灼炎の転生魔女〜いじめられて自殺した私、異世界で炎の魔女の娘に転生しましたが、今度こそ強く生き抜きます!〜

銀鏡。

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六章 トーア、冷たき国

515.ペンダントの誓い

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 サラは袋の中を探り、小さな布の包みを取り出した。
それを大事そうに解き、中から現れたのは、銀色に輝く小さなペンダント。

「・・・それは?」
私が尋ねると、サラは胸の前でそれを握りしめた。

「私が学院に入学することになったとき、母がくれたものです。“これから先、どんな魔法と対峙することになっても、きっとあなたを守ってくれる”って・・・」

声は震えていたが、瞳は真っすぐだった。

「だから・・・盗まれたとき、本当に、心の中をえぐられたみたいで・・・」
サラは唇を噛み、強く首を横に振った。
「だからこそ、彼らがどんな罪を受けるのか、最後まで見届けたいんです!」

 部屋に一瞬、沈黙が流れた。
暖炉の火がぱちぱちと木を弾かせ、その音だけが耳に残る。

母はしばし目を閉じ、そしてゆっくりと息を吐いた。
「・・・わかったわ。明日、城へ一緒に行きましょう。ただし、何があっても自身の感情に飲まれないこと。それだけは約束して」

「はい!」
サラは勢いよく返事をし、微笑んだ。

心なしか、その目には涙をためているようにも見えた。



 ノエルは枕を抱えながら「サラ、すごいなぁ。私だったら、人が裁かれるところはあまり見たくないな」と呟いた。

私も正直、裁判なんてものをあまり見たくはない。その手のことに興味があるわけではないし、退屈そうである。

しかし、サラは小さく首を振る。
「私・・・あの人たちのこと、どうしても許せません。だからこそ、しっかり裁きを受けるところを見届けたいんです」

 その強い意志に、私はなんだか胸が熱くなった。
サラは、自分の意思で立ち向かおうとしている。

(・・・私も、彼女に負けていられないな)

毛布をかけ、ベッドに横たわる。
やがて瞼が重くなり、心地よい眠気が波のように押し寄せてきた。

明日、城で何が待っているのか──それはまだわからない。

けれど、暖かな炎のぬくもりに包まれながら、私は小さく息を吐き、眠りへと落ちていった。


 翌朝。
窓の外は雪がうっすらと積もり、白く静かな世界が広がっていた。
宿の一階からはパンを焼く香ばしい匂いが漂ってきて、眠気を誘う。

私は毛布を押しのけ、身を起こした。
ノエルはすでに着替えて髪を結っており、サラも緊張した面持ちで椅子に腰掛けていた。
手の中には、昨夜見せてくれたあのペンダントがある。

「・・・眠れた?」
私が声をかけると、サラは小さく頷いた。
「はい。夢は見ましたけど・・・でも、もう怖くないです」

 その言葉に、母がそっと彼女の肩へ手を置いた。
「大丈夫。あなたは一人じゃないわ。私たちも一緒にいるもの」

サラは力強く頷いた。
昨夜よりも、ずっと顔つきが大人びて見える。

「よし、じゃあ行こうか!」
ノエルが勢いよく立ち上がり、背伸びをする。

「よくよく考えたらさ、お城なんてそうそう入れる場所じゃないよね。ちょっとワクワクする!」

「観光に来るわけじゃないんだから」
私は思わず呆れた声を出したが、ノエルの無邪気さが少しだけ空気を和ませた。

 宿を出ると、朝の冷たい風が頬を打った。
石畳の上にはまだ雪が残り、靴音がぎゅっぎゅっと小さく響く。
通りの向こうに見える城は、冬の陽光を浴びて静かにそびえ立っていた。

「・・・あれが、フィルトルクの城」
私は思わず呟いた。
高い塔と厚い城壁。その威容に、胸の奥が少しだけざわつく。

「サラ、しっかり歩けそう?」
母が問いかけると、サラは強く頷いた。
「はい。ちゃんと、この目で見届けたいです」

 その決意の声を聞いて、私も背筋を伸ばす。
──今日、何が待っているのか。
心臓が鼓動を速めるのを感じながら、私たちは城門へと歩みを進めた。

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