【R18】転生エルフ姫は魔王に溺愛される

雪月華

文字の大きさ
18 / 90
第二章 ロドの災厄

追跡

 洞窟城ヘーレンブルクに戻るとすぐ、カインはゴブリン達に命じて城内を捜索させた。同時に城の周辺を灰色狼に、上空から森フクロウに巡らせる。

 私達が朝食を食べていると、オルグさんが渋い顔で報告した。

「どうやら猫人族ケトッシーの子は、客人に紛れて城外に出たようです」


「ということは、昨日か。それで?」

「森フクロウが、リンゲン街道で西に向かう商隊の一行の中に、猫人族ケトッシーの子供を見たそうです。
 猫人族ケトッシーは、人族の間で奴隷として売買されていますからね」

 見た目も可愛らしく大人しいので、猫人族ケトッシーは人族の間で人気の奴隷として高値がつくそうだ。


「リンゲン街道を西か。一番近い町はロドだな。商隊なら、俺がすぐに追跡すれば、ロドの町で追いつけるだろう」

「わしは、反対です。たかが猫人族の子供ひとりのために、王が赴き危険に晒されるなどあり得ません」

「私も行くわ。森に行けば、妖精さんがきっと猫人族の子供の居場所を教えてくれる」

 とんでもない、とオルグさんが首を振った。

「奥方様まで、何をおっしゃいますか」

「じぃ、ナギサは、俺と一緒に居るのが一番安全だ。ケトッシーを連れ戻すのも、俺たちが行った方が目立たない。危険というなら安全な場所など、勇者が居る限り、我らにはない」

 オルグさんはなおも反対して彼を説得しようとしたけれど、カインはもう、その子を助けると決めていた。

「すぐに戻る。ロドまで黒馬ケルピーを駆れば片道三日、ケトッシーを保護して一週間で帰れる」


 私達は急いで旅支度を整える。

 二人分の旅の荷物は、水や食料、野営用テントなど、それなりに嵩張る。でもこの世界には、空間魔法を付与した魔道具の鞄があって、鞄一つにすべてが収まってしまった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 私達は、ケルピーという馬の姿をした魔獣に乗って、旅立った。
 ケルピーは本来、水棲の魔獣だけど、馬より頑強で泳ぐことも出来る。見た目は青毛の体格のいい馬そのものだ。

 乗馬が出来ない私は、ケルピーに二人用の鞍をつけてもらって、カインの前に乗る。

 洞窟城を出て、霧の峡谷の川を渡り、リンゲン街道に出ると、ロドの町を目指してケルピーを走らせた。

 途中何度か、水場で短い休憩を取るほかは、走り続けた。やがて日が暮れ始めたので、私達は野宿する準備をすることにした。

 城を出てからすぐ、私は妖精の存在を感じていた。リンゲン街道は森の中に続く道で、この大陸はほとんどが森に覆われていると、カインが教えてくれた。

 妖精達は、水場の場所を教えてくれ、野宿するのにちょうどいい洞穴にも案内してくれた。
 さらに、夕飯にと、森のキノコや自然薯、山菜、野イチゴまで持って来てくれる。

 カインは石を丸く並べて即席のかまどを作り、私は焚火に使う枝を集めた。火を起こし、持ってきた鍋に水を張って火にかけてから、私達はナイフで自然薯の皮を剥いて、適当な大きさに切って入れた。さらに持ってきた燻製肉と、キノコ、山菜も放り込み、岩塩で味を調えると、おいしい具沢山スープの出来上がりだ。カインが木の器によそってくれたスープを、何度もお代わりして食べた。

 デザートの野イチゴを食べているときだった。

「疲れたか?」
 
「……」

 馬上では、舌を噛むといけないので、カインと話が出来なかった。そして一日中馬に乗って、揺すられ続けたお尻が痛かった。それに、秘粒に施されたリングも、揺すられるたびに刺激されて、何度も軽くイかされ続けていたなんて、とても恥ずかしくて言えない。

