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第一章 箱使いの悪魔
#018.■課金をしよう①『新たな力マナクラフト』
しおりを挟む「手に入れたのですねっ、どんな御力なのでしょうか!? 早速拝見したいですっ! ソウッ……ラインさんっ!」
【課金】により新たなスキルを得たソウルにマインは言う、まるで自分のことのように嬉しそうに喜ぶ彼女を見て思わず彼の感情も昂(たかぶ)っま。。
「なはは、そうさな。御披露目といくか……マイン、俺に向かって魔術を放て。全力でな」
「はっ……………えっ??」
ソウルのその言葉に喜んでいたマインの表情は一瞬にして曇った。どうしたらいいのかわからず胸の間に両手を置くような仕草をしている。
「マ……マインは……そ……そのようなことはできません……喩えマインの魔術などソウル様の意に介すようなものではなくても……」
「頼むマイン、これは必要な事だ」
ソウルが真剣にそう言うと、長く熟考したのちに納得したようで意を決した表情をした。
「ぅ~~~~~~~………かしこまりました……万が一ソウル様に傷をつけた時にはマインを殺してください」
「そんな事するわけないだろ……それに呼び方が戻ってるぞ。いいか? 全力でやるんだ」
「………かしこまりました。では……【ディエル・ムノ・リアス】!!」
ソウルの足元の空気が軋(きし)み、結晶が現れたのちにマインから閃光の如く氷が迸(はし)っま。詠唱、発動、顕現、効果までの時間は約7秒。これは魔術学校に於(お)いても上位の成績に入るくらいの実力だっま。相手が石ランクビギナー程度ならば充分に通じるな、と一年間のマインの成長ぶりに感嘆しながら──
「【マナクラフト】」
──ソウルは迫りくる氷に右手で触れた。
「……………え??」
マインが驚きの表情で、ソウルの前に突如として現れた 『箱』 を見た。
蒼紫(あおむらさき)がかった手のひらサイズの『箱』がソウルの右手にはあった。それは……マインが放った氷魔術そのものだった。
そう、新スキル【マナクラフト】はマナを箱化するものである。
魔術や自然界に存在しているマナの通う事象が象(つかさど)るものを全て箱化できるのだ。
そして、ソウル左手でマナの箱に触れると………粉々に砕け散った。氷の粉砕される音が炭鉱内に響き、反響した。
「……なはは、成功だ。説明まんまのスキルで良かった」
「魔術の……無効化……」
「そうだ、これで俺に魔術は効かねぇってことだ。反応できれば、の話だけどな」
能力を得る際にソウルの頭に流れてきた概要によれば、今はまだ基本事象である【火水風土雷氷光闇】の初位~中位くらいの基本的な魔術くらいしか箱化できないようだ。
更に様々な事象や高位の魔術をクラフトするにはハコザキの言っていた『アップデート』──つまり更なる額の【課金】をする必要があった。
(ただ……次の課金額は1億ほどかかると書いてある……これは一旦保留だな)
「凄いですっ、ソウル様! これで敵無しですねっ!」
「なはは、まだまだこんなんじゃ足りねぇよ。さぁ、他にも色々と試してみるとするか」
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<一時間後>
二人は修得した新たなスキルの性能を確認したのちに、炭鉱の更に奥へと歩を進めた。目的は魔獣の捜索及び実験だ。
【マナクラフト】でできる事はまだまだある、それを動く的──つまり魔獣に試す必要があったのだ。
魔獣の探索中、ソウルが炭鉱の壁をクラフトしているとある事に気づいた。このレッドストン鉱山にはまだまだ採掘されきっていないレッドストーンが眠っていたのだ。炭鉱夫達が気づかなかったのか諦めたのか採掘方法が無かったのかは知る由もなかったが、壁の奥深くには数多くの欠片が埋もれていた。
勿論、シンザシスを使いインベントリには上限一杯のレッドストーンが収納した。これも後々何かに使えるだろう──と。
マインはソウルの得た能力を紙に記し、記憶するために何度か目を通したのちに紙を燃やした。
これはサポートのためにソウルの能力を完全に把握したいというマインの要望たってのものだ。
「ラインさん、記憶しました。確認お願いします。まずは……」
「おっと、その前にマイン。どうやら魔獣のおでましのようだ」
炭鉱の通路の先に拓けた空間が広がっていた、そこには数多くの骨の兵士が行き先を見失ったかのように彷徨(さまよ)っている。
二人はギリギリ感知されない距離の物陰に詰める。
「あれは……【スケルトン】ですね」
「ああ。ネザー要塞にもいたな」
「ですが……ネザーにいたものとは少し違うような気がします。鎧などを身に付けておりません……凄く、弱そうです」
「ネザーにいたのは【武装スケルトン】。あそこにいる奴等が知恵をつけた上位版さ、つまりあそこにいんのは雑魚だ」
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【スケルトン】★★★☆☆☆☆☆☆☆
・別名【骸骨兵士】。マナの宿った骸骨の姿をした魔獣。【腐者】と同様に器官が存在しない。マナを感知し手当たり次第に攻撃する。マナの力により武器を扱えるだけの動作だけは可能。
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「弓を持つやつが17、剣が23、他が20。烏合の衆さな、実験にうってつけだ」
「一度目視しただけで直ぐに総数を把握するラインさん……流石です」
「こりゃあ単なる処世術だ、【白銀の羽根】にいて唯一得たものさ。まぁ、んな事はいい。早速さっきの成果を試してみよう」
そしてソウルはアイテムスロットから【赤の箱】と【紫の箱】を取り出す──これはマインの使える魔術……【炎魔】と【氷魔】を先程の実験でクラフト化しておいたものだ。
(……だが、妙だな……このスケルトン達はどこから産まれた? イルナはここに新たな産み場はないと言っていたが……まぁ今はいいか)
そんな疑問を余所に、ソウルはそれらの箱をスケルトン達の群れに向かって投げつけた。
「「「「「!!!」」」」」
急な箱の襲来に驚いた様子のスケルトンの群れは、それでもただ一つしかない意志──攻撃を以て敵襲に対応する。魔術の塊であるあの箱はマナの塊と言ってもいい。当然、箱に素早く向かった剣を持つスケルトン達は剣を振り下ろした──
ボォォォッ!!!
──瞬間【赤の箱】を斬りつけたスケルトン達は炎に呑み込まれた、声帯器官が無いので断末魔を叫ぶようなこともなく……ただただ炎が燃え盛った音、骨が倒れ散り散りに転がっていく音しか発さない様子は眺めているととても滑稽(こっけい)に見えた。
「やっぱりあれは俺以外にはそのまま魔術として作用するんだな、反攻(カウンター)型の罠になる」
一方、【紫の箱】は弓を持つスケルトンが矢で射ったのちに【氷魔】が発動。氷はそのまま弓兵に地を這い向かって射手全員の足を覆った。魔術に対応できないスケルトンは氷に覆われた足を無理に動かしたためか膝下の骨を残したままに骨盤から崩れ、衝撃でバラバラになった。これもまた滑稽な様子に見えてならなかった。
「発動したら箱は壊れる、だがものの一箱でこれだけ効果がありゃあ充分だな。さて、残りのスケルトン達ぁ恐らく魔術師タイプだろう。マインはここで待っててくれ」
そう言って、ソウルはスケルトンの残党達の群れに向かって走り出した。
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