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番外編

■自由部始動番外編~部活動紹介編~partⅢ※〈萌葱林林視点〉

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 響木くんによる前説の後、壇上は一度幕により閉ざされ〈ビィィィィィィ〉というブザー音と共に再度幕が開かれる。
 中央にスポットライトにより照らされた群青の髪色をしたとても綺麗な女性がスタンドマイクに両手をかけ微笑んでいた。

「皆様、聞いて下さい」

 美少女の一言と共にどこからか音が流れる。
 それは誰もが知っている有名な曲、私もこの歌大好き。
 あの綺麗な人が歌うのかな

~♪~♪~

「ヴラァァァレリィグァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 美少女は超絶音痴だった。
 呪いのような歌詞が体育館中に響き、素晴らしい名曲も女優のような超美少女も全てを台無しにした。

「ウルゥァァァブルゥァァァァァァァァァァ!!」

 まるでマス○さんの同僚のような声で歌う美少女。

~♪~♪~♪

ガチャン ガチャン ガチャン……

 歌と共に舞台袖からは新たな人物が登場する。
 それはふりふりのメイド服に身を包んだ、まるでファンタジーの世界から出てきたようなーー
 ーー全身、頭までもを西洋の甲冑に包んだお城の兵士みたいな格好の女性。

 いや、頭も兜で覆われているので女性かはわからないが。
 甲冑の上からだけど秋葉原にいるようなスタンダードなメイド服を着用している事から恐らく女性だろうと推察する。
 ガチャガチャと音を鳴らしながら甲冑メイドは音痴の美少女の隣前……壇上ギリギリのところに立った。

「御主人様、召し上がるのだ燃え燃え」

 甲冑メイドは謎の言葉を発して
 小脇に抱えていた大砲のようなサイズのケチャップを
 客席にぶちまけた。

ブチュウゥゥゥゥゥッッ……

 一瞬にして観客の生徒や先生方は真っ赤に染まった。

~♪~♪

「くぅおぬぅおすぇぬわくぁぬぅにぃどりぃ~のゆぅおぉにぃ~♪」
「みんなっ!寝てる場合じゃないですよっ!」

 息をつく暇もなく、舞台袖からは赤髪のツインテールの可愛い女の子が登場しーー

ブゥゥゥゥゥゥゥンッッッッブゥンブーンッッブゥゥゥゥゥゥゥン

 ーー背中に背負った丸い籠から
 二万匹くらいのバッタを体育館中にぶちまけた。

《キャアアァァァウワァァァァァブゥゥゥゥゥゥゥンキャアアァァァ! キャアアァァァッッッッ!!》

 叫びながら外に逃げ出す真っ赤な生徒達、中には気絶している子達もいた。

 そしてそれらを追いかけ回す西洋の兵士と
 ツインテールをヌンチャクのように振り回す赤色髪の美少女。
 バッタの羽音と阿鼻叫喚の赤い人達の叫びが織り成すその場景は
 まさに地獄絵図の呼び名に相応しかった。

~♪~♪~♪

「ズィグァァァレバサジィァァィァァァァァァァァァァ!!」

 見れば横にいたはずの里奈ちゃんは
 5000匹くらいのバッタに襲われ気絶していた。
 横たわる人の形上に群がるバッタを見て私は
 最早それが里奈ちゃんなのか新たに産まれたバッタ星人なのかわからなかった。

「ドゥゲァァアツヌユケゥイイイイィァイマナーーーーー!!!」

 サビ部分に入り、群青髪の美少女は一層気合いが入ったのか
 マイクのハウリング音など気にも留めずジャイ○ンリサイタルを続けた。

「アィヌゥゥィズィユゥゥヌァアアマァゾルァェェェ!!!」

 辺りを見回すと気絶してる人以外、殆どの人はいなくなっていた。
 皆外に逃げ出したのだろう、自由部の甲冑メイドとヌンチャクツインテールもいなくなっていた。
 無事な様子なのは私と……あと一人。
 当事者のはずなのに燃え尽きた明日のジョーみたいにパイプ椅子に座り項垂れていた響木くんだけだった。

~♪~♪

「ゥイッキーツブァァァァイイイイイイイイイイ!!!ありがとうございましたっ!」

 ジャイ○ンリサイタルを終えた美少女は満足したのか一礼し舞台袖へと消えていった。
 音楽もとまり一気に静寂に包まれる体育館。
 そこへ真っ白な髪をしたこれまた美少女が壇上に現れる。

「みんな、ごめんなさい……迷惑かけた」

 みんな、と言っても今この広い体育館には
 私、響木くん、縛られた生徒会と先生、バッタと気絶したケチャップ人間達しか存在していないが。

「これで許せ」

 そう言って仁王立ちした白い美少女の股からは
 手を使わずに真っ白なパンティがずり落ちてきた。
 (すごい! 超能力!?)……と私が思ったのも束の間

「やべぇ! このままじゃゼーレ(PTA)に消される! 揉み消さねーと!」

 ……と舞台袖から聞こえてきたと同時に舞台の幕は降ろされた。

 ブリュルルブリリリリリ……と哀しそうな排泄音が幕を降ろされた白い美少女の叫びのように
 いつまでもいつまでも体育館に木霊していた。






















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