 もじもじしていると、

「見せてみろ」

 ふいに、抱っこされ、チュニックの下に履いているズボンをずり降ろされた。

「赤くなっている」

 お尻をなでて、回復魔法を唱えてくれた。

 見上げると、カインの唇が私の唇に降りて来て、合わさる。彼の舌が入って来る。舌を絡め、彼の唾液を吸う。
 彼の舌が歯列をなぞり、口腔内をぐるりと舐める。唇の中に舌を浅く深く出し入れして、その後の行為を連想させる。

 下腹部の奥の方がずんっと響き、蜜口からとろりと粘液が溢れた。カインの指が、ぬめりを帯びた足の間に伸びて、蜜を掬い取る。カインの指から滴る透明な液を見せつけられて、たまらず目を逸らした。

「ぐしょぐしょだな……」

 ドキドキしている私を膝から降ろすと、野営の準備をする、と言って立ち上がってしまった。
 
 洞穴の中に魔石を配置して結界を張り、鞄から防水マットを広げるカインをじっと見ていた。小川から汲んできた水を鍋に入れて即席のかまどに置かれていたのが、焚火にあぶられ沸いていた。彼はそのお湯に水を足して布を絞ると、身体を拭くようにと渡してくれた。彼も身体を拭くと、マットの上でゴロリと横になった。

「寝るぞ」

 掛けた毛布をめくって、私を呼ぶ。うながされて、彼の隣に横たわった。

「明日は早朝に出発する」

 カインは目を閉じた。

 焚火がパチパチと音を立てている。洞穴の向こうは夜の帳が降りて、時折、遠くの方から夜行性の獣の鳴き声が聞こえてくる。

 なんだか、この世界に私達ふたりだけが存在しているような気さえしてきた。
 例えば彼が、魔族の王などではなく、ただの青年で、私も転生者とかハイエルフじゃない、普通の女の子たったとしたら。
 それなら急かすように結婚したりもなくて、普通に恋に落ちて、結ばれてた、のかな……。

 身体が火照って、眠れそうにない。寝ているカインが、うらやましくなった。
 彼が秘粒にリングなんてつけるから、私がこんな風になってしまったのに、私からねだるまで待つ、というカイン。まるで、焦らされているみたい……。


「抱かれたい……」

 無意識に呟いてしまった。口に手を当てて、目を瞑る。どうか、彼が寝ていて、気づきませんように……。

「……こんなところで、いいのか?」


 ふぁっ、起きてた。聞かれちゃった……!


「か、身体が熱くて、辛いの……助けて」

「自分で慰めれば、いいんじゃないか?」 


 ……うっ、ひどい。唇を噛みしめる。


「後で、後悔されたくないからな……」


 あ……。もしかして、カインは私の気持ちを考えてくれてる?


「ここには誰も居ない。私たち、二人っきりだから。ただの男と女として、愛し合いたいの……」


 カインが私を抱き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。


「本当にいいんだな?」


 コクンと頷いた。彼が欲しいという、この身体の内側からの衝動は、婚姻のリングのせいなのかもしれないけど。

 
 きっと私は、彼を好きになってる……。


感想 2

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

秘密を隠した護衛騎士は、お嬢様への溺愛を抑えきれない

はるみさ
恋愛
伯爵家の令嬢であるアメリアは、少し男性が苦手。ゆくゆくはローゼンタール伯爵を継ぐ立場なだけに結婚を考えなければならないが、気持ちは重くなるばかり。このままでは私の代でローゼンタール家が途絶えてしまうかもしれない……。そう落ち込んでいる時、友人に「あなたの護衛のセドリックで試してみればいいじゃない?」と提案される。 男性に慣れるため、セドリックの力を借りることにしたアメリア。やがて二人の距離は徐々に縮まり、セドリックに惹かれていくアメリア。でも、セドリックには秘密があって…… 男性が苦手な令嬢と、秘密を隠し持った護衛の秘密の恋物語。 ※こちらの作品は来春までの期間限定公開となります。 ※毎日4話ずつ更新予定です。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…