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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル

67.女子高生(おっさん)の部活

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〈放課後 部室〉

「話があるのでござるが……良いですかな? アシュナ殿」
「え? うん……」

 放課後、部活に勤しんでいるとケンが神妙な面持ちで話しかけてきた。他のみんなも同じ表情だ。きっとまた下ネタ系のくだらない事だろうなと思いつつ、真剣に聞いてみた。

「実は……我ら、小説家を目指すのを辞めたのでござるよ」
「…………………えっ!?」

 真剣に聞いてみたら思いの外(ほか)に大切な話だったことに驚き、呆気にとられた。前世ではこんなイベントは存在しなかったから。
 言葉が出てこない俺をよそにケンらは続けた。

「あ、でも勘違いしないでね。それぞれ小説書きは続けるよ? 僕らはやっぱり物語を創るのが好きだから……」
「そうだね! だからあくまで小説は趣味ってかたちになるかな!」
「え……じゃあどうして……?」
「小説家を目指すことよりも、やりたい事を見つけたんだ」

 イオリとユウタ、タケルがそう言って沈黙する。この四人が俺と同じように頑張っていた事は誰よりも知っていたのに……それよりもやりたい事って一体何だろうか。

「アシュナ殿でござるよ」

 俺の心を見透かしたように、眼鏡をクイッと上げながらケンは言った。

「アシュナ殿は色々と危ういでござる、DQNと対峙したり、詐欺グループと立ち回ったりと……アシュナ殿を大切に思っている我々は毎回、肝を冷やされるでござる」
「ぅ……ごめん……」
「極めつけはあのイケメン御曹司だ……よりによって俺のアシュナを狙うだなんてよ……! 鳳凰天馬……ライバルとして──あいつから絶対にアシュナを守らなきゃならねぇんだ!」

 エロ猿のタケルがわなわなと震えている。
 お前のじゃないし、たぶんお前じゃ分が悪すぎる。何一つ勝ってる部分がない。

「だからね……僕たちは強くなってアシュナちゃんを守っていこうって決めたんだ。これからアシュナちゃんは色々と忙しくなるでしょ? だからマネジメントみたいな事で協力できたらなっ、て」

 髪妖怪のイオリが笑いながらそう言った。
 確かにこれからはプロ作家として、小説を書き続けて推敲する日々が続くだろう。
 まぁ、掲載する小説は既に完結済みでヤコウさんには渡してあるし……細部の調整だけで、次回作ももう半分は執筆済みだけど。
 つまり、これまでとなにも変わらないんだけど。

「我々はここで趣味として小説を書き! アシュナ殿と趣味の共有などをして日々を過ごしつつも! アシュナ殿を守ると誓うでござるよ!」
「……それって今までとどう違うの……?」

 ただ、オタサーの姫感が強くなっただけのような気がする。

「あ、ちなみにここはもう『同好会』じゃなくなったでござるよ。正式に顧問の先生がついた事により【ライト文芸部】にランクアップしたでござるよ!」
「えっ」
「ちなみに顧問の先生は校長先生でござる」
「ちなみにの話の方が衝撃的すぎるよ!」

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