこに生えたらダメとかある?」
「いや」
「クラン畑増えてもいい?」
「クランが増えることはない」
「なんで?」
「われらがいるから、種クランが出来る」
「んっ?あっ受粉とかか!」
「それは知らぬ。他で育っても種は出来ぬ」
「へぇー、ならこの景色はここだけなんな」

コウタの下に、クラグラグラから離れて2日後に届いたクラン鈴は、色の違うの2色の黒を組み合わせた組紐。
「なんか、シックな」
「んっ?俺とコウの色だよ、これは」
「これが?なんで?」
「俺の髪の黒と、コウの髪の黒は少し違うから、それを組み合わせたのだろう」
「ふーん、俺どっち?」
「濃い黒がコウで、少し薄い黒が俺だな」
「そっか。なあ、これどっかに付けてたら走ってる間に無くしそうじゃね?」
「確かにそれはあるかもしれないな」
「ペタに付け……あっ!首輪の鈴にいいじゃん!今度ミヤちゃんに頼もう!」

ということで、クラグラグラの新たな観光資源に『クラン鈴』が仲間入り。
ミヤコは、ジパンゲアで学んだ組紐と種クラン合わせた。
その組紐は、ミエキミナ組紐と言われ、手芸指導の一つで、板で作る簡易的なものを習わされたのだ。
本格的なミエキミナ組紐の工場見学は、高等部の見学項目に必ず組み込まれるものでもある。
穴を開けると音がなくなるので、紐で囲われたクランの様は、ひな祭りのぼんぼりを逆さまにしたかのよう。
淡く色付くクランを色とりどりの糸が華やかにした。
瞬く間に、持ち帰れるクランの音を観光客のみならず、自宅の鍵などにも付けることが流行った。
煩くない主張しすぎない鈴の音。
好きな組紐だけでなく、伴侶の色の組紐を付けたりすることも流行った。
すると、クラン鈴を付けた旅人から、思わぬ噂が広がった。
クランを持っていると、魔物と会いにくくなると。
害のある魔物には効き、従魔などが嫌がることもないと。
すると注文が更に増え、組紐工場を作ることにまでなるのは、もう少し先。

コウが頼んだ首輪のクラン鈴は、なかなか届くことはなかった。
平打ちでと制作すると意気込んだミヤコだが、平打ちではクラン鈴を安定させれずに、試行錯誤することになる。
クラン鈴の作成や後輩指導などで、忙しくしばらく忘れられていたとも言う。
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