灼炎の転生魔女〜いじめられて自殺した私、異世界で炎の魔女の娘に転生しましたが、今度こそ強く生き抜きます!〜

銀鏡。

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五章 ラグルの呼び声

411.狭まる流れ、開ける景色

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 しばらく進むと、両岸の葦が途切れ、川幅がじわじわと狭まっていくのがわかった。
遠くから、水が岩肌に砕けるような音が微かに届く。

「・・・ちょっと速くなってきましたね」

サラが足元を見下ろす。

水面のきらめきは先ほどより細かく、せわしなく揺れていた。
船頭が櫓を握り直し、進行方向を確かめるように身を乗り出す。

「この先は蛇行がきつくなります。浅瀬もあるので、揺れますよ」

 両岸の距離はさらに縮まり、切り立った茶色い岩壁が迫る。
風が岩肌に反射して、肌にひやりとした感触を運んできた。

船底がわずかに震え、水が船の横腹を叩く音が強まる。
穏やかだった川面が、ところどころ白い筋を描きながら流れ下っていく。

「うわ・・・ちょっと遊園地みたい」

 ノエルは笑っているが、しっかり荷物を抱え込み、目を丸くしている。

「これ・・・魚、跳ねてこないよね」

「そんなことより、落ちないように気をつけて」

私が声をかけた瞬間、船はひときわ大きく揺れ、川の曲がり角を滑るように回り込んだ。


 岩陰を抜けると、再び川幅が広がり、流れも落ち着きを取り戻す。
水音が静まり、船員たちの息づかいだけがしばらく残った。

やがて川面の光がやわらかくなった頃、船頭が前方を指さす。

「見えてきましたよ。あれが“ミラル”の船着き場です」

 視線の先、川沿いの平地に、小さな家々が肩を寄せ合うように並んでいた。
土壁に藁葺き屋根の家、その間には細い路地が入り組み、軒先からは干された魚や洗濯物が揺れている。

丸太で組まれた簡素な船着き場には、すでに数人の村人が立っていた。
子どもたちは裸足で板の上を駆け回り、犬が吠えながらその後を追いかける。

「なんだか、のんびりしてていいところですね」

サラが微笑む。

 船が桟橋に寄せられると、村の男たちが素早く綱を受け取り、柱に巻きつけた。
足元の水面が近くなり、波紋が桟橋の影に吸い込まれていく。

「この村は、川を使った交易で成り立っています。港町ほど大きくはないですが、干し魚や染物が特産でしてね」

船頭の説明に、私はふと鼻をくすぐる香りに気づいた。
塩気を帯びた風に、どこか甘い匂いが混じっている──干し魚と果物を一緒に干す香りだろう。

 船が静かに止まり、乗客たちは荷を背負って降りていく。
私たちも順に桟橋へ足を下ろすと、川の音がいっそう近く、やわらかく耳に届いた。

「さて・・・次は、この村を歩いてみましょうか」

母の声に、私とサラ、そしてノエルも頷いた。

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