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五章 ラグルの呼び声
404.戒めの小瓶
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翌朝、まだ空が薄く白んでいる頃、私たちは港近くの朝市へ向かった。
石畳は夜露でしっとりと濡れ、魚の匂いと潮の香りが入り混じっている。
露店の人々は手際よく品を並べ、威勢のいい声が飛び交っていた。
「ん~、朝から活気がありますねえ」
サラが目を輝かせながら歩く。
一方で、ノエルはと言えば──片手で喉をさすりながら、もう片方の手に小瓶を握っていた。
その瓶の中には、昨夜抜いたあの魚の骨が入っている。
「・・・まだちょっと違和感があるんだよね」
「それ持ち歩くの、本気でやめない?」
私が呆れると、サラが横からニヤリと笑った。
「まさか、記念品にするつもりじゃないですよね?」
「ち、違う!これは、戒めっていうか・・・ほら、見るたびに『よく噛もう』って思い出すじゃん!」
そこへ、母が後ろから口を挟む。
「ノエルって、そんなに噛むのが面倒だったの?犬か猫かってくらい、丸呑みだったのかしら」
「そ、そんなことありません!」
ノエルは顔を真っ赤にして反論するが、サラと母はすでに笑いをこらえて肩を震わせていた。
「ねぇノエル、今日の朝食は何にする?」
「・・・骨が少ないやつ」
「市場でそれ言ったら、店主が悲しむよ」
そんな調子で、市場を歩くたびに笑い声が絶えなかった。
市場の奥へ進んでいくと、昨日の夜に魚を焼いてくれたあの露店が見えてきた。
干し魚や新鮮な川魚がきれいに並び、朝日を浴びて銀色に輝いている。
「おや、お嬢さんたち!昨日は、ありがとさん!」
店主の声が響くと、私たちは足を止めた。
どうやら、こちらの顔を覚えてくれていたらしい。
「昨日の魚、とっても美味しかったです」
サラが丁寧にお礼を言うと、店主は嬉しそうに笑った。
「そうかそうか!・・・って、あれ?そっちの嬢ちゃんは・・・」
店主の視線は、ノエルへと移った。
ノエルはビクッと肩を跳ねさせ、小瓶を背中に隠す。
「あ、あの・・・えっと・・・」
「ははっ、そんなに警戒するなって!昨日の骨の件、人づてに聞いたよ。骨が多い魚だったからな、外国の魔女さんには食べづらかったかもしんないな。悪かった」
店主は大きな手で後頭部をかきながら、申し訳なさそうに笑った。
「い、いえ・・・こちらこそ、ちゃんと確認しなかったのが悪いので……」
ノエルは小声で答え、なぜかさらに小瓶をぎゅっと握った。
「そうか・・・そうだ、これ持っていきな!」
そう言って、店主は籠から干し魚を数匹取り出し、紙に包んで渡してくれた。
「やっぱり骨は多い・・・けど、旨みは保証するぜ。昨日のお礼だ」
「ありがとうございます!」
私とサラは素直に受け取ったが、ノエルは手元の包みを見て微妙な顔をしている。
「・・・いや、その・・・骨が・・・」
「ははっ、また刺さらないように、よーく噛んで食べるこったな!」
店主の豪快な笑い声が、市場の喧騒に混じって響いた。
石畳は夜露でしっとりと濡れ、魚の匂いと潮の香りが入り混じっている。
露店の人々は手際よく品を並べ、威勢のいい声が飛び交っていた。
「ん~、朝から活気がありますねえ」
サラが目を輝かせながら歩く。
一方で、ノエルはと言えば──片手で喉をさすりながら、もう片方の手に小瓶を握っていた。
その瓶の中には、昨夜抜いたあの魚の骨が入っている。
「・・・まだちょっと違和感があるんだよね」
「それ持ち歩くの、本気でやめない?」
私が呆れると、サラが横からニヤリと笑った。
「まさか、記念品にするつもりじゃないですよね?」
「ち、違う!これは、戒めっていうか・・・ほら、見るたびに『よく噛もう』って思い出すじゃん!」
そこへ、母が後ろから口を挟む。
「ノエルって、そんなに噛むのが面倒だったの?犬か猫かってくらい、丸呑みだったのかしら」
「そ、そんなことありません!」
ノエルは顔を真っ赤にして反論するが、サラと母はすでに笑いをこらえて肩を震わせていた。
「ねぇノエル、今日の朝食は何にする?」
「・・・骨が少ないやつ」
「市場でそれ言ったら、店主が悲しむよ」
そんな調子で、市場を歩くたびに笑い声が絶えなかった。
市場の奥へ進んでいくと、昨日の夜に魚を焼いてくれたあの露店が見えてきた。
干し魚や新鮮な川魚がきれいに並び、朝日を浴びて銀色に輝いている。
「おや、お嬢さんたち!昨日は、ありがとさん!」
店主の声が響くと、私たちは足を止めた。
どうやら、こちらの顔を覚えてくれていたらしい。
「昨日の魚、とっても美味しかったです」
サラが丁寧にお礼を言うと、店主は嬉しそうに笑った。
「そうかそうか!・・・って、あれ?そっちの嬢ちゃんは・・・」
店主の視線は、ノエルへと移った。
ノエルはビクッと肩を跳ねさせ、小瓶を背中に隠す。
「あ、あの・・・えっと・・・」
「ははっ、そんなに警戒するなって!昨日の骨の件、人づてに聞いたよ。骨が多い魚だったからな、外国の魔女さんには食べづらかったかもしんないな。悪かった」
店主は大きな手で後頭部をかきながら、申し訳なさそうに笑った。
「い、いえ・・・こちらこそ、ちゃんと確認しなかったのが悪いので……」
ノエルは小声で答え、なぜかさらに小瓶をぎゅっと握った。
「そうか・・・そうだ、これ持っていきな!」
そう言って、店主は籠から干し魚を数匹取り出し、紙に包んで渡してくれた。
「やっぱり骨は多い・・・けど、旨みは保証するぜ。昨日のお礼だ」
「ありがとうございます!」
私とサラは素直に受け取ったが、ノエルは手元の包みを見て微妙な顔をしている。
「・・・いや、その・・・骨が・・・」
「ははっ、また刺さらないように、よーく噛んで食べるこったな!」
店主の豪快な笑い声が、市場の喧騒に混じって響いた。
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