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情熱 ※
しおりを挟むアロイスは私を天蓋ベッドの上に寝かせると靴を脱ぎ、膝をベッドについて乗り上げた。
テーブルに置かれた魔道ランプの灯りが、薄紅色の天鵞絨のカーテン越しに私たちを照らしている。
彼は、私の繻子のドレスの前をはだけると、白麻の下着の上から、双丘の形を確かめるように触れた。
そしてドレスの下につけていたコルセットの紐を、素早く解いていく。
胸の合い間に顔を埋め、深く息を吸うアロイスを見て、モカル草の湯浴みをして置いてよかった、と思った。
「すごく、良い香りがする」
アロイスも、もどかし気に上着を脱いで放り投げた。続いて腰のベルトを緩めた拍子に金具同士が当たりカチャ、と音を立てる。
私が手を伸ばして、首元の幅広のタイをするっと解くと、アロイスは笑みを浮かべた。
急くようにシャツとズボンを脱ぎ捨てる。
私は彼の裸の胸に顔を寄せ、小さな尖りを舐めて吸った。
「ああ、ソフィ……! 噛んで血を吸って」
「どうして?」
「気持ちいいから」
私の歯は人間のもので、アロイスのように鋭い牙はないのに。
さらに促され、私は敏感な尖りを強く噛んだ。口の中に、彼の血の味が広がっていく。
アロイスは小さくうめき、身体を仰け反らした。傷はすぐに癒えて跡形もなくなる。
彼の手が私の内腿に滑り、下着が捲れ上がった。ショーツの上から長い指が、花弁の閉じたくぼみをなぞっている。そこはすでにたっぷりと濡れそぼって白麻の薄い布が張りつき、花弁の形が布越しに見えてしまうのでは、と恥じた。
「ぁっ……」
両膝を開かれ、その間にアロイスが身体を入れて密着する。彼自身の興奮を表す固いものが、私の下腹部に当たった。彼の背中に手を回し、そのしなやかな筋肉のついた滑らかな肌に手を這わせると、密に生えた長い銀の睫毛が瞬いた。
柔らかな唇が私の唇に重ねられる。私はサラサラと流れる銀髪に、そっと指を入れ優しく梳いた。それからうなじに手をやり、さらにアロイスを引き寄せて深く口づける。
彼は私の下着をはぎ取るように脱がせ、裸の肌と肌を擦りつけた。胸のふくらみの先端が、アロイスの身体に押しつけられ、擦られた刺激で硬くしこり始める。
ふいに、彼の昂ぶりをショーツ越しに感じた。薄い布越しに、固くて逞しい彼のものが閉じた花弁の合い間に擦りつけられる。
彼の長い指が私の双丘を掴み、その頂を指先が捕らえた。指の腹でツンとした尖りを押しつぶし、舐った。
ジーンとした熱が徐々に身体の芯に溜まって、疼き出していた。
アロイスはその唇を首筋から鎖骨、胸へと軽く食みなが移動させて行き、赤く色づいた小さなしこりに到達すると、ちゅ、と音を立てて吸った。もう片方も指で摘まむように挟んで引っ張られる。
下腹部の強い疼きが、耐えがたく感じるまで執拗に弄られ続けた。
「ん、ぁっ、ぁぁ……っ」
たまらなくなって思わず喉を仰け反らせ、我慢していた声が漏れる。自分でも、どこからそんな甘ったるい声が出るのだろう、と恥ずかしくなるような喘ぎ声。
アロイスは下着の紐をするっと解くと、蜜に塗れた薄布を取り去った。秘所を覆う布の部分にとろりとした透明な蜜液が糸を引き、天鵞絨のカーテン越しの灯りに光った。
羞恥に思わず顔が熱くなる。
「僕のものを、一度味わっただけなのに、こんなにも花蜜を零して。身体の……具合はどう? 初めての痛みは、大丈夫? 僕は女じゃないから、君の辛さは分からない」
花弁の閉じた秘裂を指で優しく撫でながら、耳元で囁く。
