灼炎の転生魔女〜いじめられて自殺した私、異世界で炎の魔女の娘に転生しましたが、今度こそ強く生き抜きます!〜

銀鏡。

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六章 トーア、冷たき国

527.抗い、生きる意志

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 女性はかすれた声で、弱々しく言葉を紡いだ。
「あ・・・ヴァルナ、様・・・」
それはまさしく、瀕死の重病人の発する言葉だった。

「大丈夫、この人たちは私の知り合いよ」

女性は私たちを見て、目を見開いた。
「若い人・・・悪いことは言わない。早く、この村から・・・離れて・・・この村は、呪われているの・・・」

 奇病は若い人にばかり発生するという。
それを踏まえると、彼女の警告には説得力がある。
自分のようにならないで、あなたたちにはまだ未来がある、と忠告してくれている。

それをなだめるように、ヴァルナが彼女に語りかける。
「大丈夫、この村は呪われてなんかない。・・・必ず、私がこの謎を解いて見せる」

 そうは言っても、この病については現状何もわかっていないらしいが・・・ヴァルナは、どうするつもりなのだろう。

「この方は、ヴァルナさんが診察してるんですか?」

「診察というか、治療ね。いろいろ試してるわ」

そこで気付いたが、女性の枕元には様々な薬品が入ったケースが置かれている。
そして、それらの中には複数回使用された形跡があるものも少なくない。

これらは、ヴァルナの努力の結果だろう。

「それで、何か効果があるものはあったの?」

「それがね・・・結果は、どうもあまり芳しくないのよ。いろいろな薬や治療法を試しても、ほとんど効果がないと言っていいようなものばかり」

 その言葉、さらに女性の容体を見て、サラは悲痛な声をあげた。
「そんな!それじゃ、この人は・・・!」

「いいんだよ・・・」
女性にそう言われ、サラは彼女を見た。

「この病は・・・かかったら必ず・・・死ぬ。私は・・・もう、とっくに・・・死んでたような、もんさ・・・」

「でも・・・!」

「ヴァルナ様にも、治せないんだ・・・どう喚いても、死からは・・・逃げらんないんだよ・・・」

 サラは、より一層悲しげな顔をした。

「・・・ヴァルナ様!なんとかならないんですか!?」

「全力を尽くしてはいるわ。でも、さっきも言った通り・・・いろいろ試したけど、どれも効果がない」
ヴァルナは手を強く握り、震えた。

「私だって辛いわ。私はこの国を守る者、なのに、原因も治療法もわからない、酷い病で倒れていく民を、黙って見ていることしかできないなんて・・・」

彼女もまた、悲しげな顔をした──今にも泣き出しそうなほどに。

「ヴァルナ・・・」

 母は彼女の名を呼び、床に横たわる女性を見た。
「今は、どこか痛いとかあるの?」
すると、女性は骨ばった手を右胸のあたりに当て、「この辺りが痛いです」と言った。

「ここって・・・」

「ええ、肝臓のある辺りよ。だから、おそらくは肝臓に何らかの病変が起きているんだと思うの。でも、肝臓関連の病気に効く薬を投与しても、効き目が出ない。どうすればいいのかしら・・・」

ヴァルナはそう呟き、顔を押さえた。



 正直、私は医学関連のことはわからない。ただ、この女性がとても苦しんでいること、そして・・・もう、そう長くはないことは感じ取れた。

何しろ彼女の体は、あばらや足の骨がはっきりわかるほどにやせ細り、まるで皮がついた骸骨のような姿になっている。
おそらくは、立つこともままならないだろう。

 さながら栄養失調の人のようにも見える。
あれでは、いずれ命を落とすだろう。
原因が病であり、しかもその原因も治療法もわからないとなれば、なおさら・・・。

きっと、それはヴァルナも・・・あの女性自身も、わかっている。なのに、最後まで決して諦めず、なんとかしようとしている。

2人の精神力、そして意志に、心から敬意を示したいと思う。
かつて自殺をし、現実から逃げた私より、よほど立派な人たちである。
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