灼炎の転生魔女〜いじめられて自殺した私、異世界で炎の魔女の娘に転生しましたが、今度こそ強く生き抜きます!〜

銀鏡。

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五章 ラグルの呼び声

400.運河に映る空

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 視界が白に塗りつぶされ、足元の感覚が一瞬ふわりと消える。
次に目を開けたとき、私たちはすでに見知らぬ大通りの真ん中に立っていた。

「・・・ここが、シェラ?」

まず目に飛び込んできたのは、空を切るようにそびえる白い尖塔だった。
その表面は川面の光を反射して眩しく、周囲には色とりどりの旗が風に揺れている。

都市を囲む城壁は低めで、代わりに街の中心から放射状に広がる運河が水の盾のように流れていた。

 石畳の上には行き交う人々。
砂漠の国らしい薄手の長衣や、川漁師の短いチュニックを着た者もいて、荷車には香辛料や果物が山と積まれている。
遠くから、焼きたてのパンの香りが漂ってきた。

「すごい・・・砂漠の国とは思えないくらい、水が豊かですね」

サラが感嘆の声を漏らす。

「川があるだけで、こんなに空気が違うのね」

ノエルも頬を緩めていた。

 母が、肩をすくめる。

「オルガが言ったでしょう?シェラは首都に負けないくらい、栄えてるって」

私は運河沿いを見やる。
カヌーのような細長い船が水面を滑り、船頭たちは観光客らしき人々に陽気に声をかけている。

ふと、水面に映った空を見て、戦いの緊張が少しずつ解けていくのを感じた。

「・・・まずは、宿を探しましょうか」

母の言葉に、私たちはうなずき、賑やかな大通りへと足を踏み入れた。

 ここから先、しばらくは戦いではなく、旅と日常の時間が私たちを待っている──
そんな予感がした。




 大通りを進むにつれ、耳に入る音が変わっていく。
市場の呼び込み、子どもの笑い声、そして運河の水音。
どこか懐かしく、けれど新鮮な都市の息遣いだった。

「アリアさん・・・あの串焼き、おいしそうです」

サラが屋台を指差す。香ばしい匂いが漂い、じゅうじゅうと焼ける音が腹を刺激してくる。

「あら・・・朝ごはん食べたばっかりじゃない」

 そう言いながらも、私もつい足を止めてしまう。
屋台の主人が、香辛料をまぶした肉を笑顔で差し出してきた。

「せっかくだから、一本ずついただきましょうか」

母が串を買ってくれた。
かぶりつくと、外はカリッと香ばしく、中は驚くほど柔らかい。
スパイスの香りが口いっぱいに広がった。

「・・・ああ、これ、ラグルに来てよかったって思える味・・・」

ノエルが目を細めると、ノエルも静かにうなずいた。



 しばらく歩くと、広場に出た。
中央には水を吹き上げる噴水があり、周囲では絵描きや楽師がそれぞれの芸を披露している。

小さな子どもたちが水しぶきの周りを駆け回り、笑い声があたりに響く。
なんだか、ミフィアを思い出す光景だ。

「この町を見た感じ・・・地の国というより、水と太陽の国って感じがします」

サラが眩しそうに空を見上げる。

「でも、この賑わいの裏で、また何かが動き出しているかもしれない」

母の言葉に、一瞬だけ空気が張り詰めた。

 けれどすぐに、彼女は笑みを浮かべた。

「だからこそ、今は存分に楽しみましょう。戦いは、いつだって避けられないのだから」

私たちは再び歩き出す。
香辛料の香り、楽器の音、水面のきらめき──どれも、束の間の平和を実感させてくれるものだった。

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