「……ええ。少し、違和感はあったけど。その、痛みというより、異物感が――」
「異物感? どんな?」
「だから、アロイスが、ずっと膣に居るみたいな」
言いかけてから、アロイスのくすりと笑う顔を見て、わざとそんなことを言わされたと気づく。
「アロイス」
抗議しようとしたら、いきなり濡れそぼった花弁を掻き分けるようにして、彼のなめらかな昂ぶりの先端を蜜口に挿入された。
「……っ!」
先端の傘の開いたもっとも太い部分を、まだ不慣れで狭い蜜口を押し広げるように咥えさせられ、焦らすように入口で止まった。そうして、浅い所を掻き回すように抜き差しして、私の胎内の奥深い疼きを煽った。
蜜がどっと溢れ出し、くち、くちゅといやらしく音を立てた。
私は彼の身体に腕と足を絡みつかせ、腰を浮かせてアロイスに押し付けた。自ら固くて太い長大なものに貫かれ、奥深くまで到達させる。最奥まで到達すると、コツンと奥に当たり、思わずきゅっと膣を締めつけてしまった。
「ぅっ、ぁぁっ!」
今度はアロイスが身を震わせた。何かを堪えるように、眉を寄せ歯を食いしばった。
「君のむせ返るような香りに、くらくらする。血と花蜜と甘露、それから懐かしいモカル草だ」
アロイスは私の膣をすべて満たして征服した。私を完全に彼のものにしたのに、彼を半狂乱にするのは私の方なのだ。
彼は自らを深々と差し入れている花芯の上の、敏感な秘粒を撫でた。びくり、と私が身体を動かすと、彼の手は私の手を掴み、その秘粒に引き寄せた。
「愛しい人、快楽を自分のものにして。ほらここ、君のいいところを触ってごらん」
そうしてから、私の身体の奥深く、蜜壺に浸した彼自身をゆっくりと動かし始めた。一定のリズムで奥を突き入れられ、触れている秘粒が擦れて快楽が波のように打ち寄せた。
彼の腰がしなやかに打ちつける度に、ずん、と奥に快感が走る。アロイスの深く長い突きに、だんだん我を忘れて夢中になっていた。気づけばすすり泣きながらアロイスの名前を呼び、悲鳴のような嬌声をあげていた。
「ぁぁ、アロイスっ」
「ソフィ……!」
身体の奥で動いているアロイスを感じ、愛しさが込み上げて来る。
こうしていると、私たちは二人で完全になるのだ、という気がした。
太古から伝わる原始的なリズムに身をゆだね、アロイスの力強い腰の動きに、まるで溺れる者のように必死にしがみつく。
私の膣でひと際固く質量を増した彼のものが、ぐっと奥に押し付けられる。花蜜に塗れた蜜道がきゅうと切なく締め付けた。
「ああ、僕の先端に、こりこりとした君の胎の入り口が当たっている……ここに、射精されたいんだね」
膣を隙間なく一杯にしている肉杭が、脈を打ち、ドクドクと胎内を満たすように射精した。
私はアロイスの身体の下で大きく身体を開き、彼のものを奥深くに受け入れ、精を与えられている。
蜜壁が収縮を繰り返して彼自身に絡みつき、ねだるようにうねって彼の精を搾り、奥へと吸い込んでいく。
幸せだった。吸血の時に与えられていた、仮初めの多幸感とは全く種類が違うもの。
「嬉しい……」
「……可愛いソフィ」
快楽の海に溺れ息も絶え絶えに涙を流す私を見降ろす、アロイス。鋭い牙が柔らかな肌に突き刺さった。血を吸われると、痛みは一瞬。すぐに目もくらむような悦楽に呑み込まれる。
アロイスも、深く身体を沈めた。
彼もまた、私と同じようにこの海に溺れそうなのだと分かった。
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