5A霊話

ポケっこ

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音楽室の七不思議 第二グループ②

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 音楽室はとても静かで、冷えた風が吹いていた。
坂上がしゅうに訊ねた。
「ここはどんな七不思議があるんだ?」
しゅうは、げんきから借りて来ていた七不思議の本を開いて読み始める。
「ちょっと待ってて……えーっと、、、これだ!あそこにある絵が表情を変えるらしいよ」
しゅうは質問に答えた。
 その直後、えいとが馬鹿にして笑い出した。
「は?そんなわけないだろ?六年が描いた「絵」がだぞ?大体七不思議なんか誰かの作り話だろ?」
そう笑って絵の方に近寄った。
「ちょ!?やめた方が良くない!?」
「七不思議なめすぎだよ!!」
坂上としゅうが止めようとするが、えいとに戻ってくる気配はない。
えいとは20秒、六年が描いた絵と見つめ合った。
「なんだよ。やっぱり嘘じゃねーか。七不思議なんか作り話なんだよ」
そう言って二人の元に戻ってきた。

「さっさと次のやつも終わらせようぜ」
「うん!じゃあ次は、このピアノが弾いてないのに音を出すとか……」
しゅうはピアノの方に近寄る。そしてドの音を鳴らした。
音楽室に響いたドの音は、普段通りの音色だった。
「いつも通りだな。じゃあここまでだから校庭に戻るか」
しゅうがそう言って扉の方へ歩き出すと、しゅうの前を誰かがスッと横切った。
坂上だ。
「俺が先に下に行くんだっ!!」
「待て!!俺が最初に……!!」
えいとも負けじと後に続く。
しゅうも慌てて廊下に出た。

廊下では、「タッタッタッタッ」という軽快な足音だけが響き渡っていた。
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