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最後の挨拶

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「会いたかったよおおー!!!」
オレに抱きついてくる少年。オレは慌てて引き離そうとした。
「泣くな、男らしくないぞ。で、お前は誰なんだ」
少年はオレから離れて、自己紹介をした。
「俺は人間のジュラル。元に戻れたんだよ」
その言葉を聞いて、オレはどんなに嬉しくなっただろう。
りんも揮も、顔を見合わせていた。
「本当か?」
「コレが夢だと思うか?」
「わあー!!ジュラルだあー!!」
オレは思わず飛び跳ねて喜んだ。りんがオレをジッと見ていた。
ジュラルが真剣な顔をして言った。
「それより、俺、人間になっちゃったからお前らに用はないと思ってるんだ」
「どういう事だ?」
「こうやってダラルと話す機会がないって事」
「寂しくないのか?」
ジュラルは俯き、消えそうな声で呟いた。
「―それはそうだけどさ……」
暫くの間沈黙が流れる。それぞれが何かを考えていた。
「―またどこかで会えるといいなって」
「そっか」
オレはジュラルに背中を向けた。
―そのまま、オレは言葉を放った。
「……お互い、勉強も、生活も。―頑張ろうぜ!」
ジュラルは一瞬泣きそうになった。けれど、涙を拭って、笑顔で言った。
太陽が笑顔を照りつけていた。
「―うん。じゃあな!」
「またな!」
「またねー!」
「じゃあねー!」
そしてオレ達―オレとりん、揮、そしてジュラルはそれぞれの家に戻って行った。

翌日。オレは彼の事を忘れる事となった。
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